最近はまっている森有正の著作からの引文。
『旅の空の下で』筑摩書房
昭和44年9月20日 初版第2刷発行 p102~
私はケーベル博士の随筆をしばしば思い起こす。明治の末から大正年間、東京大学に教鞭をとっていた博士は、最良の日本人を、古い教養を身につけた漢学の教師の中などにみとめていた。私は、また、明治初年に日本を世界の国際場裡にもちこみ、アジアあのほとんど唯一の独立国として成長させた先人たちのことを思う。それはかれらにあっては、自己の批判原理が自己にしっかりと内在していたからである。
もちろん私は、私たちがかれらのマネをすべしというのではない。それではまた一種の外在倫理となり、それは間もなく消えうせてしまうに相違ない。要は、今の姿がいかにあろうとも、自分のかけがえのなさを自覚し、自分の中に、批判の原理を発見育成していくほかない。またそれが民主主義というものの神髄であろうと思われる。
震災・原発事故の現実に直面している日本国の復興は、単に財政(お金)の問題だけでなく、精神的にも、日本全体の進路を問われています。
このような時は、目先のことだけでなく、先人の智慧をたよりにするのが良いですよねー。
政府や行政がもたもたしている感じがしますが、地元の東北の方々は、一人一人が立ち上がっています。
先程のTVニュースステーションで、塩害の田んぼに、全国から寄せられたひまわりの種をまいた陸前高田の方々の「希望のひまわり」の取り組みが報道されていました。
一時は、雑草がはびこってひまわりの成長が心配されたそうですが、地区の方々総出で草刈り。
いま、ひまわりが満開だそうです。
ひまわりは塩害対策にも良いようです。
来年は、ぜひ、稲作ができることを念じます。