「部活はそもそも残業なのだろうか」とタイトルに書いた。もちろん法律的には部活指導は残業に入らない。そんなことぐらい、もちろん知っている。中沢篤史さんの「そろそろ、部活のこれからを話しませんか」によると、残業代を払えという裁判をして最高裁まで争って退けられた判例が紹介されている。(その裁判は僕も知らなかった。)部活指導の大変さを訴えている人の中には、「残業時間の上限を定めて欲しい」という人もいるようだけど、そういう問い方では問題は解決しないだろう。
一応法的な解説をしておくと、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)で、教員は一律に4%の給与加算を受けることになっている。その代わり、時間外勤務手当及び休日勤務手当は支給しない。だから教員に関する残業命令は基本的にはないわけだが、政令で特別な4ケースに関しては命令できるとされている。①校外実習など実習②修学旅行など学校行事③職員会議④非常災害 である。この法律ができた理由は今は省略する。
しかし、そういう法律的な解釈は別にして、現場教員は「一種の残業」としてやっているという意識が強いと思う。部活動は教育課程外で、ある種ボランティア的な活動だと言いながら、部活動には「指導」が入ってくる。技術指導をどこまでするか、できるかは別にして、部活内部の人間関係がもめた時、教員が何もしないわけにもいかない。大会参加や練習試合など対外活動をするなら、教員がいないとできない。部活はボランティアだから大会引率はしないとは言えないだろう。
部活顧問を決定するには、生活指導部で希望調査をして調整するだろう。その後に職員会議に顧問一覧表が出され、校長から(正式文書が出る学校はほとんどないと思うけど)「委嘱」される。確かに「職務命令」が出されたとまでは言えないかもしれないけど、事実上「職務」だと受け取るしかない。授業する教科は当然決まっているわけだけど、学級担任や校務分掌、部活顧問に関しては、誰が何をするかは決まっていない。どんなに校長独裁になっても、一応何らかの希望を聞くだろう。そうやって決まっていく以上、「校務」の一環として理解してしまうのは当然だ。
教員時代の僕もずっとそういう風に理解していたと思う。部活に熱心な教員ではないけど、一応部活顧問は「職務」なんだと思っていた。教師は「特別な教育公務員」なんだと当時は管理職も教えていたように思う。だから、生徒がいるときは対応するのが当然。生徒が問題を起こせば、遅くまで指導に当たる。生活があるわけで、限界はもちろんある。でも、部活終了時間は決まっているんだから、その時間ぐらいまでは残っても当たり前。その代わり、生徒がいない時は「柔軟」な勤務になってよい。テスト期間で生徒がいなければ、教員も「自宅採点」でいい。夏休みで授業がない時は、「自宅研修」できる。そんな風に管理職も思ってたと思うし、自分も何となく思ってたわけである。
そういう考え方は今は完全に教育行政によって否定された。そんな「特権」みたいなものは、勤務時間の縛りが厳しくなって認められない。国旗国歌問題で「処分」された教員が起こした裁判では、最高裁で処分内容には一定の限度があるとされた。しかし、基本的な認識としては、教員も単なる公務員だから、所属長の職務命令に従うしかない存在だとされている。それどころか、教員免許更新制によって、事実上「10年任期の公務員」に格下げされてしまったと言えるだろう。
そんな情勢の下、最近部活問題に関する自分の考えを大きく変えた。「部活は残業にならない」ということである。そもそも残業とはなんだろうか。「本務」(本来の業務)が勤務時間内に終了しないために、管理職から命令されて行う時間外勤務のことだろう。主に「繁忙期」には避けられない。(日常的に残業があるなら、それは雇用者側に責任がある。)学校でも、定期テスト前に試験問題を作る、試験後に採点して成績を付けるなどは、本務中の本務だから「残業」しても当然だろう。
これに対して、「部活動」は授業や行事などの延長ではない。校内の教育課程でも、それぞれ別のものになっている。そして、教員も勤務時間はおよそ8時間(東京では7時間45分)しかない。休憩時間は45分だから、学校に拘束される時間は8時間45分(東京都立は8時間30分)である。朝は8時15分から勤務開始だとするなら、勤務時間は17時には終わってしまう。(勤務開始前に「ボランティア」として「あいさつ運動」などをやってる学校も多いだろう。)部活が夕方5時で終わる中学はないだろうから、一日の勤務時間内には絶対に終わらない。
学校の勤務時間は学校ごとに多少違う。また部活の終了時間も学校ごとに違う。でも、教員の勤務時間内にすべて終わるという学校は基本的にはないと思う。土日の活動の問題もあるし、そっちの方が負担が大きい。だから、一日に30分や1時間の延長があるのは、あまり気にしない人が多いだろう。どうせ授業準備や会議などがあるのである。僕もそうだった。土日に出てくるのが毎週じゃいやだが、大会前なんかは時にはやむを得ない。でも毎日の活動は、教師としては出たくても多忙で出られない日が多いけど、生徒が自主的に活動できる時間的保証はある程度してやりたいと思っていた。
だけど、よくよく考えてみれば、一日の勤務時間内に絶対に終わらないと当初から判っている勤務形態は、それ自体おかしいではないか。それなら、労働基準法に特別に規定がないとおかしい。あるいは完全なボランティアと考えて、一切の部活手当も出さない代わりに、事故などの責任も負わない。技術指導をしたい教員は、自分の責任で行う。あるいは、部活顧問を担当する教員は、学級担任から外れて、勤務開始時間を遅くするとか。他にも考えられるが、もっと実現性のありそうなことを考えないといけない。だけど、休養日を作るとか、土日は教員外の指導員に任せるなどではない、教員勤務の本質に即した根源的な解決法を考えないといけない。もう少しこの問題は年明けに書きたい。
一応法的な解説をしておくと、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)で、教員は一律に4%の給与加算を受けることになっている。その代わり、時間外勤務手当及び休日勤務手当は支給しない。だから教員に関する残業命令は基本的にはないわけだが、政令で特別な4ケースに関しては命令できるとされている。①校外実習など実習②修学旅行など学校行事③職員会議④非常災害 である。この法律ができた理由は今は省略する。
しかし、そういう法律的な解釈は別にして、現場教員は「一種の残業」としてやっているという意識が強いと思う。部活動は教育課程外で、ある種ボランティア的な活動だと言いながら、部活動には「指導」が入ってくる。技術指導をどこまでするか、できるかは別にして、部活内部の人間関係がもめた時、教員が何もしないわけにもいかない。大会参加や練習試合など対外活動をするなら、教員がいないとできない。部活はボランティアだから大会引率はしないとは言えないだろう。
部活顧問を決定するには、生活指導部で希望調査をして調整するだろう。その後に職員会議に顧問一覧表が出され、校長から(正式文書が出る学校はほとんどないと思うけど)「委嘱」される。確かに「職務命令」が出されたとまでは言えないかもしれないけど、事実上「職務」だと受け取るしかない。授業する教科は当然決まっているわけだけど、学級担任や校務分掌、部活顧問に関しては、誰が何をするかは決まっていない。どんなに校長独裁になっても、一応何らかの希望を聞くだろう。そうやって決まっていく以上、「校務」の一環として理解してしまうのは当然だ。
教員時代の僕もずっとそういう風に理解していたと思う。部活に熱心な教員ではないけど、一応部活顧問は「職務」なんだと思っていた。教師は「特別な教育公務員」なんだと当時は管理職も教えていたように思う。だから、生徒がいるときは対応するのが当然。生徒が問題を起こせば、遅くまで指導に当たる。生活があるわけで、限界はもちろんある。でも、部活終了時間は決まっているんだから、その時間ぐらいまでは残っても当たり前。その代わり、生徒がいない時は「柔軟」な勤務になってよい。テスト期間で生徒がいなければ、教員も「自宅採点」でいい。夏休みで授業がない時は、「自宅研修」できる。そんな風に管理職も思ってたと思うし、自分も何となく思ってたわけである。
そういう考え方は今は完全に教育行政によって否定された。そんな「特権」みたいなものは、勤務時間の縛りが厳しくなって認められない。国旗国歌問題で「処分」された教員が起こした裁判では、最高裁で処分内容には一定の限度があるとされた。しかし、基本的な認識としては、教員も単なる公務員だから、所属長の職務命令に従うしかない存在だとされている。それどころか、教員免許更新制によって、事実上「10年任期の公務員」に格下げされてしまったと言えるだろう。
そんな情勢の下、最近部活問題に関する自分の考えを大きく変えた。「部活は残業にならない」ということである。そもそも残業とはなんだろうか。「本務」(本来の業務)が勤務時間内に終了しないために、管理職から命令されて行う時間外勤務のことだろう。主に「繁忙期」には避けられない。(日常的に残業があるなら、それは雇用者側に責任がある。)学校でも、定期テスト前に試験問題を作る、試験後に採点して成績を付けるなどは、本務中の本務だから「残業」しても当然だろう。
これに対して、「部活動」は授業や行事などの延長ではない。校内の教育課程でも、それぞれ別のものになっている。そして、教員も勤務時間はおよそ8時間(東京では7時間45分)しかない。休憩時間は45分だから、学校に拘束される時間は8時間45分(東京都立は8時間30分)である。朝は8時15分から勤務開始だとするなら、勤務時間は17時には終わってしまう。(勤務開始前に「ボランティア」として「あいさつ運動」などをやってる学校も多いだろう。)部活が夕方5時で終わる中学はないだろうから、一日の勤務時間内には絶対に終わらない。
学校の勤務時間は学校ごとに多少違う。また部活の終了時間も学校ごとに違う。でも、教員の勤務時間内にすべて終わるという学校は基本的にはないと思う。土日の活動の問題もあるし、そっちの方が負担が大きい。だから、一日に30分や1時間の延長があるのは、あまり気にしない人が多いだろう。どうせ授業準備や会議などがあるのである。僕もそうだった。土日に出てくるのが毎週じゃいやだが、大会前なんかは時にはやむを得ない。でも毎日の活動は、教師としては出たくても多忙で出られない日が多いけど、生徒が自主的に活動できる時間的保証はある程度してやりたいと思っていた。
だけど、よくよく考えてみれば、一日の勤務時間内に絶対に終わらないと当初から判っている勤務形態は、それ自体おかしいではないか。それなら、労働基準法に特別に規定がないとおかしい。あるいは完全なボランティアと考えて、一切の部活手当も出さない代わりに、事故などの責任も負わない。技術指導をしたい教員は、自分の責任で行う。あるいは、部活顧問を担当する教員は、学級担任から外れて、勤務開始時間を遅くするとか。他にも考えられるが、もっと実現性のありそうなことを考えないといけない。だけど、休養日を作るとか、土日は教員外の指導員に任せるなどではない、教員勤務の本質に即した根源的な解決法を考えないといけない。もう少しこの問題は年明けに書きたい。