尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

市馬&志らく 二人会

2012年02月16日 00時44分23秒 | 落語(講談・浪曲)
 池袋の映画館、新文芸坐でやってる落語会も第30回。ここは映画館の「友の会」に入っていることもあり、けっこうよく行っている。15日は、柳亭市馬師匠と立川志らく師匠。懐メロ大会ではなく、落語の二人会。今一番聞きたい落語家と言ってもいい二人。楽しみ。だけど、あまりに早くチケットを買い過ぎて、うっかり忘れて他の公演を入れるところだった。

 僕は市馬師匠(落語協会副会長です)は、歌がうまいということもあるからか、口跡の気持ち良さでは落語界有数なのではないかと思う。ネタは「二番煎じ」。冬の夜に、町内の旦那衆が火の用心の夜回りをすることになる。番小屋に戻った後に、酒を煎じ薬と称しての宴会が始まる。寒い時期にふさわしい話。上品な酔いぶりなどが見事。やはり大好きな落語家だなあ。

 志らく師匠(ところで、今まで「し」と「らく」に分けて打っていたのだけど、今うっかり「しらく」で変換したら、変換の候補の中に「志らく」があったよ)は、正月に紀伊國屋ホールのミッキー・カーチスの自伝出版記念会で「笠碁」を聞いたばかり。この時はハーモニカも。今回はせっかちとのんびり屋の会話がおかしい「長短」と、おなじみ「時そば」。時そばなんて、いろいろな人で何度も聞いたけど、微妙にそれぞれ違って楽しめる。むろん、「何時だい」は同じだけど、それに騙される人がいるとは思えないわけだけど、蕎麦屋とのかけあいや蕎麦の食べ方談義などが違ってきてそこを楽しめる。ついこの間、昇太で聞いたばかり。

 この落語会は最後にトークが入ることが多いのが楽しい。今回も懐メロネタ(特に金沢で受けなかった話がおかしい)、談志師匠ネタなどたっぷり。亡くなってから談志と言う人の大きさを改めて感ずることが多い。

 ここで書かなかったが、1月初めに紀伊國屋ホールで行われた吉川潮「待ってました! 花形落語家、たっぷり語る」の出版記念の会に行った。そこで春風亭昇太を久しぶりに聞いたわけ。昇太は柳昇師匠がまだ存命の頃に師匠の会で知ったのが、もう10年以上前。その新作のセンスに脱帽して、ずいぶん聞いた。「笑点」メンバーになって知名度が全国区になってから、なんだかあまり面白くない感じだったんだけど、久しぶりに生で聞くとエネルギーがあってやはり面白い。

 吉川さんの本(新潮社)はものすごく面白い。新潮社のサイトから引用すると、

 師曰く、「会場を選ぶな。自分の演るところが神殿だ」「何を語るかでなく、誰が語るかだ。落語家の存在自体がネタである」。芸と人間の磨き方、災難も笑い話にしてしまう精神力と話術。ビジネス書より学べて、ためになる。小朝、志の輔、談春、志らく、鶴瓶、昇太、円丈、あやめ、歌之介、三枝――花形10人が明かす、とっておきの話。

 と言う本で、聞いてない落語家もいるけど、全然大丈夫。ビジネス書というより、現代を考えるときの必読の書ではないかと思う。落語を聞いてない人にこそ。すごく面白いから。
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