10月に読み終わった本、思いのほかありました。
7月にマティス展を観に行ったので、その余韻と、
今年5月に出たばかりの本と知ったので、図書館で
借りてみました。もちろん、観たことがない絵も
たくさんあったし、その解説もよかったのですが、
一番驚いたのは、著者である、国立新美術館主任研究員の
米田尚輝さんという方が1977年生まれだったこと。
40代の若さですごいなあと感心しました。
来年2月からの、国立新美術館での展覧会がさらに
楽しみになりました。
伊坂氏の新刊が出てたんだ~!と知った時に、
私に伊坂本の面白さを教えてくれた会社の同僚はすでに
読み終えていて‥「よかったら貸しますよ」と持ってきて
くれました。
「天道虫」と呼ばれている、運の悪い殺し屋、七尾の
新しい物語。高層ホテルで、通常では考えられないほど
次々と「業者」が殺されていく。当初は嫌な奴、悪い奴、
だと思わされていた人が本当は良い人で‥のパターン。
いろんな階で色々起こるので、最初は戸惑い気味だが、
テンポがあるのでどんどん読んでしまう。そして、
ところどころに挟み込まれる妙に沁みる言葉。
「人をうらやんだときから不幸が始まる」
「恩知らずは運にみはなされる」
最後は、すっとうまくおさまるので、読者は読んでよかった、
面白かったーと素直に思える。マクラとモウフの二人組が
今回はとてもよかった。あとソーダも。
『777』の後に、カポーティの本に戻ることができず、
図書館で2冊一緒に予約して借りてしまった。。。
読み終えたから知ったが、作者はじめての短編だった
らしい。でも、それぞれの話は連作になっていて、
作者曰く「短編のふりをした実は長編」とのこと。
(今更だけど)え?何この人??と周囲がいったん引く
ような変わった登場人物の設定がとても上手い。
今作ではもちろん、陣内。
銀行強盗の人質になる中、果敢にも歌ってみせるし、
解放されたとき、カウンターにあった数十万をちゃっかり
持ってきてしまったり。
人質となったことで知り合えた永瀬という全盲の青年、
彼のガールフレンドの優子、盲導犬のべス、も、とても
よかった。
『チルドレン』の続編。こちらは長編。
陣内は家庭裁判所の調査官(しかも主任)になっていて
武藤という部下まで居る。武藤の担当案件が、過去の
陣内が担当していた事件にも繋がっていて、とても
読み応えあり。
タイトルの『サブマリン』はどこに繋がっているのだろう
と思っていたら‥文庫本224ページに、
せっかくの人生の大事な年月を、光の届かぬ深海でじっと
するように負のことを考えることで費やしてきたのだ。
また、264ページには、
「そうとは言い切れないよ」
僕の言葉はもちろん彼を楽にしない。
彼の起こした事故は、十年経っても消えることがなく、
姿が見えない時もどこか、視界の外に潜んでいる。
水中の潜水艦の如く。そしてことあるたびに、急浮上し
若林青年に襲い掛かるのだ。
モダンジャズに少年事件をなぞらえて話す陣内は
(そう陣内にしゃべらせた作者は)すごいと思った。
モダンジャズとは正々堂々と「けんか」ができる
場所を共有すること。
「いいか、もう二度と弱い奴を狙うなよ、というか
狙わないでくれ」
「もし、むしゃくしゃしたら曲でも作って、演奏しろよ」
読み終わったあとで、ほんとうに月並みだなーと思い
ながらも‥わたしはわたしの毎日の中で、適当に済ませたり
見てみないふりをしたり、とかはやめて、精一杯を尽くそう
と思うのでした。
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