10月28日日曜日、アーサー・ビナードさんの講演会に行ってきました。
この本だいすきの会板橋支部、結成25周年記念の講演会で、
「トノサマガエルになる方法~ことばのむこうに広がる世界」という
タイトルがついていました。
アーサー・ビナードさんのお名前や手がけられた絵本を何冊かは知って
いましたが、このタイトルの意味はまったく察することができず、
おはなしが始まってからも、いったいいつ、繋がってくるのかなーという
ギモンが気持ちのどこかにありました。
けれどそれと同時に、ビナードさんの語り口にしだいに魅了されはじめた自分も
いて‥幼い時の「いまなんじ?」のエピソードや、来日してすぐに住んでいた
池袋の商店街の話などなど‥とてもおもしろいのです。
+
ことばめがね
この言葉が今回のキーワードだったと私は思うのですが、商店街の看板の話から
「ことばめがね」を、自分がかけてきた「えいごめがね」ではなくて
日本語を学ぶことで得た「にほんごめがね」にかけかえてみると、
同じものをまた別の角度から観ることができたり、深く観たいがために
掘り起こす努力をはじめてみたり、と、今までと違う自分が現れてくることが
とてもおもしろいし、大切なことではないか、ということでした。
たとえば、花屋さんで売られている、オリヅルランという植物。
英語ではスパイダープラントというそうなんです。
蜘蛛の糸のように蔓を伸ばした先に、できてくる新しい葉っぱの形も
蜘蛛にしか見えない、と、アーサーさんは言っていました。
けれど、ひとたび、にほんごめがねを得て、スパイダープラントを観ると
折り鶴ランというなんとも華麗な名前がついているじゃあないですか。
それを知ってからは、今まで蜘蛛にしかみえなかった葉が折りヅルに見えて
きたそうです。
このあたりのことをまとめてできたのがこちらの絵本です。
この「めがね」は、英語から日本語、日本語から英語といった「ことば」
だけでなく、音楽でも、絵でも、新しい本でも、新しいレンズとなり得ると
おっしゃっていたことがとても印象的でした。要は違う視点を、自分の中に持ち
興味や関心を広げていくということなのですね。
++
オタマジャクシ 日本にきてから覚えたたくさんの日本語の中で、
タンポポとともに、とても好きなことばがオタマジャクシなんだそうです。
ここからやっと、「トノサマガエルになる方法」
オタマジャクシは、卵から孵化してすぐもオタマジャクシだし、
後ろあしが生えてきてもオタマジャクシ、前あしがはえてきてもオタマジャクシ、
4本あしがはえそろい、やがて尻尾が短くなっても、カエルになる瞬間まで
オタマジャクシ、というひとつの呼び名しか与えられていないのはおかしい、と
感じ続け‥たとえば、最初の変化があったものはオタマジャクエル、次の変化が
おこったものは、オタマジャカエル(?)※すいません、ちょっとうろ覚えです。
といったふうに、ことばを入れ替えていって、最後にトノサマガエルになるという
ことばあそびなのでした。
そうか、そういうお話だったんだ、と納得している間もなく、アーサー・ビナードさんは
次の言葉を、ホワイトボードに大きく書きました。
+++
ピカドン
このピカドンのメガネを得たことで、今まで自分がいかに何も観てこなかったかと
いう事実を知ることになり、そして、この絵本へと繋がっていき‥
さらには、この絵本。
ピカドンの視点を得てから、原子力についての話にうつると、それまでと
アーサー・ビナードさんのお顔があきらかに変わってきたことがわかりました。
とても力をこめて、今、私たちが知らなければいけないことを、具体的な
数字を持って、次々と教えてくれ、そして、最後に、この「さがしています」を
はじめからおしまいまで、読んでくださいました。
本の存在と内容はうっすら知っていましたが、作者ご本人の声は、深く
心にしみいりました。
こんなにあっさりとまとめてしまうのが申し訳ない、とても濃い3時間近くを
過ごしました。もっともっと、知らなければいけないと痛感しました。
余談ですが、終了後に買った本にサインをしていただけることになり、
私は、『ここが家だ』を選んだのです。まずは、ここから知っていこうと思いまして。
そうして、家に帰ったら、rが新しい曲の楽譜を熱心にみているところで‥
それは、「ラッキードラゴン 第五福竜丸の記憶」という吹奏楽のための曲だったのです。
こんな曲です→★
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rucaさんにもrucaさんのつながりが脈々と・・ですね。
いい出会いはいつも嬉しく楽しい。
暮れの集会のビナードさんも是非どうぞ。
こひつじ文庫さんからの「繋がり」とても有難いです。
いつもどうもありがとうございます。
今回の催しが、板橋支部25周年記念だっていうことも
知らなくて‥1987年結成ときいて、ん?私が結婚した年
だと、ひとり心の中で盛り上がっていました・笑
私の結婚生活と同じだけの月日だったのですね~
アーサー・ビナードさん。
お話がとてもうまくて驚きました。ラジオにもお出になって
いるんですものねー。
サインを待っている時のちょっとしたおしゃべりにも
加わってくださって、握手もしてもらいました♪
ビナードさん、きちんと読んだことはないのですが気になっていたので
こんな近くであった講演会に(知らずに)行けなかったことが悔やまれます。
最近、とんと疎くて…。
こんど何かよい催しがあったらぜひ誘ってくださーい^^
そうですね~そういえば「こんな近く」でしたよね。
私も、今回はじめてちゃんとビナードさんの本に触れたのですが、
とってもよかったので、エッセイなども読んでいきたいなあと
思っています。
お人柄も素晴らしく、また何かの折には出かけたいと
思いました。
お誘いしますね♪