音楽の喜び フルートとともに

フルート教室  久米素子 松井山手駅 牧野駅 090-9702-8163 motokofl@ezweb.ne.jp

タイタニックの楽師

2012-06-21 23:04:46 | 本・映画など

今日も雨。本当によく降ります。各地で被害がでているようですが、どうか、皆さんご無事でいてください。

タイタニックの7人の楽師たちを細野晴臣さんが、たどると言う番組をBSでやっていました。
タイタニックの犠牲者の多くが、100年前のカナダのハリファクスに埋葬されたそうで、その地を訪れ、楽師たちの遺族や、生存者の証言をたどる旅をして、自分と音楽との関わり、震災と津波があった日本で音楽はどんな意味があるのか?その意味を見つけたいと思われたそうです。

タイタニックの楽師たち7人は、逃げるチャンスはあったのに、人々の心を落ち着けるために、最後の瞬間まで演奏を続けていた。
そのことに、どんな意味があるのか?

その旅の中で細野さんの祖父がタイタニックの生存者であるというのは、よく知られていますが、調べにいった場所で資料を提供してくれた、遺族の方の叔母が、同じボートの隣に乗っていたことがわかりました。

また、楽師たちが演奏していた楽譜。パーティー用の軽い音楽が、残されていたり、亡くなる直前に演奏していた音楽を聴いていたという証言などが、浮かび上がってきました。

墓に埋葬されているのは、二人だけで、後は、遺体は行方不明であること、一人は、引き上げられた時、ヴァイオリンを抱いたまま亡くなっていたこと。
妻子を食べさせるために、割の良い船の仕事を選んだもの。生々しい楽師たちの姿が彷彿とされてきました。

ハリファクスの人たちは、タイタニックの事故の100年後の4月15日。同じ教会、同じ音楽や、進行で葬儀を再現したり、タイタニックの楽師と同じ演奏を再現しようと、若者たちが、楽団を結成して演奏会を行ったり、今も、鎮魂と、死者への敬意を表し続けていました。

細野さんが、最後に
ハリファクスの人たちは、あの事故。自分たちとはそれまで無縁だった人々の死に傷ついた。
そして、その傷を癒す作業は今も続いていて、その中で、音楽は、大きな意味をもっているんだと思います。
と、言われていました。

大勢の理解できない理不尽な、死の中で、逃げ惑い、パニックを起こし、あるいは、あきらめ。
その中で、祈ったり、何か、誰かの為に何かをなそうとする。実際に身体を助けると言うこともありますが、誰かの心の為に、最後の瞬間まで演奏する、そういう生き方があるということを、今も7人の楽師は示し続けています。

私も真摯に向き合わなければ。そういう気持ちになった放映でした。