ちょっと注意していないと見逃してしまう佳作。
芥川龍之介の短編小説「トロッコ」をベースに台湾花蓮で撮影された。
台湾人の夫がなくなり、遺骨を持って彼の故郷へ帰った妻と、8歳と6歳の子供。
夫の父は日本語を話すが、村の若者たちは、日本語を話さない。
要は異文化の世界だ。妻は少し中国語を話す。
特に子供たちは、最初村の子となじめない。
お寺など、日本では見られない風景がある。
そして、トロッコ。
昔、日本軍が木を運ぶために作ったという。でも、いまも、森林を守っている人がいる。
一方、長男を日本へとられた父。彼は元日本兵だった。
だが、もうお年だ。老後の生活がある。
弟はいるが台北暮らしだ。
母親は、入院している。
そんな家族物語と、
少年たちの、トロッコへの興味。
終盤、芥川のイメージで、子供たちのトロッコ遊び。
楽しみもあるが、苦しみもある。
子供たちが、心細くなるのが、こちらにも伝わってきて、感動の終盤。
新人監督の作品だけに、未消化の部分もあるが、結構惹かれる映画だ。