1960年の作品。NHKでリマスターされ放送された。
昨年、山田洋次は、この映画のオマージュとして、「おとうと」を撮った。
それほどこの映画に感動していたのだ。
私自身、姉がいなかったので、実際の姉と弟の心理的つながりは理解できないが、
まわりにいる、姉弟の、特に姉をみていると、ちょっとうらやましい気がする。
ただ、映画の舞台は、父が作家で家庭内不干渉。
母は後妻で、子供たちとそりがあわない。さらにクリスチャンだ。またリュウマチを患い足が悪い。
こんな家庭で、姉は家庭を切り盛りし、弟は高校生で、ちょっとぐれている。
で、もう一つ乗れない理由がある。
姉弟の早打ちのような関東弁だ。
その粋の良さというか、きっぷというか、あっさりしている。
例の小津映画での原節子みたい。
弟のぐれぶりは、半端でなく、よく金が続くなと思ってしまう。
ただこれは、後半の病を得てからの弟の変化に重要な役割をしてくれる。
気の強い継母と弟の和解が、その反動として感動を呼ぶ。
銀残しという特殊効果を使った市川昆さんの新し物好きは功を奏している。