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NHK山田洋次が選んだ日本映画100選 小津安二郎監督の「大人の見る絵本 生まれてはみたけれど」

2013-02-15 14:13:43 | 日本映画
1932年作品。

当然無声トーキー時代。

白黒画面で音声はなし。本当は、弁士と楽団の演奏で、説明があるのだが。今回はテレビなので、後付けのセリフ入り。画面でセリフが書かれているのを吹込みされているのがちょっと違和感。

題名は、ちょっと不思議だが、小津安二郎、28歳の作品。

父母兄弟の4人家族が新興住宅地に引っ越してくる。小学生の兄弟は早速、近所の悪がきにいじめられる。

こうして前半は、子供たちのお遊びが主体で話が進むが、小津の才能の片鱗が伺える。無声時代の初期の映画としては、チャップリンなどが有名だが、いわゆるスラップスチックコメディ。この映画の随所で、そのタッチが見られ、笑いを誘う。

いじめに遭い、学校をさぼるが、家庭訪問でばれ、怒られる。それから、徐々に悪がきとも仲良くなる。

画面切り替えのテンポと、撮影アングルの的確さで、ぐいぐいと物語を進めていく。

父親の会社は近くにあり、重役の子どもも同級生だ。

そんなある日、重役の家で、撮影したフィルムの映写会があり、そこで、父親の、重役に対するおもねりが発覚。(この当時すでに趣味として映画撮影があったとは驚きだ)

それまで、偉いと思っていた父親像が崩れた兄弟は、愕然とする。

ここで、生きることのむつかしさ、金もうけだけが人生ではない、でも金がなければ豊かになれない、など大人の話が語られる。

現代にも通じる問題を、コメディで描き上げたこの作品は、小津の無声時代の傑作と言わしめるに足る映画だ。





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