ひろの映画見たまま

映画にワクワク

「葛城事件」、俺が一体何をした!

2016-06-27 17:23:39 | 日本映画
おすすめ度 ☆☆☆☆

社会問題に関心のある方 ☆☆☆☆☆

「大阪教育大学付属小児童殺人事件」の宅間守を描いた戯曲を、他の無差別殺人事件とも絡めて映画化。

無差別殺人事件を起こした青年の家族を描くことによって、日本の病みを暴いた作品。

なかなか骨太で、見た後のずっしり感は、簡単にはぬけない。

演出は、戯曲家の赤堀雅秋、自らの戯曲を映画化。

出演者の中でとびぬけて目立っているのが、父親役の三浦正和。

キャッチコピーにあるように、俺は悪くないというのだが。

要は、古いタイプの親父像。表面が良ければいいというタイプ。

いまだに案外こういうタイプの人は多い。この映画を見て自覚できるだろうか。

無差別殺人の動機は、なかなかわかりにくいが、死刑を志望して殺人を犯す人もいる。

こういう人を、早く死刑にしていいものかどうか。宅間は判決後1年ほどで執行されている。

死刑囚と結婚した女性が出てくるが、実際宅間には妻がいた。

案外、死刑囚のような有名人とは結婚したがる人がいるようで、宅間には他にも結婚志望者がいた。

この映画では、田中麗奈が演じており、死刑執行後、父親に関係を迫られて、化けの皮がはがされる。

死刑囚の兄は、優等生として希望の星であったが、コミュニケーション力が欠けていて、現代社会に生きて行けず、飛び降り自殺する。(新井浩文の新境地)

母は、父の暴力に仕方なく従い、ついには介護施設へ。彼女もまた犠牲者だ。

こうしてみてくると、無差別殺人という犯罪者が、それなりに正当化されるのが怖い。

決して後味の良い映画ではないが、それだけにその抱えるトラウマは深刻なものがある。

ここまで、引き付ける力がある監督と役者に脱帽だ。
コメント
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