おすすめ度 ☆☆☆★
人間ドラマ好き ☆☆☆☆★
第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞。
なんとも言えない、後味を残す映画。
これは、家族のシリアスドラマだ。
町工場を経営する夫婦と娘の円満家庭に、一人の男が加わる。
白に統一された男のいでたちは、さわやか。
オルガンの苦手な娘にオルガンを教え、いい男ぶる。
だが、男には裏があった。
その事件は男が赤い衣装をまとったときにおこる。
8年後、娘は身体不自由な身に、母親は極度の潔癖症に。それは、あの事件の後遺症。
そこに現れたのが、8年前の男の息子。
そしてクライマックスへ。
淵に立つのはだれか。それはこの映画を見ているあなた。と言いたげ。
家族問題を中心にシリアスな映画を撮り続ける深田晃司。この映画は、そのエポックメイキングか。
見るものを離さない演出力はしたたか。
そこここに張り巡らせた演出テクニック。数え上げればきりがない。
例えば、敬虔なクリスチャンの母と娘。朝食の前にはお祈りをする、だが、父はもくもくと食事を始める。このシーンに象徴される、日本の宗教観。うまい。