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JR九州・来年春のダイヤ改正概要を発表(2)~新ダイヤでは在来線から他交通機関への転移も…

2010-12-19 | 鉄道[九州・JR]

   

来年春のJR九州ダイヤ改正では、九州新幹線全通に伴い、並行する鹿児島本線特急「リレーつばめ」号の新幹線移行(廃止)や、新幹線と接続する線区における列車体系の変更などで、新規開業を迎える九州新幹線だけでなく、在来線でも鹿児島本線を中心に他のJR旅客各社を凌ぐ大きな変動が生じています。

特に「リレーつばめ」号が廃止となる鹿児島本線の博多以南(鹿児島県内を除きます)は変動が大きく、今まで列車密度が高く、新たな列車の設定が難しかった博多~鳥栖間でダイヤに余裕が生じる事もあってか、長崎本線の特急増発と3層建列車を取り止め、博多~佐賀間の特急乗車機会を増やすだけでなく、需要の割に本数が少なかった博多近郊の鹿児島本線普通列車の増発にも充てている事は、大いに評価できると感じます。

また鹿児島本線鳥栖以南では、「有明」が新幹線の走らない早朝・深夜時間帯に1往復が残され、この列車の停車駅増加で早朝・深夜帯の利便性が向上しているのは評価できるとは言えますが、他は通勤時間帯のライナー列車的存在としてごく一部が長洲以北で運行する以外、在来線特急は全廃となっています。

九州新幹線も大牟田・玉名は在来線と離れた新駅(新大牟田・新玉名)になりますので、在来線の快速を現在より増やすとは言えども、これも特急の代替列車というよりは普通列車の快速化で、小駅では普通列車が毎時1本のみに削減される有様です。

そのため福岡県南部~熊本県北部にかけては、利便性が随分低下していると言わざるを得ないのが現状で、大牟田は現行「リレーつばめ」号が全て停車していますので、これがなくなると大牟田周辺から福岡方面へはJR快速ではなく並行私鉄で…という旅客も増えそうな気がします。

そして玉名は高速バスや並行私鉄なども…という状況ですので、他の公共交通機関を使うという選択肢が存在する大牟田に比べると、更に悲惨な状況と言っても良く、リコールされる程のお騒がせ市長(この件に関するコメントはお控え下さい)で有名になり、九州新幹線から取り残された鹿児島県某市の2の舞にならないか懸念される所です。

ちなみに熊本県北部の鹿児島本線は、現行毎時2本が走る普通列車の1本がダイヤ改正後に快速化され、県北(荒尾・長洲・玉名)~県都(熊本)間の速達列車が一応確保されるとはいえ、この列車も福岡方面からの直通ではなく、「くまもとライナー」と称して大牟田~熊本間での運行となっています。

さすがに福岡県内(一部荒尾まで)の快速列車の様な6~8両編成ともなれば、輸送力は過剰気味になるかと思いますし、駅設備も新駅や熊本駅の一部ホームなどが短いという問題もありますが、系統分割ではなく分割・併合で対応できなかったのかと感じると共に、この快速列車がもし現行普通列車と同様の2両ワンマン運転で毎時1本ともなれば、相当な混雑が常態化しないかも気になる所です。

また現在「有明」号が博多方面から直通運転している豊肥本線では、さすがに規格の異なる新幹線を直通運転させる事は不可能な事から、この列車の豊肥本線区間だけ現行特急並みのダイヤで快速列車を設定し、豊肥本線沿線から新幹線へ乗り継ぐ形態に変化しています。

こちらは普通列車の快速化とは異なり、熊本都市圏におけるローカル輸送の充実にもなりますので、博多方面へは熊本駅での乗継が必須になるのは難点とはいえ、現行並みかそれ以上の利便性を提供する事になっているのは評価できる事です。

この他今度のダイヤ改正では新たな観光列車の運行開始や、「リレーつばめ」号廃止や「有明」号大幅減便で捻出される787系の転用→古参485系運用廃止による在来線特急の設備向上などが目玉となっています。

これらと共に一部ローカル列車の「見直し」という言及での減便や、ライナー列車の設備向上に伴う特急格上げなど、新幹線に限らず全体的に速達化・格上げの傾向が強いと見受けられます。

その中でも今回の九州新幹線開業で列車体系が大きく変わる福岡~熊本間などは、かなりの流動があり、その中には新幹線程の速達性は求めないものの、割安な手段を求める客層も多数存在しているはずです。

同区間は日本全国でも屈指の高速バス高頻度運行区間(片道100km以上での運行頻度は日本一・定期券も設定されている程です)にもなっていますので、JR側は高品質(速達・快適)に特化した方針を採り、私鉄電車や高速バスなど他交通機関との棲み分けを図るのか、JR自体で様々な客層に対応できるように努めるのかも気になる所ですが、せめて公共交通機関から自家用車へのシフトが進まない事を願いたいものです。
(さすがに福岡県内快速~毎時1本のくまもとライナー乗り継ぎは、今後ナイスゴーイングカードが廃止される事なども踏まえると、青春18きっぷユーザーなど以外には、余りメリットがないかと感じます)

またJR側がダイヤ改正の概要を発表した事で、福岡市内~大牟田間での並行路線を運行すると共に、福岡~熊本間の高速バス運行にも携わり、バス事業規模日本一でも知られる九州唯一の大手私鉄などで、今後新たな動きが出てこないのかも気になる所です。

写真は九州新幹線全通後、特急に代わり主役となる快速に充当されるであろう福岡・熊本両地区のローカル車両と、鹿児島本線と競合する大手私鉄の電車・バスです。

大牟田~熊本間の「くまもとライナー」がどの車両・編成で運転されるのか気になる所ですが、写真2枚目の様な編成で運行される事を願いたいものです。


JR九州・来年春のダイヤ改正概要を発表(1)~九州新幹線は筑後船小屋発着の列車も…

2010-12-18 | 鉄道[九州・JR]

  

今月東北新幹線が新青森まで延伸され、今度は来年春に九州新幹線全線開業を迎えると共に、九州とは至近の韓国でも11月に大邱(Daegu)~釜山(Busan)間で高速新線(高速列車KTXのみ運行し、高速運転を行う新線)が開業するなど、ここ最近は高速鉄道の開業ラッシュと言うべき状況になっており、これらはニュースなどでも盛んに報じられていますので、ご存知の方も多いかと思います。

MAKIKYUは既に開業した東北新幹線の青森県内延伸区間(八戸~新青森)や、KTXの新規開業区間(東大邱~釜山)にもまだ乗車しておらず、今年中の乗車は叶いそうにない状況ですが、来年開業を迎える九州新幹線博多~新八代間と共に、既に開業した2路線に関しても、是非来年には乗車できればと思っています。

また新たな高速鉄道が開業するとなると、新路線のダイヤや列車運行形態は勿論の事、今まで幹線輸送を担ってきた既存路線の変化も気になる所です。

来年春に開業を迎える九州新幹線博多~新八代間開業に際しては、今後は主に新幹線接続のフィーダー的役割を担うと共に、地域内輸送の性格が強まる在来線にも大きな動きが生じ、その概要がようやく先日JR九州から発表されましたので、その中でも幾つか気になる事を取り上げたいと思います。

まず全線開業となる九州新幹線のダイヤや列車運行形態ですが、こちらに関しては概ねMAKIKYUの予想通りといった所で、山陽新幹線~九州新幹線に跨って利用する場合、両線間を直通運転する「さくら」「みずほ」以外の列車を利用する場合でも、博多駅で極力同一ホーム乗換を可能とする施策などは、容易に予想できる事とはいえ、大いに評価出来るものです。

ダイヤの全貌が明らかになっておらず、詳細は言及できないものの、ニュースリリースに掲載されている両線間の接続凡例を見る限りでは、山陽新幹線~九州新幹線間で「のぞみ」「ひかり(レールスター)」と「さくら」「つばめ」を接続させる事で、関西以西からの九州新幹線利用への便宜は図られています。

しかしながら東海道~山陽新幹線を直通運転する「のぞみ」と、熊本以南を結ぶ列車での接続は特に考慮していない様にも感じられたもので、せっかく東京~鹿児島中央間で新幹線のレールが繋がっても、首都圏~鹿児島間での利用を余り考慮していないダイヤになってしまうのであれば残念な限りです。

様々な事情で首都圏~鹿児島中央間の直通列車設定は困難なのは止むを得ないとはいえ、大の飛行機嫌いでもあるMAKIKYUとしては、首都圏~南九州程度の距離で「空を飛ぶ」という事は考えられませんし、現在仕事持ちで多忙な状況にある事を考えると、いくら訪問事由がプライベートの旅行とはいえども、普通列車や高速バスを乗り継ぎ、鹿児島まで足を運ぶのも難しいのが現状です。

そのため実質的に来年春以降、MAKIKYUが南九州へ足を運ぶ際は、新幹線以外の交通手段を選択する余地は…という状況になりますので、せめて列車の接続便宜を図る事で、首都圏~南九州間の移動も考慮されればと感じるものです。

またダイヤ概要を見て意外に感じた事としては、九州新幹線内で博多~筑後船小屋間の区間列車(恐らく早朝・深夜時間帯)が1往復設定される事が挙げられます。

東海道・山陽新幹線沿線~久留米間を移動する場合でも、MAKIKYUの感覚としては博多で乗り継ぐならば、後は福岡県内を普通・快速列車で…といった程度の距離(それどころか単純に福岡市内~久留米間を移動するのであれば、大手私鉄利用も考え付きますので…)ですが、それにも関わらずこの様な列車が設定されるという事は、在来線特急が殆ど新幹線に移行する事も大きいのでは…と感じるものです。

あと九州新幹線全通後は、九州内のみを走る列車での活躍となり、地味な役回りに徹する事になるものの、全車普通車ながらも2+2列のゆったりとした座席が並び、JR九州ならではの独特な内装も魅力的な800系車両は、今後「つばめ」だけでなく一部の「さくら」にも充当される事が発表されています。

これに伴って現在車両側面にある「TSUBAME」ロゴなどが消滅する事も発表されており、以前何度か九州新幹線に乗車した際、このロゴなどを撮影しておいて良かった…と感じていますが、それでも単に現ロゴを消すだけでなく、別のロゴなどを標記する辺りはさすがJR九州と感じる所です。

ただ九州新幹線全通と共に山陽新幹線直通にも用いられ、今後の主役となるN700系7000・8000番台車は、JR西日本との共同製作車両だけあって、様々な所で発表されている概要を見る限りでは、内外共に800系に比べると独自性は…と感じる部分があるのは残念な所ですが、こちらに関しても九州新幹線全通後は、一度は乗車してみたいものです。
(この車両への乗車は、山陽新幹線区間のみ、或いは九州新幹線区間のみのどちらかで良く、特に山陽新幹線~九州新幹線間を直通運転する列車への乗車には拘りませんので…)

あと在来線関連に関しては、記事が長くなりましたので、(2)として別記事で取り上げたいと思います。

写真は九州新幹線で現在活躍中の800系車両と、一部「さくら」への充当に伴って消滅が確定した「TSUBAME」標記です。

 
おまけとして現行新幹線「つばめ」と共に九州の南北間基幹輸送を担い、九州新幹線全通と共に廃止が確定した「リレーつばめ」号のロゴ(新幹線ですらTSUBAMEロゴ消滅ですので、列車自体がなくなるこちらの消滅も確定的です)と、新幹線全通により見納めとなる新八代駅での新幹線つばめ号~リレーつばめ号同一ホーム乗継の光景も掲載します。


JR九州・新たな観光列車の運行開始を発表~その一方で運転終了となる列車も…

2010-10-25 | 鉄道[九州・JR]

  

来る12月には東北新幹線新青森延伸、そして来年3月には九州新幹線全通と新幹線の新規開業が相次ぐ事は、様々な所で報じられていますので、ご存知の方も多いかと思います。

これに伴い接続する在来線でも大幅なダイヤ改正が行われ、新たに運転開始となる列車の概要などが次々と発表されていますが、JR九州ではHP上で数日前に来年から新たに運行開始となる列車の概要を発表しており、内容を見るとほぼ予想通りといった列車もあるのですが、内容を見て仰天という列車も存在します。

MAKIKYUが一番仰天したのは、豊肥本線に新たに設定される観光特急「あそぼーい!」で、かつてのSL列車を連想させる様なネーミングでありながらも、後ろの方がBOYではないのが特徴で、列車名を聞いただけでも随分な遊び心を感じさせられます。

この列車に充当される車両は、新型車導入ではなく既存車両の改造となりますが、その種車は現在特急「ゆふDX」で用いているキハ183形気動車で、次々と運用線区や装いを変えて様々な列車に充当暦がある異端車です。

この異端車もMAKIKYUは「ゆふDX」でようやく安泰、暫くはこのままの活躍と思っていましたが、またも充当線区や装いを変えるとは驚きで、どこまで流転を繰り返せば…というのが本音ですが、これに伴って現在運行中の特急「ゆふDX」も新幹線開業前の来年初頭に廃止となりますので、以前久大本線を利用する際、一度だけこの列車の運転時刻に当たった時には、乗り難い列車に乗車できる絶好の機会とばかりに乗っておいて良かったと感じたものです。

ちなみに今までJR九州でキハ183形を用いた列車はどれも長続きせず、列車設定の廃止や充当車両変更に追い込まれていますので、今度こそは末永い活躍を期待したいものですが、JR九州お得意の装い変更(ゆふDXでは用途変更なしの塗装変更歴があります)も含めると、「あそぼーい!」の白黒の装いもどれだけ持つか気になりますので、運行開始後は早めに姿を記録したいものです。

また豊肥本線では新たな観光列車「あそぼーい!」設定に伴い、これまた大改装を施した車両だけに、暫くは走り続けるかと思っていた観光列車「あそ1962」が年内に運転終了する事も発表されており、MAKIKYUはこの列車にはまだ乗車していないだけに、機会があれば運転終了前に一度…という所ですが、運転場所は首都圏からはかなり遠い熊本だけに、乗車機会に恵まれる機会がなく運転終了を迎えてしまいそうなのは残念な限りです。

この「あそ1962」充当車両は、種車がJR九州の気動車では最古参、全国的にも希少なキハ58系列で、「あそ1962」充当車両以外は引退へのカウントダウン状態ですので、「あそ1962」運転終了後はそのまま退役を迎えても不思議ではない車両だけに、車両の去就も気になりますが、大改装を施した車両であるだけに、奇跡の再転用でもあれば…と感じます。

そして九州新幹線全通で、今後大きな注目を浴びる事が確実な鹿児島地区では、指宿枕崎線で観光特急「指宿のたまて箱」が登場し、以前から指宿枕崎線に特急が走るという情報は流れていましたので、列車設定自体は予想通りですが、この列車名にはビックリです。

こちらには既存の一般型気動車・キハ47形の改造車を充当するのは、「はやとの風」の前例を考えると予想通りの展開で、「指宿のたまて箱」充当車両は「あそぼーい!」と同様に濃淡2色の装いとなります。

ただ「あそぼーい!」は車体の窓付近で対極となる両色を塗り分けるのに対し、こちらは登場当時は随分騒がれた伊豆急行「リゾート21」の如く海側と山側で白っぽい色(構想図を見るとアイボリーかベージュの様な雰囲気ですが…)と黒を分けており、側面を見ると片側は「はやとの風」を連想させる雰囲気ながらも、もう一方は全く対極の雰囲気というのは異色で、「リゾート21」ですら平凡に見えてしまう程強烈過ぎる姿の構想図を見ると、遂にJR九州はここまで来たか…と感じさせる驚きの装いです。

また指宿枕崎線では観光特急「指宿のたまて箱」登場に伴い、快速の一部列車に指定席を連結し、全車自由席の「なのはな」と区分するために「なのはなDX」として運転していた列車が設定終了となるのは予想できた展開ですが、この指定席車は比較的新しいキハ220形を用いています。

キハ220形は比較的最近になって仕様変更した車両が登場する程ですので、「なのはなDX」指定席充当車も退役はまずないと思います(JR他社の中には、この車両よりもっと新しい車両を何十両も平然と潰している会社も存在しますが…)が、指定席用に改装された設備を生かして新たな観光列車などに用いられるのか、それともその設備のまま、或いは通勤・近郊輸送用に再改装して使われるのかも気になる所です。

来年3月の九州新幹線全通と、それに伴う九州内他交通機関の大変貌は大いに注目で、特にJR九州の観光列車はMAKIKYUが乗車した限り、乗った列車のどれもが一見の価値は…と感じる列車ですので、運行開始後は是非一度乗車してみたいものですが、その一方で九州新幹線全通を前に運行終了となる列車の姿や活躍ぶりも、記憶の片隅に留めておきたいものです。

写真は九州新幹線全通を前に運行終了となる特急「ゆふDX」とそのロゴ、快速「なのはなDX」(最後尾が設定廃止となる指定席車)です。


JR九州のキハ40系列「いさぶろう・しんぺい」号用改造車~指定席券を購入する程の価値は…

2010-06-24 | 鉄道[九州・JR]

今月MAKIKYUが熊本県南部の人吉まで出向き、「SL人吉」号乗などに乗車した際には、他にも様々な列車に乗車する機会があり、その一つがキハ40系列の気動車を改造した「いさぶろう・しんぺい」号用改造車です。

「いさぶろう」号・「しんぺい」号は肥薩線の中でも運行本数が極めて少なく、ループ線やスイッチバックが存在する険しい山中を走る事でも知られる、県境超えの人吉~吉松間を走る普通列車です。

2004年の九州新幹線以降、普通列車ながらも観光列車としてキハ40系列の気動車を改造した専用車両が充当され、定期普通列車ながらもほぼ全席が指定席と言う異色の列車としても知られています。


運行開始当初はキハ140形1両での運転でしたが、予想を超える大評判もあって直ぐにキハ47形1両が追加改造されて2両編成となり、MAKIKYUもこの2両編成で運行している時に一度「いさぶろう」号に乗車した事があります。

昨年には「SL人吉」号運転日の多客対応や、検査時の予備車両確保も兼ねてキハ47形を改造し、3両目の改造車が登場しており、当初1両だけしか専用車を用意していなかった「いさぶろう」号・「しんぺい」号がここまで繁盛する事を予想していた方は、殆ど居られないかと思います。

2両目以降の改造車は、必然的に複数両数での運行となる事や、改造の種車も単行運転可能な両運転台車に比べ、2両以上での運転が必須となる片運転台車の方が確保しやすい事もあって、片運転台のキハ47形が充当されています。

2両目の改造車は急遽改造した事もあってか、工期短縮もあってキハ140形改造車(当初からの「いさぶろう・しんぺい」号用車両)の大きな特徴だった、車両中央部フリースペースの窓サイズ拡大は行われておらず、外見は装いを除くと、一般のキハ47形と大差ないものとなっています。


昨年登場した3両目の改造車も同様ですが、こちらは車椅子対応トイレを装備しているのが特徴で、車内の雰囲気は既存車両と若干異なるものになっています。

車内はJR九州の観光列車らしく、木材を多用した非常に特徴的なものとなっており、雰囲気はなかなか良いものですが、「いさぶろう」号・「しんぺい」号は共に普通列車の普通車扱いだけあって、座席はボックス席を主体としたモノになっています。


4人掛けのボックス席は窓割の関係もあり、殆どの座席でシートピッチは一般のキハ40系列と変わらず、決して広いとは言い難い状況にあります。
(中には3両目改造車の運転席近くの様に、シートピッチが広い当り区画も存在していますが、逆にドア付近の2人掛け座席などに外れ区画も存在しています)

その上真ん中に大きなテーブルが置かれており、下に脚がある事もあって、ボックスの4席全てに乗客が座った場合は、狭さが否めないのが現状ですが、脚位置は真ん中辺りと言う事もあって、通路側の座席だけが極端に外れと感じる「SL人吉」号の座席に比べると、座席位置による格差は軽減されています。


4人掛けのボックス席などは、定期運転の普通列車にも関わらず、「いさぶろう」号・「しんぺい」号では指定席となっており、乗車券の他に指定席券が別途必要になります。

MAKIKYUも以前に一度「いさぶろう」号に乗車した際には、指定席券を購入して乗車したものの、座席のグレードや乗車区間を考えると、余程の混雑時以外は別途指定席券を購入する程の価値はあるのか…と感じてしまったもので、「いさぶろう」号・「しんぺい」号の指定席料金は、設備に対する付加価値よりも、超閑散区間の維持貢献費用と考えた方が良いかもしれません。

また「いさぶろう」号・「しんぺい」号ではほぼ全席が指定席とはいえ、定期運転の普通列車扱いで、それも「いさぶろう」号・「しんぺい」号は列車本数が極めて少ない区間に設定されている事もあり、地元住民の利便性などを考慮して、完全な「全車指定席」ではなく、JR九州の観光列車らしく車内随所に設けられたフリースペースへの立席乗車などの形で、普通乗車券のみでの利用も可能となっています。


普通乗車券のみで「いさぶろう」号・「しんぺい」号を利用する場合も、僅かながら座席が用意されており、キハ140形(吉松寄り先頭車)の吉松方にある木製ベンチは地元客優先の案内が行われているものの、ここは座席位置的には最高なのでは…と感じるものです。
(その代わり「木製ベンチ」だけあって座り心地はおススメできるものではなく、長時間乗車には不適なのは言うまでもない事です)

2両目・3両目の改造車(キハ47形)にも、ロングシート配置の自由席が僅か(1両当り1桁の座席数)に設けられており、こちらは利用した事がないものの、2両目の改造車の座席は余り感心できる雰囲気ではないと感じたものです。


しかしながら最近登場した3両目の改造車で、車椅子対応トイレ近くに設置された座席は、この列車をはじめ、最近のJR九州各種列車などを手がけている某デザイナーが絡んだ車両でよく見られるタイプの座席が装備され、足元が伸ばせる事などを考えると、かえって指定席よりも良いのでは…と感じてしまった程です。

指定席券なしで「いさぶろう」号・「しんぺい」号に乗車する場合、キハ140形の吉松方木製ベンチと並び、ここも狙い目かと思いますが、3両フル編成で運転する場合は良いとしても、車両検査などで減車となった場合、この車両が連結されない可能性もありますので要注意です。

またキハ40系列の気動車を改造した「いさぶろう・しんぺい」号用改造車は、車両基地が熊本にある事もあって、「いさぶろう」号・「しんぺい」号以外に、肥薩線八代~人吉間の普通列車1往復にも充当されています。
(鹿児島本線の熊本~八代間が回送扱いなのは惜しい限りです)

MAKIKYUが今回この「いさぶろう・しんぺい」号用改造車に乗車したのは、行程の関係で人吉以南まで足を伸ばす事がなかった事もあり、観光列車「いさぶろう」号・「しんぺい」号ではなく、こちらの普通列車だったのですが、この普通列車は「いさぶろう」号・「しんぺい」号とは異なり、全車自由席となっています。

そのためこちらは客室乗務員の乗務などはないのですが、MAKIKYUが乗車したのは土曜日の朝という事もあり、1両だけの客扱いでも座席は埋まらない程閑散としており、大勢の乗客で賑わう観光列車とは対照的な雰囲気でした。
(勿論客扱いは3両全てで行っていましたが、最後尾1両は途中駅でドアカットを行っていました)

「いさぶろう・しんぺい」号用改造車の乗り心地を堪能するだけならば、「いさぶろう」号・「しんぺい」号に乗車するよりも、八代~人吉間の普通列車で、こちらも絶景と言える球磨川沿いの景色を眺めながら…と感じたものです。

普通乗車券のみで乗車できる全車自由席の普通列車(勿論割安な「旅名人の九州満喫きっぷ」や、「青春18きっぷ」(期間限定)でもOKです)であれば、指定席料金を支払うには…と感じる「いさぶろう・しんぺい」号用改造車もなかなか良いと感じたものです。

しかしながら朝の人吉へ向かう「いさぶろう・しんぺい」号用改造車を充当した普通列車は運転時刻が早く、接続の関係もあって熊本市内からでも乗車は少々厳しいと感じてしまうのは難点です。

MAKIKYUはこの列車への乗車狙いも兼ねて、八代市内に宿を確保した程(八代の隣駅至近には比較的割安で快適に過ごせるホテルがありますので、八代発の「いさぶろう・しんぺい」号用改造車を充当した普通列車の乗車を予定しているのであればおススメです)ですが、夕方の八代行き普通列車であれば、日の長い時期なら球磨川沿いの車窓も楽しめ、機会があればこちらの列車にも…と感じたものでした。


JR九州のSL列車「SL人吉」号(2)~車内は最近のJR九州らしく…

2010-06-22 | 鉄道[九州・JR]

今月MAKIKYUが乗車したJR九州のSL列車「SL人吉」号ですが、この列車に用いられる客車は、国鉄末期~分割民営化直後に全国各地のJR線におけるローカル列車で大活躍したものの、近年ではローカル列車の新系列車両導入や、これに伴うワンマン運転実施に伴って次々と運用離脱し、近年では殆ど乗車機会のない50系客車が用いられています。

今日では現役で稼動する50系客車自体が、非常に希少な存在となっており、中にはほぼ原型を留めた状態でSL牽引列車に用いられる車両も、関東地方の第3セクター鉄道に存在していますが、「SL人吉」号で用いられる50系客車は、以前運行していたSL列車「SLあそBOY」号運行時に大改造された車両ですので、外見だけに留まらず、車内も50系客車の原型とは大きく異なるものとなっています。

この50系客車改造車は「SL人吉」号運転開始に合わせ、大規模な改装を施しており、「SLあそBOY」号時代とはまた異なった雰囲気になっている模様(MAKIKYUは残念ながら「SLあそBOY」号時代には乗車した事がありません)ですが、最近のJR九州らしく、某デザイナーが手がけた車両の典型的特徴が随所に現れています。

3両の客車は4人掛けのボックス席を中心に、2人掛けの座席も混在する座席配置となっていますが、3両全てが普通車と言う事もあって、設備的にはどの車両もほぼ同等のもので、通路部分の天井には牽引機関車の形式にちなんだ「86」を模った装飾が幾つも見られる点が特徴的です。

  
内装は使用する木材の材質や色彩を1両毎に変えており、人吉方の客車が最も明るい印象を受け、熊本方の客車は重厚な印象を受けるものであるなど、編成内でも変化が見られる点は興味深いものです。

人吉方の1両以外は色彩の関係で写真が撮り難く、車内の様子を撮影するだけでなく、SL乗車の記念にその様子を撮影…といった場合にも不都合なのは頂けないと感じたものです。

また3両の客車それぞれで色彩を変えるだけでなく、各車両を2つに仕切り、座席モケットを前方と後方で変えることにより、僅か3両しかない客車内で、6通りものインテリアが見られるのは、デザイナーの拘りを感じる所ですが、その座席モケットも革張りや市松模様を用いたモノが幾つも見られる辺りは、JR九州の列車ならではといった所です。

ただ座席はモケットに拘りが感じられ、木材をふんだんに用いた座席フレームなども特徴的とはいえ、「SL人吉」号は快速列車の普通車扱いという事もあって、全席指定席で指定席料金が別途必要になるとはいえ、設備的にはさほど豪華なものではなく、居住性よりも雰囲気重視といった印象を強く受けるものです。


座席自体の座り心地は決して悪いものではないのですが、ボックス席主体の座席配列は、約半数の座席が進行方向と反対側になってしまう事に加え、座席形状や配置の関係で2人掛け席でも足元はさほど広くなく、4人掛け席で反対側に相席の乗客が居ると…というのが現状です。

4人掛け席には観光列車らしく、かなり大きな木製の固定式テーブルが装備されているのですが、このテーブルは床との間に大きな柱もありますので、MAKIKYUが乗車したのは2人掛け座席の窓側で実害がなかったものの、4人掛け座席の通路側は足元がかなり狭くなります。

そのため出来れば当たりたくない座席になっているのは頂けない所ですが、SL人吉号は人気が高い上に、座席数も決して多くないですので、座席指定を押さえる事自体が難しく、この座席でも指定席券が確保できるだけ良いと考えた方が良いのかもしれません。

こんな座席ですので、座席に座ったまま熊本~人吉間を乗り通すともなれば、SL列車ならではの遅さもあって片道2時間以上を要し、いくら快速列車といえども決して快適なものではありませんが、車内は中間車両の物販スペースをはじめ、両端車両には展望室が設けられるなど、自席以外の空間が充実しているのは大きな特徴で、長時間乗車でも決して飽きることがありません。


展望室は客室内と同様に、人吉方と熊本方で内装を造り分けている点に加え、最前部には大人が座るには小さ過ぎる椅子が置かれている辺りも、デザイナーの拘りが見られますが、その気になれば余程大柄な人物でなければ大人でも座れない事はなく、特等席だけあってこの椅子に座る大人の乗客の姿も散見したものでした。
(MAKIKYUも少しだけ試しに座ってみたのですが、子供がやってきたら「子供優先」にしてあげたいものです)

そして「SL文庫」と称する本棚(棚には乗客が車内で自由に閲覧できる本が置かれています)が設けられている辺りも、最近の某デザイナーが手がけた列車ならではの特徴と言えますが、本棚の制約もあって文庫の内容は…と感じたのは惜しい所です。


また車内だけに留まらず、途中停車駅で敢えて余計に停車時間を確保し、一旦ホームに下りる事が出来る様になっている事や、車掌以外に複数の客室乗務員が乗務し、様々な案内を行う辺りも、観光列車ならではの計らいと感じたものでした。

「SL人吉」号は数々の観光列車を走らせ、大成功を収めているJR九州の中でも大目玉的存在の列車だけあり、数々の観光列車の集大成といった印象を受けたもので、車内設備だけを見れば決して良いとは言い難い面もあるものの、観光列車としての完成度はかなりのモノと感じたもので、SL牽引列車でなくてもそれなりに楽しめるのでは…と感じた程です。
(以前JR九州では「SLあそBOY」号の機関車不調時に、ディーゼル機関車牽引による「ディーゼルあそBOY」号を運行した事がありますので、SLが稼動できない時等に「ディーゼル人吉」号でも走らせると面白いかもしれません)

JR九州の観光列車は、MAKIKYUが今回乗車した「SL人吉」号や、2月に乗車した「海幸山幸」号をはじめ、他に類を見ない独特な列車が数多く、MAKIKYUもその幾つかには乗車していますが、特徴的な車両や車内設備だけに留まらず、客室乗務員による案内などの取り計らいも評価できるものです。

九州では来年九州新幹線の全通を控え、今後も更に観光列車の充実が図られる事になると思いますが、今後の展開にも期待すると共に、機会があればまだ乗車していない観光列車にも…と思ったものでした。


JR九州のSL列車「SL人吉」号(1)~肥薩線で再出発したSL観光列車

2010-06-19 | 鉄道[九州・JR]

   

先日MAKIKYUが九州へ出向く機会があったのですが、その目的の一つに、JR九州が走らせているSL列車「SL人吉」号への乗車がありました。

JR九州では以前から熊本地区でSL列車を走らせており、かつては阿蘇方面へ向かう豊肥本線の「SLあそBOY」号を中心に運行していました。

しかし豊肥本線は急勾配が続き、蒸気機関車(SL)には過酷な環境である上に、この列車に用いられるSL(8620形・58654号)自体も、日本で活躍中の車両で古い部類に入る事もあって、過酷な環境で走り続ける事で老朽化が進行し、近年重大な故障で運行が出来なくなった程です。

そのため一時は58654号の復活すら危ぶまれた程で、JR九州ではSL列車が長期に渡って運転休止を余儀なくされる程でしたが、昨年58654号は大修復を終え、奇跡の復活を果たしています。

ただ昨年の58654号復活後は、豊肥本線の急勾配区間がSLに過酷な環境という事もあってか、活躍の舞台を肥薩線に移し、熊本~八代~人吉間を結ぶ「SL人吉」号として新たに再出発して現在に至っています。

肥薩線は人吉以南で観光列車「いさぶろう・しんぺい」号(人吉~吉松間)や、特急「はやとの風」号(吉松~隼人~鹿児島中央間)が当初の予想を超える大成功を収め、既存気動車を改造した予定外の増車に追われる程になっています。

しかしながら絶景の球磨川沿いを走る人吉以北では、これらの観光列車に匹敵するインパクトを持つ列車がなかった事(一応この区間を走る「九州横断特急」などは、九州外の人間が乗車すればそこそこインパクトを感じる程度の改装はされていますが…)から、この区間での観光列車登場が待ち望まれていました。

そのためこの区間に設定されたSL列車「SL人吉」号は、ただでさえJR九州の観光列車の評判が良い事に加え、SL列車と言う事や、3つの観光列車を乗り継いで肥薩線を全線踏破する事も可能となっている事もあって大好評を博しており、全席指定席で運転日も限られる「SL人吉」号は、指定席が取り難い列車として有名になっている程です。

しかもMAKIKYUは確実に土日休みが確保できる状況ではなく、来年には九州新幹線の全通を控え、九州新幹線全通後は更に指定席が取り難くなる事も想定される事から、以前から「SL人吉」号運転日で、都合の良い日に指定券が確保できれば…と思っていたのですが、1週間程前の運転日に人吉発片道の指定席券が確保でき、乗車に至った次第です。
(MAKIKYUの乗車日も、熊本発の列車は既に満席と言う状況でした)

この「SL人吉」号運転に当たっては、SL(58654号)と共に以前豊肥本線の「SLあそBOY」号で活躍していた50系客車の改造車3両も、共に肥薩線に舞台を移して再活躍しているのですが、こちらは「SL人吉」号での運転に当たり、再度大きくリニューアルされているのが特徴です。

この客車は以前「SLあそBOY」号用に大改造された事もあって、再度のリニューアルでは車両形状自体はさほど大きく変わっていない様に感じられますが、両端に位置する車両の客ドア付近などに50系原型の面影を感じるものの、両端車両の展望室部分や、折戸となった中間車の客ドアなどは、50系客車の原型とは大きく異なるものです。

装いは「SLあそBOY」号の洋風のイメージから、旧型客車を連想させる鄙びた古風な列車を連想させる装いに様変わりし、塗装が変わった事でこの改造客車も大きく異なる印象を受けるものですが、この装いは写真が撮り難い事が難点です。
(写真が撮り難いと言っても、同じ肥薩線を走る特急「はやとの風」号よりはまだ良いのですが…)

またJR九州の各種列車などで有名な某デザイナーが関わっている事もあり、鄙びた古風な列車を連想させる装いに見える外観も、「SL人吉」号の列車名やロゴ、牽引機(8620形・58654号)名が客車の随所に書かれているのも特徴で、SL列車ならではの古風な雰囲気を持ちながら、今日のJR九州らしさが幾つも見られる点も、大きな特徴と言えます。

この列車はJR九州だけあって、車内も大きな特徴が見られるのですが、そちらに関しては近日中に続編記事で公開したいと思います。


JR九州787系「リレーつばめ」号・DXグリーン車に乗車

2010-06-16 | 鉄道[九州・JR]

  

ここ数日更新を休止していた「MAKIKYUのページ」ですが、この間の数日MAKIKYUは九州へ出向いており、帰還後も仕事で忙しく、PCへ向かう時間が取れない状況でした。

MAKIKYUの九州訪問は、今年に入ってからは2月の「海幸山幸」号乗車などに続いて2回目で、昨年秋に韓国へ出向く際にも博多港から出入国したのを含めると、1年足らずの間に3回も九州へ出向いている事になり、自分でもさすがに最近の九州訪問頻度は…と思ってしまう程です。

ただ九州はJR九州の様々な特徴的な列車だけでも魅力的ですし、私鉄や路線バスなども大いに魅力があり、これらを比較的割安に利用できるフリー乗車券なども充実していますので、機会があればまた行きたいと感じてしまう程です。

まして海を隔てた韓国へ向かう際にも、九州内の行きたい所や、乗車したい交通機関を押さえておかないと、後ろ髪を引かれる思いで出国する事になりますので、さすがに4ヶ月毎の九州訪問はないと思いますが、今後も暫くは年1~2回程度は訪問できれば…と思っています。

ところで前置きが長くなってしまいましたが、つい先日MAKIKYUが九州へ出向いた際には、指定席が取り難いと定評の某列車座席指定券が確保できた事が、今回の旅行動機の一つになった程ですが、それ以外にも幾つもの列車に乗車する機会があり、その一つが特急「リレーつばめ」号です。

九州新幹線(新八代~鹿児島中央)開業前は、特急「つばめ」号として活躍した787系電車で運転される「リレーつばめ」号は、新幹線「つばめ」号と結合する形で博多~鹿児島中央間を結び、九州の南北を結ぶ重要な足となっている事はご存知の方も多いかと思います。

来年には九州新幹線の未開業区間(博多~新八代)も開業予定となっており、全区間開業の暁には山陽新幹線と直通運転を行い、新大阪~鹿児島中央間を直通で結ぶ新列車「さくら」号の運転開始も発表されており、開業が待ち遠しいですが、その際には並行する在来線を運行する現行「リレーつばめ」号をはじめとする特急は廃止か大幅減便が確実な情勢で、来年のダイヤ改正ではどの様な運行形態となるのは気になるものです。

ところで来年のダイヤ改正では、大きな動きが出る事が確実といえる特急「リレーつばめ」号ですが、この列車の大半と、運用上の関係で同一車両を用いる特急「有明」号の一部列車には、かつて個室となっていた空間を活用し、グリーン車をも凌ぐハイグレードな座席を装備した「DXグリーン車」が設定されている事でも知られています。

先日MAKIKYUが「リレーつばめ」号に乗車した際には、JR九州の若者向け会員割引制度・ナイスゴーイングカード(NGC)の割引対象日だった事もあり、少々奮発してこの「DXグリーン車」に乗車してみたものでした。

「DXグリーン車」はグリーン車をも凌ぐ設備を誇るだけあり、利用料金もグリーン車を凌ぐ設定となっていますが、それでも九州内は特急グリーン車は比較的ハイグレードな設備を誇るにも関わらず、他交通機関との競合などを考慮してか、グリーン料金がJR他社よりも割安に設定されていますので、料金的にはJR他社の特急グリーン車と同レベルにあると言えます。

しかしながらグリーン車でも比較的ハイグレードな設備を誇るJR九州が、更にその上を行く設備を提供しているだけあって、木材を多用し、電動リクライニング機能を装備した座席のグレードは相当なもので、新幹線や在来線のグリーン車に何度か乗車した事があるMAKIKYUとしても、このDXグリーン車は別格と感じたものでした。

日頃普通列車に2~3時間程度乗車する事も多いMAKIKYUとしては、特急普通車でも一部の遜色特急(何故かMAKIKYUの近所に多い気がするのですが…)を除けば、設備的には充分過ぎると感じてしまう程ですので、場違いな空間の様にも感じたもので、特急グリーン車の中でも豪華な設備を誇る「リレーつばめ」号のグリーン車でも見劣りしてしまう様に感じるこの空間は異質です。

この異質な空間でも、MAKIKYUが乗車した鳥栖→熊本間は100km未満と言う事もあり、乗車券・特急券の他に必要となるDXグリーン料金は、NGC割引適用だと1000円に満たない状況(960円)と言うのは驚異的です。

ただ設定車両・区画が先頭車の車端にあり、しかもグリーン車にも関わらず787系は「クモロ」という電動車になっている事もあってか、時折床下から突き上げる騒音や振動が若干気になった事は、難点と感じたものでした。

NGC割引程度の料金であれば、一度試乗する価値は充分にあったと感じたものでしたが、1時間足らずの乗車は物足りないと感じ、もう少し乗っていても…と感じたもので、来年以降「リレーつばめ」号から他列車への787系転用がほぼ確実な状況では、今後もこの設備が継続されるのか気になる所です。

787系が来年以降、「リレーつばめ」号から他列車へ転用される際には、「DXグリーン車」はなるべく長時間乗車していたいと思う空間ですので、出来れば「DXグリーン車」連結列車は乗車時間の短い列車ではなく、比較的乗車時間の長い列車(にちりんシーガイア号など)に充当されれば…と思ったものです。

またグリーン車をも凌ぐ究極の空間は、長時間乗車となる列車でこそ真価を発揮するのでは…と感じていますが、今年冬に開業予定のJR他社新幹線でも、開業以降に導入予定となっている新形式車両で同種座席(呼び名は異なり、「グランクラス」となる様です)の設定が発表されており、こちらもDXグリーン車に匹敵するだけのグレードになるのかも気になる所です。

写真は787系「リレーつばめ」号(以前撮影した写真です)と、DXグリーン車内に装備された豪華な座席です。


JR九州・日南線塗装の快速「日南マリーン」号~快速の表示は一体何処に…

2010-03-08 | 鉄道[九州・JR]

  

先日「MAKIKYUのページ」では宮崎県のJR日南線を走る特急「海幸山幸」号に関する記事を取り上げましたが、MAKIKYUが先月「海幸山幸」号を南郷駅で下車した後は、1時間後の下り列車でもある快速「日南マリーン」号に乗車し、県境を越えて鹿児島県に入った終点の志布志(Shibushi)を目指したものでした。

快速「日南マリーン」号は、不定期運転の観光特急「海幸山幸」号と、宮崎空港アクセス関連の列車を除くと、日南線で唯一愛称名が付いた列車にもなっており、日南線定期列車の中では花形的存在と言えます。

運転区間がMAKIKYUが先月乗車した下り列車は宮崎→志布志で、日南線全区間を走破するものの、上り列車は南郷→宮崎(南郷以遠からの接続なし)と、現行ダイヤでは上下列車で運転区間が異なります。

下り列車のみが走る南郷以遠でも幾つかの通過駅が設定されており、上下列車が走る宮崎~南郷間でも、上下列車の停車パターンが異なると共に、下り列車のみ停車する駅が幾つもあるのも特徴と言えます。

時刻表を見るだけでは、日南線の花形的存在とはいえ、使用車両は他の普通列車と同じキハ40系列の一般型気動車が使用され、ワンマン運転を行っており、それどころかMAKIKYUが乗車した列車は1両での運行でしたので、実態は1ローカル列車と言っても過言ではありません。

MAKIKYUが乗車した際には、日南線を走るキハ40系列の中でも、ロゴや英文字が散りばめられ、黄色1色の派手な装いとなった日南線塗装の車両に当たり、見た目は如何にもJR九州らしい雰囲気を放っていますが、両運転台形のキハ40形で数両だけ存在するこの車両への遭遇頻度はさほど高くないですので、少々幸運に感じたものです。

しかしながら車内は趣向を凝らした日南線観光特急「海幸山幸」号や、同じキハ40系列ながらも内装を大きく変えた「はやとの風」「いさぶろう・しんぺい」などとは異なり、他の九州内を走る一般型キハ40形と変わりません。
(車内の写真は日南線用の車両ではありませんが、JR九州で使用している同形態のキハ40形です)

JR九州らしい市松模様となった座席モケットを除くと、冷房装置取り付けとエンジン換装以外は典型的な国鉄型車両の雰囲気を保っていますので、汽車旅ムードを楽しむには絶好と捉える向きもあるかと思いますが、グレードは決して高いとは言えず、宮崎~志布志間乗り通しともなれば…と感じてしまう方も少なくないと思います。
(一時期日南線にはもう少しグレードの高い一般型気動車も走っており、MAKIKYUも乗車した事があるのですが、現在非電化区間の定期列車はキハ40系列に統一されています)

また乗車した際に気になったのが、列車の行先・種別案内で、塗装以外はさほど手が入れられていない車両だけあり、前面貫通路上部の種別幕に種別を表示し、側面に行先を示すサボが掲げられる国鉄型気動車の典型的形態で、快速「日南マリーン」号ではヘッドマークの掲出などもありませんので、見た目は普通列車と代わり映えしない典型的なローカル列車になっています。
(以前は専用のヘッドマーク掲出なども行われていた様ですが…)

それだけならまだ良いのですが、前面種別幕を白幕(無表示)としており、側面サボも「宮崎→志布志→油津」と書かれたサボが差し込まれているだけですので、MAKIKYUが乗車したのは通過駅が存在する快速列車であるにも関わらず、「日南マリーン」号の列車愛称名はおろか、快速の種別表示すら何処にも見当たらない状況でした。

まして列車はワンマン運転で、停車駅の大半も無人駅という状況ですので、駅での案内にも期待できず、日南線は列車本数自体が少なく誤乗の恐れは少ないとはいえ、乗り込んだ車内のワンマン放送で初めて快速列車である事に気付く乗客もいるのでは…と感じたものです。

「日南マリーン」号は通過駅も少なく(特に下り列車)、所要時間も普通列車と大差ないだけに、いっそのこと列車設定を取り止めて普通列車に格下げする事で、多くの利用は見込めないとはいえ通過駅の利便性確保に努めるのも一つの方法かと思います。

ただ快速としての運転を続けるのであれば、JRでは北海道などに小駅を通過する普通列車もありますので、「日南マリーン」号もそれと同じ考えで運行しているのかもしれませんが、せめて前面種別幕か側面サボのどちらかに「快速」種別位は表示して欲しいと感じたものでした。


JR九州・特急「海幸山幸」号(乗車編)

2010-03-06 | 鉄道[九州・JR]

「MAKIKYUのページ」では、先月MAKIKYUが乗車したJR九州・日南線の特急「海幸山幸」号で用いられているキハ125形400番台の様子を、2回に分けて取り上げましたが、今日はその続編として「海幸山幸」号に乗車した際の、車両以外の写真などを「乗車編」として取り上げたいと思います。

特急「海幸山幸」号は起点こそ宮崎駅で、南宮崎までの1駅間は日豊本線を走りますが、その後終点の南郷までは日南線を走り、南宮崎~田吉の1駅間のみ宮崎空港アクセスの関係もあって電化されていますが、以遠は終点志布志までずっと非電化区間が続き、全線が単線区間という典型的なローカル線です。

非電化区間は宮崎近郊の青島辺りでも、列車本数は毎時1本もない状況で、青島や折生迫(Oryuzako)などと南宮崎・宮崎駅間の移動は、運賃や所要時間を別として、運行頻度だけなら併走する宮崎交通の路線バスに軍配が上がる程です。

非電化区間の運行列車も不定期列車の特急「海幸山幸」号を除くと、1往復の快速「日南マリーン」号以外は普通列車のみ、快速や普通列車も1~2両でのワンマン列車が大半を占めています。

 
こんな路線ですので、特急列車が走る路線らしくないといっても過言ではなく、当然ながら沿線も鄙びた雰囲気が漂っていますが、幾つもの駅構内などで見かける椰子の木などは、如何にも南国の鉄路に乗車している事を実感するものです。

また日南線は比較的海に近い所を走る区間が多いにも関わらず、車窓からオーシャンビューが楽しめる区間は限られ、特急「海幸山幸」号の運転区間では青島を過ぎた内海周辺と、油津を過ぎて南郷へ向かう区間で見られる程度(それ以外でも志布志手前で見られる位です)です。

「海幸山幸」号はこの区間で徐行や一時停止を行い、観光列車らしい配慮と言えますが、「鬼の洗濯岩」とも呼ばれる内海周辺での一時停車は、春のダイヤ改正で下り列車だけでなく、上り列車にも拡大される程です。


MAKIKYUが乗車した日には天候にも恵まれ、「鬼の洗濯岩」の絶景が楽しめると共に、ここで客室乗務員による案内と共に「海幸山幸」号のBGM(CDを車内でも販売)まで入るなど、演出が良く出来ていると感心したものでした。


それとMAKIKYUが乗車した「海幸山幸」号では、記念撮影タイムも兼ねた青島駅での長めの停車(お陰で反対ホームから列車の撮影が出来た程です)や北郷駅でのマスコットキャラクターによる出迎えをはじめ、野球球団のキャンプ開催にあわせ、車内で運玉による抽選を行い、当たり玉を引くと野球グッズを配る期間限定イベント(MAKIKYUは残念ながらハズレでした)もあり、JR九州の観光列車に対する意気込みの一端を感じたものでした。


過半数の乗客が下車する途中の飫肥(Obi)駅では、下り列車は10分程の停車時間が確保され、飫肥以遠まで乗車する乗客も、駅構内での物産販売に立ち寄る事が出来るように配慮されているのも、観光列車らしいといえます。

ただ相次ぐ一時停車や徐行運転、長い停車時間のお陰で宮崎~南郷間の約55kmを1時間半以上要しており、「海幸山幸」号は車両だけでなく、運行ダイヤも特急らしかなる有様で、運転距離の割には長時間乗車となります。

とはいえ趣向を凝らした車両に様々なイベントを盛り込むなど、特に列車好きでなくても乗り飽きない列車といえ、南郷まででなく日南線終点の志布志まで延長運転する(現行設備・ダイヤでは難ありです)など、MAKIKYUとしてはもっと乗っていても…と感じる程でした。

 
そして終点の南郷駅に到着すると、南郷駅は委託駅員が在勤しているものの、交換設備すらない特急発着駅らしかなる小規模な駅だけあり、車両留置の関係で下り列車は南郷到着後、2つ宮崎寄りの油津に引き上げ(上り列車も留置場所の油津から回送)ます。

日南線はただでさえ運転本数が少ない上に、下り「海幸山幸」号は南郷駅一つ手前の大堂津(運転停車のみでドア扱いなし)で反対方向の列車と行き違いとなり、「海幸山幸」号の南郷到着後上り列車の到着までは2時間程間隔が空きます。

日南・飫肥観光と共に「海幸山幸」号の全区間乗車を楽しみたいと考える乗客も決して少なくないと思いますので、この回送も営業扱いにすれば…と感じてしまったものです。
(ただ南郷~油津・飫肥方面へは毎時1本程度ですが、宮崎交通のバス便もありますので、列車の運転間隔が開く時はバス利用も検討価値があると思います)


また「海幸山幸」号を終点の南郷駅を降りると、駅前では地元観光バス会社による南郷周回観光のマイクロバスが待ち受けており、観光で駅を拠点に短時間で動き回るのは困難な南郷の街中に点在する名所や飲食店などを、容易に廻れるようになっています。

地方での列車旅の難点ともいえる目的地到着後の手段を、「海幸山幸」号運転日の列車到着にあわせ、乗り放題500円という比較的安価な運賃で確保しているのは評価すべき点で、時間があればこのバスで南郷観光も…と感じたものでしたが、MAKIKYUが「海幸山幸」号に乗車した際はその後の予定などもあり、1時間後の下り快速列車に乗車する必要があり、南郷観光を堪能できなかったのは少々残念なものでした。

それと南郷周回観光バスと共に、駅前には丁度宮崎~南郷間を、「海幸山幸」号運転日に運行している宮崎交通の観光路線バス「にちなん号」も姿を現し、レトロ調の外観に「海幸山幸」号の兄弟分といった雰囲気の装いは、見ているだけでも大いに観光気分を盛り上げるものです。


「にちなん号」の運賃は1乗車2000円と決して割安ではありません(ただ宮崎~日南間の宮崎交通路線バスも、区間によって運賃が若干異なるものの、宮崎駅~油津駅間で1800円以上になりますので、路線バスの運賃相場を考えると決して割高な運賃設定ではありません)が、JR九州が設定している「海幸山幸観光きっぷ」(指定席用の宮崎~南郷間往復で2800円)では、片道分を「海幸山幸」号や日南線普通列車の代わりに、「にちなん号」を利用する事も可能です。

また「にちなん号」は日南線が北郷経由の山沿いルートを走る区間で、海沿いのルートを取り、鵜都神宮などでの下車観光も設定されていますので、宮崎を拠点に日南・南郷観光を楽しむ場合に、往復で趣向の異なる経路や手段を選択できますので、MAKIKYUはこのバスにも乗車していませんが、「海幸山幸観光きっぷ」を使う機会があるならば、是非片道は「にちなん号」を利用したいものです。

あと南郷は「観光で駅を拠点に短時間で動き回るのは困難」だけあって、列車待ち時間が1時間程度という場合、街中に出向いて食事するのも難しく、駅周辺は飲食店の数なども限られてしまうのは残念ですが、駅から徒歩で5分もかからない所(駅前から油津方向に道なり)にはコンビニがあり、最低限の食料調達は可能です。


その途中には弁当屋(観光案内を兼ねた委託駅員の方から情報を頂きました)もあり、一応宮崎らしい食物といえるチキン南蛮弁当などが比較的安価(写真のミニ弁当は350円)で入手できますので、南郷駅で「海幸山幸」号を下車した後、1時間後の快速で志布志方面へ向かう際の列車待ち時間で食料を調達する場合には利用価値は大です。

「海幸山幸」号に乗車した感想としては、趣向を凝らした車両だけでなく、様々なイベントや接続バスの運行など、列車を走らせるだけに終わらない辺りは、様々な観光列車を走らせ、高い評価を得ているJR九州ならではと感じた反面、南郷駅で下り快速列車に乗り継ぐ際に発生する1時間程の中途半端な待ち時間は、「海幸山幸」号本来の列車設定目的である日南・南郷観光から見れば想定外の利用方法とはいえ、何とかならないかと感じたものでした。
(下り快速を見送り、その次の下り列車を利用すれば南郷観光も堪能できますが、本数が少なく南郷発16時台になりますので、日南線完乗の後に志布志からバスに乗り換える場合などは、行先次第では困難です)


JR九州・特急「海幸山幸」号車内の様子~座れれば快適なものの座席数は…

2010-03-04 | 鉄道[九州・JR]

先月「MAKIKYUのページ」でも取り上げたJR九州の特急「海幸山幸」号ですが、今日は同列車で用いられているキハ125形400番台の車内の様子を取り上げたいと思います。

MAKIKYUは残念ながら高千穂鉄道で「トロッコ神楽」号として活躍していた時代に乗車した事はありませんので、「海幸山幸」号用への改造前と現在の様子を比較する事は叶いませんが、外観に劣らず車内も随分手が入れられている様です。

運転席周りを見ると、最近のローカル気動車の典型と言える半室運転台などは、運転席脇にワンマン列車でお馴染みの運賃箱が設置されていないのが不思議に感じてしまう雰囲気すらありますが、JRで現在優等列車用として活躍する車両では他に類がなく、元が第3セクター鉄道の車両ならではと言えます。
(過去の事例であれば、急行ながら北海道の「礼文」号で用いられたキハ54形などがありますが…)

 
「山幸」の南郷方と「海幸」の宮崎方(各方面行きで先頭になる部分)には、次停車駅表示装置も取り付けられており、逆側は某デザイナーが手がけた列車では御馴染みともいえる暖簾が設置されています。

次停車駅表示装置は各停車駅が並べられている中で該当1駅部分が点灯するだけの単純なモノで、これならLEDによる文字表示装置かLCDモニターでも設置した方が良いのでは…と感じてしまったものです。

客室は木材を多用した内装や随所に見られるロゴ・英文字、フリースペースや物品陳列棚の設定など、最近JR九州をはじめ、幾つかの鉄道会社で某デザイナーが最近改装した車両で良く見られる特徴の典型で、「海幸山幸」では「山幸」「海幸」の2両それぞれで車内座席モケットなどの色彩を異なるもの(赤系/青系)としているのも特徴です。

  
キハ125形400番台は車体幅が狭い事もあって、普通車にも関わらず座席を横2+1列の配置(日南線では2人掛けが海側)としているのも特徴で、座席自体は特急普通車の標準レベルとはいえ、座れればかなり快適なものです。

しかしながらこの座席配置に加え、車内随所にフリースペースなどを設け、その上「山幸」には車椅子対応型トイレまで設置したお陰で、2両合わせても座席は51席しかなく、運行当初の指定席1両・自由席1両では指定席がなかなか取れない状況となった程です。

そのため急遽指定席を増やした結果、今度は自由席が僅か9席しかない異例の事態になると共に、同一号車内に指定/自由席が混在する事になったため、背もたれのカバーは「指定席」「自由席」と印刷されたものを用いる状況です。

それでも指定席は相変わらず確保し難い状況が続いており、宮崎地区の駅では1ヶ月先までの「海幸山幸」運行日の空席状況を記したボードを見かけた程ですが、これもMAKIKYUが見た際には殆どが残席数0か1桁という状況でした。

MAKIKYUも乗車希望日が当初満席だったものの、後にキャンセル(或いは乗車変更)が発生して僅かに空席が発生し、急遽手配に動いて宮崎へ出向く事が確定した程でした。

また車内は「海幸」「山幸」の2両共に南郷方にフリースペースを確保しており、山側はロングシート形態の座席(定員外)を設置し、座席の形態が2両それぞれで異なる辺りはデザイナーの遊び心も感じられます。

  
しかしながら実態は僅か9席しかない自由席に座れなかった自由席利用者(大半は敢えて自由席を利用しているのではなく、指定席が確保できずに止む無く自由席を利用しているかと思います)の着席場所になっているのは皮肉なものです。

「海幸山幸」号の自由席特急料金は比較的割安とはいえ、特別料金を払って乗車する優等列車の座席にしては…と感じるもので、これなら車両をもう1両増やせれば最も理想的ですが、種車の経緯などを踏まえると、同種車両を増やすのは叶わない話です。

「海幸山幸」号の盛況振りが今後も続くのであれば、座席の横4列化によるグレードダウンは論外として、物理的に併結可能なキハ125形などの一般型気動車改造によってもう1両増結するのも1つの方法として考えられます。

とはいえこれも列車のネーミングや雰囲気の面では課題が残りますので、サービスカウンターを設置している「山幸」の方は厳しいにしろ、「海幸」の南郷方にあるフリースペース(陳列棚&ロングシート)をリクライニングシートに変更し、若干ながらも座席定員数を増やしても…と感じたものです。

「海幸山幸」は様々な面で異色ずくめの特急列車になっており、座席数が少ない難点はあるものの、わざわざ遠く日南線まで出向いて乗車するだけの甲斐があったと感じたもので、日南線の活性化にも大きく貢献するものと思います。

MAKIKYUも宮崎を訪問する機会があれば再び乗車しても…と思いますが、今後もほぼ現状維持で推移するのか、大きな動きが生じてくるのかも気になる所です。


JR九州 キハ125形400番台(1)~「海幸山幸」号で活躍する異色車両

2010-02-22 | 鉄道[九州・JR]

  

今月MAKIKYUは南九州へ出向く機会があり、「MAKIKYUのページ」でも既にその際に遭遇したリバイバル急行列車「最南端」号などを取り上げていますが、今回の旅行は昨年秋に宮崎県のJR日南線で走り始めた特急「海幸山幸」号への乗車が最大の目的でした。

「海幸山幸」号は宮崎~南郷間を、土日祝日や長期休暇期間のみ運転する臨時特急列車で、日南線の非電化区間(宮崎空港アクセスが関連する南宮崎~田吉の1駅間以外)では唯一特別料金を必要とする列車にもなっています。

「特急」を名乗りながらもワンマン運転を行い、途中駅でわざと多めに停車時間を確保するなど、通過駅は多数存在するものの速達性は全くなく、特急らしくない列車というのも大きな特徴です。

そのため特急料金は実質的に設備料金化しており、列車の性質は同じJR九州の鹿児島県内を走る特急「はやとの風」号などと同様に、完全に観光向けに特化していると言えます。

「はやとの風」号では、内装を大改造したとはいえ、デッキなし一般型気動車を抜擢した事が、運転開始時に大きな話題となりましたが、「海幸山幸」号は2005年の台風被害によって、壊滅的な被害を受けてそのまま復旧することなく廃線となってしまった高千穂鉄道において、観光向けトロッコ列車「トロッコ神楽号」として運行していた気動車を、JR九州が購入・改造して使用しているのが大きな特徴です。

第3セクター鉄道→JRへの譲渡車両というだけでも異色ですが、この様な車両を優等列車へ抜擢するのは前例がなく、「海幸山幸」号の運行形態や使用車両の異色ぶりは、JR各社で数多く走る在来線特急の中でも、非常に際立っていると言えます。

こんな列車ですので、運行形態や車両の経歴だけでも非常に興味深いもので、JR九州では既存の一般型気動車・キハ125形の一部に編入し、高千穂鉄道での形式(TR400形)を意識してか、400番台という番台区分がされているのも注目点です。

これに加えJR九州らしく某デザイナーの手によって、内外を派手に改装しており、英語標記やロゴマークを多用した外観や、木材を多用した内装などは、最近の某デザイナーが手がけた車両全般に見られる傾向が強く見られますが、車両幅が狭い事を逆手にとって、車内だけでなく車両側面にまで木材を貼り付けている事も大きな特徴となっています。

木材を貼り付けた側面を見ると、遂にここまでやったか…と感じる程強烈な印象を受け、個性の強い車両になっていますが、こんな車両が今後他でも登場する機会があるのかも気になる所です。

当初TR400形として導入された高千穂鉄道では、観光列車としての活躍が期待されながらも、災害によって僅か2年程度しか活躍できず、MAKIKYUも高千穂鉄道時代の姿は延岡駅で一度目撃した事があるものの、トロッコ列車はおろか高千穂鉄道自体に乗車する機会もなく、廃線を迎えてしまったのは非常に残念でしたが、「トロッコ神楽号」から「海幸山幸」と名称を変え、活躍の舞台を南に移しながらも、引き続き宮崎の地を走り続ける機会に恵まれたのは幸いで、今度こそは末永い活躍を期待したいと感じたものでした。

写真は特急「海幸山幸」号(キハ125形400番台)と、ロゴマークや木材を用いた側面が目を引く中で、意外過ぎる程シンプルに感じてしまう行先・号車標記の様子です。

異色な経歴や外観に劣らず、強烈な印象を受ける車内の様子に関しては、近日中に別記事で取り上げたいと思います。

あと高千穂鉄道で以前TR400形として活躍していた時代の様子を取り上げた記事もありますので、興味のある方はこちらをクリックして下さい。


JR九州のリバイバル急行列車に遭遇~「最南端」号は果たして急行?

2010-02-16 | 鉄道[九州・JR]

1週間程更新を休止していた「MAKIKYUのページ」ですが、この間にMAKIKYUは仕事の合間を縫い、3日半程の強行日程で久々に南九州へ出向いていました。

その帰りには鹿児島中央駅から新幹線で帰路(今はまだ接続列車を介す必要がありますが、来年には新幹線だけで京阪神や首都圏まで移動する事が可能になります)に就いたのですが、新幹線乗車のために昼過ぎに鹿児島中央駅で出向くと、改札外で貸切列車による旅行商品扱いとなるリバイバル急行列車の乗車受付を行い、参加者に特製弁当の配布を行っている姿を目撃したものでした。

大分の「TORO-Q」(以前「MAKIKYUのページで取り上げた記事は、こちらをクリック」)で使用していた旧型気動車2両を塗り替え、九州内各地でリバイバル急行列車を運行している事は、JR九州のHPなどで告知されており、MAKIKYUが鹿児島から帰路に就く日には、丁度鹿児島でリバイバル急行が運行される事を把握していましたので、詳しい運転時刻などは調べていなかったものの、もしかしたらリバイバル急行列車にうまく遭遇できるかも…という淡い期待も抱いたものでした。

そのためMAKIKYUは新幹線に乗車するにも関わらず、わざと在来線改札から入場(一旦在来線方に入場した後、新幹線連絡改札口を利用する事も可能です)したMAKIKYUが、在来線各線区の発車案内を見ると、定期列車の案内しか出ておらず、まだ入線時間は暫く先なのかとも感じたものでした。

しかし指宿枕崎線の普通列車を良く見ると、JR九州恒例のベンチレーター撤去によって、屋根上がすっきりした気動車2両の前方に、屋根上に小型の冷房装置が何台も載っている車両の姿を目撃出来ましたので、リバイバル急行列車は単独ではなく、もしかしたら定期列車に併結しての運行では?と思って指宿枕崎線山川行き普通列車のホームに下りると、定期列車のキハ140+キハ40(8000番台)の前方に、貸切扱いのバイバル急行列車乗客用に国鉄急行色キハ58+キハ65(キハ140が鹿児島方、キハ65が山川・枕崎方)が併結されていました。

  
リバイバル塗装の2両だけでなく、定期普通列車を巻き込んだ4両編成で、リバイバル急行列車が運行されるのは、MAKIKYUも予想していなかった事だけあって、少々驚いたものでしたが、4両全てが異形式というのは気動車ならではで、たまたま全て異形式の編成になったのか、それとも敢えてこの様な編成にしたのかも気になったものです。

そしてリバイバル急行列車の姿を拝みにホーム前方へ進むと、この日の列車愛称名となる「最南端」の特製イラスト入りマークが掲げられると共に、側面も「西鹿児島(鹿児島中央駅の昔の駅名です)-西大山(JR最南端の駅で、実際は更に先の西頴娃(Nishi-Ei)まで運行された様です)」と書かれたサボが掲出されるなど、今や最後の1両となった原型を留めるキハ65形のリバイバルムードを更に盛り上げる演出がされていた辺りは、貸切列車による旅行商品扱いとなるリバイバル列車ならでは…と感じたものでした。

 
土地柄もあって、リバイバル急行列車の乗客以外で列車を撮影している人の数も数える程で、この手の列車で時折見受けられる混乱などもなく、良い雰囲気でリバイバル急行列車の発車を見送れたのも好印象でしたが、参加者誘導に当たっていたJR関係者が乗り終わる前にドアが閉まってしまい、乗務員室から乗り込む羽目になっていたのは滑稽なものでした。

ちなみに「最南端」号は、西頴娃までの運行で途中JR最南端駅となる西大山駅に停車しているシーンがネット上でも出回っていますが、山川行き普通列車と鹿児島中央~山川間と併結運転となると、鹿児島中央から50km強の距離がある西大山までの通過駅は一体幾つ?と感じたものです。

これは急行列車らしからぬ運行と言えますが、JR九州では特急列車でも短編成でワンマン運転を行い、眺めの良い所で徐行や一時停車を行ったり、途中駅で10分程度の停車時間を設けるなど、速達性を重視する一般的な優等列車とは異なる性質の優等列車を幾つも走らせていますので、敢えて旧型気動車の乗り心地を目当てにしている乗客ばかりのリバイバル急行列車ともなれば、長時間乗車できて頻繁な加減速がある運行形態の方が良いのかも…と感じたものでした。


JR九州の観光トロッコ列車「TORO-Q」~今月運行を終えた異色列車

2009-11-30 | 鉄道[九州・JR]

   

今月は名鉄パノラマカー最後の残党として知られ、中間車を先頭車化改造した異端車として知られた名鉄7100系や、神戸のポートライナーで開業当初から活躍し、日本の新交通システム車両としては極めて初期の部類に入る車両だった神戸新交通8000系などが退役した事が話題になっていますが、他に今月退役した車両の一つとして、JR九州の「TORO-Q」が挙げられます。

「TORO-Q」は大分県・湯布院観光のパーク&ライド促進の為に、南由布駅前に観光客向けの駐車場を設置し、由布院~南由布間をピストン輸送する目的で運転されていた列車で、僅かな乗車時間となるこの程度の区間でも、ただの臨時列車で終わらせない辺りは、数々の変り種列車を走らせているJR九州ならではと言えます。

車両基地が大分にある事から、この出入庫を兼ねて全車自由席のピストン列車以外に、大分~由布院間で指定席制の臨時快速列車としても走らせていたのも特徴で、ピストン列車の方は4年程前に青春18きっぷで久大本線を利用した際、由布院駅での待ち時間&青春18きっぷでそのまま乗れるという事もあって、MAKIKYUも一度だけ乗車機会があったものでした。

車両は「TORO-Q」の名前通り、中間に貨車改造のトロッコ車両を挟み、両端に気動車を配す非常に奇妙な編成を構成しており、気動車は既存の旧型気動車・キハ58形とキハ65形を各1両ずつ塗り替えて「TORO-Q」専属としていました。
(「TORO-Q」塗装の気動車は、「TORO-Q」運転日以外の日に大分地区の普通列車として用いられた事もあった様です)

2両の旧型気動車は「TORO-Q」のトロッコ車両や、近年JR九州が走らせている観光列車などとは異なり、車内は特に観光列車向けの改造などは施していないのですが、キハ58形は以前快速「シーサイドライナー」に使用するために改装を施し、特急並みの比較的グレードの高い座席を装備していました。

とはいえキハ58形の豪華な設備は、一区間だけをピストン輸送する列車に必要不可欠とは言い難く、もう1両の気動車であるキハ65形(JR四国→JR九州への譲渡車)は、JR四国仕様のボックス席がそのまま残存するなど、2両の気動車間での設備格差が極めて大きく、この様は老朽車両の寄せ集め列車ならではと言っても過言ではありません。

こんな編成でしたので、キハ58形は非常に乗り得感のある車両だったのですが、一応観光列車だけあって殆どの乗客は物珍しいトロッコ車両に乗車し、外の風に触れながら乗り心地の悪さを楽しんでいる事もあって、豪華な設備も殆ど注目されず、ガラガラで機関車代用状態と言っても過言ではない状況だったのも印象的で、まして設備的にも有り難味を感じる事のないキハ65形などは、観光客人気の面では言うまでもない状況でした。
(余談ながらMAKIKYUが「TORO-Q」に乗車した際はキハ58形に乗車し、時折トロッコ車両の乗り心地も試すという状況でした)

しかしながら元々数が多くない車両の上に、ジョイフルトレインへの改造や廃車が進み、装いこそ異なるとはいえ原型の雰囲気を残す貴重な車両という点では、キハ58形以上に希少で注目の存在でしたが、敢えてこの車両を選んで乗車する乗客がどの程度いたのかも気になるものです。

ちなみにMAKIKYUが「TORO-Q」に乗車した際には、老朽車両の寄せ集めだけあり、この列車はいつまで走り続けるのか…と感じた程でしたので、「車両の老朽化と代替車両が存在しないため」として引退が発表された際にも、特に驚きはしなかったものでしたが、徹底的に拘り抜いた感のあるJR九州の観光列車とはまた違った面白さのある列車が一つ消えていくのは、ちょっと寂しいと感じるものです。

また「TORO-Q」退役後も。由布院パーク&ライド対策のピストン輸送列車が運転されるのか否かも気になる所ですが、今後も由布院~南由布間の臨時ピストン列車を設定するのであれば、自家用車で観光に訪れた人間が、ちょっと列車に乗るだけでも楽しめる様な車両を走らせるなどの工夫にも期待したいものです。
(他所から来た鉄道事情に疎い観光客を喜ばせるには、国鉄型のキハ47形辺りでは当然NGですが、既存の車両でも新鋭のキハ220形200番台辺りなら充分インパクトはありそうですので…)

写真は「TORO-Q」の外観とガラガラのキハ58形車内、観光客が集うトロッコ車内の様子です。


JR九州 キハ183系1000番台気動車~コロコロと装いを変える異端気動車

2008-11-19 | 鉄道[九州・JR]

今月上旬にMAKIKYUが九州を訪問した際には、久留米~日田間で久大本線を利用する機会があったのですが、その際には1編成しか存在しておらず、遠方の人間にとっては乗り難い列車の一つである特急「ゆふDX」号の運行時間帯だった事もあり、この列車に乗車する機会がありましたので、少々取り上げたいと思います。

「ゆふDX」号は現在博多~大分間を、久大本線経由で結ぶ特急列車「ゆふ」号3往復の中で、半数に当たる列車を「ゆふDX」号として運転しているもので、両者は運転時刻こそ同一ですが、「ゆふDX」号に充当するキハ183系1000番台気動車が1編成しか存在しない事もあって、奇数日と偶数日で充当車両や編成、列車名を変える異色の列車(キハ183系1000番台車の検査時など、「ゆふDX」号の設定そのものが存在しない日も存在します)として知られています。

このキハ183系1000番台気動車は、定期特急列車などで多数が大活躍している旧国鉄~JR北海道の「キハ183系」の構造を基本に設計した事もあって、同系の1000番台という付番となっています。

キハ183系気動車の大多数が活躍する北海道とは遠く離れた九州の地に、4両1編成のみが導入され、名鉄パノラマカーや小田急ロマンスカーの如く展望席を設けた車両である上に、電車(485系)との併結も可能な構造となるなど、北の大地を走るキハ183系気動車とは同一形式ながら、大きく異なる車両となっています。

ちなみにこの車両はJR発足からまもない1988年に「オランダ村特急」へのアクセス用列車として製造され、導入当初は赤・白・紺色の3色塗装を纏っていましたが、その後同列車の廃止に伴って長崎方面から久大本線方面に転用、「ゆふいんの森Ⅱ世」として外観を緑色に金帯の装いに改めています。

ただこの装いでの活躍もキハ72形気動車「ゆふいんの森Ⅲ世」が導入される事で終止符を打ち、再び長崎方面へ戻されて登場当時に近い装いに改められると共に、大村線を走る特急「シーボルト」号として活躍する事になるのですが、これも長続きせずに再び久大本線方面に転用、今度は「ゆふDX」号として活躍する事になって現在に至っています。

2004年の「ゆふDX」号への転用時には、最近のJR九州らしい車内リニューアルなども行われており、外観も九州新幹線「つばめ」号などで用いられている「古代漆色」と呼ばれる深みのある赤色1色という強烈な装いに改められたのですが、これも今年に入ってから塗り替えられています。

今年の塗り替えで塗装変更は5回目、コロコロと装いを変えているこの異端車両は、一体何度塗り替えをすれば気が済むのか?と感じてしまう程ですが、今度は黄色1色と言うこれまた目立つ装いとなっており、4両1編成しか存在しない異端車の存在を、一般にも強くPRするものとなっています。

また「ゆふDX」号への転用時には、先頭部の展望席は普通車指定席扱いながらも、割増料金が適用される「パノラマシート」となっているのも大きな特徴です。

先日乗車した際には当初乗車予定がなく、当日の気紛れで乗車する事になった上に、乗車区間が短く、周遊きっぷのゾーン券(フリー区間内で通用期間中であれば、特急も普通車自由席は無制限に利用可能です)を所持していた事もあって、自由席(「ゆふDX」号は真ん中の2両が自由席で、両端の車両が指定席となります)を利用したMAKIKYUも、割増料金適用となるパノラマシートの様子を視察してきましたが、この区画の座席は2+1配列でそれなりにゆとりはある様に感じられたものの、JR九州ではお馴染みの木材を用いた鉄道車両離れした感のある座席は背もたれも小さく、リクライニングや方向転換・回転機能も見受けられないなど、前面展望以外のメリットは…と感じる状況でした。

そのため最前部となる展望席区画は良いとしても、後向きとなる車両の最後部展望席などは、わざわざ割増料金を払ってまで利用する価値があるのか疑問に感じる所ですが、こちらも利用客の姿が散見されたのは意外に感じたものでした。

ちなみに「ゆふDX」号は車両自体も既に製造から20年を経ており、非電化ローカル線である久大本線を走る列車である事から、博多~大分間のアクセスとしては、新型の振り子式電車が多数走る日豊本線経由の特急「ソニック」号に比べると所要時間・車両設備の両面で見劣りする事は否めず、久大本線を走る特急列車としても、全席指定席制の観光特急「ゆふいんの森」号に比べると、設備面ではやや苦しい面がある事も事実です。

とはいえ九州内やその周辺の人間でもなければ特殊な運行形態故に、コロコロと装いや用途を変えて活躍する異端気動車への乗車機会は限られますので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も機会があれば、是非一度乗車してみるのも面白いかと思いますが、この車両が現在の運行形態や装いで当面落ち着くのか、今後更なる変化が起きるのかも気になるものです。


寝台特急・はやぶさ/富士号(開放室B寝台編+α)

2008-01-10 | 鉄道[九州・JR]

    
 
既に何度か取り上げている寝台特急・はやぶさ/富士号に関する記事ですが、今日は両列車における連結車両の過半数を占める開放室B寝台に関して取り上げ、またMAKIKYUの感じている事なども少々言及したいと思います。

両列車の編成はそれぞれ6両(併結時は12両)で、その内A寝台とB寝台の個室車両が1両ずつという事は以前にも記し、これらの車両に関しては既に「MAKIKYUのページ」内でも取り上げていますが、残り4両(併結運転時は8両)とはやぶさ/富士号両列車の過半数を占めている車両が、俗に開放室と呼ばれる一般的なB寝台車で、その内両列車の熊本・大分方1両のみは喫煙車、個室車2両を挟んで東京方に連結されている3両が禁煙車となっています。

このB寝台車は一応座席(ベッド)のモケット交換など、多少のリニューアルは行われており、以前客車外観編で取り上げた車両の外観だけでなく、車内のモケットなどにもバリエーションが存在しています。

寝台は上下2段が枕木方向に並び、2つの寝台が向かい合う構造(ごく一部向かい合わせとならない寝台もありますが…)となっており、昼間は下段を座席としても使用しますが、個室車と異なり片隅に寄せられている通路部分にも折り畳み椅子が設けられており、これは個室車(特に天井空間に制約があるB寝台「ソロ」)にもあったら…と感じます。
(MAKIKYUが寝台車両に乗車した際には、通路に設けられている折り畳み椅子に座りながら、ゆっくりと車窓を眺めるのも好きですので…)

国鉄時代末期に寝台の2段化が進められ、頭上空間が狭い3段式(日本ではごく一部にしか存在しませんが、鉄道博物館の展示車両などでその様子が見学できますし、今でも寝台列車が大活躍している中国などでは多数が活躍しています)に比べると居住性は格段に優れ、座面もそれなりの広さがあり、クッションもそこそこ入っています。

定員も1両当り30名を少々超える程度ですので、設備的には寝台列車大国・中国の軟臥(格付は日本のA寝台相当で、一部列車を除くと編成内に1~2両程度連結という事が多いですが、設備的にはB寝台開放室とほぼ同レベル)とも言え、中国を走る長距離列車の硬臥車(格付は日本のB寝台相当ですが、カーテンもない3段寝台がずらりと並んでおり、1両の定員は60名を超えます)に何度か乗車し、硬臥車に車中2泊・40時間弱に渡って乗車した事もある身(それでももう少し乗っていても…と感じた程です)としては、車中1泊となるはやぶさ/富士号程度であれば、MAKIKYUとしては車両自体はそこそこ快適に過ごせる空間なのでは…と感じます。

ただ国鉄時代末期から時が止まったかの如く、設備的には大差ないまま現在まで運用されており、車内には最近姿を見る事が少なくなった冷水機まで設置されている程(ただ車両によっては故障中となっているものが幾つかあり、他車両をご利用くださいという張り紙が出ていましたが…)ですので、昔ながらの汽車旅を雰囲気を楽しむには絶好ですが、就寝時にカーテンで自身の寝台を通路などと仕切れるとはいえ、個室ではなく車中で1泊を過ごす間をずっと見知らぬ乗客と相席になる事自体、現代の日本においては少々厳しいものがあります。

料金的にもB寝台料金(2段式)だけで6300円とビジネスホテル1泊の宿泊料並み(或いはそれ以上)ですので、昔から寝台列車に乗り慣れている年配者や、列車旅が好きな人間を除いて、広く一般客に歓迎される設備とは言えないのが現状で、はやぶさ/富士号の運転区間であれば、新幹線の高速化が進んだ事などもあって、両列車の出発時刻頃に出発する昼行列車(新幹線や在来線特急:乗り継ぎも含む)を利用しても、車中で夜を明かさずに目的地へ到着できて所要時間の面では圧倒的に優位ですし、これらの列車や、鉄道以外の競合交通機関を利用しても運賃面で大差ないか、或いはむしろ優位になっています。

そのためMAKIKYUがはやぶさ/富士号に乗車した際も、開放室B寝台車は空席が目立っており、その上に使用車両も塗装が剥がれている箇所などが見受けられ、見るからに草臥れた感のある有様では、とても多くの人々に「いつかは乗りたい」と思わせる列車とは言えませんし、B寝台開放室の一部車両は、多少の防音・振動対策は施してあるとはいえ、ディーゼル発電機を搭載した車両になっており、この車両(スハネフ14形:喫煙車を利用する場合、通常の編成では必然的に当ります)は一部の酔狂な方は別として、一般的に考えて車中で夜を過ごすには相応しくない環境となっていると言わざるを得ません。

まして近年は利用不振などもあって、列車内の併食空間(食堂車)が廃止され、車内販売も朝のみの乗務という状況ですし、車内には長距離フェリーの様なインスタント・レトルト食品の自動販売機すら設置されていません(ジュース程度ならありますが…)し、列車の性質上急ぎの乗客は余りいないであろうにも関わらず、東京発の列車では夕方~夜にかけての各駅での停車時間などは切り詰められていますので、列車の乗車前に食料を買い忘れると大変な事になってしまうといった、列車設定を一工夫(静岡県内の何処かの駅辺りで5~10分程度の停車時間を設け、ホーム上で駅弁等を販売するなど)すれば何とでもなりそうなソフト面での問題もあり、この観点でも何も知らずにふらりと一般客が乗り込んだ場合、一度の乗車で懲りてしまいそうな点も問題です。

この様にはやぶさ/富士号、特に開放室B寝台に関しては問題点が山積していますので、来年での列車設定廃止も、車両の老朽取替・或いは更新が必要な状況ともなれば、遂に来るときが…という感がありますが、車内でゆっくりと時を過ごせ、目が覚めたら遠方の景色が車窓に広がる寝台列車での旅は、他の列車では味わえない味わいがあります。

現に北海道方面の寝台列車などは、所要時間がかかる事からビジネス利用は限られるとはいえ、観光客に使いやすい様な運行形態や設備を供する事でそれなりに繁盛していますし、寝台列車大国・中国で今でも多数の列車が多くの乗客を乗せて大繁盛している状況なども見ている身としては、このまま朽ち果てる様にはやぶさ/富士号が列車消滅となるのは惜しい限りで、何とかして時代のニーズに合わせた寝台列車を、せめて週末運行などの臨時列車でも良いので、首都圏~九州方面に1本程度は走らせて欲しいと感じますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様は如何感じられるでしょうか?

 

画像ははやぶさ/富士号開放室B寝台の様子(寝台モケットに注目)と車内に設置された冷水機(以上記事最上部掲載)と、瀬戸内海を見ながら迎える朝の景色(東京発のはやぶさ/富士号に乗車した場合、目が覚めたらこの様な景色が待っています)、記事中で若干触れた中国を走る硬臥車の様子(参考:既公開記事での使用画像)です。