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韓国・済州島へ向かう貨客フェリーが転覆・沈没~事故船は元「フェリーなみのうえ」

2014-04-17 | 船舶[日本国内]

ネット上のニュース記事などでも大きく報じられていますので、ご存知の方も多いかと思いますが、昨日大韓民国の全羅南道・珍島(Chindo)沖で、450名以上の旅客が乗船した貨客フェリーが転覆・沈没するという大事故が発生しています。

今回発生した事故は、清海鎮(Cheonghaejin)海運が仁川(Incheon)~済州(Jeju)島間を運航している旅客フェリーで発生しており、同社は専ら韓国内の旅客航路を運航する事業者ですので、事故以前の日本における知名度はかなり低かったと思いますが、同社は今回事故が発生した仁川~済州間航路以外に、仁川や麗水(Yeosu)を出航する離島航路の運航なども行っています。

仁川~済州間は韓国の国内旅客航路では最長距離・時間を誇る事でも知られ、清海鎮海運が運航する各航路の中でも、代表格的存在と言えます。

この航路は仁川・済州両港を定刻では夕方に出航し、目的港には翌朝到着となる夜行運航で、所要時間は片道13時間半程、移動と宿泊を兼ねて節約旅行を目論む向きにも絶好かと思いますし、船旅を楽しむのにも程よい所要時間かと思います。

最近国内の離島へ足を伸ばす機会も多く、韓国へも幾度も足を運んでいるMAKIKYUとしては、機会があれば船で韓国本土から比較的手頃に足を運べる韓国の離島・済州島へも…と思っており、その際の選択肢の一つとして清海鎮海運の仁川~済州間航路は悪くないと感じていました。
(MAKIKYUは昨年まで国内各都道府県の中で沖縄県だけ未訪という状況が長く続いていましたし、大韓民国も38度以北の北韓(北朝鮮)を除くと、各道・広域市の中で済州道のみ未訪という状況です)

この仁川~済州間航路では週5便が運航され、運航事業者・清海鎮海運HPを見ると、同航路ではセウォル号とオハマナ号の2隻が就航船舶として案内されており、今回の事故はその内セウォル号の航海中に発生しています。


MAKIKYUは実際にセウォル号の姿を見た事はないものの、このセウォル号は清海鎮海運HPに掲載されている外観画像(写真は清海鎮海運HPの画像転載です)などを見ると、結構綺麗な船と感じます。

清海鎮海運での就航からはまだ1年程度しか経っていないのですが、建造は1994年、フェリーとしては比較的古参の部類に入ります。


というのも、元は1994年に就航したマルエーフェリー・鹿児島~沖縄航路で活躍していた「フェリーなみのうえ」で、2012年の「フェリー波之上」就航に伴って同社から退役、売船されて装いを改めたものです。
(写真は「我孫子の伊東様」から頂いたもので、マルエーフェリーでの活躍最末期の2012年に鹿児島港へ入港する、往年の「フェリーなみのうえ」です)

韓国では同船以外にもかつて日本で活躍していたフェリーが売船され、船名や装いを改めて活躍している事例が、国内航路だけでなく国際航路も含めて数多く存在しており、実際にMAKIKYUが韓国発着の国際航路に乗船した際にも、かつて日本で使用していた船舶に当たったことがあります。

またMAKIKYUは「フェリーなみのうえ」が就航していた頃のマルエーフェリーには乗船した事がありませんが、同船がマルエーフェリーで就航していた末期、共に鹿児島~沖縄航路で活躍しており、外観も比較的類似している「フェリーあけぼの」(現在もマルエーフェリーで就航中)には昨年1度乗船しています。
(その際の様子などを取り上げた記事(該当記事はこちらをクリック)も公開していますので、興味のある方はこちらも見て頂けると幸いです)

マルエーフェリーでは2009年秋、紀伊半島沖で東京~沖縄間を結ぶ「ありあけ」の転覆事故が発生し、事故原因は船内に多数積載していた積荷が一方に偏る事で、バランスを崩し操舵不能になった事が大要因と言われています。

この事故では乗客数が少なかった上に、人命に影響が及ぶ事がなかったのが不幸中の幸いだったものの、同航路が長期運休(後に倒産した旧有村産業の「クルーズフェリー飛龍21」を中古購入して運航再開)に追い込まれたほか、多数の積荷廃棄をはじめ、沿海の漁業にも多大な影響が及ぶなど、世間を騒がせる大きなニュースとなってしまった事は、記憶に残っている方も少なくないかと思います。

今回の事故を聞くと、事故発生現場や運航事業者こそ異なるものの、「ありあけ」転覆事故の再来と感じた方も少なくないかと思いますし、MAKIKYUもその一人ですが、今回の事故では多数の死傷者や行方不明者の発生も報じられており、「ありあけ」転覆事故を遥かに超える被害が発生、途上国を除けば近年では極めて稀な大事故になってしまったと感じます。

不幸にも今回の事故で亡くなられた方の冥福を祈ると共に、負傷者の早期回復を願いたいものです。

「フェリーなみのうえ」こと「セウォル」号も転覆した後に海底へ沈没してしまい、同船にとっても非常に残念な形での最期になってしまいましたが、今後清海鎮海運で同種事故が再発する事がない事は勿論、他社も含めて…と感じる所です。

詳細な事故原因究明と万全な再発防止策が取られ、再び同種事故の報を聞かずに済む事を強く願いたいものです。


(お断り)記事作成時にはアクセス可能となっていた清海鎮海運HPですが、その後記事公開前に再度確認したらアクセス不能となっており、清海鎮海運HPへのリンクをクリックしても表示されない可能性もあります。


野母商船・フェリー「太古」~博多から五島へ向かう夜行航路

2014-03-30 | 船舶[日本国内]

先日「MAKIKYUのページ」では、長崎県新上五島町を運行している新上五島町営バスに関して取り上げましたが、現在新上五島町か五島市のいずれかに属する五島列島の島々は、全て本土とは陸続きでない非架橋離島となっています。

五島列島の島々の中で、面積・人口共に最大の福江(Fukue)島に限れば、五島福江空港もありますので、空を飛ぶのが大嫌いのMAKIKYUとしては、余程止むを得ない事由がない限りは真っ先に選択肢から除外するとはいえ、航空利用によるアクセスも一応可能です。

それ以外の島へ足を運ぶとなれば、比較的大規模な中通島でも、上五島空港が廃港となっており、福江島でも五島福江空港を発着する航空便の便数や輸送力は限られたものですので、本土~五島列島各島へのメインアクセスは船となります。

五島列島各島は離島ながらも、本土とは遠く離れた島ではありませんので、福江島や中通島へは、本土から高速船で比較的手頃に足を運ぶ事ができ、時間はかかっても割安に移動したい方などは、フェリー利用と言う選択肢もあるなど、船旅を楽しみながら手頃に島巡りをしたいという向きには、比較的楽しめるエリアかと思います。

本土からのアクセスは、現在は五島市となっている下五島(福江島など)へ向かう場合は長崎港発着が大半を占めています。

これに対し現在新上五島町となっている上五島(中通島)へ向かう場合は、利用航路によって長崎港発着か佐世保港発着のいずれかという状況で、島側の発着港も福江島の対本土航路は福江港に統一されているものの、中通島の対本土県内航路は利用航路によって有川(Arikawa)・鯛の浦(Tainoura)・奈良尾(Narao)に分散しているなど、余所から訪問する旅行者にとっては、少々分かり難い状況になっています。

また五島列島へのアクセスは、各島が長崎県に属し、長崎県本土の西側に位置する事もあってか、旅客航路の大半は県内航路となるのですが、これ以外に九州の中核都市・福岡(博多)と五島列島を結ぶフェリーも1日1往復就航しています。
(1隻のみ就航の航路ですので、概ね月1回程度定期休航なる点は要注意です)

このフェリーが野母商船が運航するフェリー「太古」で、航行距離も長くなりますので、所要時間の面では陸路(JR特急や高速バス)+高速船の最速乗り継ぎに比べると、劣勢は否めません。


ただ博多発は乗り換えなしで五島列島各島へダイレクトアクセス可能なだけでなく、夜行運航で五島列島各島には朝到着であるが故に、時間を有効に活用できる利点もあり、MAKIKYUが五島列島へ足を運ぶ際には、博多→中通島の往路でこのフェリー「太古」を利用したものでした。

中通島でのフェリー「太古」発着港は、長崎や佐世保へ向かう各航路が発着する港とは異なり、島の中心地に程近い青方(Aokata)港となっており、事情を知らない人間には非常に分かり難いのですが、更に中通島とは若松大橋によって実質的に陸続きとなっている若松島にも寄港しており、有川・鯛の浦・奈良尾に加えて青方と若松も…となるとという状況で、島の規模の割に旅客航路の発着港数がやたらと多いのも、中通島の大きな特徴と言えます。
(ちなみに太古の最終寄港地・福江島では、他の対本土航路と同じ福江港発着です)

このフェリー「太古」は現在、建造から20年を超えた船を用いており、大きさも1200tクラスであるなど、スペック的には外海を長時間航海する船にしては…という印象があります。


併食設備も自動販売機と売店物販のみであるなど、こじんまりとした印象のフェリーながらも、経年の割には船内も比較的綺麗と感じたのは評価できるものでした。
(それでも航路の性質を考えれば必要な設備は備わっており、「車内販売の営業はありません」と盛んに案内している一部のJR夜行列車などに比べれば、この点は遥かに上等です)


船内にはランプ点灯式の現在航行位置案内もあり、現在は付近を航行するだけで寄港しない生月などの表示も見受けられるのも、特徴的と感じたものでした。

客室設備も通常運賃のみで利用でき、フェリーでは恒例の雑魚寝大部屋(カーペット敷き)以外に、個室などの上級客室も存在していますが、MAKIKYUは雑魚寝大部屋よりもワンランク上級の2段寝台を利用したものでした。


この寝台は通常運賃に+2000円で、JRの開放室B寝台レベルの設備を利用できるとなれば比較的値頃感があり、他の交通機関には追随できない夜行船ならではの魅力的な設備と言えます。

大抵「2等寝台」などと称されるこの寝台を、野母商船では「グリーン車」ならぬ「グリーン寝台」と称しているのは独特で、この呼び名は他では余り聞きませんので、物珍しく感じたものでした。
(通常運賃のみで利用可能な雑魚寝大部屋よりワンランク上級の客室としては、区画や占有空間の面で優遇されるカーペット敷きの小部屋を、野母商船では「グリーン和室」と称しており、こちらは通常運賃に+1500円となります)


フェリー乗船券は高速バスなどと同じく、下船時回収となりますので、鉄道乗車券の如く乗車記念として手元に…とは行かないのは残念な限りで、画像で記録を残すしかないのが現状ですが、「グリーン寝台」利用時にはグリーン料金込みの乗船券1枚ではなく、通常運賃の乗船券+区画指定のグリーン寝台料金券の2枚が発券されるのも大きな特徴です。


またフェリーの上級区画は上層階に設けられており、この点はフェリー「太古」も他のフェリーと同様ですが、上下船口は下層階に設けられており、上級区画が存在する上層階へは、上級客室の乗船券(もしくは料金券)を所持している乗客のみ…というフェリーが多い中で、「太古」は上層階から上下船となり、通常運賃のみで雑魚寝大部屋を利用する場合には下層階へ下る(下層階から上がる)構造となっている辺りも、独特と感じたものでした。

このフェリー「太古」は輸送力の関係などもあってか、今年中には一回り大型の新造船に置き換えられる予定となっており、現行船が就航する期間も残り少なくなっていますので、MAKIKYUが再びこの船に乗船する機会は恐らく…という状況かと思います。

とはいえ先月の乗船では旅程の関係で青方(中通島)下船、朝6時頃では下船時もまだ外は暗い状況でした。

その先のある無数の小島を眺めながらのクルージングは堪能できず、最終寄港地である福江島も、一応足を運んだもののまだ未訪地が幾つも…という状況ですので、機会があれば新船就航後に再び「太古」に乗船し、今度は博多~福江の全区間航海でも堪能できれば…と感じたものでした。


比田勝港を発着する「フェリーげんかい」

2014-02-12 | 船舶[日本国内]

12月にMAKIKYUが長崎県の対馬へ足を運んだ際には、対馬へ向かう際には福岡発の壱岐・対馬フェリー「フェリーつばさ」を利用して厳原から対馬入りしたもので、福岡~対馬間を運航する旅客航路は、大半の便が厳原発着となっています。

しかしながら1日1便のみながらも、九州郵船が福岡~比田勝間で「フェリーげんかい」を運航しており、所要時間は片道5時間超と結構長いですが、対馬往復のいずれかでこの航路を利用すれば、南北に長い対馬を効率よく観光するには便利かと思います。
(特に福岡発は夜行運航ですので、時間を有効に活用するという観点でも有用かと思います)


フェリーげんかいは、九州郵船が運航しているフェリーの中では最古参である上に、外海を長時間航海する航路に充当される船の割には小柄で、古参と言う事もあって横揺れ防止装置も装備していませんので、海が穏やかな時であればまだしも、荒れている時の乗船などは相当難儀するのでは…と感じます。
(MAKIKYUは「フェリーげんかい」よりは船体が大きく、横揺れ防止装置付きで九州郵船では最も新しい唐津~壱岐航路の「エメラルドからつ」でも、台風が接近して海上が荒れている時に乗船して船酔いした有様ですので、この様な時に「フェリーげんかい」に乗船したら、もっと大変だろうと思います)

この「フェリーげんかい」は、比田勝の街中からは少々離れた所から発着しており、対馬交通の上県営業所からは徒歩で30分弱、公共交通機関(路線バス)の便も限られます。

そのため自家用車などでの送迎でもない限りは、非常に利用し難いのも難点ですが、街の規模などを考えると、人員だけでなく生活物資輸送の関係もあるかと思いますが、厳原以外に比田勝を発着する対福岡航路が、基本的に毎日就航しているだけでも大したものと感じます。
(「フェリーげんかい」がドッグ入りした際には、唐津~壱岐航路で「エメラルドからつ」と共に就航している「フェリーあずさ」が代船として就航し、その時は唐津~壱岐航路は「エメラルドからつ」1隻での特別ダイヤ運航となります)


また比田勝港では旅客船だけでなく、海上保安庁の巡視艇が何隻も係留されている姿を目撃し、こんな姿を見ると異国に近い事を改めて実感させられたもので、比田勝は様々な点で離島のはずれに位置する田舎町ながらも、日本では他に類を見ない「国境の街」である事を強く実感させられたものでした。

この「国境の街」比田勝からは、旅客航路も対福岡航路だけでなく、国際航路も出航しているのですが、国際航路に関しては近日中に続編記事で取り上げたいと思います。


対馬市営渡海船「ニューとよたま」~浅茅湾を航行する定期航路

2014-01-31 | 船舶[日本国内]

先月MAKIKYUが初めて足を運んだ長崎県の離島・対馬は、対馬へのアクセスとして船をイメージする方は多いかと思いますが、対馬島内の足としても旅客航路が運航されています。


この旅客航路が対馬市営渡海船「ニューとよたま」で、空港にも近い旧美津島町・雞知地区の樽ヶ浜~旧豊玉町・仁位の間を、1日2往復運航しています。


雞知地区~仁位の間を移動するだけであれば、対馬交通の路線バスの方が運行本数も多く、樽ヶ浜~仁位の全区間を乗り通すのは、浅茅湾の観光遊覧を目的とした観光客程度かと思います。
(一応普通運賃ならば、対馬交通の路線バス利用よりも割安で、写真は全区間片道の乗船券(下船時に回収)です)

しかしながら途中旧豊玉町内の入り江にある小集落にも寄港し、これらの集落の中には市営渡海船が地域で唯一の公共交通機関となっていたり、路線バス利用では著しく不便な地域もありますので、これらの地域では重要な交通手段にもなっています。
(樽ヶ浜~加志々を移動する場合、渡海船だと30分もかからずに移動できますが、路線バスだと仁位乗り継ぎでかなりの大回り、運賃も
割高になる上に、加志々を発着する路線バスの運行本数も限られ、バスで両者を移動するのはかなり大変です)

MAKIKYUが乗船した際には、観光目的で全区間を乗り通したMAKIKYUを除くと、後は樽ヶ浜から旧豊玉町内の途中寄港地まで乗船した地元住民と見受けられる乗客だけと言う状況でした。

公共交通機関を利用して厳原や美津島など対馬南部から、中部の豊玉方面へ足を伸ばす場合、交通手段自体が限られる対馬で、選択手段が増えるのは有難い事で、運航本数が限られますので利用し易いとは言い難いものの、うまく運航時間とあうようなら利用価値はあると思います。


渡海船では対馬を南北に分断している万関橋などを眺める事はできないものの、路線バスやレンタカーなどの道路交通とは異なるルートを航行し、海上から島を眺める事ができるのも魅力で、途中では写真の様な小集落に設けられた小さな船着場を幾つも経由します。
(便によっては一部寄港地を抜港したダイヤになっています)


仁位入港前(或いは出航後)には、海上から和多都美(Watazumi)神社の鳥居を見る事もでき、これも渡海船ならではの光景かと思います。

ちなみに渡海船「ニューとよたま」は19t・路線バス1台分よりは少々客席スペースが多い程度の船で、大きさは瀬戸内海の短距離航路などでよく用いられている小型客船などと同等の船ですが、椅子席の他にカーペットではなく畳を敷いた区画が設けられているのも特徴です。


ローカルな生活航路の色彩が強い航路ながらも、異国に近く、近年外国人観光客の訪問も多い国境の島を運航する船としては、畳敷きというのは意外と評価されるのでは…とも感じたものです。

対馬市HPの渡海船に関する紹介項目でも、運航時刻や運賃などと共に、渡海船からの景色に関しては大々的にPRしているものの、船内設備に関しては余りPRされていませんので、今後もっとPRに努め、外国人観光客の取り込みなどを図っても…と感じたものでした。

他交通機関との結節利便性という観点では、樽ヶ浜の港周辺は、路線バスの経由便(これだと乗り場のすぐ前までダイレクトに到達できます)も限られるものの、縦貫線などの便が発着する「樽ヶ浜入口」バス停からでも徒歩10分はかからず、雞知地区では土地柄も踏まえるとまずまずかと思います。

しかしながら仁位の船着場は、対馬交通車庫や旧豊玉町役場などとは結構離れており、船着場を発着する路線バスは存在しない上に、10分程歩いたバス通りまで出ても、この通りを運行する路線バスの運行はかなり限られます。

徒歩で船着場~豊玉営業所(仁位バス停)間を移動するとなると、25分以上を要しますので、仁位方での他交通機関との結節利便性も少々難ありと感じ、仁位発着で渡海船の出入港時刻に近いバス便を、船着場発着に出来ないのだろうか…とも感じたものでした。

対馬島内の公共交通機関は、厳原市内や厳原~美津島南部(雞知・空港など)を除くと、どれもかなり本数が限られますので、実質的には通学時間帯などに合わせた運行などで調整は難しいのかもしれませんが、各交通機関・路線の運行時刻などを調整する事で、現状の運行本数程度でも実質的な利便性向上を図る事も…と感じたものでした。
(比田勝→仁位も接続時間などが開くものの、縦貫線が走る西側ではなく東側を通るルートでも、小鹿乗継で移動可能なダイヤもあります
ので、現状でも仁位で1泊すれば、公共交通機関利用でも縦貫線とは別ルートで比田勝→小鹿→仁位→樽ヶ浜と移動する事も可能です)


壱岐・対馬フェリー「フェリーつばさ」~貨物輸送主体の船ながらも…

2014-01-12 | 船舶[日本国内]

先月MAKIKYUが九州へ足を運んだ際には、九州本土内だけでなく、初めて離島の対馬にも足を伸ばしたものでした。

この対馬の中心都市が厳原で、九州本土からのメインアクセスは離島だけに海路となりますが、長崎県に属しながらも、長崎県本土からの定期航路は存在せず、至近の壱岐と共に定期航路の大半は福岡から出航しています。

福岡発着の定期航路は、中には対馬直行となる便も存在するものの、途中壱岐島を経由・寄港する便が大半を占めており、また対馬の発着港は大半の便が厳原発着となっています。

定期航路の中でも旅客輸送に関しては、壱岐と共に九州郵船が圧倒的なシェアを誇っており、同社では高速船(ジェットフォイル)とフェリーの双方を運航、前者では福岡から2時間強、後者では4時間半程度の所要時間となります。


MAKIKYUが対馬訪問の半年程前に壱岐へ足を運んだ際には、同社の高速船とフェリーを利用したものでしたが、その際には芦辺港で「フェリーつばさ」という船を目撃し、それ以来この船の存在が気になっていました。
(写真は昨年6月に壱岐・芦辺港で撮影した「フェリーつばさ」で、船体には福岡⇔壱岐⇔厳原と記されており、何故か壱岐は寄港地の「芦辺」標記にはなっていないにも関わらず、対馬は「厳原」と標記されているのも特徴です)

「フェリーつばさ」は壱岐・対馬方面定期航路で圧倒的な旅客シェアを誇る九州郵船ではなく、壱岐・対馬フェリーという事業者が運航している貨客船で、創業100周年を迎えた8年前に社名を改める前は「大川海運物産」と名乗っていただけあり、今日でも対馬ではこのフェリーの事を「大川」と呼ぶ人物も存在する程です。
(現在の壱岐・対馬フェリー本社は福岡市ですが、以前は大川市に本社を置いていました)

対馬観光物産協会HPの海路アクセス案内では、「※貨客フェリーですので、自動車の持込みの場合のみドライバーが乗ることができます」と記されています。
(博多~対馬間の貨客船は、MAKIKYUの対馬訪問時はドッグ入りで休航だったものの、他に対州海運が福岡~対馬間直航の貨客船を運航しており、こちらも同様に案内されています)

そのため壱岐・対馬フェリーに電話で乗船可否を問い合わせた所、旅客定員が12名と少なく、団体など大人数での乗船は厳しいものの、空席があれば少人数の旅客のみ乗船も可との事でした。

空席状況を尋ねると、MAKIKYUの乗船希望日は空席ありでしたので、電話で予約を済ませ、乗船日前夜(対馬行の出港は未明)に出港地の博多港へ足を運んだものでした。

壱岐・対馬フェリーの出港地は、「BEETLE」などの国際航路が発着する中央ふ頭(博多港国際旅客ターミナル)や、博多発着九州郵船各便や西戸崎方面などの短距離航路、五島方面への野母商船(太古)など、国内航路の大半が発着する博多ふ頭(ベイサイドプレイス)ではなく、須崎ふ頭となりますので要注意です。

この須崎ふ頭は天神北ランプの少し北側、那の津4丁目行き西鉄バスで終点の一つ手前、那の津3丁目で下車すれば徒歩でも至近(終点の那の津4丁目まで乗車しても運賃は変わらず、徒歩でも来た道を5分程度引き返す程度)です。

周囲にコンビニがあり、最低限の食料調達は可能ですが、それ以外の飲食店などは…という有様ですので、食事は天神などで済ませてからバスで那の津へ向かった方が良いかと思います。


そして須崎ふ頭に到着すると、仮設事務所の様な建物が乗船券発券窓口を兼ねており、旅客乗船は殆どない航路が僅かに発着するだけとなっています。


そのため国内航路が多数発着する博多ふ頭などに比べると、その規模は言うまでもなく…という状況で、旅客利用が僅少な事もあってか、購入した乗船券も手書き発券でした。
(写真は氏名部分を塗り消し加工しています)

MAKIKYUが須崎ふ頭に足を運んだのは22時過ぎ、そして対馬行は未明の出航となるのですが、乗船券発券を済ませると程なく乗船OKとなり、出航よりかなり早い時間に乗船できるのは有り難い限りです。


貨客船だけあり、下層フロアは車両搭載区画となっており、九州郵船の博多~厳原間フェリーよりはやや小柄ながらも、1500tクラスの船で殆ど貨物輸送という船だけあってか、車両や荷物の積載だけでも結構な時間を要し、乗船後も1時間以上ずっと車両搬入などが続く状況でした。

客室は貨物輸送の序に、車両と同行するドライバーなどが…という程度ですので、HPの案内などでは12名と記されていますが、船内では35名と言う表記が見受けられたものでした。

 
船内は寝台数こそ12名分+αですが、他にカーペット室や休憩スペースに設置された椅子等もあります。

その気になれば12名は軽く超える旅客を乗船させる事も出来るかと思いますが、船の大きさを考えれば35名でもかなり少ないと感じます。

休憩室も何処かの事業所を連想する様な、実用最小限と言っても過言ではない簡素な雰囲気と感じたもので、このフェリーに比べれば、昨年春に沖縄へ足を運んだ際に利用し、船内設備は航海距離などを考えると、かなり簡素と感じたマルエーフェリー「琉球エキスプレス」でも、まだ旅客輸送に関しては充実していると感じる程でした。


しかしながら福岡→対馬の夜行フェリーは、壱岐・対馬フェリーでは九州郵船2等運賃よりは少々割高になるものの、同1等運賃より割安な値段にも関わらず、寝台を利用できるのは大きなメリットです。
(旅客輸送の主流となっている九州郵船では、夜行フェリーでも寝台設備はなく、1等でもカーペット部屋です)

そして未明の須崎ふ頭出航を見届け、寝台で一夜を過ごして目が覚めたらもう対馬・厳原港に入港しており、朝5時台では周囲も真っ暗、路線バスの運行も皆無と言う状況ですが、九州郵船の夜行フェリー(一部期間を除く)と同様に、早朝到着後も暫く船内休憩可能なのは有り難いものです。


厳原の到着地は、路線バスも発着する九州郵船のターミナルからは、徒歩で5分程度南に位置しており、こちらも事務所はプレハブの様な建物であるなど、港の利便性と言う観点では、旅客輸送で圧倒的なシェアを誇る九州郵船に比べると、博多・対馬双方共に見劣りは否めない気がしたものでした。

それでもMAKIKYUが対馬への足として、敢えて旅客のみの移動では余り利用されない壱岐・対馬フェリーを選んだのは、余り乗船機会のない貨客船に乗船する事に加え、船内設備は簡素ながら、そこそこの運賃で寝台を利用できる事が大きな理由で、博多→対馬を再び夜行移動する機会があれば、壱岐・対馬フェリーをまた利用しても…と感じたものでした。
(対馬→博多は午後に運航しており、こちらは日曜日の対馬発のみ壱岐(芦辺)には寄港せず博多直航です)


駿河湾フェリー・船内の様子~片道1時間の航路ながら特別席も…

2013-12-12 | 船舶[日本国内]


先日「MAMIKYUのページ」で取り上げた駿河湾フェリー「富士」ですが、所要時間は片道約1時間と短い航路と言う事もあり、客席は椅子主体となっているものの、僅かながらも船ならではのカーペット区画も設けられています。


一般席の大半を占める座席はリクライニング機能などはなく、ビニール張りのシンプルなもので、6月にMAKIKYUが乗船した九州郵船の唐津~壱岐(印通寺)間で航行している「エメラルド唐津」を連想させる雰囲気、この座席で定価乗船だと少々割高感が…と感じてしまいます。
(所要1時間程度のフェリーでも、高松~小豆島(土庄)間で乗船した四国フェリーなどは、片道運賃3桁でも客室設備はずっと上ですので…)

片道1時間程度の航路にも関わらず、「Ocean Room」と称する上等客室が設けられているのも大きな特徴で、特別割引のお陰で実質タダ同然の状況で駿河湾フェリーに乗船している事もあり、様子見も兼ねて追加料金(500円)を支払って利用したものでした。

 
所要時間が比較的短く、乗船時は空いていた事もあってか、利用者はMAKIKYU1人だけという状況でしたが、グリーン車並みのリクライニングシートやゆったりとしたソファーなど、設備的には一般客室よりはずっと上で、差額を要するだけの差別化が図られています。

この特別料金は、乗船後に船内に設置された自動販売機で利用券を購入、この利用券はシール式になっており自身に貼り付けというスタイルになっているのはユニークです。


Ocean Room利用者には、コーヒー(ホットのみ)とクッキーのセットがサービスされますので、客室だけで割増500円だと割高感が否めないものの、このサービスも合わせると、喫茶店代わりも兼ねて利用するのも悪くないのでは…と感じたものでした。
(写真に写っているポストカードは、別途船内で購入したものです)


また近年では比較的長時間航海となるフェリーでも、船内売店営業を廃止し、飲食物等は自動販売機対応となっている船舶も散見しますが、所要1時間程度では需要もさほど…と感じるにも関わらず、売店営業も行っており、菓子類や土産物の販売などを行っていたのに加え、デッキでもたこ焼きなどの軽食類販売を行っていた辺りは、特質点と感じたものでした。
(MAKIKYUが今年乗船したフェリーの中には、夜行で長距離を運航するにも関わらず、このフェリーと同程度の売店しか設けられていない船もありましたので…)


駿河湾フェリー~県都と西伊豆を結ぶ最短ルート

2013-12-08 | 船舶[日本国内]

少し前の事になりますが、MAKIKYUは9月上旬に駿河湾フェリーに初乗船する機会があったものの、記事公開の機会が…という状況でしたので、今日取り上げたいと思います。

駿河湾フェリーは県都・静岡市(清水区:市町村合併前は清水市)と、西伊豆の土肥町の間を結んでおり、陸路ではかなりの大回りを余儀なくされ、車で2時間以上を要する距離を、片道約1時間で結んでいます。

航行ルート故に、首都圏の人間にとっては余り使い勝手の良い航路とは言い難いのですが、土肥町をはじめ、鉄路や高速道路網からも離れている事で「遠い」と感じる西伊豆各地と、県都を結ぶ公共交通機関としては、乗継時間次第では最短ルートになります。


静岡県内の移動手段としては、この航路がないと静岡市と西伊豆方面の移動にかなりの不便を強いられるため、決して需要が多いルートとは言い難いものの、重要なルートと言えますが、「富士」1隻のみでの運航となっているため、年に1度のドッグ期間は航路休航となります。


この「富士」船内や乗り場には、航路が県道指定されている事もあってか、その事を示す標識も見受けられ、富士山にちなんで「223号線」となっています。


MAKIKYUは土肥から清水へ向かう便に乗船したのですが、港にある運航状況告知では運航の有無や混雑状況に加え、富士山が見えるか否かも案内されている辺りはユニークです。

また近年では路線バスとセットになった「伊豆ドリームパス」の発売などで利用啓発に努めており、富士山の世界遺産登録記念で同乗車券も特別割引実施(来年春まで半額)、MAKIKYUはこの乗車券が特別割引だったから購入→フェリー乗船(片道1回限り)できるので利用…という状況でした。


伊豆ドリームパスも特別割引価格だと、フェリーを利用しなくても充分割安な価格設定になりますので、機会があれば特別割引期間にもう1回程度伊豆へ足を運び、駿河湾フェリーに乗船しても…と感じたものでした。


ちなみに伊豆ドリームパスで駿河湾フェリーに乗船する際には、パスの半券で直接乗船する事はできず、窓口で半券を引き換える事になるのですが、乗船券が発券されるのではなく「乗船整理券」が渡され、乗船時にこの乗船整理券を係員に渡して乗船する辺りも独特と感じたものでした。

船内の様子に関しては、近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。


九州郵船・エメラルドからつ~唐津航路専従のバリアフリー船

2013-11-20 | 船舶[日本国内]

少し前の事になりますが、MAKIKYUが6月に長崎県・壱岐島へ足を運んだ際には、九州へ戻った後も九州内を廻る予定があり、その事も影響して片道は印通寺(Indoji)~唐津間の航路(以下唐津航路と記します)を利用したものでした。

唐津航路はフェリーのみの就航ですので、博多発着の高速船(ジェットフォイル)に比べると、九州本土~壱岐島間の所要時間は長くなりますが、距離的には九州本土~壱岐島間の最短ルートになります。

博多発着の航路は郷ノ浦港か芦辺港のいずれかを発着する一方で、唐津航路はバスの便も芳しくない印通寺港発着ですので、裏航路的存在と言っても過言ではありませんが、壱岐への往復で異なるルートを使いたい場合などにもおススメのルートです。

九州内各地や本州から自家用車を壱岐へ持ち込み、自家用車で壱岐島内を廻りたいと言った場合には、フェリー便数の多さと言う点でも、唐津航路は使い勝手の良いルートです。

ただ距離的にも博多航路よりずっと短いにも関わらず、所要時間や運賃の面では余り差がありませんので、旅客のみの利用で本州内各地や福岡から壱岐へ向かうには、使い勝手の点で見劣りは否めません。

ちなみに唐津航路は通常2艘運行となっていますが、MAKIKYUが乗船した時には、ドッグダイヤで1艘のみの運航による特別ダイヤとなっていました。


この時に乗船したフェリーが「エメラルドからつ」で、2007年就役でバリアフリー対応の新しい船だけあり、船内は比較的綺麗な印象を受けたものでした。


専ら唐津~印通寺間の短距離航路に専従運航される事もあってか、2等のみモノクラスの客室は椅子席が大半を占め、その座席もビニール張りでリクライニング機能などは設けられていないなど、設備的には割合簡素な印象を受けたものです。


そのため長時間の乗船はとても…という印象があり、通常は唐津航路に充当されるものの、他航路で就航する船がドッグ入りした際に代船としても用いられる「フェリーあずさ」では、エメラルドからつよりもカーペット区画が多くなっている様です。
(「エメラルドからつ」では比率こそ低いものの、一応カーペット区画も存在します)

またMAKIKYUが乗船した日には、一応壱岐発着の各航路は就航していたものの、台風改め熱帯低気圧の影響により海は時化模様、同じ長崎県の離島でも、五島列島方面の他社航路では荒天欠航も出ている状況でした。

乗務員の方から伺った話では、冬の玄界灘よりはまだマシとの事でしたが、それでも出航前には船体が大きく揺れることが見込まれる旨の案内があり、印通寺港を出港すると程なく船体が斜めに傾き、振り子式の列車がカーブを曲がっている様な状況がずっと続いていました。


海域や海況の差異などもあってか、9月に乗船し、先日「MAKIKYUのページ」でも取り上げた南海フェリー(徳島→和歌山)などとは異なり、船ならではの縦揺れもあってか、MAKIKYUは軽い船酔いに陥る有様で、デッキに出て景色を…という気分ではありませんでしたが、五島方面で荒天欠航便が出る状況でも、正常運航されただけまだマシと感じたものでした。
(設備的には比較的簡素な船でも、穏やかな航海だと結構快適で味わい深く、鉄道やバスの旅に彩を添える存在としても捨て難いのですが…)

それでもエメラルドからつは比較的新しい船だけあって、横揺れ防止装置(フィンスタビライザー)を装備しており、横揺れは随分軽減されている様ですが、九州郵船では現在でも「フェリーあずさ」や博多~比田勝航路で就航している「フェリーげんかい」といった昭和製の古参船も活躍しており、これらはフィンスタビライザーの装備はありません。

おまけにエメラルドからつよりも船体は小柄で、外海を長時間航海する航路ですので、この様な船で荒れた海を航海するともなれば、相当難儀するのでは…と感じたものでした。
(それでも大昔に大陸から対馬・壱岐を伝って九州まで小船で伝来した方々の苦労や、空を飛ぶ(航空機に搭乗する)心労などに比べれば、多少海況が悪い状況で博多から壱岐より更に遠い対馬まで古参フェリーで航海するとしても、遥かに楽な気がしますが…)


南海電車・フェリーの格安企画乗車船券「好きっぷ」

2013-11-10 | 船舶[日本国内]

先日「MAKIKYUのページ」で取り上げた南海フェリー、以前はなんば~和歌山港間の南海電車と合わせ、関西~徳島を結ぶ基幹ルートの一つを構成しており、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、この事をご存知の方も多いかと思います。

しかしながら明石海峡大橋架橋後は所要時間の差もあってか、明石海峡大橋経由の高速バスに関西~徳島間基幹ルートの座を譲り、今日大阪や神戸からは、徳島をはじめとする四国方面や、その途中に位置する淡路島への高速乗合バス路線が多数設定されています。

その一部は南海バスや徳島バスなどの南海グループも運行を担っており、一方で関西~淡路島への航路は、明石海峡大橋架橋後は次々と運行取り止めになるなど、この一帯の交通網は橋一本で随分変化したものです。

そのため所要時間の面では劣勢が否めず、南海フェリーは関西~徳島間の基幹ルートではなくなってしまいましたが、さすがに和歌山~徳島となると明石海峡大橋経由では随分な遠回りを強いられます。

和歌山・徳島はどちらもそこそこの規模を誇る都市だけあってか、両都市間の移動需要なども存在し、かつて程の勢いはないとは言えども航路は存続、今日でも南海電車~南海フェリーを乗り継いで関西~徳島間を移動する事ができます。

最近では南海グループ同士と言う事もあってか、両者を乗り継いで利用した際に大幅に割引となる、「好きっぷ2000」と称した企画乗車船券も設定されています。


この企画乗車船券を購入すると、定期券サイズの南海電車乗車券・南海フェリー乗船券・横長サイズ注意案内の3枚セットで発券され、電車の乗車券は自動改札機対応(下車駅にて回収)となります。

南海フェリー2等客室に片道乗船するだけでも2000円を要しますが、この企画乗車船券を利用すると、南海電車の大半の駅(なんば・関西空港・河内長野など)への電車乗車券とセットで2000円、フェリー乗船で実質的に南海電車がタダになると言っても過言ではない価格設定となっています。

南海電車は大手私鉄の中では、運賃面では割高な部類に入る上に、南海本線だけでもロングシート通勤車で乗り通すには少々…と感じる距離がありますので、利用区間次第ではかなり利用価値があります。
(かなりの大回りを強いられますので余り利用者は居ないかと思いますが、徳島港~高野山間を移動する際の割引率などは、かなり高くなっています)

MAKIKYUはこの企画乗車船券があるからこそ、徳島~関西方面間で南海フェリー利用を選んだといっても過言ではない程ですが、南海電車では途中下車前途無効になる事と、南海電車の駅から徳島方向へ向かう際の「とくしま好きっぷ」購入可能駅が主要駅に限られてしまう点は要注意です。
(なんば・新今宮・天下茶屋・堺東・関西空港など比較的利用の多い駅からの設定となっており、普通(各停)のみ停車する駅からの発駅設定は少数(住吉大社・初芝など)です)

明石海峡大橋などの通行料金が高額な事も災いし、高速舞子(JR舞子駅隣接)からでも2000円は軽く超えるなど、運賃面では割高感が否めない関西各地~徳島間を運行する高速路線バスに比べて割安なのは大きなメリットです。
(青春18きっぷによるJR普通・快速列車利用でも、1回当たりの単価(2300円)は明石海峡大橋経由高速乗合バスより割安ですが、結構な大回りになる上に、大阪(なんば)~徳島(徳島駅)間の移動であれば、徳島駅~徳島港間の路線バス運賃(200円)を足したとしても、まだ運賃面で「好きっぷ」利用に軍配が上がります)

また明石海峡大橋経由の高速乗合バスは、大半が狭い4列席車での運行ですので、時間はかかっても広々とした空間でゆったりとくつろぎながら関西~徳島間を移動したいと感じる方にもおススメかと思いますし、南海電車~南海フェリー乗り継ぎルートは、移動選択肢の多様化と言う点でも注目の存在かと思います。

「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も関西各地~徳島間を移動する機会がありましたら、その選択肢の一つとして「好きっぷ」利用を検討されては如何でしょうか?

(お断り)この記事は南海電車(鉄道)・南海フェリー(船舶)の双方に跨る内容となりますが、当記事は先日取り上げた南海フェリーに関する記事の続編という事もあり、「船舶」扱いとさせて頂きます。


(追記)ブログ記事公開以後に南海電車の設定駅が拡大(加太・汐見橋など)され、現在では南海電車各駅~和歌山港経由~徳島港で利用可能となっています。
また南海電車では発売駅以外でも係員に申告する事で、和歌山港駅で発券できる便宜的措置も講じられている模様です。

(2017年1月)


関西と四国を結ぶ南海フェリー~架橋によって最速ルートからは外れたものの…

2013-11-08 | 船舶[日本国内]

夏に青春18きっぷなどを利用して各地へ遠出した事に加え、先月は休みの配列(MAKIKYUは仕事柄休日が一定していません)が余り思わしくなかった事から、珍しく余り遠出をしなかったMAKIKYUですが、9月は幾つか初乗船となる航路にも乗船しており、その一つが南海フェリーです。

南海フェリーは和歌山港(南海電車の和歌山港駅に直結)~徳島港(JR徳島駅までは市営バスで200円)を結ぶ航路で、フェリーですので旅客の乗船だけでなく、車両航走も行っています。

現在就航しているフェリーは「フェリーかつらぎ」「フェリーつるぎ」の2艘で、いずれも総トン数約2600t・全長は100mを超えており、長距離旅客航路などに用いられる船舶よりはやや小さいながらも、所要時間程度の航路で用いられるフェリーにしては大型の部類に入るかと思います。


MAKIKYUが9月に乗船した際には、フェリーかつらぎの方に当たり、お馴染みの「NANKAI」ロゴなどが掲出された船体を見ると、如何にも南海グループのフェリーである事を実感させられ、近年ではオリジナルキャラクターを起用し、船体にもこのキャラクターがデザインされているのも特徴です。


船内に足を踏み入れると、客席は一般客室とグリーン客室(要グリーン料金・利用客のみ船室内立入可)に分かれており、MAKIKYUは一般客室を利用したものでしたが、一般客室は船ならではの雑魚寝カーペット空間と、椅子席の双方が設けられています。


椅子席の方は、入港時などを除くと進行方向が一定と言う事もあってか、座席の回転機能こそ有しないものの、大半の座席はリクライニング機能付きとなっており、設備的には特急列車の普通車座席とほぼ同等レベル、昼間に2時間程度乗船するフェリーとしてはそこそこのグレードと感じたものでした。


椅子席では他にグループ向けの4人がけテーブル付き座席をはじめ、他社旅客航路では余り見かけない「ビジネスコーナー」と称する予備校の自習室を連想させる区画も存在しています。


この区画はデスクが1名ずつ仕切られているだけでなく、コンセント付きという事もあってか結構な人気がある様で、MAKIKYUが乗船した便は比較的空いているように見受けられたものの、この区画だけは全て埋まっている状況でした。

またMAKIKYUが乗船した日は、時折雨が強く降るなど、天候は余り思わしくない状況でしたので、外の眺めも思わしくなく、展望デッキでのんびりと潮風に吹かれて…という気分でなかったのは少々残念でした。

それでも比較的穏やかな海域を航行する事もあってか、船もさほど揺れず、比較的快適な2時間のクルージングと感じたもので、機会があればまた乗船しても…と感じたものでした。


マルエーフェリー・フェリーあけぼの~マリックスライン就航船とは様々な差異も…

2013-10-01 | 船舶[日本国内]

先日「MAKIKYUのページ」では、鹿児島~沖縄航路に就航しているマリックスラインの「クイーンコーラル8」に関して取り上げましたが、MAKIKYUが4月に同船に乗船した際には、途中下船制度を利用して徳之島(亀徳)で途中下船し、翌日の同航路に再乗船して最終寄港地・鹿児島新港を目指したものでした。

鹿児島~沖縄航路はマルエーフェリーとマリックスラインのフェリー各2艘が共同運航を行っており、それぞれ隔日運航、両者を合わせて毎日運航が確保されています。

そのためマリックスラインのフェリーを途中下船し、翌日のフェリーに再乗船するとなれば、ドッグ時などの変則ダイヤでもない限りは、マルエーフェリー運航便に当たる事になります。

マルエーフェリーでは現在、鹿児島~沖縄航路では「フェリーあけぼの」「フェリー波之上」の2艘が就航しており、後者は「三菱空気潤滑システム(MALS)」を採用した最新鋭の船ですので、できればこちらの方に…と感じたものでしたが、MAKIKYUの乗船日は残念ながら「フェリーあけぼの」の就航日でした。


しかしながら「フェリーあけぼの」も2008年就航開始の比較的新しいバリアフリー対応船、それも離島航路にしては破格の大型船です。

鹿児島~沖縄間を乗り通すと丸1日を要する事もあり、食堂やシャワー室も備えているなど、設備的にはかなり充実した部類に入りますが、鹿児島~沖縄航路で就航する4艘の中で唯一、2等寝台の設備がないのも特徴です。


徳之島(亀徳)からこの「フェリーあけぼの」に乗り込むと、まず案内所や売店などがあるエントランスホールにたどり着き、その後各等級の客室へ至る造りは、共同運航を行っているマリックスラインの「クイーンコーラル8」などと同様ですが、同航路に就航しているマリックスライン運航の「クイーンコーラル8」に比べると、やや地味な印象を受けたものです。


2等乗船券の途中下船後に再乗船する場合は、基本的には2等客室を利用する事になるのですが、この客室は長距離フェリーでは一般的なカーペットの大部屋ながらも、1人ずつ区画が区分された簡易パーティションが設けられている辺りは、新しいフェリーならではと感じます。


また途中下船後の再乗船でも、空席がある場合は差額精算で上級客室へのランクアップも可能で、案内所で2等洋室の空席を訪ねたら「有」との事でしたので、MAKIKYUは+2000円で2等洋室を利用したものでしたが、その際にはカーボン複写式の「船内発売乗船券」による差額料金券も発券されます。
(残念ながら下船時に回収となり、手元には乗船券の写真しかないのですが…)


2等洋室は窓なしながらも、JR寝台特急の開放室B寝台レベルの設備を+2000円で利用できますので、個人的には夜行利用で空席があるならば、多少の差額を払っても是非利用したいと感じたものですが、途中下船制度利用の場合は事前予約不可、当日の空席次第と言うのは少々惜しい限りです。


差額精算でランクアップした2等洋室に荷物を置いた後は、外がまだ明るい事もあり、しばらくはデッキなどに出て船旅ならではのゆったりとした一時を過ごしますが、乗船時は丁度雨上がりだった事もあり、虹が見られたものでした。


デッキの一部が木床となっている辺りも、南国を就航するフェリーらしくて好印象ですが、上部デッキは柵で仕切られて一般乗船客の立入不可となっている区画が多く、この点はマリックスラインの「クイーンコーラル8」に軍配が上がります。


そして日が暮れる頃には食堂の営業時間となり、それ以外の時間はフリースペースとして開放されている辺りは、マリックスラインと同様ですが、食堂のメニュー(マルエーフェリーはHPなどでの公開なし)は、マリックスラインに比べると品数の点で見劣りが否めません。

冷凍食品の自販機なども含め、随所に「米は、国産米 を 使 用」という標記が見られるのは、沖縄への往路に乗船したフェリーきかいや琉球エキスプレスなどと同様ですが、食堂に関してはもう少し健闘して欲しいと感じたものです。

しかしながらマルエーフェリーでは、HPでも最近になって船内食堂で沖縄そば(500円)の取り扱いを開始した旨が発表されており、マリックスラインの鶏飯などと同様に、手頃に堪能できるご当地メニューをもう少し早くから取り扱っていれば…と感じたものです。


また食堂の品揃えと言う点では、マリックスラインに比べると見劣りが否めないものの、食堂の空間自体は軽食コーナーと言った印象が否めなかったマリックスラインの「クイーンコーラル8」に比べると広くゆとりある空間と感じたものです。


食堂営業終了後に持参の弁当等で夕食を済ませた後は、外も真っ暗となり、景色を堪能するのも…という状況で、奄美大島・名瀬港の入出港時以外は船室で体を休め、翌朝の鹿児島到着を待つ事になります。

そして翌日目が覚めると既に船は錦江湾に差し掛かっており、まだ首都圏とは程遠い地に居ながらも、既に「帰ってきた」という心境になるのは、韓国旅行帰りの高速船から博多湾や福岡の街並みを眺めるのと似た気分で、奄美諸島や沖縄は「遠い」事を改めて実感させられます。
(鹿児島市内からは、同一県内の奄美大島・名瀬までの約380kmでもフェリーで丸半日、移動距離数4桁kmになる東京でも新幹線乗り継ぎで7時間程度、まして沖縄ともなれば奄美大島の倍程度の距離と時間を要しますので、その道程は海外旅行に匹敵するレベルです)

既に何度も足を運んだ事がある鹿児島市内に到着した後は、当日中に新幹線で博多、そして首都圏へと移動して無事帰還、記念すべき日本国内47都道府県訪問達成を果たした初の奄美・沖縄訪問は幕を閉じたものでした。

4月の奄美・沖縄旅行では雨天の日などもあり、まだ春先でも…と感じる程の南国特有の湿度や、陽射しのきつさを実感させられる事もありましたが、海況は安定しており、フェリーの欠航や大幅な遅延がなかっただけでなく、どの航海も快適な船旅を堪能できたのは、非常に良かったと感じています。

鹿児島~沖縄航路の途中下船制度も、途中の奄美諸島の島々に立ち寄れるだけでなく、旅程次第ではマルエー・マリックス2社のフェリーを乗り比べる事ができるのも魅力的と感じたもので、共同運航を行っている関係で基本的なスペックは類似しているものの、両者で色々差異が見受けられる点も興味深いと感じたものでした。

MAKIKYUの周囲では、MAKIKYUが奄美・沖縄から帰還した後に、千葉県内某所から某スターとやらで沖縄へ足を運んだという話も聞いているのですが、話を聞くと「安かろう悪かろう」の極みと感じ、いくら激安価格でも不要不急の旅行ではとても…と感じたものです。

私用で再び奄美・沖縄へ足を運ぶ機会があるならば、首都圏~鹿児島間のJR利用と組み合わせ、基本的に毎日就航しており、使用船舶の設備も充実している鹿児島~沖縄航路に再び乗船できる機会が…と感じたものです。

その様な機会が巡ってくるならば、今度はフェリー波之上かクイーンコーラルプラスのいずれか、もしくは両者の乗り比べができれば尚の事と感じますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も奄美・沖縄方面へ足を運ぶ機会がありましたら、是非マルエーフェリーかマリックスラインの利用を検討してみては如何でしょうか?

(追記)MAKIKYUの乗船時点では存在していた途中下船制度は2015年に廃止され、現在は途中の島々で一旦下船する際は乗船区間毎の乗船券購入が必要となっています。



マリックスライン・クイーンコーラル8(2)~船内と途中寄港地の様子

2013-09-10 | 船舶[日本国内]


先日「MAKIKYUのページ」で取り上げたマリックスラインの鹿児島~沖縄航路で活躍する「クイーンコーラル8」、乗船してタラップを上がるとエントランスホールにたどり着きます。


このエントランスホールには案内所があり、その脇には売店も設けられているのですが、案内所共々営業時間が限られており、概ね航海中はクローズとなっていますので要注意です。
(売店の利用だけでなく、途中下船制度を利用する場合の手続きなども、なるべく早めにした方が無難です)


そして案内所の前を通り、各等級の客室へ向かう事になりますが、MAKIKYUが利用した2等客室は、長距離フェリーならでなの四角い枕と毛布が用意された相部屋のカーペット室で、昼間に奄美諸島間を移動する程度なら充分なレベルですが、夜行航海で鹿児島発着となる場合は、個人的には空席があれば若干追加して上級客室を利用したいと感じます。
(クイーンコーラル8の場合は、他の鹿児島~沖縄航路就航船と異なり、2等洋室(最も割安な寝台)の設備が設けられていませんが、マルエーフェリー運航便を含む他3艘では、若干の追加でこの設備を利用する事ができます)


2等乗船券で乗船した場合、航海中はずっとこの2等船室で過ごす旅客も居るのですが、船室以外にも付帯設備が充実しており、ゆとりある空間の広さは船旅の大きな魅力、乗船日は天候に恵まれた事もあり、MAKIKYUは航海中の半分以上を上部デッキで過ごしていました。

南国の日差しの強さは半端ではなく、4月でもこのデッキで直射日光を長時間浴びると後で日焼けして皮膚が…という状況でしたが、穏やかな航海だった事もありここで思い思いの一時を過ごす旅客も多く、再び沖縄へ足を運ぶ機会があれば、またこの様な一時が堪能できれば…と感じます。

またMAKIKYUは途中の徳之島(亀徳)で途中下船し、翌日のマルエーフェリー便に乗船しているのですが、マルエーフェリー運航便の上部デッキの広さは「クイーンコーラル8」に比べると、見劣りが否めないと感じたものでした。

そして本部港を出航して1時間半もすると、沖縄本島最北端の辺戸岬の姿が見え、その脇を過ぎる頃には鹿児島県・与論島の姿も見えますので、与論島と沖縄の距離的な近さを感じる一方、本部乗船でも辺戸岬の脇を通るまで結構な時間を要し、まして那覇から乗船ともなれば…という有様は、沖縄本島の大きさを改めて実感させられます。

本部から2時間半程で与論島に到着、まだ昼前ながらも既に鹿児島県ですが、最終寄港地の鹿児島到着は翌日朝、鹿児島市と600km以上も離れていますので、鹿児島~沖縄航路に乗船すれば、鹿児島県の大きさを存分に感じる事ができます。


与論島周辺の海は、写真ではその凄さを存分にお伝えする事ができないのですが、奄美大島や沖縄本島の海と比べても、海の色は驚く程綺麗で、MAKIKYUも「こんな海を見るのは初めて」「日本にもこんな所があるのか…」などと感じたものでしたが、船内でも多数の乗客から歓喜の声が上がり、与論停泊中にはその姿をカメラに収めている乗客の姿が多数見受けられたものでした。

この与論島停泊中は丁度昼時と言う事もあり、営業時間の限られている食堂は丁度この停泊中が営業時間でしたので、乗船記念も兼ねて食堂にも足を運んでみました。


食堂自体は軽食コーナーといった趣で、少々手狭な印象があり、注文も自動販売機で食券を購入するシステムであるなど、決して豪華な印象ではありません。


しかしながらマリックスラインではこの食堂を「洋上レストラン」と称してメニューを写真入りで紹介し、HPでも取り上げているなど、限られた設備の中でも船旅の魅力を演出しようとしている姿勢は大いに評価できます。

食堂のメニューも一般的な食堂のメニューだけでなく、奄美名物の鶏飯(けいはん)や、鹿児島ならではの食材を用いた御膳なども取り揃えており、MAKIKYUは鶏飯を注文したものでした。


船内では厨房設備などが限られ、700円と言う価格設定もあり、鶏飯の味は残念ながら本場奄美大島の専門店に比べると…といった印象を受け、スープが濃い味で少なめと感じたものでしたが、マルエーフェリーの食堂ではメニューに鶏飯は見かけない状況でしたので、この様なメニューを取り揃えているだけでも大いに評価できると感じたものでした。

与論島を出航すると、しばらくは島の周りを取り囲むように美しい海が拡がる光景が続き、次の寄港地・沖永良部島(和泊)へ向かいますが、この途中ではダイヤ通りの航海であれば、鹿児島から沖縄へ向かう船ともすれ違います。

マルエーフェリーの鹿児島~沖縄航路就航便とすれ違う姿を目撃した後は、しばらく沖永良部島を眺めながらの航海となり、与論島から約2時間で沖永良部島・和泊港に入港となります。


沖永良部島は一応人口5桁、島の大きさや人口だけを見ると、東京の伊豆大島などよりも規模の大きい島ですが、観光客の多い島ではなく、本土と遠く離れた特異な立地もあってか、かなり鄙びた印象を受けたものです。

この沖永良部島を出航すると、2時間半程で途中下船地・徳之島(亀徳)到着となり、MAKIKYUは「クイーンコーラル8」をここで下船したものでしたが、乗船日は天候に恵まれ、海も穏やかだった事もあり、7時間以上の航海でも決して飽きる事はなく、絶好のクルーズを堪能できたと感じたものでした。


徳之島で途中下船した後は、翌日のマルエーフェリー運航便に乗船して鹿児島を目指したもので、丸1日徳之島で過ごす事となりました。

鹿児島~沖縄航路のマルエーフェリー運航便におけるクイーンコーラル8との差異や、徳之島関連の記事なども近日中に追加したいと思います。


マリックスライン・クイーンコーラル8(1)~共通乗船と途中下船制度も存在

2013-09-04 | 船舶[日本国内]

4月にMAKIKYUが沖縄へ足を運んだ際には、往路は奄美海運・フェリーきかいと、マルエーフェリー・琉球エキスプレスを乗り継いで足を運び、既に「MAKIKYUのページ」でも両船に関して取り上げていますが、鹿児島~沖縄間を鹿児島~奄美諸島間を結ぶ前者と、阪神~奄美諸島~沖縄間を結ぶ後者を乗り継いで移動する事例は、余り多くないと思います。

MAKIKYUがわざわざこんな乗り方をしたのは、鹿児島~沖縄間を往復で違う船を乗り比べたかったのに加え、奄美大島~沖縄間を夜行移動したかったのも大きな動機ですが、一般的には鹿児島~奄美諸島~沖縄間を毎日運航する航路を用いるところかと思います。

鹿児島~奄美諸島~沖縄間を毎日運航する航路は、琉球エキスプレスの運航も行っているマルエーフェリーに加え、マリックスラインも参入しています。

両社共に鹿児島~沖縄航路のフェリーは2艘存在し、通常はどちらか1社の便が出航したら、翌日は他方の便が出航する運航形態(ドッグ時などに変則運航となる事もあり)となっており、鹿児島~沖縄航路では共通乗船制度も存在します。

そのため運賃や設備などは、どの船に乗船しても大きな格差はないのですが、一部の船にしか存在しない客室なども存在していますので、特定の等級利用などに拘りのある方は要注意です。

また鹿児島~沖縄航路では共通乗船制度だけでなく、途中下船制度も存在しており、この制度を利用すれば鹿児島~沖縄間を移動する途中、寄港する奄美諸島の島々に立ち寄っても、通し運賃で乗船する事ができます。


しかしながら途中下船制度を利用する場合は、以下の制約がありますので、この制度を利用して奄美諸島への寄り道を検討している方は要注意です。

・2等客室限定
(それ以外の等級を利用するのは乗船後に空席がある場合のみで事前予約不可、また途中下船後の再乗船予約もできませんので、多客で各等級共に満席となる事もある最繁忙期の利用は、極力避けた方が賢明です)

・乗船券の有効期間は最終寄港地到着まで最大1週間
(基本的には欠航などが生じた場合の救済措置なし)

・途中下船後に再乗船できるのは鹿児島~沖縄航路のみ
(那覇~鹿児島間乗船券で名瀬途中下船した後、再乗船時に奄美海運の喜界島経由航路へ乗船するといった利用方法などは不可)

・船内で途中下船前に事前手続き、書類発行が必要
(JR普通乗車券における途中下車の様に、急に途中寄港地で降りたいと思い、下船時に乗船券を見せて途中下船するのは不可)

MAKIKYUも沖縄本島からの帰路、沖縄~鹿児島航路に乗船した際には、この途中下船制度を活用し、途中徳之島にも立ち寄ったものでしたが、その際徳之島まで乗船したのが、今日取り上げるマリックスラインの「クイーンコーラル8」です。


この船はマリックスラインが運航する2艘中の1艘で、もう1艘は「クイーンコーラルプラス」、2艘共に大きさや外観などは類似していますが、MAKIKYUが乗船した「クイーンコーラル8」は2等洋室(最も割安な寝台)の設備がなく、食堂のメニューも一部異なるなどの差異があります。

「クイーンコーラル8」は建造時期が「クイーンコーラルプラス」に比べると古く、鹿児島~沖縄航路で現在就航中の4艘では最古参となりますので、他の船に比べると若干見劣るする点もあるかと思います。

それでも小さくて古い喜界航路の「フェリーきかい」や、貨物輸送のウエイトが高く、客室設備が簡素化されたカジュアルフェリー「琉球エキスプレス」などに比べれば遥かに上等で、離島航路に就航するフェリーとしてはかなり上等な部類に入る船と感じたものでした。

ちなみに沖縄発の鹿児島航路は、起点は那覇港ですが、出航時刻が朝7時とかなり早い事や、沖縄本島は日本国内の離島の中では格段の大きさを誇り、南部の那覇から北部へ足を伸ばした後にまた那覇まで戻るのは結構な労力を要する事から、MAKIKYUは沖縄本島でも途中寄港地となる本部(Motobu)港から乗船しています。


本部港の出港は朝9時過ぎ、沖縄本島北部の中心都市・名護市の中心部を8時過ぎに出発する本部半島循環線の路線バスを利用すれば、丁度良い時間に本部港へ到着でき、朝も少しゆっくりできますので、沖縄本島へ足を運ぶ際、北部を廻る予定があれば、旅程次第では本部港で上下船した方が便利です。


この本部港での乗船時は、ターミナルとフェリー着岸場所はさほど離れておらず、まして国際航路でもありません(乗船時間・距離は国際航路に劣らない長丁場ですが…)ので、徒歩移動でも特に差し支えない気もするのですが、ご丁寧にもわざわざ移動用のバスが仕立てられていました。

このバスは小型車ながらも、マリックスラインのロゴが描かれた専用の観光車が仕立てられており、このバスでターミナル~フェリー間を移動した旅客は指の数にも…という状況でしたので、余りに上等過ぎる感を受けたものでした。


そしてフェリーに乗船する際には、フェリー備え付けの可動式タラップを利用してまず案内所の前へ、そして各等級の客室へと向かう事になりますが、奄美大島・名瀬港など一部寄港地ではボーディングブリッジが設けられており、その際はこの可動式タラップは跳ね上げられたままとなります。

タラップを上がり船内へ入ると、まもなく出航となり、MAKIKYUにとっては初上陸となった沖縄本島に別れを告げる事になりますが、船内や途中寄港地の様子などは、近日中に続編記事で取り上げたいと思います。


(追記)MAKIKYUの乗船時点では存在していた途中下船制度は2015年に廃止され、現在は途中の島々で一旦下船する際は乗船区間毎の乗船券購入が必要となっています。


九州郵船・ジェットフォイル「ヴィーナス」

2013-07-08 | 船舶[日本国内]

公式サイトへのリンクを取り扱っているリンク集(2)では、最近MAKIKYUの未乗事業者に「★」を付けて識別する改変を行っていますが、この取り組みを開始した後、「九州郵船」の社名脇から「★」マークを除去する闇更新を実施しており、もしかしたら「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、この事に気付かれた方も居られるかもしれません。

実際にMAKIKYUは先月、この九州郵船を利用する機会があったのですが、その際の目的地は長崎県の壱岐島で、九州郵船の旅客航路は福岡(博多)~壱岐~対馬(壱岐までの区間便もあり)と、唐津~壱岐の2航路を運航しています。

同じ長崎県の離島でも、五島方面は主に「九州商船」という事業者が運航しており、両者は社名も似ていますので、余所者には少々紛らわしいですが、こちらは専ら長崎港や佐世保港からの離島便を運航しています。
(博多からも「野母商船」という事業者が五島方面へのフェリーを運航していますので、少々紛らわしいのですが、九州商船で博多発着便はありません)

九州郵船と九州商船、九州本土から長崎県の離島へ向かう社名の紛らわしい2社は、共にフェリーだけでなく高速船(ジェットフォイル)も運航しています。

こんな話をすると更に紛らわしく感じる方も居られるかと思いますが、前者のジェットフォイルは「ヴィーナス」という愛称名が付けられており、博多を起点に壱岐までの区間便と、壱岐を経由して対馬まで向かう便の双方が運航されています。
(繁忙期などには、壱岐へ寄港せずに対馬直航となる場合もあります)


MAKIKYUが壱岐へ向かう往路には、このヴィーナスを利用したのですが、現在九州郵船のジェットフォイルは「ヴィーナス」「ヴィーナス2」の2艘があり、MAKIKYUが乗船したのはヴィーナスの方でした。


2艘とも装いは同様ですが、ヴィーナスは船体前部に「KAWASAKI JETFOIL F-009」と記されているのに対し、ヴィーナス2は「BOEING」と記されているのは大きな違いです。

個人的には川崎重工業ライセンス製造ではなく、ボーイング製でも929なら別に構わないのですが、ボーイングというと、つい先日も壱岐から数百km程度しか離れていない都市に拠点を置く某事業者が運航する777が、アメリカで一部旅客の死亡と言う重大事故を怠起しており、同じボーイング製でも700番台の機種は、出来ることなら極力利用したくないと感じます。

ちなみに博多港を発着する九州郵便の船は、ジェットフォイル・フェリー共に博多ふ頭(ベイサイドプレイス)を発着しており、JR九州高速船「BEETLE」など韓国行きの航路が発着する中央ふ頭(博多港国際ターミナル)とは場所が若干離れています。


両者は一応双方が見渡せる距離(写真は博多ふ頭から博多港国際ターミナルを見渡した様子です)ですが、路線バスも「博多ふ頭」行きと「中央ふ頭」行きを間違えてしまうと、両者間はシャトルバスの運行などもなく、少々面倒な事になりますので要注意です。
(徒歩でも15~20分程度を見込んでおけば、どうにかなる距離なのですが…)


博多ふ頭は先月初めて利用したものでしたが、ターミナルビルが第1・第2の2つあり、手前の第1ターミナルからは博多湾内など近距離の航路と高速船(ヴィーナス)、「壱岐 対馬 五島」という表記のある奥の第2ターミナルからは長距離フェリーが発着しており、ヴィーナス乗船の場合は要注意です。

そして博多港でヴィーナスの乗船券を購入、乗船すると程なく出航となりますが、ジェットフォイルに乗船して博多湾を航海するというのは、BEETLEやKOBEEに乗船して韓国へ旅行する時ばかりでしたので、海外旅行にでも行く様な錯覚を覚えます。

ただヴィーナスは国内航路と言うだけでなく、乗船時間も壱岐までは1時間強、対馬まででも2時間強と、福岡~釜山間約3時間のBEETLEなどに比べると乗船時間が短い事もあり、船内設備などは類似点も多いものの、今までに乗船したセブンアイランド(東海汽船)やぎんが(佐渡汽船)などと同様に、全体的に簡素な印象を受けます。


座席は特別席のないモノクラス、リクライニング機能はなく、1階席(青系統)と2階席(赤系統)でモケットが区分されているのが大きな特徴です。

有名な某デザイナーが絡み、ドーンと強烈な個性を放つJR九州グループの同型船などに比べると、全体的に機能重視で簡素な印象を受けます。


1階席後部に売店スペースが設けられているのも大きな特徴で、この点は海中生物衝突対策で売店撤去→ワゴン販売に切り替えたBEETLEが、売店撤去前は船室前方で売店営業を行っていたのとは対照的です。

またBEETLEでは改装を伴う売店撤去後、グリーン席として運用している1階前方区画も、モノクラスだけあって他区画と同じ座席が設置されており、この点はMAKIKYUが以前乗船した事がある東海汽船や佐渡汽船のジェットフォイルと同様です。


1階最前部区画は、東海汽船では前面窓ガラスを塞いでいるのですが、九州郵船では佐渡汽船と同様に前面展望が堪能できる「展望席」となっており、ヴィーナスは定員制になっているものの、座席指定制ではない為に任意の空席に着席する事ができます。

乗船時は時間帯の関係もあってか、比較的利用が少なく多数の空席がありましたので、MAKIKYUはこの展望席で壱岐までの1時間を過ごしたものでした。

乗船日は天候も決して良好とは言い難く、船体も多少揺れる可能性が…という案内もあったものの、さほどの揺れもなく1時間の航海はあっと言う間に過ぎ、壱岐入港となりますが、ヴィーナスでは1階・2階双方に出入口が設けられているものの、乗下船は博多・郷ノ浦共にBEETLE(出入口は1階のみに設置)などと同様に1階からとなります。
(東海汽船「セブンアイランド」では、乗下船は基本的に2階からとなっています)

壱岐では便によって郷ノ浦港と芦辺港に発着港が分かれていますので、特に壱岐から乗船する際などは、間違えて他方の港へ行ってしまう事がない様に注意が必要です。
(両者は10km以上離れており、路線バスでも30~40分程を要し、その運行便数も限られています)

ジェットフォイルに乗船しての壱岐初上陸は、博多からはかなり近いと感じましたが、一応小型プロペラ機による長崎空港発着の航空便は存在しているものの、直接長崎県本土との間を直結する旅客航路が存在しない事もあり、対馬と同様に長崎県と言うのが意外な印象を受けます。

壱岐の北に位置する対馬は、島の東脇を何度もジェットフォイルで通り過ぎており、姿は何度も見ているのですが、まだ未訪の地ですので、壱岐へ足を運んだら今度は対馬にも…と感じています。

そうなると個人的には更に北を目指したいと感じ、かなり大掛かりな旅行になります。

彼の地へは所要時間だけでなく、旅費の面でも福岡から直接向かった方が経済的で、MAKIKYUの手元にあるパスポートの日本出国・帰国スタンプは、過半数(更新前パスポートへの押印も含む)が「HAKATA」のスタンプという状況ですが、一度位は古の時代から続くルートを辿ると共に、長崎県からの出国(或いは長崎県への帰国)もしたいと感じています。
(ただ長崎県からの出国(或いは長崎県への帰国)も、大村市内某所の利用だけは、個人的には勘弁願いたいものです)

MAKIKYUの周囲には、ジェットフォイルでの海外渡航が可能な事を知らず、その話をしただけでも驚かれる事もしばしばで、知っていても利用した事が内という声が圧倒的多数なのは、少々残念な話なのですが…


マルエーフェリー・琉球エキスプレス~運航時間帯は至便なものの…

2013-06-21 | 船舶[日本国内]

MAKIKYUが4月に奄美・沖縄へ足を運んだ際には、鹿児島からのフェリー(奄美海運・フェリーきかい)に乗船して奄美大島・名瀬へ向かい、奄美大島を巡った後に沖縄へ向かったものでした。

奄美大島~沖縄本島間をフェリーで移動する場合、鹿児島~沖縄航路は基本的に毎日就航ですので、最もメジャーな方法になるのですが、この船は鹿児島~奄美大島・名瀬間で夜行運航となり、奄美諸島の島々に寄港する名瀬~沖縄本島(那覇)間では、上下便共に昼間時間帯の航海となります。

鹿児島~那覇間は片道1日強を要していますので、この鹿児島~沖縄航路で奄美大島~沖縄本島間を移動するとなれば、フェリー乗船だけで丸1日を費やす事になります。

本土から遠く離れた奄美諸島や沖縄の遠さを実感したり、足を運び難い奄美諸島の島々を眺めながらのクルージングを楽しみたい向きには、またとない航路ですが、限られた日程を有効に使いたい場合などには、非常に都合の悪い運航スケジュールですし、名瀬・那覇共にかなり早い時間(特に5時台出航となる名瀬発)となるのも、大きな難点です。

しかしながらこの鹿児島~沖縄航路以外にも、東京と大阪・神戸からそれぞれ沖縄本島へ向かう航路が就航しており、両航路も鹿児島~沖縄航路の一部便運航を行うマルエーフェリーが運航しています。

中には奄美大島に寄港せず、本土~那覇間直行となる便もあるのですが、東京航路の一部便と大阪・神戸航路の大半は奄美大島・名瀬港に寄港し、大阪・神戸発着便はその途中で徳之島・沖永良部島にも寄港する便が過半数を占めています。

両航路共に1艘ずつの運航で、おまけにどちらも国内フェリーの中では長距離航路として知られる存在ですので、運航日が月に6回程度の不規則運航となっているのが難点です。

ただ大阪・神戸航路は沖縄行の奄美大島寄港が21時台、沖縄発も16~18時台ですので、奄美大島~沖縄間を夜行移動でき、時間を有効に活用できる利点があります。

MAKIKYUはこの利点を生かし、大阪・神戸航路の運航日に合わせて旅程を組んだ程ですが、この航路で就航している船が「琉球エキスプレス」で、如何にも沖縄(琉球)へ向かう船と言うネーミングと感じます。
(ただ船名に「琉球」を冠しながらも、船籍は沖縄県内ではなく鹿児島県奄美市なのですが…)


「琉球エキスプレス」という名前を聞くと、結構豪華そうな船なのでは…と感じる方も居られるかもしれませんが、船体こそ6000tを越える大型フェリーながらも、貨物や車両の積載スペースが多く取られ、旅客定員は大型船の割には少なめとなっており、外見も見るからに貨物輸送重視のフェリーと言う風貌です。

おまけに大阪・神戸から奄美・沖縄ともなれば結構な長時間航海になるにも関わらず、食堂(レストラン)を設けていないなど、付帯設備を簡略化した「カジュアルフェリー」となっており、どちらかと言うと船旅を楽しむ雰囲気ではなく、貨物輸送のついでに旅客輸送も扱っているといった感があります。


客室も定員が限られるだけでなく、ベッドや個室の数が限られ、大半はカーペット大部屋の2等和室、名瀬からの乗船ではこれしか選択肢が…という状況でした。

そのため設備面では余り感心できる船ではありませんが、多数設置されている自動販売機類や、案内所の物販コーナーで最低限度の食料(カップラーメンやニチレイのホットメニュー、長期保存可能な菓子パンなど)は確保でき、シャワールームの設備もありますので、一部のJR夜行寝台列車(これが酷過ぎるだけですが…)などに比べれば、まだ許容範囲といった所です。


食堂が設けられていない事もあり、案内所近くに多数のテーブルやベンチなどが置かれ、フリースペースとなっているのですが、この空間に置かれた電子レンジ数の多さも、食堂などの設備がなく、弁当類などを持参する旅客が多い事を想定しているのでは…と感じたものです。

この様な船ですので、運航時間帯の良さを除くと利点は…と感じる所で、2等和室利用でも鹿児島~沖縄航路途中下船制度の適用対象外であるなど、鹿児島~奄美大島~沖縄を移動する際に利用するとなれば、運賃面でも割高になってしまう難点もあります。
(奄美大島・名瀬~沖縄本島・那覇間のみの利用であれば、どの航路でも同一等級であれば運賃は同一です)

おまけに沖縄本島・那覇の発着港が鹿児島~沖縄航路(那覇ふ頭)とは異なる那覇新港(東京~沖縄航路もこちらを発着)となり、那覇新港の利便性も非常に宜しくないという難点があります。

一応定時運航であれば、平日なら辛うじて那覇新港ターミナルのすぐそばにあるバス停(埠頭入口)から、那覇バス郊外線(101番)を利用する事もできるのですが、埠頭入口バス停を発着する路線はこの1系統のみしかなく、運行本数も少ない上に、休日は全便運休となります。

MAKIKYUが琉球エキスプレスを下船した日は平日で、一応那覇バス101系統の運行自体はあったのですが、到着が遅れた影響で乗車予定だったバスには乗れず、その後の便を待つとなれば相当な時間待つ羽目に…という有様でした。


那覇新港は本土からのフェリー発着港の一つで、沖縄の玄関口となるターミナルは、遠方から訪れた観光客の印象を大きく左右するのでは…と感じます。
(MAKIKYUの様に沖縄へ初めて足を運ぶ人物が、那覇新港を利用するケースもありますので…)

沖縄は「観光立県」として他県からの観光客受け入りにも力を入れている地域かと思いますので、人口30万人クラスの都市とは思えない程大規模な空港(那覇空港)だけでなく、フェリーで本土から足を運ぶ観光客の事も考慮し、旅客港の整備や利便性向上にももう少し…と感じてしまったものです。

琉球エキスプレスから下船した乗客も、迎えの車などがある場合を除くと、路線バス利用もままならない有様だけあり、殆どがタクシーに乗り換えて…という状況で、フェリー自体の設備面だけでなく、那覇新港の利便性と言う観点でも、船旅に不慣れな人物の利用は余り勧められないと感じてしまったものでした。
(MAKIKYUは結局那覇新港ターミナルから国道58号線と交わる交差点まで、延々と20分程度徒歩で移動する事になり、安謝橋バス停から東陽バスで那覇市内中心部へ移動したのですが、安謝橋バス停を発着する便は沖縄本島の4社各系統が頻発しており、こちらは時刻表要らずで利用できます)

琉球エキスプレスは奄美大島~沖縄本島を移動するには、運航時刻故に便利な存在であるだけに、船内設備は致し方ないにしても、鹿児島~沖縄航路に限定されている途中下船制度の適用対象に含めたり、交通利便性の悪過ぎる那覇新港のアクセスを改善(シャトルバスを運行するなど)するなど、もう少し利用しやすくなれば…と感じたものでした。

沖縄発着の貨客船は、近年有村産業の様に廃業となったり、貨物船に鞍替えして旅客輸送を中止する事業者も存在し、宮古島・石垣島など八重山方面はとんでもない状況になっている事を踏まえると、琉球エキスプレスで旅客輸送が行われているだけ良いのかもしれませんが…