明日JRグループ各社ではダイヤ改正を迎え、各地で都市圏輸送の更なる強化などが行われることが盛んに報じられていますので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方もご存知の方が多いかと思います。
今度のダイヤ改正ではその一方、永年運転されてきた列車の廃止や臨時列車への格下げなども行われ、東京~九州を結ぶ寝台特急の中で最後の1本になってしまった「はやぶさ・富士号」の列車設定廃止や、割安な運賃・料金で遠距離を移動できる事で青春18きっぷ利用者から根強い人気を誇る夜行快速列車「ムーンライトながら号」「ムーンライトえちご号」の臨時列車化(これに関しては今年春の青春18きっぷ通用期間中は毎日運転されますので、今年春に限ればさほどの実害はないのですが、今年夏以降の運転日設定が気になります)は盛んに報じられています。
これらの列車に関しては「MAKIKYUのページ」でも以前取り上げていますので、興味のある方は以前公開した記事も参照して頂ければ幸いですが、今度のダイヤ改正では首都圏を発着するこれらの超有名夜行列車だけでなく、岡山県の津山線を走る急行「つやま号」の廃止も一つの話題と言えます。
急行「つやま号」はかつて因美線と共に陰陽連絡ルートを形成していた頃に、岡山~鳥取間を直通運転していた急行「砂丘号」が、智頭急行線開業後に特急「いなば号」(現在は車両取替えで「スーパーいなば号」となっています)運転されるのに伴って廃止された代わりに設定された列車で、岡山~津山間で1往復だけ設定された列車です。
急行「砂丘号」廃止後も1往復の急行「つやま号」以外は普通列車というのでは利便性が大きく低下する上に、岡山~津山間はそれなりの需要がある事から、他に快速「ことぶき号」も設定され、この列車の運行も今日まで続いていますが、こちらも運行開始当初は一部指定席を設定していたのも思い出話です。
急行「つやま」号も運転開始当初は、急行「砂丘号」で使用していたキハ58系列の車両を用いており、この車両は独自塗装を纏うだけでなく、優等列車向けに車内設備が大幅に改善されており、グリーン車も連結されるなど、設備面では普通・快速列車との差別化が図られていました。
そのため停車駅や所要時間は快速「ことぶき号」と大差ない列車ながらも、急行列車として特別料金を徴収するのに相応しい存在と言え、その上津山~智頭間を普通列車扱いとして直通運転していましたので、辛うじて陰陽連絡列車とみなす事も出来る状況でしたので、明らかに快速「ことぶき号」とは別個の存在と感じるものでした。
しかし近年では老朽化でキハ58系列の運用離脱が相次ぎ、かつてJR非電化線区の過半数で嫌でも姿を見かけるほどの存在だったこの車両も、今やその姿を見かけただけで多大な注目を集める程の存在になっていますが、急行「砂丘号」用にグレードアップされた車両も古参車故に引退を余儀なくされています。
その後の急行「つやま号」は現在JRの非電化線区では最もありふれた存在とも言えるキハ40系列の車両が充当され、これもかつてJR北海道で運転されていた急行「宗谷号」などで使用されていたキハ400形と呼ばれる車両(MAKIKYUも一度だけ乗車した事がありますが、現在この車両は存在しておらず、一部が別用途に改造されて残存しています)や、ワンマン運転を行う事でも注目を集めたJR九州の特急「はやとの風号」(設備面は非常に特徴的ですが、ダイヤなどは特急と言うには疑問符が付く存在で、この列車の特急料金は急行料金よりも安価に設定されているとはいえ、優等列車としての速達性ではなく、設備面での付加価値である事を強く実感させられたものでした)の様に、優等列車向けに車内設備を改めた車両でも用いていれば良かったのですが、それは叶わずに普通・快速列車と同様のセミクロスシート(ドア付近などにロングシート有り)でつり革の姿も散見される車両での運転となっています。
そのため所要時間や設備面で快速「ことぶき号」と大差ないにも関わらず、1往復の急行「つやま号」だけが急行料金を別途必要とする状況になり、「青春18きっぷ」では乗車できないなど不便極まりなく、近年は列車設定意義自体が疑問視される状況でした。
これに対してJR西日本としては、急行「つやま号」にはキハ40系列でも快速「ことぶき号」で用いられている片運転台・両開きドアでワンマン運転設備も搭載したキハ47形ではなく、JR西日本では少数派の片運転台・片開きドアでデッキと客室が区分されたキハ48形(同形も現在はワンマン化改造でデッキを廃止した車両が多いですが…)をわざわざ山口から転属させて優先的に運用していますので、全くの無策ではなく、一応急行としての差別化を図っていたとも言えます。
(写真も1両目は快速「ことぶき号」などで用いられるキハ47形ですが、2両目はキハ48形です)
このキハ48形は近年更新工事も施工されている車両ですので、国鉄時代の急行列車などに比べれば…とも言えますが、設備面ではキハ47形と大差なく、山口からの車両転属も設備面の差別化という観点では「焼け石に水」と言っても過言ではなく、ボックスシート主体の座席は岡山地区の電化区間各線を走る普通列車用車両(最近は転換式クロスシート車に遭遇する頻度がかなり高い状況です)に比べても見劣りするのは否めない状況でした。
そのため今度のダイヤ改正で急行「つやま号」は、快速「ことぶき号」に統合される事になり、JR各線で定期運転される昼行の急行列車自体が消滅する事や、津山線から優等列車の姿が消える事を惜しむ声も聞かれますが、快速「ことぶき号」への統合は列車設定を実態に合致させて利用しやすくなるという観点では、個人的には大いに評価出来るものと感じています。
また快速「ことぶき号」への一本化で、わざわざ少数派のデッキ付き車両を優先運用する必要性もなくなると共に、急行料金徴収のためにわざわざ車掌を乗務させる必要もなくなり、ワンマン運転を行う事も容易になります(急行「つやま号」を置き換えたダイヤの列車が今度のダイヤ改正でワンマン運転の対象になるかは分かりませんが…)ので、運用面での合理化という観点でも一歩前進の感がありますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様は今度のダイヤ改正における『急行「つやま号」→快速「ことぶき号」への格下げと一本化』に関しては如何感じられているでしょうか?
写真はMAKIKYUが以前津山線の快速「ことぶき号」を利用した際に、途中駅ですれ違った急行「つやま号」です。
MAKIKYUは急行「つやま号」には乗車機会がなく列車設定廃止となりましたが、乗車した事がある方は、その際の乗車談などをコメント頂ければ幸いです。