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中国鉄路乗車記:N527次

2007-04-23 | 鉄道[中華人民共和国]

  

(この記事は列車乗車日に合わせた過去ログ投稿です)

4月23日、この日は朝早くに北京からの列車(1453次:別途乗車記有り)で江西省の省都・南昌に到着し、まずは站舎と一体になったホテル・南昌鉄路大酒店(Nanchang Railway Hotel)へ。

このホテルは一応3星級(中国ではホテルを星の数で格付けしており、3星級であれば日本のビジネスホテル以上の設備を備えています)だけあって英語も通用(MAKIKYUは英語が苦手な事もあり、中国人服務員の英語の問いかけに対して漢字筆談で応対する有様でしたが…)し、比較的高級な感じですが、ここで空き部屋の有無を尋ねると、単人房(シングルルーム)は「没有」(ない)とはいえ、双人房が食事なしとはいえ特価98元、アクセスも申し分なしという事で、早速宿泊を決定。

その後は南昌から上海(MAKIKYUはここから帰国するチケットを持っていましたので…)方向へ向かう列車のチケットを購入する為に乗車券売り場へ向かい、無事第2希望の翌日南昌発上海南行き普快(2136次)の硬臥を手配した後は、站近くの食堂で朝食に。

朝食はお粥と豆乳、饅頭に卵や漬物がついた典型的な中華風早餐(朝食)で5元とまあまあの値段(日本の感覚からすると激安ですが…)で、ここで時刻表と相談しながら何か面白そうな列車はないかと物色していましたが、選択肢として考えたのは近郊の慢車かN(管内)快速で南昌近郊へ出向く事で、前者は4月のダイヤ改正でローカル列車が激減した事もあって、妥当な時間帯に適当な列車がない事もあってあえなくボツに。

また後者は南昌を基点に稼動している動車組(中国で機関車が客車を牽引する列車ではなく、電車や気動車の様に自走する車両をこの様に呼称し、最近走り始めたCRH(和諧号)もこの一員ですが、この記事で以後触れる動車組はこれとは異なる気動車(両端に動力車が連結される動力集中方式)を示します)が存在しているらしい話を聞いた事があり、この車両には興味ありという事で充当される可能性のありそうな列車を手配する事にしますが、先程上海南行きの乗車券を購入する際に他の乗客が購入していた景徳鎮行きN快速は2階建て車両で発券されているのを確認し、これは絶対動車組ではない事が確定ですので当然却下します。

他に近郊へ向かう適当な列車にさほど遠くない所までという事で、西へ向かうN527次の軟座で途中の新余(Xinyu:中国の感覚では比較的近いとはいえ南昌からは160km程離れており、中国のスケールの違いを感じます)までの座席があるかをメモ(MAKIKYUは中国語会話が全くダメですので…)に記して尋ねると、既に軟座は売り切れなのか、それとも新余までの割り当てが存在しないのか分かりませんが、硬座ならあるという事なので、25元のN527次硬座乗車券を1枚購入。

その後は列車発車が11時過ぎという事もあり、10時半頃まで2路無軌電車(トロリーバス)で市内中心部に繰り出し、再び南昌站に戻りますが、入口の荷物検査(中国では火車站構内入場時に空港の如く荷物のX線検査を行っており結構面倒です)を終えて候車室(待合室:列車毎に指定された部屋があり、改札もこの部屋の指定場所だけに限られています)に入ると、程なく改札に。

改札を終えて站台(ホーム)に降りると、南昌站始発の列車だけあって既に入線しており、車両は期待通り白に赤と黄色の帯を巻いた動車組(25DT・中国の幾つかの鉄路局で少数が運用されており、地域毎に異なる塗装を纏っています)で、MAKIKYUがこの形式の車両に乗車するのは3度目でしたが、先頭を見ると本来の流線型をした専用動力車は故障したのか、DF4D(ディーゼル機関車)が連結されて編成美が乱れている事は惜しまれます。

列車発車まで少々時間がある事もあり、乗車前に編成を見渡すと客車は1~10号車までの10両、そして最後尾には発電車が1両と、中国にしては短距離列車(それでも終点までの所要時間は3時間半近いですが…)だけあって編成も短め(日本の感覚からするとこれでも長いですが…)です。

その内5号車と10号車の2両は軟座と硬座が各48名分ずつ(合計で定員96名)の軟硬座合造車(日本のJRで言うところの「クロハ」などに近い感じです)で、軟座の連結位置がバラけているのは不自然な気もしますが、後部の10号車は余り人気を感じなかった事や連結位置を考えると服務員用の車両という可能性が高く、またこの車両の軟座は見た限りでは2人掛けで足置きの付いた一方向きリクライニングシートと思われる座席が通路の両側に並んでおり、また軟硬座合造車でありながら形式名は何故かRZ25DTとなっていたのも気になります。

そして編成を一通り見回した後、指定された2号車の硬座車に向かうと、そこは既に他の乗客に占領されており、他の座席へたらい回しされますが、これは仲間同士で固まっていたくても、座席指定システムの関係で都合よく発券されない中国では良くある事で、この時は結局2回ほどたらい回しにされてから適当な空席に落ち着きます。

硬座車の車内は典型的な2+3列のボックス席が並び、車端部にはLEDの案内表示装置も取り付けられていましたが、比較的新しい車両だけあって天井のFRPが少々安っぽい感を受けるものの、内装も比較的綺麗な部類に入りますし、座席は硬座だけあって背もたれは直角、肘掛なしという相変わらず粗末な設備とはいえ、新空調料金が適用される列車だけあって座面も多少クッション性があり、大半が硬座の近距離列車だけあって乗車率は8割程度と混雑もさほどではない事もあり、居住性も決して悪い物ではありません。

列車は定刻に南昌を出発し、暫く街中を走った後は長閑な田園風景が主体となりますが、途中の幾つかの停車駅周辺などは小さいながらも市街地が広がり、また田園風景が広がるという繰り返しで、水田が広がる風景などは日本人にとっても違和感のないものですが、所々にある丘陵の斜面に見える土の色が随分赤っぽく、この点は異国にいる事を感じさせられます。

12時頃になると食堂車も連結していない短距離列車にも関わらず、南昌で調製した弁当を積み込んだのか服務員が弁当販売に廻っており、別に袋入りの漬物の様なものも付いて10元のこの弁当を買い求める乗客も散見されますが、売れ行きはあまり芳しくない様に見受けられます。

またこの頃には別の服務員が靴の中敷らしきものの実演販売を行いはじめ、こういった事は中国鉄路では良くある事ですが、耐久性を証明するためなのか商品見本を力ずくで踏みつけており、これは非常に五月蝿く大人気ない印象を受けます。

そして12時40分頃になると省都・南昌よりはずっと小さいものの、それなりの市街地が見えてくると今回の下車駅である新余(Xinyu)で、特に観光で有名な街ではありませんし、大都市という訳でもありませんので、日本人はあまり訪れないかと思いますし、この町の名前は聞いた事がないという方も多いかと思いますが、それでも一応100万人程度の人口を誇る様で、地方の田舎町とはいえ站前もそこそこ活気があり、ここで下車する乗客の姿も多数見受けられます。

列車はまだ暫く西を目指しますが、MAKIKYUは南昌から日帰りという事もあり、ここで下車する事にしますが、2面3線のホームがある新余站は4月23日現在停車する列車こそ設定されていないものの、近い内にCRH(和諧号)の一部が停車する様で、站舎側の1面1線のみはホームがかさ上げされています。

また新余では昼時で、また多少の停車時分が設定されている事もあって、站台で弁当(5元)のワゴン販売も行われており、MAKIKYUもこれを昼食に買い求めますが、N527次は短距離列車という事もあってか車内と同様にここでも弁当の売れ行きはあまり芳しくない様な感じでした。

こんな感じで江西省を走る動車組くずれ列車の2時間弱という旅はあっという間に終わり、帰路は新余からの始発列車も設定されておらず、当日購入であれば南昌までの乗車券は無座(立席)となる事はほぼ必須ですので、長途汽車(高速バス)で戻る事にしましたが、こちらは40分毎で日没頃まで運行されているものの、運賃は中型の豪華バス(現代AEROTOWN・韓国メーカーの車両で、この車両はリクライニングシート装備とはいえ、本家韓国では一般路線で使われるクラスの車両です)で50元とN527次硬座の丁度倍額、所要時間も列車とほぼ同等で汽車站(バスターミナル)は街外れに移転(新余火車站~新長途汽車站間はミニバスが頻発し、アクセスは確保されていますが…)している事等を考えると、本数や座席の有無を別とすれば列車の方が優位な間を受けます。

ちなみにこの列車の乗車翌日に南昌から2136次列車に乗車した際、車庫の中で少々色褪せた感じの流線型動力車が4両(本来であれば動力車が両端に連結されますので、2編成分)放置状態となっている姿を目撃していますので、動力車は永らく使われておらず、中間の客車だけを使用している状況が続いている様で、この点は惜しまれますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も江西省方面へ行かれる機会がありましたら、比較的座席も容易に確保できる列車ですし、少数派の動車組客車に乗車できるこの列車に乗車されてみては如何でしょうか?

写真は南昌站で発車待ちのN527次とそのサボ、MAKIKYUが下車した新余站の站舎です。


中国鉄路乗車記:1453次

2007-04-22 | 鉄道[中華人民共和国]

 

(この記事は列車乗車日に合わせた過去ログ投稿です)

MAKIKYUは4月19日、まだ本格運行を開始して2日目の新幹線E2系ベースの新型動車組・CRH2(和諧号)で青島(四方)から北京入りし、その日は到着が遅い(23時過ぎ)事もあって駅前の客引き案内に連れられて宿へ向かう有様でしたが、その翌日(20日)には北京站の乗車券売り場に並び、北京を出る列車の乗車券を購入に…
(ちなみにCRH2を取り上げた記事(ここをクリック)と、その乗車記(こちらをクリック)も以前公開していますので、興味のある方はこちらもご覧頂けると幸いです)

この際の条件としては、滞在日数の関係(中国の大陸本土は広大ですが、観光目的でノービザ入国した場合は滞在期間が15日しかありません)などもあって、上海を28日に出港する新鑑真号(上海~神戸・大阪間を結ぶフェリーです)の乗船券を既に日本出国前に手配しており、これに間に合わせる事がまず第一なのですが、上海へ直接向かうのでは物足りなく、その手前の南京へ向かう列車には以前乗車した事がある事や、何処か行った事がない所へも足を伸ばそうという事で、未訪問の幾つかの都市へ向かう列車の空席を尋ねたメモを係員へ。
(MAKIKYUは中国語が全く話せませんが、それでも漢字は通用するので心強いです)

最初は蘭州や西安といった西方へ向かう列車の空席を尋ねたのですが、お目当ての硬臥(3段寝台:料金もそこそこで、MAKIKYUが動車組を除く中国鉄路車両の中で最も気に入っている車両です)はどれも「没有」(ない)という返事ばかり。

それならという事で、上海へも比較的容易に抜けられ、また未乗車の京九線乗車を存分に堪能できるという事で、22日北京西站発の江西省の省都・南昌へ向かう列車の空席を訪ねると、第一希望の1625次(南昌より更に南まで行く列車で、通称緑皮車と呼ばれる旧型の非空調車が充当されます)は料金が安い事もあってか人気がある様で、硬臥・軟臥(2段寝台:料金は高いですが、新空調料金が適用されない列車の場合は、新空調の硬臥と大差ない料金で乗車できます)共に「没有」、係員はT167次を勧めて来ましたが、この列車はMAKIKYUが以前乗車した事がある京広線(武昌)経由の夕発朝着で面白みがなく走行距離の関係で料金も割高な上に、特快という事もあって所要時間が短く、寝台列車の旅を楽しむには物足りない(所要15時間44分)事もあり、MAKIKYUはすかさず「1453次」と書いたメモを係員に。

すると1453次は京九線を南下するため運行距離こそ特快より短いものの、普快という下位種別だけあって運行時間帯(北京西発11時40分)や所要時間(18時間5分)の面で特快より劣り、また新型空調車を使用していて料金的にもさほど割安感がない事もあり、この様な列車を敢えて指名買いする様な人間は酔狂で余り人気がないのか、あっさりと無事購入に成功、これで北京脱出の日程が確定する事に。
(この乗車券の購入後、北京在住の日本人某氏に乗車券を見せたら呆れていましたが…)

そして北京に滞在した後に乗車日(22日)を迎えますが、この日は朝に豊台西という北京市郊外へ向かう列車に乗車(往路列車・復路市内公交汽車(路線バス)利用)しており、その後少々時間を潰して列車乗車ですが、列車の基点となる北京西站は異様に大きな駅舎が特徴的で、社会主義国である中華人民共和国の威信をかけて作った首都の站という感がありますが、何もここまでしなくても…と感じさせられる代物です。
(しかも建物上部の飾り?などは、どの程度有効に活用されているのかも未知数ですし…)

セキュリティチェックを済ませて駅舎内に入り、改札を済ませて站台(ホーム)に降りると既に列車は停車しており、これからいよいよ1449km・18時間5分にわたる火車旅がはじまりますが、1453次は典型的なオレンジ色の25G型と呼ばれる客車で、車両標記や乗務員のバッチなどで南昌局の列車だと分かり、そして隣のホームには余り見慣れない感じの白とブルーの客車が停車していて目を引きますが、こちらは安慶(安徽省)から到着したばかりの列車です。

指定された3号車の硬臥(YW25G 673186)に乗り込むと、車内には如何にも中国を連想させられる音楽が流れており、程なく服務員が乗車券と換車票(引換証:中国鉄路の寝台車では乗車後、下車する直前まで服務員が乗車券を預かります)を引き換えますが、この列車の換車票はカードサイズで、これだと保管も比較的容易で乗車券返却時にも折り目がつく事がありませんので、MAKIKYUとしてはこの方がお気に入りです。
(列車によっては小さな金属片の換車票を用いている場合もあり、この方が味があって良いという方もいますが…)

これは他の列車でもよく行われているサービスで評価できるものと思いますが、11時40分の発車時間になると列車はゆっくりと北京西站を出発、新型動車組のスピーディーな旅も悪くないですが、ゆったりとした空気が流れる寝台列車の旅もまた格別です。

列車は10分程走ると車窓も郊外の風景に変わり、更に10分程走るともう農村の風景ですが、北京周辺では幾つも他の線路と交差する様子が視察でき、線路が複雑に入り組んでいる事を嫌でも実感させられます。

1時間ほど走ると最初の停車站・霸州で、京九線は京広線のバイパス路線として近年作られた比較的新しい路線という事もあって、設備は整っているもののどうも味気なく、また複線とはいえ非電化ですれ違う列車もさほど多くない上に、沿線にも大都市は少ない事から割合長閑な印象を受けます。

この頃には丁度昼食時という事もあって、この頃に食堂車で調整した車内での弁当販売(15元)ワゴンが回ってきますが、この時はまだパスしておきます。

というのも、その後13時30分頃にMAKIKYUは車内視察に出向くのですが、中国鉄路の列車は寝台系と硬座車で、客層などを考えてか車内販売弁当の値段に価格差を設けている事が多く、この列車でもMAKIKYUの予想通り硬座車内での販売分は10元と5元程安くなっていましたので、硬座車視察から戻る際にすれ違った弁当販売からすかさず購入、内容は容器がご飯とおかずの2つに分かれており、おかずはピリ辛に味付けされた野菜炒めとピーマンと肉の炒め、ハム一枚に程よく塩味のついたゆで卵が1個で味は全体的に悪くなく、ゆで卵は殻つきながらも2つに割っていないのは評価できる点です。

また車内を視察した時の様子ですが、編成は前から順に1号車が行李(荷物)車、2~6号車が硬臥車、7号車が軟臥車、8号車が餐車(食堂車)、9~17号車(16号車は欠番)が硬座車、最後尾の18号車が発電車で、停車駅の多い下位種別の普快で短距離乗車が多いのか、編成は客車の半数程度を硬座車が占める状況となっていました。

硬座車は車両によって無座(立席)の乗客も若干見受けられるものの、全体としては3分の2程度の乗車率でさほど込み合っておらず、短時間の乗車であれば割合快適に過ごせそうな感じで、MAKIKYUが乗車している硬臥の車内も先ほど触れた所要時間や料金の事もあってか、見た所では半数弱が空いている様な感じでした。

車内視察を終えた後は単調な農村風景が果てしなく続く事もあり、指定された寝台でゴロゴロしている間に睡魔に襲われてしばらく昼寝ですが、硬臥は中段だと横になりながら車窓を眺める事ができ(上段は窓がありません)、また昼間も邪魔される事がない(下段は昼間座席としても使われます)ので、MAKIKYUとしては最もお気に入りのポジションです。
(ちなみに余談ですが、中国の寝台車は若干ですが下段が最も高い料金設定で、上に行くにつれて安くなります)

そして昼寝から目覚め夕方になると、相変わらず単調な農村風景が果てしなく広がり、中国の広大さを感じると共に、乾いた風景から水田主体の風景へと移り変わり、南下している事を実感させられます。

18時過ぎに停車した小站では貨物列車の退避などもあって15分程停車、他の停車時間が長い站では硬座車のみで客扱いを行い、硬臥車の扉は締め切りだった事もあり、ようやく先頭に連結された機関車の姿を拝みながら記念撮影が出来ますが、日没が近い時間だけあって暗くなってしまい、また小站だけあって食事時の時間帯にも関わらず弁当売りなどの姿も見られない有様です。

19時頃になると外は暗くなって車窓を楽しむ事は殆ど出来なくなり、北京で乗車前に調達しておいた方便面(カップラーメン:お湯は車内で調達できます)を夕食としますが、夕食を終えた頃には相席の中国人から話しかけられ、中国語が理解できないMAKIKYUは漢字で外国人旅行者である事を知らせると相手方は南昌人(南昌出身・在住者)との事で、その南昌人とのやり取りをはじめ、外国人が乗り合わせる事は珍しいのか周囲に居た他の乗客とも漢字による筆談でのやり取りとなり、22時の消灯時間(硬臥車のみ夜間帯は一斉消灯となります)までの間ずっと筆談、消灯後はもうやる事がないので翌日に備えて就寝です。

列車内に居合わせた乗客と漢字による筆談となる事は中国ではよくある事で、中国語が全く話せないにも関わらず漢字が使える事を奇妙に思う中国人も中には居ますが、中国語の知識が殆どなくても「可半分・不知半分」といった感じで筆談も半分程度は通用し、中国では英語(通用場所はある程度限られます)よりも容易に意思疎通が出来ますので、漢字の偉大さと東アジアにおける便利さ(中国だけでなく、韓国などでも漢字はある程度通用します)を感じさせられます。

中にはMAKIKYUが個人で中国を旅行している姿を見て、相手方が日本を個人で旅行できるか尋ねられる事などもあり、これは日本人はノービザで中国を個人旅行できる程の状況で、香港在住者などは日本を個人でも比較的容易に旅行できるものの、大陸本土在住者は原則として個人では日本を旅行できず、制約の多い団体旅行に限られる事などを漢字を並べて説明すると、残念がる人も居る一方で「不公平」との回答もあり、その通りなので頷くと共に、この様な所でも日中間はまだまだ大きな格差がある事を再認識させられます。

そして翌日(23日)は5時半前に目覚め、外はうっすらと明るい感じですが、定刻では5時46分に終点南昌到着であるにも関わらず、まだ街中の景色ではない事は列車が少々遅れている模様。

1453次は南昌到着時刻が少々早過ぎる気もしますので、むしろ多少の晩点(遅延)が生じてくれた方が車内でゆっくり過ごせて有難い位ですが、大幅に遅れている訳ではないので服務員も換車票の回収と切符の返却に回っており、程なくテープと思われる終点到着の放送(中国語の分からないMAKIKYUは、「南昌到了」位しか聞き取れませんが…)が流れ、列車が市街地を走るようになると終点南昌到着、所定より約20分遅れて6時過ぎの到着は丁度良い位で、意外と短く、もっと乗っていてもと感じる18時間少々の寝台列車の旅はフィナーレを迎えます。

南昌到着後のMAKIKYUの行動に関しては、N527次乗車記(4月23日扱いの過去ログ投稿記事)にありますので、興味のある方はこちらも合わせてご覧頂けると幸いです。

写真は夕暮れ時の1453次列車と、始発の北京西站です。


中国鉄路乗車記:D56次(新型動車組CRH:和諧号)

2007-04-19 | 鉄道[中華人民共和国]

 

(この記事は列車乗車日に合わせた過去ログ投稿です)

中国鉄路(国鉄)では4月18日に大規模なダイヤ改正が行われ、CRH(和諧号)と呼ばれる新型動車組を使用した高速列車が本格営業運行を開始しましたが、MAKIKYUはこの日に韓国(仁川)から威東フェリーで青島に入った事もあり、青島港(ここは日本(下関)からのフェリーも発着していますが、港のターミナル内に銀行や両替所は見当たらず、また近辺に両替可能な銀行があるか否かも怪しいですので、初めて中国を訪問される方などで人民元の持ち合わせがない方は要注意です)に到着した後すぐに近くの海員バス停から市内公交汽車(路線バス)で四方站(現在青島站は工事中で閉鎖されています)へ運行開始したばかりの和諧号乗車券を購入に出向き、中国語を全く解さないMAKIKYUは乗車券発売窓口で「明天 D56次 四方→北京 1張」と記したメモを係員に渡すと、2号車96号席(2等座・273元)の乗車券があっさりと発券され、それまでの間青島市内を行動する事に。
(その間には7060次というローカル列車にも乗車し、その乗車記も掲載していますので、興味のある方はこちらもご覧下さい)

そして19日夕方、いよいよCRH(和諧号)乗車の為に再び四方站に出向くのですが、この站は青島站が工事中で閉鎖されている間の仮ターミナルという事もあってか站舎などは非常に粗末で、随所に見られるCRHの標識がなければとても斬新な高速列車が発着する站とは思えません。

駅構内のトイレなども呆れるほどの状況でしたが、四方站へのアクセスも青島站周辺からは5路の無軌電車(トロリ-バス・1元)で30分近くかかる有様ですので、早く青島站の工事が完了してこんな貧弱で粗末な仮設の站(一応四方站自体は青島站の工事前から存在している様ですが…)を使わなくても済む事を願いたいものです。

ちなみにMAKIKYUが乗車するD56次列車は四方站を17時33分に出発し、ダイヤ上はノンストップで北京に23時10分に到着するダイヤとなっていますが、この列車の前運用となるD55次は四方に17時13分到着で、その上到着後に車内整備を行う事もあって、検票(改札)開始は17時20分頃まで待たされます。

この時間は5分後の38分に済南行(D614次)のCRH(和詣号)が出発する事もあって双方の乗客で改札付近は混雑しており、検票開始から列車発車までの時間が比較的短い事もあって、站務員は改札を空ける前(中国は人が多過ぎる上に鉄道は設備的に追いついていない状況という事もあって、站構内での雑踏による混乱などを避けるために改札は列車毎に行っており、列車の入線・出発直前まで站ホーム内に入る事は出来ません)に乗車券に入鋏(新幹線に自動改札ではなくこの有様は、現代日本では考えられませんが…)を行う状況でしたが、改札前に押し寄せる人民の騒がしさは半端ではなく、改札が始まると列車の座席は指定されているにも関わらず、物凄い勢いで殺到していく有様は中国ならではといった所です。
(これは一般的に人民の荷物は多過ぎる感があり、荷物置場を確保する必要がある事も要因かもしれませんが…)

改札を入ると站舎側の1站台(ホーム)には既に北京行D56次、反対側の2站台に済南行D614次の真新しいCRH2が停車しており、運行開始したばかりの新型車両・それも中国人民憧れの正真正銘新幹線という事もあって、ホームでは記念に写真撮影する姿もちらほらと見かけますが、日本で新型列車が運行されたばかりの状況と比較すると随分静かなものです。

ただ四方站は仮ターミナルとはいえ、2面3線しかないホームは多数の列車が発着する山東省の大都市・青島の拠点站として設備的に余りに貧弱で、内外共に余りに貧弱な有様は停車している新型動車組とは余りにアンバランスに感じてしまいますが、現にこの貧弱な設備が仇となって青島発着の一部列車は四方站よりも更に城区とのアクセスが悪いカン口站発着となっている状況ですし、某中国鉄HPで四方站に関して騒がれるのもこれなら納得が行くと感じてしまいます。

17時33分には反対側站台に停車している済南行CRHを眺めながら、内外共に貧弱な四方站を定刻に出発しますが、中国では一応列車の発車5分前に検票停止となる事もあって、列車のドアは発車の2分程前に既に閉まる有様で、この時には中国の地鉄を連想させられる「ピピピピ…」というドアチャイムが鳴っていましたが、中国では良くある事で、発車間際まで写真撮影などに興じていると列車に乗り遅れる可能性がありますので要注意です。

そして列車が走り始めると程なく近くの乗客の手機(携帯電話)が鳴るのですが、これがドラえもんの「こんなこといいな…」で始まる日本語の歌詞入り着メロという有様で、車内や乗客(見た目)の雰囲気も日本と余り変わりませんので、これではまるで日本国内を旅行しているかの如く錯覚させられますが、車窓に目をやると景色は日本とは異なり、またすれ違う列車も2階建て新幹線MAXや秋田新幹線こまちなどといった東北・上越・長野新幹線で活躍する車両群ではなく、オレンジ色のディーゼル機関車DF4が緑色に黄色帯びの空調なし旧型客車(通称:緑皮車)を牽引する姿を見ると、日本とは遠く離れた大陸にいる事を実感させられます。

ゆっくりと10分程走ると列車はカン口站に運転停車し、反対側のホームで設備の貧弱な四方站の着線容量を超えている為にカン口始発となっている丹東行の緑皮車が停車して、この列車に乗客が乗り込んでいる姿も見られますが、この様な列車と新幹線車両が同じ線路を走るという事は、新幹線と在来線で軌道幅が異なるために山形や秋田に新幹線を通す際には在来線の大掛かりな改軌工事を行い、その区間は専用車両のみを運用する日本の状況から見ると羨ましく感じると共に、遂に広大な悠久の大陸を新幹線が走り始めた事を実感させられます。

またカン口では約8分程停車し、この間には四方站を5分後に出発した済南行D614次の通過待ちも行われますが、済南行は途中で幾つかの停車站があり、その内の1站ではD56次に通過追い抜きされますので、D56次を将来的にをカン口に停車させる事でも考えているのでなければ、済南行列車を先発させてその後に北京行D56次を出発させればと感じてしまい、これは少々理解に苦しむダイヤです。
(この様な運行形態がこの日だけのイレギュラーなダイヤであれば、話は別ですが…)

53分頃にカン口を出発すると、列車は高速列車らしく速度を上げて快調に飛ばし始め、程なく聞き慣れないチャイムと共に「四方、北京…」と車内放送らしき音声が流れ出しますが、この列車では係員が扱いに慣れていないのか程なく音声は途切れ、後は北京到着まで服務員が何かをアナウンス(中国語を解さないMAKIKYUとしては、何を言っているか全く理解できません)している程度でした。

18時前には城陽を通過し、ここで昨日乗車した7060次(詳しくは4月18日の記事を参照)を通過追い抜きすると程なく車窓には青島機場(空港)と航空機の姿が見えますが、その後は青島の市街地から外れ、車窓は果てしなく続く様な印象を受ける広大な農村風景に変わります。

18時5分頃には即墨を通過、すると程なく藍村方面へ向かう線路から分岐して高密へ向かう高速新線の様な線路(一般の客車列車も走ります)に入りますが、するとこの高速列車の本領発揮で、17分頃にはあっという間に高密を通過。

その後は在来の線路に合流している様な感じでしたが、平坦で線形が良い事もあって列車はひたすら農村風景の中を飛ばしており、それなりの街らしき景色が見えてくると程なく濰坊、40分頃にこの站を通過しますが、ここでカン口で通過追い抜きしていった停車中のD614次列車を追い抜き、その後何本かの客車列車や貨物列車とすれ違いますが、19時過ぎには外も暗くなり、車窓も楽しめなくなります。

暫くすると済南の街明かりが見えてきて、済南は山東省の省都だけあって街の規模もそれなりに大きく感じられますが、19時50分頃には列車の速度が落ちて済南東站通過も確認し、その後も10分程度は他の路線との分岐・合流なども相次ぐ事がありゆっくりと走ります。

20時過ぎに済南の中心部を抜けると、列車は再び加速し一路北京を目指しますが、外は真っ暗で車窓を楽しめる状況でもないという事で、車内を巡回して様子を視察に行きますが、8両編成の列車は7号車が1等座と呼ばれるグリーン車相当の2+2配列座席で他の車両は2+3配列の2等座ですが、2等座の中でも5号車だけは半室程度が併食設備となっており、これはCRH2のベースとなっている新幹線E2系との大きな違いになっています。

ここは4人分の椅子が備えられたテーブルが4脚(計16人分)と、飲食物などが販売できるようにカウンターが設けられており、カウンターにはコーヒーメーカーらしきものも設置されていますが、一般の長距離客車列車の様に1両丸ごとが食堂車という訳ではありませんので、調理スペースと言える程の空間は設けられておらず、そのため車内販売の弁当(服務員の食事も兼ねています)もCRHでは発車前に既に調理したおかずなどをプラスチック製の保温容器で運び入れ、盛り付けのみを車内で行っている様で、併食空間のカウンター脇通路にプラスチック製の保温容器が何個も転がっている状況でした。
(ちなみに中国の一般的な長距離列車では食堂車で調製したものをカートなどに搭載して車内販売を行っており、この状況は味気ないという声も聞かれる様ですが…)

ちなみにMAKIKYUがこの併食空間を視察した時には一般乗客への弁当販売が終わった後で、服務員が自分達の夕食(?)である弁当の盛り付けを行っており、プラスチック製の保温容器に入ったおかずを容器に盛り付けている姿が見られ、この弁当の内容は見た限りでは一般乗客へ販売しているものと同様の様でしたが、弁当自体も1つの容器内に幾つかの仕切りが設けられてご飯とおかずが分かれて盛り付けられており、これは中国鉄路の車内販売弁当では異例かもしれません。
(中国の列車内で販売される弁当は、MAKIKYUが知っている限りでは大抵がご飯の上におかずを載せたぶっかけ飯スタイルか、或いはご飯とおかずの2容器のいずれかです)

またこの時には服務員(中国では基本的に各車両毎に服務員が乗車しており、乗車口で切符の確認などを行うほか、また別で車内販売要員や乗警なども乗り込んでいますので、日本の感覚では考えられない話ですが、8両編成のこの列車でも乗務員の人数は2桁になります)が併食空間で弁当を食べながらくつろいでいる姿を目撃していますが、併食空間のテーブルがこんな使われ方をされる位ならば、ここも一般座席にして乗車定員を増やした方が良さそうに感じてしまいます。
(本来であればここで軽食などを提供し、乗客が気兼ねなく寛げる空間とするのが理想的ですが…)

その後は一旦自席に戻りますが、車内を巡回している間に多数の空席を見つけ、また指定座席付近は座席がほぼ埋まっている状況でしたので、列車も北京までノンストップで途中乗車もない事ですので、多数の空席がある所に移動しましたが、これは座席販売方法に問題がある様で、同一列車内にほぼ満席の号車とがら空きの号車が存在する状況は何とか改善して欲しい物と感じます。

座席を移動した後は、乗車前に買い込んでいた方便面や菓子パンなどで夕食としますが、その後は睡魔が襲ってきて2時間ほどウトウトと…

すると目が醒めた頃にはもうまもなく北京到着という状況で車内も降車準備で騒がしくなっており、車窓も首都・北京の街明かりが見える状況ですが、列車は23時7分・所定時刻より3分程早く終点の北京站に到着し、青島(四方站)から乗車した883kmのCRH(和諧号)乗車もピリオドを迎えます。

ちなみにこの四方~北京間の距離は日本の東京~広島間とほぼ同程度で、これだけの距離を5時間30分強で走るというのは、全線が在来線と別個の高速列車専用軌道が確保されている日本の新幹線から見ると遅い(東京~広島間は、新幹線のぞみ号で約4時間)ですが、標準軌(軌道幅1435mm)とはいえ在来列車(それも鈍足の客車列車や貨物列車が多数)も走る路線を走る列車にしては破格の部類に入ります。

これは4月18日のダイヤ改正以前は最速の特快(客車列車)でも7時間以上かけて走り、北京~青島間で夜を越さずに走る列車が片道しか設定されていなかった事を考えると大きな進歩ですし、この列車の運賃は2等座で273元(同じ区間の特快硬臥(寝台車)よりも高いです)と中国の物価を考えると決して安くないとはいえ、車両の居住性や速達性を考えるとそれに見合う内容で、居住性や速達性だけを見る限りでは、中国も鉄道先進国の仲間入りといって良いレベルなのではと感じる程です。

ただ中国鉄路もこれだけの列車を走らせるまでに至ったとはいえ、乗車券発売方法や改札、車内服務員の勤務状況や車内設備の活用(併食空間)などにはまだまだ問題がありますので、今後中国鉄路が他の鉄道先進国と呼ばれる国々の鉄道に肩を並べる為には、ソフト面ではまだまだといった感がありますので、今後はこれらの問題を改善して行くと共に、広大な悠久の大陸を走り始めた新幹線の今後の末永い活躍に期待したいものです。

写真は四方站停車中のD56次列車と、青島の内外共に脆弱な状況の仮ターミナル・四方站です。

CRH2の車両に関しましては別記事を設けていますので、興味のある方はこちらも合わせてご覧下さい。

またMAKIKYUはこのD56次以外にも、上海→蘇州間(南京行)でもう一度CRH(和諧号)に乗車していますが、こちらは乗車時間が30分と短い事もあり乗車記は省略させて頂きます。
(この区間のCRHに関して何か気になる事などがありましたら、コメント欄にどうぞ)


中国鉄路乗車記:7060次

2007-04-18 | 鉄道[中華人民共和国]

(この記事は列車乗車日に合わせた過去ログ投稿です)

4月18日は中国鉄路のダイヤ大改正が行われ、CRH(和諧号)と呼ばれる新型動力組(EMU)を用いた高速列車が本格営業を開始する日でもありましたが、MAKIKYUはこの日に韓国から威東フェリーで青島へ入国し、その足で青島港から高速列車の発着する四方站(現在青島站は工事中で閉鎖されています)へ向かい、営業開始したばかりの北京行き和諧号の乗車券を購入に。

高速列車の乗車券は、MAKIKYUの青島訪問は初めてでこの街に少々滞在したい事もあり、翌日夕方の列車の乗車券を購入しましたが、運賃が他の列車に比べて割高な事や、北京到着時刻が遅い事もあってあっさりと購入できましたが、乗車券購入に出向いた四方站ではCRH(和諧号)のイラストが表紙を飾っているダイヤ改正後の新時刻表(10元)を発売しており、当然これも購入。

乗車券購入後に市内中心部のホテルに向かい、そこで時刻表の中身を見てみると、青島は近距離のローカル列車運行などは少ないのですが、多数の都市近郊列車が廃止されたダイヤ改正後も四方站発着で残存し、気になる短距離列車が…

それがこの乗車記で記す7060次列車で、この列車は四方站を16時55分に出発し、途中6站に停車した後終点の青島西站に18時28分に到着する普通慢車で、乗車券はまず売り切れる事もない列車であると予想される事から、16時頃に四方站の窓口へ出向いて乗車券を購入したのですが、MAKIKYUは中国語が全く話せない事もあり、乗車列車や区間を記した紙を係員に示して乗車券を購入。

その際にはこの列車の乗車券を購入する外国人は余りいないのか、係員が不思議そうに発券端末に列車番号を入力すると、着駅で途中6站は1~6も番号と共に表示されるものの、終点の青島西だけは表示が出ておらずどうするのか聞いて来るので、手で「6」と意思を表明し、とりあえず終点1つ手前の藍村までの乗車券を購入すると、最も安い非空調車の硬座という事もあって、運賃は46km乗車して3.5元(約60円)でしたが、無座(座席指定なし・この手の列車では座席指定そのものが存在しない場合もあります)で発券される予想は外れ、きちんと号車・席番が指定された乗車券でした。

そして発車時間15分前位になるといよいよ検票開始ですが、この列車に乗車する乗客は鉄道関係者が多いのか、過半数の乗客は乗車券ではなく乗車証の様なものを係員に提示しており、切符を入鋏する姿は余り見られません。

検票を済ませてホームに向かうと既に列車は停車しており、編成は赤いDF4形ディーゼル機関車を先頭にYZ22形客車が4両(1~4号車)、そして最後尾に行李(荷物)車が1両の編成で、これは中国の列車にしては短編成の部類に入ります。

またYZ22形は1号車のみが更新されて化粧板や窓枠などが綺麗になった車両でしたが、全て緑色の非空調車で、またこの列車は行先表示サボが何も付いておらず、余所者の利用は想定していないかの様な感じでしたので、見るからにローカルムード溢れた感じでした。

指定された1号車に乗り込むと座席は半分程度が埋まる状況で、座席指定は殆ど守られていない事もあって指定された座席には既に先客がおり、MAKIKYUは他の空席に着席しましたが、MAKIKYUの指定座席に着席していた人物をはじめ、多数の乗客が車内は禁煙にも関わらずお構いなしにタバコを吸い、グループでトランプなどに興じて大声を発するなど非常に騒がしく、挙句の果てには上着を脱いでズボン一丁という者まで居る有様でしたので、この列車の客層は決して良いとは言えないのですが、見た所彼らの大半は一般の乗客でなく乗車証で乗車している鉄道関係者の様でしたので、これは非常に呆れた話です。

列車は定刻になるとゆっくりと動き始め、10分もせずに最初の停車站・沙嶺庄に到着しますが、この間には途中で運行開始したばかりのCRH(和諧号)ともすれ違い、この7060次の様なボロ列車と斬新な新幹線車両がすれ違う有様は如何にも現代中国の世相を反映しているかの様です。

沙嶺庄はホーム2面4線の站で、隣のホームにはカン口発の丹東行き列車、そして反対側のホームには貨物列車が停車していましたが、これは暫定とはいえ高速列車が発着する四方站の2面3線しかない貧弱な設備に比べると上等なものです。

沙嶺庄を出発すると程なくまたもCRH(和諧号)とすれ違い、17時10分頃には2つ目の停車站・カン口に到着、四方站は先述の通り設備が貧弱で発着可能な本数が限られている事もあって、青島站閉鎖に伴って普快などの一部はこの站を発着しており、先述の丹東行きをはじめ、7060次が入線した際にも反対側ホームに鄭州行きが停車している姿を目撃していますが、この站は一応青島の市街地に位置するとはいえ青島站などのある中心部からは結構離れており、市内公交汽車(路線バス)でアクセスするにも容易ではありません(四方站でも青島站から市内公交で30分程度はかかる有様です)ので、早く青島站の工事が完了し、この様な不便がなくなる事を願いたいものです。

カン口を発車して暫くした頃、MAKIKYUが車内観察も兼ねて車内を歩き回っていると、MAKIKYUが不審者とでも思ったのかいきなり他の乗客から掴まれ、何か話しかけてくるものの、こちらは中国語を全く解さない事もあって、どうにもならない状況になり、そんな事をしている間に列車長が現れ、外国人である事を漢字で説明したら何とか事は収まったものの、今度は「何故この列車に乗車したのか?」(答:我鉄路迷)や「不要乱走」などと言われる有様で、車内の安全性を気にしてか、4号車の鉄路関係者が着席している座席に移動させられる羽目に…

ただせっかく列車長と接触できた事もあり、気になる青島西站への列車運行に関して聞いてみると、この站は鉄道関係者向けの站で、一般乗客の乗降はできない旨の回答があり、乗車券を購入できなかった謎がようやく解決したものの、これなら一般向けに発売している時刻表にこの様な站やその運行時刻を掲載しないで頂きたいもので、まして列車の起終点であれば行先などでも案内されますので尚更の事なのですが…この辺りは日本との感覚の違いを感じさせられ、まるで韓国・鎮海線の鎮海~統海駅間(統海駅は軍関係者専用で、この区間は通常一般客の乗車は不可です)を思い出させる話です。

こんな事をしている間に列車は城陽站に到着、ここではCRH(和諧号)を2本退避する事もあり20分程度停車しますが、この辺りまでは青島の市街地になっている事もあり、ここで下車する乗客の姿も多数見受けられます。

また城陽站停車中には相席の鉄路関係者が関係者向け時刻表(一枚の紙切れですが…)を持っていたので承諾を得て見せて頂くと、站などで発売されている市販の時刻表とは異なる時刻表記がある事を発見。

時刻表記が異なっていたのは、乗車中の7060次列車の折り返しとなる7059次列車(青島西→四方)だったのですが、MAKIKYUは7060次に乗車した後にこの列車に乗車予定だった事もあり、時刻表の該当時刻を示して漢字による筆談で確認すると、市販の時刻表が間違っているとの事で、7059次の正確な運行時刻は、青島西1922→藍村1929→四方2030(停車駅は市販の時刻表と同等)ですので、この列車に乗車予定の方は注意が必要です。

18時過ぎに城陽站を出発すると程なく青島の市街地を抜け、車窓右手には青島の機場(空港)が見えてきますが、この頃から車窓は長閑な風景へと変わって行きます。

そして長閑な風景の中を暫く走ると即墨站に到着し、ここは青島市内へのバスのアクセスも良くないのか、田舎にも関わらずこの列車を下車する乗客の姿を散見し、この站を出ると高密へ向かう高速新線(?)から分岐して、列車は煙台方面からの路線と合流する藍村へ。

藍村は済南方面から山東半島を目指してきた路線が、青島方面と煙台方面に分岐する分岐站で、列車運行上は重要な站ですが、站周辺は静かな田舎町で日本でいう所の米原や新山口(旧:小郡)などを連想させられる所で、これなら青島を発着する列車の大半が通過するのも理解できるといった感じですが、それでも人の数が桁違いに多い中国だけあって、駅周辺にもそれなりに人は居住している様で、また城区(市内中心部)との間のバスなどのアクセスも良くないのか、結構な数の乗客が列車を降りる姿が目に付き、この站までの乗車券を所持しているMAKIKYUも下車しようとしますが、折り返し7059次に乗車する予定である事を列車長に筆談で伝えていた事もあり、列車内に居残る事に。
(推定ですが、藍村では4両合計で100人程度下車したと思います)

ただ藍村站は一応青島市内に位置していて城区から50km程度しか離れておらず、煙台方面の列車は大半が停車しますし、青島方面から煙台方面への直通列車も数少ない状況ですので、この站と城区のアクセスを改善(7060次の様な列車を多数設定し、煙台方面列車と接続するダイヤで運行するなど)すればこの站はもっと活用できる様に感じてしますが、即墨で分岐した新線がこの站から見える場所を通りながら、この站を発着せずまた煙台方面からの線路と繋がっていないなど、藍村站で旅客扱いを積極的に行う姿勢が感じられないのは気になる所です。
(まあ現状は輸送力が追いつかない事や、素人には理解できない中国鉄路ならではの様々な内部事情などがあって事が上手く運ばないのでしょうが…青島ですら今の状況では、期待するのは無理そうです)

藍村を出発すると、列車は煙台方面からの路線と合流した本線から左にそれて車庫線の様な線路に入り、電化と非電化双方の線路が存在するヤードの様な所を10分程度走った所で終点の青島西站に到着しましたが、この站は時刻表上の藍村→青島西間の運行時刻が6分となっており、その上非常にゆっくりと走っていますので、どう考えても時刻表に表記されている12kmも距離がある事は考えられず、站間距離はせいぜい2~3kmといった感じでした。

そして青島西站に到着すると、ここはどう考えても駅名の「青島」を連想させる所ではなく、ここに存在する車両基地の名称が駅名の由来になっている様で、首都北京の北京西站などとは大違いで、車3両編成程度が停車できる小さなホームが1面だけの小さな站です。

しかも列車は一面だけあるホームには停車せずに隣の線路に停車し、乗客は線路上で列車を乗り降りする有様でしたが、この站の周辺は鉄道関係施設以外は住宅(これも鉄道関係者向けの可能性大)が散見される程度で、基本的に一般客が利用しない鉄道関係者向けの站である事を考えると、これで充分なのかもしれません。

ちなみに青島西站は一般客の乗降を扱っていない站という事もあってか、MAKIKYUは到着時に列車長からまたも「不要乱走」の指示が出され、折り返し7059次の乗車券購入に関して列車長に尋ねると「我」との回答があったので、この列車の発車時刻(市販時刻表の掲載時刻は誤りで、前述の通り青島西19時22分発です)までの1時間弱はずっと車内待機でした。

またその後は当然折り返しの7059次で青島市内(四方站)へ戻りましたが、この列車は鉄道関係者が青島西から少々乗り込んで相変わらず禁煙の車内でタバコを吸いながらトランプに興じ、藍村で一般客らしき人物が少々乗り込み暗闇の中を駆けて行きますが、MAKIKYUは四方站到着直前に列車長から行李車(普通の一般客はまず乗車できません)に呼び出され乗車券でも発行するのかと思いきや、乗車券金額が3.5元と低価格で、発行するのも面倒なのか四方站到着時に列車長の先導(列車の終点到着と共に列車長が列車から離れ、改札を出るのは日本では考えられませんが…)で改札を出る事になり、更に鉄中のバス停(四方站に直接入る市内公交汽車は少なく、この一帯を走るバスは青島站を起点に走るトロリーバスの5路をはじめ、大半の路線は徒歩で5分程度離れたこのバス停を発着します)まで案内される状況でした。

こんな感じで夕方~夜の青島近郊ローカル列車のミニトリップは終わりましたが、4月18日のダイヤ改正で中国各地の短距離慢車は激減している状況で、この様な列車に乗りたいと思っても、乗車できる列車はある程度限られてしまいますので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様がもし青島を訪問する機会があり、青島市内で夕方に時間が空くようでしたら、青島西站まで乗車できるか否かは保証できませんが、今注目されている新型高速列車CRH(和諧号)乗車などと共に、このローカル列車にも乗車されてみては如何でしょうか?
(あと余談ですが、この四方~青島西間のローカル列車は7060/7059次の他に朝1往復の設定がありますが、こちらは四方站の出発が6時25分(これも怪しいですが…)と早い時間ですので、少々乗り難いかと思います)


芭石鉄路(5)~車内から見た情景 PARTⅡ

2007-02-25 | 鉄道[中華人民共和国]
「MAKIKYUのページ」では最近、中国・四川省を走る芭石鉄路に関する記事を幾つか取り上げていますが、ここでは車内から見た情景のPARTⅡとして、列車走行中と停車中の様子について幾つか取り上げさせて頂きたいと思います。

  

1枚目の写真は列車走行中のシーンで、この鉄道の列車はかなりゆっくりと走っていにも関わらずよく揺れますので、乗車中はこの程度の写真でも結構撮り難く、また窓から身を乗り出すものなら、先頭は小型とはいえ本物のSLですので煤煙の奇襲を受けてしまいます。

2枚目の写真は途中站(名前は忘れてしまいましたが…)に停車している際のシーンで、大きな荷物を持った下車客が列車の脇を歩いている様子は、如何にも生活感溢れるといった感じですが、列車が停車している所もホームというよりはただの線路脇といった感じで、素朴な印象が軽便SL列車の旅を更に盛り立ててくれる気がします。

3枚目の写真は起点站(実態は山奥の終点です)の一つ手前に位置し、芭石鉄路の「芭」の由来にもなっている芭溝站ですが、これもまた生活感が感じられてなかなか良い感じでした。

ちなみにこの写真はMAKIKYUが昨年夏に乗車した際のモノで、生活感溢れる長閑な感じは好感を持てるものでしたが、観光客が多数押し寄せるとなると様相は一変してしまう様で、この様なシーンとは程遠い状況になってしまいますが、今後もこの魅力ある鉄路が生き残るためには、観光化で頑張っていくしかない部分も有り、何とも難しいものです。

芭石鉄路(4)~主役の貨物列車にはELも…

2007-02-25 | 鉄道[中華人民共和国]

  

先日取り上げた芭石鉄路ですが、この鉄道は旅客列車の他に貨物列車も…というより貨物列車の方が主役となっている鉄道で、貨物列車は主に石渓站周辺の区間を運行しています。

貨物列車が多数運行している石渓周辺は電化されているのが特徴で、ナロー電化区間を走るSL(蒸気機関車)というのは余り事例がなく独特な感じですが、勿論電化線区という事でSLだけでなくEL(電気機関車)も使用されており、MAKIKYUが石渓站で旅客列車を待っている間にはELとSLが牽引する貨物列車がそれぞれ一本ずつ走る姿を目撃していますので、この地へ出向く機会があるなら、それなりの頻度で貨物列車が走る姿を見る事は可能かと思います。

写真は石渓站に入線するEL牽引とSL牽引の貨物列車で、こうなるとDL(ディーゼル機関車)の存在も気になる方が居られるかと思いますが、DLは廃車体と思われる荒廃した姿の車両が石渓站に留置されている姿を目撃しているものの、この鉄道で現在稼動しているDLはない模様です。(写真3枚目が荒廃した姿を晒しているDLです)

それにしてもEL牽引の貨物列車、これはMAKIKYUが連結されている貨車の数を数えた時は確か50両程度の両数を繋いでいた気がしますが、軽便鉄道とはいえこれだけの両数で走る姿となるとかなり迫力あるもので、芭石鉄路はこういった列車にも注目したいもので、有名なSL牽引の旅客列車が走るこの路線を更に面白いものにしている気がします。

ただ旅客列車の牽引には用いられないのが残念な点で、SL以外に途中までの電化区間の区間列車でEL牽引列車でも設定されれば…と思ってしまいますが、ここからさほど遠くない(それでもバス乗り継ぎで2時間程かかりますが…)沙湾という所ではこのELの色違いが旅客列車を牽引する鉄道もあり…これも可能であれば来月辺りに取り上げたいと思っています。


芭石鉄路(3)~車内から見た情景

2007-02-23 | 鉄道[中華人民共和国]
今日は芭石鉄路を走る旅客列車の客車に関する記事を取り上げましたが、他に(3)としてMAKIKYUが昨年乗車した際に車中から撮影したシーンを幾つか公開したいと思います。

 

1枚目の写真は始発の石渓站から少々進んだ所に位置し、ここまでの貨物列車も多数運行されている躍進站に停車中の様子で、架線が張られた構内にナローSLという組み合わせは中国広しといえども余り見かけることは出来ないシーンで、勿論現代の日本では現役のSL自体が存在しませんので、この様な風景を見る事は叶いません。

2枚目の写真は列車走行中のモノで、山中の勾配を上がって行くシーンは非常に風情あるものと感じる方も居られるかと思いますが、芭石鉄路の客車は低速にも関わらず非常に居住性が悪く、凄まじい騒音を放ちながらガタガタ揺れる車内で写真を撮ろうとするにも、振動で体やカメラが揺さぶられて大変なものです。

また調子に乗って窓から身を乗り出しているものなら、前方の牽引している機関車はSLですので、煤煙に混じった煤の奇襲を受けてしまい大変ですが、こんな体験はなかなか出来るものではありません。

3枚目の写真は菜子場という停留所に停車した際のモノですが、ここは站名標が無ければ站であるかどうかも分からない何とも質素な感を受けますが、一応站名標は最近整備されたのか随分綺麗なモノになっており、ガタガタの列車とは対象的な感じです。

またこんな山奥でも道路が整備されておらずこの鉄道のみが交通手段となっている事から人の乗り降りは結構有り、また大きな荷物を背負った乗客の姿が散見されるのも特徴です。

ただ最近はこの鉄道もかなり有名になってきているのか、この様な長閑なシーンばかりではなく、観光客が押し寄せて通勤列車さながらの混雑になっている事もある様で、その点は少々惜しまれる気がします。

芭石鉄路(2)~客車の様子

2007-02-23 | 鉄道[中華人民共和国]

    

先日「MAKIKYUのページ」では中国・四川省を走る芭石鉄路に関する記事を取り上げましたが、(2)では旅客列車で使用される客車について取り上げたいと思います。

この鉄道で使用される客車はマッチ箱を連想させる様な小型の客車を連ねており、これは大半が2軸車なのですが、2軸車は似た様な外観ながらもよく見ると窓数や車長などに差異が見られ、また2軸車主体の中に少々大柄なボギー車が1両だけ混じっているなどなかなか興味深いものです。

ただこれだけ小型の客車を使用しているにも関わらず各車両に乗務員を乗せている事(人海戦術に長けた中国では国鉄の列車でも一般的ですが…)や、各駅の乗降口が片側に限られている事から、扉は片側だけに設けられているのも特徴として挙げられます。
(日本では片側の扉のみを使用する路線として関東鉄道竜ヶ崎線などがありますが、これでも一応扉は両側に存在します)

またこの鉄道は20km程度の距離を片道1時間以上かけて運行し、非常に遅いにも関わらず、列車が走り出すと共に凄まじい騒音と振動が襲ってくる状況で、これは金具を引っ掛けただけと言っても過言ではない走行中は凄まじい音を放ちながら前後に激しく揺れる簡素な連結器や、スプリングなどないに等しい直に振動を伝える下回り(2軸車が大半ですが…)など、列車の乗り心地は快適とは程遠い凄まじいダイナミックなもので、よくこの様な鉄道が21世紀の今でも走っているものと感心させられる程です。

この様な車両ですので当然空調なども装備されておらず、車内の座席も木製の簡素なものですので、長時間の乗車は堪えると推測されますが、往復2時間半程度であればこの様な客車への乗車もなかなか面白いものです。
(ただ中国では時速400km以上を誇るリニアモーターカー(上海で走っています)や最近運行開始した新幹線形車両の様な最先端の鉄道もありますので、新旧様々な鉄道が楽しめるのも中国の醍醐味かもしれません。)

しかし外国人がこの鉄道の旅客列車に乗車する際は、地元住民に比べて大幅に高額な外国人運賃(片道15元)を請求される事と共に、自由に好きな車両を選んで乗車する事は出来ず、中ほどに連結された「工作車」というプレートが掲出された車両に案内されるのは惜しまれる事ですが、この工作車は見た所では特に他の車両と大きく違う訳でもなさそうですので、外国人の乗車をこの車両に限定しなければならない理由が何処にあるのか気になります。

写真は客車全景(ドア側とドアのない側)と中程に1両だけ連結されたボギー客車、外国人が案内される工作車の外観と車内の様子です。


芭石鉄路~四川省にあるSLの走るナロー路線

2007-02-21 | 鉄道[中華人民共和国]

  

「MAKIKYUのページ」では時折中国に関する記事を公開していますが、今日は昨年夏にMAKIKYUも訪問し、四川省にあるSL(蒸気機関車)の走る軽便鉄道として中国の鉄道に関して詳しい方の間では有名な、芭石鉄路について取り上げたいと思います。(「芭石」で検索するとネット上でも多数の情報がヒットします)

この鉄道は四川省の省都・成都市から南へ約200km(都市間バスで3時間ほどかかります)、大仏で有名な楽山市からも南東へ60km程離れた*健為という田舎街へ出て、更にそこから石渓行きのローカルバスに乗り継いだ嘉陽という所(芭石鉄路の站名は石渓です)を起点(公式にはこちらが終点ですが…)に、芭溝(これも終点は更に先の黄村井という所です)までの間約20kmを結ぶナローゲージ(線路の幅が狭い)の山中を走る軽便鉄道です。

この路線は石渓周辺こそ電化されているものの大半の区間は非電化で、また旅客列車は全線通しで運行される列車が1日4往復という事もあり、現在でもSLが現役で用いられているのが特徴です。

この様な鉄道は中国広しといえども今では貴重な存在となっており、一時期は沿線の道路整備と共に廃線も検討(現在この鉄道に並行するバスなどが走行可能な道路は一部を除いてありません)されていた様ですが、近年は希少なナローSLが旅客列車を牽引する鉄道として注目を集め、中国内だけでなく遠く欧米からも乗客がやって来る状況になった事もあって廃線の話は立ち消えとなって21世紀を迎えた今日でも奇跡的に生き残り、荒れ放題だった設備面も多少手直しが加えられる様になっています。

そのため四川省を訪れた際に日程が確保できるなら是非一度乗車しておきたい鉄道の一つで、MAKIKYUも昨年夏に乗車して来ましたが、牽引するSLはC2と呼ばれる中国軽便鉄道の事業用専用線などでは一般的なタイプで、小さいながらも本当のSL(何処かの島国を走る路面電車のSLもどきDLとは訳が違います)だけあって走行音は生き物さながら、その代わり客車に乗車していても機関車の煙突から出てくる煤が飛散してきて頭は真っ黒に汚れる有様ですが、現代の日本では日常こんな事はまず有り得ませんので、非常に貴重な体験が出来ます。

またこの鉄道に地元住民が乗車する場合は1元程度の運賃で乗車できる様ですが、外国人が乗車する場合は片道15元(約250円)という特別運賃が適用されるのも難点で、この金額は中国の物価からするとかなり割高で、日本の割安な私鉄(東急など)で同距離を乗車した際の運賃に匹敵します(それでも首都圏の辺境・北総監獄(千葉ニュータウン)を走り、高額運賃で悪評名高い「開発を止めた某鉄道」(元○○開発鉄道)などに比べればずっと安いですが…)が、現代の日本では絶対体験できない現役の軽便SL列車を堪能でき、路線維持に貢献出来る事や、観光関係は全般的に割高で、芭石鉄路沿線からさほど離れていない(それでも50km以上はありますが…)楽山にある有名な大仏の法外な入場料(確か70元(日本円に換算して1000円を超えます)位だったと思います)などを考えれば妥当な金額設定かもしれません。

ちなみにこの鉄道へのアクセスですが、成都から日帰りとなると芭石鉄路や都市間バス運行時間帯の関係もあって、現地まで貸切車でも使わない限りはかなり厳しく(昼過ぎの三次車に乗車後、都市間バスを乗り継いでで成都まで戻る事は順調に行けば一応可能でMAKIKYUも実践していますが、帰還できなくなる可能性もありますのでオススメしません)、楽山からでも丸一日は要する状況ですので、訪問を検討される方はできれば*健為か芭石鉄路の沿線(一応宿泊施設は存在する様ですが、かなり限られる様です)で一泊する事をオススメしたいと思います。

写真は途中駅で停車中の芭石鉄路旅客列車と、同線のタイムテーブル(簡字体で表記されていますが、漢字なので何とか分かると思います:訪問予定の方は参考までに…)です。

また芭石鉄路やその関連記事に関しては、後日更に取り上げたいと思います。

注)文中の「*健」は「イ」の部分が「牛」です。


九廣鐵路の吊り掛け電車~東鐵のみで活躍するこの車両はクロスシートも魅力

2007-02-09 | 鉄道[中華人民共和国]

 

「MAKIKYUのページ」では時折香港の公共交通に関する話題も取り上げていますが、今まで取り上げてきた話題は専ら路線バス関連の話題で、鉄道関連の話題を期待されている方も居られるかと思いますので、今日は香港を走る電車に関して取り上げたいと思います。

今日取り上げるのは「MAKIKYUのページ」でも以前、路線バスを取り上げた事がある九廣鐵路(KCR)の電車で、現在のKCR鉄道線は東鐵・馬鐵・西鐵と呼ばれる3路線がありますが、そのうち馬鐵と西鐵は比較的新しい路線という事もあり車両も新型1種類だけ、この車両は東鐵でも走っていますが、東鐵は他にもう1種類の車両(大陸直通列車を除く)が運行されており、写真の車両は旧型の部類に入ります。

この車両は更新工事が施され、内装などは随分モダンな感じですので古さは感じられませんが、座席は一両だけ連結されている頭等車両(特別車両)を除いて香港では一般的なステンレス製となっていて長時間の乗車は厳しそうですが、全線を乗り通しても所要1時間に満たない東鐵では十分なレベルで、また新型車とは異なり車端部にクロスシートが設けられているのも特徴です。

またこの車両は見た目によらずモーターの駆動方式は日本では路面電車を除くと一部の旧型車両しか存在しない吊り掛け式で走行音もなかなか良いですが、吊り掛け式車両にしては走行音は非常に静かな部類に入ります。

クロスシートや吊り掛け式駆動などが魅力的なこの車両はMAKIKYUもお気に入りで、香港で東鐵に乗車した際は数本見送ってでも乗車したい車両ですが、東鐵では過半数がこの車両で割合容易に乗車できますし、また東鐵は中国の大陸本土から香港へ陸路入境した際の市内までのアクセスにもなっていますので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も香港へ行かれて東鐵に乗車される機会がありましたら、是非この吊り掛け電車に乗車されてみては如何でしょうか?


中国鉄路の動車組・藍箭~広州―深センを走る異例ずくめのオススメ車両

2007-01-29 | 鉄道[中華人民共和国]

   

今月海外関連の鉄道ニュースでは中国・台湾省の新幹線開業が大きな話題となっていますが、昨日は大陸本土でも新幹線E2系をベースとしたCRH2と呼ばれる新型の動車組(電車や気動車の事を中国ではこの様に呼称します)が稼動を開始しています。
(ただ中国大陸本土の鉄道は標準軌という事もありますので、現段階では一般の列車と同じ線路を運行します)

中国は大陸本土と島嶼(台湾島)の双方で同月に新幹線が運行を開始するという異例の展開となりましたが、島嶼の方は色々トラブルが相次ぎ予定が大幅に遅れて今年まで伸びた様で、新幹線の営業開始が大陸本土と同月になるとはMAKIKYUも最近まで予想していませんでしたが、中国大陸本土の鉄道(中国鉄路)も侮れないものです。

大陸本土では上海近郊の列車で運行を開始した様で、「MAKIKYUのページ」のリンク先サイトを運営されている方の中には南京へ向かう列車に早速乗車された方も居られますが、MAKIKYUはさすがに中国内に居る訳ではなく、また当面は旅行等で中国へ出向く予定もありませんので、当分の間はこの新型車に乗る事もないと思います(その内乗車できれば嬉しいのですが、実現するのかどうかは未知数です)が、今日はせっかく大陸本土の動車組が話題になっている事ですので、MAKIKYUが昨年夏に乗車した「藍箭」と呼ばれる動車組について取り上げたいと思います。
(ちなみにCRH2に関しては、リンク先サイトになっているdayuan様の「中国留学と中国鉄路の日記」で詳しく取り上げられていますので、興味のある方はこちらを参照して下さい)

藍箭は中国の大陸本土でも南に位置する広東省の省都・広州と、香港に隣接する国境(?)の街・深センの間を結ぶ特快列車に運用されている車両ですが、動車組とは言っても片端(広州方)に電気機関車が連結され、その他の車両は全て付随車(モーターなし)という動力集中方式を採用していますので、日本の感覚からすると客車列車に近いものですが、機関車牽引列車ばかりで動車組が極端に少なく、また運行している動車組も電気を動力とするものに限ればこの藍箭以外の大陸本土勢は失敗ばかり(1編成だけ試作したものばかりで、営業に供された車両も整備の悪さや酷使が影響してかあっという間にダウン。MAKIKYUも乗車を狙った「中華之星」や「中原之星」といった車両はことごとくスカしています)ですので、昨日運行を開始したばかりの新型動車組を除くと、大陸本土の列車(地下鉄や路面電車などを除く)では希少な「電車(EMU)」となっています。

この藍箭はドイツのICEを真似たとも言われ、デザイン的には何処となくそれを連想させるものがありますが、車内は座席なども見た感じは似た様なモノ(東アジアから出た事がないMAKIKYUは、当然ICEには乗車した事がありませんので、雑誌などで見たモノからの推測ですが…)を採用しているのが特徴です。
(ちなみに座席にカバーがかかっているのは中国鉄路では恒例で、マナーの悪い一部の人民対策の様です)

これは方向転換不可能とはいえ僅かにリクライニングする機能も付いた一方向き座席で、MAKIKYUが今までに乗車した中国鉄路の座席車の中では最も高級に感じる事もあって、車両等級は「一等軟座」と呼ばれるごく一部の限られた列車にだけ連結されている高級車両扱いとなっています。
(日本の感覚で言うとDXグリーン車みたいなもの、ただそれでもグレードは特急普通車より劣ります)

ただ藍箭の運行区間が短い事や、この車両が一等軟座のみで構成されている事もあってか、中国鉄路では本来硬座(普通車相当:長距離列車などは凄惨な状況です)にしか乗車できない「無座」(指定なし)での乗車を認めているという異例の扱いを行っているのも特徴(運賃はしっかり一等軟座で課されます)で、さすがに高額な一等軟座(しかもこの区間は他に比べて運賃が高めに設定されています)で立席(空席があれば座れます)では余りと考えたのか、MAKIKYUが昨年夏に乗車した際には通路やデッキに丸いプラスチックの塊がゴロゴロしていました。(ちなみに硬座にこの様なサービスはありません)

MAKIKYUがこの塊を最初に見たときは、バケツか何かが転がっているのかとも思いましたが、これはよく見ると真ん中に小さな穴が開いており、「健康椅」と書かれたシールが貼られていましたので補助椅子的な存在のイスなのですが、このイスの何処が「健康」なのかはMAKIKYUには理解不能で、またこのイスのサービスは藍箭(もしくはこの区間の他車両使用の特快列車も含めた)オリジナルのサービスなのか、それとも真似たと言われるICEで実用化されているアイディアを真似たのかも気になります。
(もしこの記事をご覧の方でICEに乗車された方が居りましたら、是非コメント頂けると幸いです)

また藍箭はこの他にも行先表示が中国鉄路では一般的なサボではなく、運行区間が決まっている事もあってかドアにステッカー表示となっていたり、時速200km/h運行を行っている事も注目で、塗装も他の列車では見られない藍箭オリジナルカラーになっているなど、単に「動車組」だから珍しいという事ではなく、中国鉄路の他列車では見られない様々な特徴があり興味深い車両です。

その様な車両ですので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様が広州や深センへ行かれる機会がありましたら、是非乗車をオススメしたい車両で、この2都市間の移動をはじめ、広州~香港を移動(深セン~羅湖の国境を徒歩で通過)する際にもオススメです。(香港から日帰りで乗車狙いも充分可能です)

ちなみにこの藍箭は編成が複数(それでも1桁ですが…)ある事や、比較的短い区間(それでも130km程ありますが…)を何度も往復する事から、充当される列車は多数あります(充当列車は列車番号T800番台の大半となっている様です)が、このエリアでは新幹線車両とは別の新型高速車両が導入される模様で、また藍箭自体もメンテナンスに問題があるのか、車齢の割に余り状態が良くない様に見受けられ、今後何らかの動きが生ずる可能性は充分考えられますので、乗車を望まれる方はなるべく早い内に行動された方が良さそうです。

写真は藍箭の外観(制御車と動力車)、ドアの行先表示ステッカーと座席(通路には健康椅も…)です。


中国鉄路 YZ22形客車(2)

2007-01-19 | 鉄道[中華人民共和国]
写真はYZ22形の車内(外観は(1)をご覧下さい)ですが、中国鉄路の硬座車は3人掛けと2人掛けのボックス席が並び、背もたれはほぼ直角で肘掛がないのが特徴です。

25形の最近の車両などは座席もモケットが張られ、座席自体も多少改善されたものがありますが、旧型の22形では座席表面は写真の様な薄緑色(中には違うものもあります)のビニール張りとなっており、せいぜいその上にカバーが掛かっていれば上等といった所です。

座席自体も硬座というだけあって詰め物は殆ど入っておらず(最近首都圏で増えている某メーカー標準品の方がまだ良い気が…)板の上にビニールを張っただけと言っても過言ではない硬いモノで、また客車の定員も車両が大柄とはいえ1両当たり120人前後という有様ですので、座席の間隔も決して広くはありません。

内装は化粧板などに複数のバリエーションがあり、木目調の化粧板を使用したモノなども見かけますが、写真の車両の様な薄緑色の格子模様入りのモノが最も一般的で、この化粧板を見ると小田急線の8000形通勤車(未更新車)を思い出す気がします。(こんな事を考えるのはMAKIKYUだけでしょうか?)

また最近ではこの22形客車も一部は更新工事が施行され、中には空調改造を施されて塗装も変更(オレンジ色)された車両もありますが、更新されていない車両は窓枠などがボロボロで窓の開閉にも難儀し、見るからにオンボロといった感じの車両も多数見受けられます。

MAKIKYUもこのYZ22形には短区間のローカル列車(所要1~2時間程度の慢車など)で何度か乗車した事がありますが、短距離乗車で車内の混雑もさほどでなければ、日本や韓国の列車に比べると大幅に劣るものの、何とか許容範囲といった所です。
(ただ大半の車両は非空調車ですので、夏の華中や華南では大変です)

またこの車両は短距離列車に限らず夜行列車でも多数運用され、中には車中2泊となる長距離の普快(広州~重慶や成都~上海など)で運用されるモノもあり、こういった列車は寝台車と併結して硬座車が数両が連結されます。

この手の列車は運行中、常に多数の無座(立席)客が通路を占拠し、ここで夜を越すのはかなり厳しい感じがしますが、運賃が安い事もあってこれで乗り通す乗客も結構居り、日本人旅行者の中にも玄人を自負されている方などは、これで夜を越す事こそ中国旅行の醍醐味…と言う方も居られる様ですが、貧弱で中国旅行経験の浅いMAKIKYUの様な素人にはとても真似できない気がします。

ただ「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方で中国鉄道旅行の玄人を自認されている方や、ハードな旅が好きな方は夜行列車でこの硬座に乗車されるのも良いかと思いますし、そうでない方も短距離で乗車する分には人民の庶民生活が垣間見えて面白いかと思いますので、皆様も中国へ行かれた際は是非乗車されてみては如何でしょうか?

中国国鉄 YZ22形客車(1)

2007-01-19 | 鉄道[中華人民共和国]
「MAKIKYUのページ」では昨年、幾つかの「中国鉄路乗車記」と称した旅行中に乗車した列車の乗車記を掲載していますが、ここで出てくる記述項目は必ずしも平易なものではなく、ご覧の皆様方の中には内容が難解で分かり難いという方も大勢居られるかと思います。

そういった事の一つに、「YZ22」などといった客車の形式が挙げられますが、中国国鉄の客車形式は、大きく分けると以下の様になっています。(代表的なモノを記載)

・前位のアルファベット
S…双層Shuanguseng(2階建て)←平屋の場合は記号無し・2階建て車両の場合のみ前位につきます
R…軟Ruen Y…硬Yin (日本の感覚で言うとロ・ハ=グリーン車・普通車に相当します)
W…臥Wo(寝台) Z…座Zuo(座席)

このほかCA(食堂車)やKD(空調発電車)など、客車以外には別のアルファベットがあてがわれます。

・数字
22…側面のビードが特徴の旧型客車・最近は影の薄い存在に
25…現在の主力車両で平滑な側面が特徴・バリエーションは多数あり

他にも色々な形式がありますが、特に代表的な存在なのは上記の2形式です。

・後位のアルファベット
これは必ず付く訳ではありませんが、付いているモノが多く、現在の主力25形客車では以下の様なモノが代表的です。
B…25形初期の空調無し車両で塗装は緑色・最近は空調改造車(塗装はオレンジ色)もあり
G…オレンジ色の塗装が特徴(一部例外あり)の空調車・空調付きの快速(K/N)や普快の主力車両
K…最高速度140㎞/h対応で主に特快(T)に使用・塗装は大半の車両が白と青に赤帯
T…最高速度160㎞/hの最新型車両で白い塗装が特徴・直達特快(Z)や一部の特快に使用

これに当てはめると…
YW25G…25G形客車(オレンジ色)の硬臥(3段寝台)車
SRZ25K…25K形客車の2階建て軟座車
といった感じになり、記事名になっている「YZ22」は22形客車の硬座車という事になります。

この22形は先述の通り側面のビードが特徴の旧型客車で、1980年代頃までの間に多数製造された客車ですが、殆どの車両は非空調車では代表的な緑色に黄帯の塗装を纏っており、一昔前(10年前かそれ以前)の中国鉄路というとまずこの車両が思い浮かぶ程です。
(皆様の中にも、中国鉄路というとこの車両を思い浮かべる方が結構居られると思います)

ただ最近では後身の25形客車がメインとなり、最高速度120㎞/hのこの形式では特快などには運用できず、専ら快速以下の列車で使用されていますが、快速で運用される事は比較的少なく、現在は普快や慢車といった列車での使用が多くなっています。

ちなみに写真は瀋陽局に所属するYZ22形客車で、瀋陽~撫順間の臨時列車(実質的には定期化しています)で運用されている際の姿を撫順駅で捕らえたモノです。
(この列車も最近は停運となっている様ですが…)

車内の様子などは、続編の(2)で紹介します。

尖頭山の専用線(2)~希少な車両の数々

2006-12-26 | 鉄道[中華人民共和国]

  
 

(1)では尖頭山を走る専用線の概要や路線の様子などを取り上げましたが、こちらではこの専用線を走る旅客列車に関して取り上げたいと思います。

この専用線は運行区間が短いとはいえ、中国では一般的な客車列車を機関車が牽引するという運行形態をとっており、鉱外車駅・鉱内車駅共に機回し線が設けられ、一運行毎に機関車の付け替えを行っています。

使用される機関車は、MAKIKYUが乗車した際は凸型の電気機関車(EL)が用いられており、こちらでは他にも使用されている路線が幾つかある様ですが、旅客列車の牽引に使われる路線はかなり限られるかと思います。

かなり古い機関車であると推測され、コンプレッサーと警笛の音が凄まじい印象を受けましたが、日本であれば動態保存でイベント時に出て来る車両に匹敵すると思います。

ただ(1)で記した通り、電化路線にも関わらずディーゼル機関車(DL)牽引となる事もある様で、MAKIKYUはDLの姿を見ていませんが、これがどの様な車両なのかは分かりません。

また牽引される客車は6両編成で、こちらも中国では一般的なYZ22型などではなく、なかなかお目にかかれない凄まじい顔ぶれで、車端部のドア付近などがかなり特徴的ですが、車両の長さや形式などは編成で一致しておらず、見るからに雑多な編成であるのも特徴です。

客車の中にはYZ30型を名乗る車両もあり、これは以前中国鉄路乗車記(8676次)で取り上げた重慶の超短距離慢車(重慶~重慶南)と同じ形式になりますが、この形式は恐らく他形式からの通勤車両化改造車に付けられる形式と思われますので、重慶のYZ30型とは外観などは全く異なり、共通する特徴といえば木製のロングシート(日本の通勤電車で一般的なレール方向に設置された座席)位です。

この客車は台車も余り見かけない古めかしいモノを用いており、この専用線の旅客列車自体が走る骨董品といった感を強く受けますが、様々な意味で異色の路線ですので、中国のローカル路線や旧型車両が好きな方にとっては、たまらない路線かと思います。

ただ路線長が短く旅客列車に乗車しても直ぐに終点に着いてしまいますので、乗り応えという意味では少々物足りない感じもしますが、走行写真を撮影される方や中国の旧型車両に関して研究されている方をはじめ、旅客列車に乗車するだけでしたら瀋陽を起点に午後の半日でも訪問可能(その代わり夜は遅くなり、また冬場の撮影は厳しいかと思います)ですので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も瀋陽周辺へ行かれる機会があり、時間に余裕がある状況でしたら、一度足を運ばれると面白いかと思います。

写真は尖頭山の旅客列車(既出)と牽引するEL、旧型客車とその車内の様子です。


尖頭山の専用線(1)~瀋陽から日帰りでも行ける所ですが…

2006-12-26 | 鉄道[中華人民共和国]

  

「MAKIKYUのページ」では中国関連の話題を時折掲載しており、最近では遼寧省の省都・瀋陽市を走る公交汽車(路線バス)などを取り上げていますが、中国に関しては鉄道関連の記事を期待されている方も多いかと思います。

という事もあり、また以前遼寧省を中心に現地発の詳細な情報を提供していたサイトが諸事情により閉鎖されてしまった事もありますので、「MAKIKYUのページ」としても微力ながら、8月の旅行中にMAKIKYUが乗車し、8月11日のWeblog記事でも多少触れた尖頭山Waitoushanという所を走る専用線に関して取り上げたいと思います。

尖頭山は瀋陽市の南東に位置する本渓市に位置し、瀋陽から本渓を経て丹東まで伸びる国鉄瀋丹線の沿線にある小さな田舎町で、瀋陽と本渓の中間付近に位置しますが、幹線道路からは離れており、瀋陽からの長途汽車(都市間バス)などは存在しない様ですので、貸切車両などを用意しない限りアクセスは専ら瀋丹線の列車となります。(瀋陽から向かう場合のみは何とかなる様ですが、恐らく上級者向けです)

ただ瀋丹線の列車はそれなりに設定されているものの、快速などの上位種別に当たる列車は尖頭山站には停車せず、慢車と呼ばれるローカル列車(それも一部は通過します)しか停車しない小站ですので、入念な計画を立てれば瀋陽から日帰りでも行けるものの、訪問の際は注意が必要です。

この尖頭山の専用線は国鉄の尖頭山站から少々歩いた所(5分もあれば大丈夫です)にある鉱外車站と呼ばれる専用の停留所(?)から発車し、旅客列車は鉱外車站~鉱内車站の短い1站間を10分足らずで結びますが、運行距離が短い事もあり運賃は片道0.5元と格安で、站構内での乗車券販売はなく、列車発車後(場合によっては発車前)に服務員(私服のオバサンです)が車内で運賃を直接徴収しています。
(乗車券も頼めば発行して貰える様です)

列車の運行本数は1日6往復に限られますが、接続する国鉄の運行本数が少なく、また概ね国鉄の慢車時刻に合わせて設定されている事もあり、土地柄を考えると充分な本数と言えます。

起点(?)の鉱外車站はホーム1本と機回し線があるだけの質素な站で、ホームやその周辺では周囲の方々が集まって市場の様な状況になっていましたが、これに対して終着の鉱内車站は活用されていないとはいえそれなりの駅舎もあり、列車の乗客以外は駅前も人通りは少なく、時折車が通り過ぎていくだけという感じでした。

尖頭山の専用線は貨物輸送の方がメインで、旅客輸送は2の次と言った感じの鉄道ですが、その様な鉄道だけあって一区間の旅客列車が運行される路線以外にも貨物専用の線路が多数あるのも特徴ですが、、旅客列車の車中からでも鉱内車駅に近づく前に右側へ分岐する路線などが見られ、この鉄道がどの程度の規模を誇っているかは未知数です。

またこの路線は周囲を走る国鉄瀋丹線(尖頭山周辺は複線で、本渓方面へ向かうと単線になります)ですら非電化であるにも関わらず、単線ながら電化されているのも特徴で、辺鄙な田舎に架線柱や架線が見受けられるのは非常に違和感がありますが、MAKIKYUが乗車した際の旅客列車は凸型の電気機関車(EL)が牽引していたものの、電化路線にも関わらずディーゼル機関車(DL)が旅客列車を牽引する事もある様です。
(MAKIKYUはDLの姿を確認していませんが…一説によると時間帯によって変わる様です)

また鉱内車站で遠巻きに姿を見ただけですが、貨物列車の入替用などで蒸気機関車(SL)の姿も目撃しており、これは現在の中国では最も一般的なSY(上遊)型かと思われますが、この専用線は3種類の動力全てを用いているのも特徴的で、こういった鉄道は以外と少数派かもしれません。

この専用線で活躍する車両に関しては、(2)で取り上げます。

写真は鉱外車站・鉱内車站と、鉱内車站停車中の旅客列車内から見たワンシーン(SLが稼動している姿が確認できます)です。