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最近世界各地で大事故が発生~「O-train」はMAKIKYUも先月乗車

2014-07-24 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

最近ウクライナ東部で発生したマレーシア航空のB777型機撃墜事故や、中華人民共和国(中国)・台湾省で発生した復興航空の国内線プロペラ旅客機墜落事故など、世界各地で痛ましい事が相次いでおり、これらはニュースなどでも盛んに報じられていますので、「MAKIKYUのページ」ごご覧の皆様方もご存知かと思います。

この2つの航空事故では、かなり多数の犠牲者も発生していますが、これに加え大韓民国(韓国)でも22日夕方、単線区間を運行する列車同士の正面衝突事故が発生しています。

2つの航空事故が余りに大き過ぎる事で、扱いが小さくなっている気もしますが、こちらも乗客の犠牲者が発生する惨事になってしまい、負傷者も多数発生するなど、決して軽微なものではありません。

これら3事故で亡くなられた方には、この場からもお悔やみを申し上げ、冥福を祈ると共に、韓国や中国で発生した事故で負傷された方の早期回復を願いたいものです。

またこれら3つの事故では、今回事故が発生した航空便や列車には日本人が乗っていたという情報は今の所なく、また空を飛ぶのが大嫌いなMAKIKYUは余程のことがない限り、不要不急の用件で事故が発生した2社の航空便を利用する事や、該当地域へ足を運ぶ機会もないと思います。

しかしながら韓国はウクライナや台湾省などと異なり、JR九州高速船「BEETLE」などで日本から容易に足を運べる近場と言う事もあってか、MAKIKYUは先月も「BEETLE」を利用して韓国旅行に出向いており、日本国内ではなく異国で発生した事故とは言えども、非常に身近な話と感じます。

特に今回列車の正面衝突事故が発生した江原道太白市(Gangweon-do Taepaek-city)は、先月MAKIKYUが韓国を訪問した際にも足を運んだ所の一つで、太白線の事故発生現場も列車で通過しています。

また太白線は貨物列車の比重が高い産業路線としても知られていますが、今回の事故は定期旅客列車(電気機関車牽引の客車列車・ムグンファ号)と臨時観光列車(新型電動車を用いた中部内陸循環列車「O-train」)が正面衝突しており、ニュースで報じられている映像などを見ると、特にアルミ合金製車体の新型電動車で運行する「O-train」の損傷が激しい様に見受けられます。

ちなみに「O-train」は元々「ヌリロ」号で用いていた新型電動車(4両編成)の内、2編成を観光列車に改装したもので、MAKIKYUが先月太白を訪問した際にも、この「O-train」を利用したものでした。

 
その際に撮影した写真と事故車両の映像などを見比べると、車両番号が一致しており、先月乗車した編成が1月後にこんな惨事が…と思うと、非常に残念な限りです。
(写真は先月、江原道太白市の鉄岩(Cheoram)駅で撮影したものです)

「O-train」に関しても、本当はもっと別の形で取り上げたかったのですが、早くもこんな形で取り上げる機会が巡ってくるとは想定外で、まだ新しい車両ながら、事故編成の再起も恐らく…という所だと思います。

この中部内陸循環列車「O-train」は、元々毎日運転のソウル発・中央(Jungang)線経由列車(列車番号4851・4852)と、運転日限定の水原(Suwon)発・忠北(Chunbuk)線経由列車(列車番号4853・4854)の2列車が堤川(Jecheon)駅で合流、中央・嶺東(Yeongdong)・太白線を循環運行(堤川~栄州(Yeongju)~鉄岩~太白~堤川かその逆)する運行形態となっていますが、この事故の影響により水原発着列車は当面運休となっています。

ソウル発着列車も、車両が1編成しか確保できなくなった事が影響し、韓国鉄道公社(KORAIL)のHPでも運休日発生が告知されていますので、今後「O-train」に乗車される予定のある方は充分注意して下さい。

また事故の原因究明と再発防止策が万全に講じられ、再び同種事故の報を聞く事がない事を強く願いたいものです。


(追記)最近大規模な航空事故が相次いでいますが、更にアルジェリアでも航空機が失踪したという情報も入っています。
今月は余りにも大規模な事故のニュースが多過ぎると感じますが、これ以上事故の報を聞かない事を願うばかりです。
またMAKIKYUは元々空を飛ぶのは大嫌いですので、少なくとも「O-train」などが走る韓国へ足を運ぶ程度では利用する気にはなれず、日本国内移動で「少し早い」「少し安い」程度の事で利用するのは、個人的には論外です。
ここまで事故の報が相次ぐとただでさえ嫌なものが尚更という心境で、遠方の海外などへ急を要する用件が発生し、他に選択手段がなく止むを得ない状況にでもならない限り搭乗は絶対に…とも感じます。


KORAILの新型特急車両「itx-セマウル」~既存セマウル号より座席は劣るものの…

2014-07-10 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先月MAKIKYUが韓国へ足を運んだ際には、KORAIL(韓国鉄道公社)が5月に運行開始したばかりの新型電動車を使用した新列車「itx-セマウル」にも、初めて乗車する機会がありました。

「itx-セマウル」は、機関車牽引の客車列車で運行している既存セマウル号(一部は両端に動力車を配した動力集中方式のディーゼル動車だった編成の付随車部分のみを抜き取り、機関車牽引の客車列車として運行)の老朽取替えを目的として導入された新型車両で、KORAILの列車線を走る動力分散方式の営業用電動車としては、ヌリロ・itx-青春に続く第3弾となります。
(1980年代に東海岸方面へ向かう路線向けに9両2編成だけ導入され、現在は退役→先頭車1両が(韓国京畿道・旺王市の)鉄道博物館に保存されている車両も含めれば第4弾となり、高速列車KTXは初代車両と後に導入されたKTX-山川の双方共に動力集中方式です)

ヌリロやitx-青春は、首都圏の限られた地域を運行する比較的足の短い列車に充当され、運行本数や導入本数も限られていますので、KORAILの列車線では異端的な車両と言っても過言ではありません。

しかしながらitx-セマウルは、既存セマウル号の代替用という事もあってか、ソウル~釜山(Busan)や龍山(Yongsan)~光州(Gwangju)・木浦(Mokpo)などの幹線を走る足の長い列車で多数運用され、登場からまだまもない状況にもかかわらず、既に20編成以上が活躍しているなど、KORAIL列車線においては非常にありふれた存在と言える列車の一つになっています。

そのため特に狙い撃ちしなくても、韓国の主要都市間で列車を利用する際に、たまたま丁度良い時間を走る列車の乗車券を購入したら、itx-セマウルだった…という事もあり得るほどの状況になっています。

KTX開業前の韓国鉄道庁(当時)は主要幹線ですら大半が非電化、列車の殆どが動力集中方式のディーゼル車だった一昔前を知る身としては、itx-セマウルが多数運行されている様を見ると、KORAILも随分変わったと感じずにはいられない状況です。


itxセマウルの流線型となっている先頭車は、如何にも優等列車ならではの雰囲気があり、韓国の鉄道事情に疎い人間に写真を見せれば、高速列車と錯覚させる事もできるのでは…と感じる程です。

低床ホームに発着する姿に加え、独特な形状のライトなども、如何にも異国の列車と言う雰囲気を感じる一方、色合いなどはやや異なるものの、赤とグレーの濃淡、そしてグレー部分には細いラインが何本も入る装いは、何となく一昔前の小田急ロマンスカーをリメイクした雰囲気も…と感じたものでした。

編成は3M3Tの6両固定、列車によっては2編成を併結した12両編成での運行も行われる様ですが、MAKIKYUが乗車した列車は、6両1編成のみでの運行で、この編成での運行が大半となっています。


車内に足を踏み入れると、設備的には近年登場したヌリロなど他の電動車とよく似た雰囲気で、座席のピッチやリクライニング角度などもヌリロやムグンファ号などと同レベル、残念ながら非常に豪華な設備を誇る事で有名な既存セマウル号には及びません。

とはいえヌリロやitx-セマウルの座席は、シートピッチなどは日本のJR在来線特急普通車と同等レベルながら、リクライニング角度は意外と大きくなっていますので、夜行はともかく昼行利用であれば、個人的にはソウル市内から釜山や光州まで乗り通しても…と感じたものでした。
(ちなみにMAKIKYUがitx-セマウルに乗車したのは、井邑(Jeongup)→龍山の3時間強でした)


座席グレードは既存セマウル号より見劣りが否めない反面、車両自体が新しい事もあってか、比較的高速で走行している際の居住性などには分があり、一部座席(各車両の前後3列程度)には充電用コンセント(韓国国内用のCタイプのみ対応:日本の電化製品を使用する場合には要変換プラグ)も設けられている辺りも、既存セマウル号にはないウリと言え、LEDを用いた車内照明やLCDモニターによる到着駅案内装置なども、最新型車ならではの装備と言えます。


全体的に豪華な雰囲気の列車と言える既存セマウル号に比べると、車内の雰囲気も比較的シンプルで、客室も全車一般室のモノクラス、既存セマウル号やムグンファ号の大半に設けられているカフェ車もなく、物販は自動販売機設置のみとなっていますので、機能性重視のビジネス向け列車の色彩が強く感じられたものです。
(それでも自動販売機すら使用中止→撤去、そして列車によっては車内販売もナシとなっている某島国の高速列車などに比べれば、状況は遥かに良好で、運行距離や時間などを考慮す売ると、過剰設備の適正化を図ったと言って良いと思います)

動力分散方式の電車という事もあってか、何となく日本のJR在来線特急に乗車している様な錯覚を感じてしまう面もあり、座席2列分の大窓中央にブラインドレールを設け、各席毎にブラインドを任意の位置で下ろす事ができる構造も、ヌリロなどと同様です。


これに加えて背もたれ上部の特徴的な枕形状や、車内側が真っ赤に塗られた客ドア、などを見ると、何となくJR東日本の一部優等車両に類似した雰囲気を感じたものでした。

また速達運行による利便性こそ評価されているものの、居住性の悪さや運賃の割高さなどで、時間的余裕があれば個人的には余り…と感じる高速列車・KTX(特に初代KTX一般室の逆向き座席)に比べれば、所要時間以外はitx-セマウルの方が遥かに優れていると感じ、今後韓国一の基幹軸とも言える京釜間(ソウル~釜山間)を移動する際にも、選択肢の一つとしてitx-セマウルは悪くないと感じたものでした。

とはいえitx-セマウルで既存セマウル号と同じ運賃体系が適用されるのであれば、JRグリーン車並みの座席が自慢の既存セマウル号に乗車した方が…と感じる向きもあるかもしれませんし、豪華な設備が自慢の既存セマウル号に乗り慣れた方からは、物足りなさを感じる声も出るかと思います。

KORAILの駅設備などはかなり余裕があり、増結による長編成化もさほど困難ではない気もしますので、仮に今後itx-セマウルの車両増結を行う事があるならば、特室(グリーン車相当)を設け、ここに既存セマウル号並みかそれ以上の座席を設置する事で、多少割高な運賃・料金を支払ってでも、より上質なサービスを望む客層にも応えられれば…とも感じたもので、今後現行と同様の6両編成で増備するとしても、座席下ヒーター形状の変更による足元空間の拡大化程度は期待したいものです。

また韓国の鉄道をはじめとする公共交通機関の運賃は、他の諸物価に比べて安過ぎる位で、400km強を走るソウル~釜山間のムグンファ号一般室(JR在来線特急普通車に相当)の片道運賃が日本円相当額で3000円弱、100km程度のソウル~天安間広域電鉄(JRや大手私鉄の通勤電車と同レベルのロングシート車)で日本円相当額300円程度ですので、物価の上昇や安全で快適なサービスを確保するために必要な経費を確保する事も考慮すると、個人的には既存セマウル号が設備の割に運賃設定が安過ぎ、itx-セマウルで適正なレベルかと感じています。

itx-セマウルは今後も暫く現状のまま推移するのか、編成替えや用途変更などが出てくるのかも気になる所で、KORAILではKTX開業以降、一般列車では主流となっている客車の新造も殆ど見受けられない状況ですが、今後は動力分散方式へ本格移行していくのか否かも気になる所です。


KORAILの最北端・白馬高地駅~有人駅の最北端は新炭里駅のままですが…

2014-03-02 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先日「MAKIKYUのページ」で取り上げたKORAIL・京元線の通勤列車ですが、現在その終点となっているのが白馬高地(Baengmagochi)駅で、京元線の一部列車のみが同駅まで運行しています。


駅施設などは真新しく、開業からまだ1年強しか経過していない新規延長(復活)区間にある新駅らしいと感じる所です。

白馬高地駅が開業する前も、北韓を除く韓国内の鉄道では、京元線は最北の鉄路となっており、以前の終端駅・新炭里(Sintanni)駅が韓国最北の鉄道駅でしたので、白馬高地駅は新炭里駅に代わって最北端の駅となっています。


ただ白馬高地駅は単線区間の終端にある棒線駅で、民間人統制線のすぐ近くに位置する事もあってか、駅周辺も閑散としており、駅務員も無配置であるなど、停留所と言った感が強いものです。


駅務員無配置で自動券売機の設置もありませんので、最北の駅で乗車券を購入する事は叶わず、車内購入か着駅精算となりますが、MAKIKYUが白馬高地駅からの列車に乗車した際には、車内巡回の車掌に乗車券購入を申し出ても、着駅(殆どが終点東豆川(Dongducheon)かその一つ手前の逍遥山(Soyosan)まで乗車し、広域電鉄に乗り換え)で支払う旨の案内をされた程でした。

着駅改札では信用乗車が一般化した今日のKORAILでは珍しく、改札口における集札を実施しており、ここで乗車券を購入する代わりに代金支払い(全区間1000W)という状況でしたので、韓国最北の有人駅は白馬高地駅開業後も新炭里駅という状況が続いています。


また白馬高地駅は棒線駅で、駅ホームのすぐ先には車止めという状況ですが、現在最北端に位置する駅と言うだけでなく、京元線自体は今もなお南北分断路線で、今日でも北側における営業運転も行われている様ですので、以前新炭里駅で見られた「鉄道中断点」を示す標識も出ており、この様な案内を見ると韓国は未だに分断された国家である事を改めて実感させられます。

ちなみに東豆川駅発着の通勤列車で同駅まで足を運んでも、路線バスの接続も僅かな状況で、地元住民を除けば来た道を返すか、同駅から出発する安保観光のバスに乗って安保観光に出向く程度しか…という状況ですが、MAKIKYUの訪問時には丁度駅前に安保観光のバスが停車しており、白馬高地駅到達後はこのバスに乗車して安保観光へ出向いたものでした。

安保観光に関しては、近日中に続編記事で取り上げたいと思います。


KORAIL・白馬高地まで延伸された京元線~延伸区間は1区間だけながらも…

2014-02-27 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

12月にMAKIKYUが長崎県の対馬へ足を運んだ際には、更に対馬・比田勝港からお馴染みの高速船「BEETLE」に乗船し、韓国・釜山へ足を伸ばしたものでしたが、釜山到着後は1週間程韓国内を周遊し、再び釜山から「BEETLE」で日本へ帰還したものでした。
(帰国は比田勝港ではなく、使い慣れた博多港でしたが…)

MAKIKYUが12月に韓国を訪問した際には、丁度KORAIL(韓国鉄道公社)のストライキ実施時期と重なってしまい、相次ぐ列車運休により当初予定していた列車へが運休→予定変更止む無しという状況になってしまいました。

おまけに寒波と降雪にも見舞われ、大変な旅行になってしまった感もあるのですが、それでも予定のいくつかは達成する事ができ、また逆に当初予定していなかった所へも足を運び、これもまた面白いと感じたものでした。

こんな状況ですので、12月の旅行でKORAIL関係の収穫に関しては余り…という有様ですが、MAKIKYUの訪問時は一般列車セマウル・ムグンファ号には多数の運休が発生、ヌリロ号と観光列車に至っては全滅状態だったものの、KTXと通勤列車、広域電鉄に関しては正常運行でしたので、これらを主体に韓国内を動き回ったものでした。
(ストによる列車運休は韓国鉄道史上最大規模のものとなり、MAKIKYUの帰国後はKTXや広域電鉄でも多数の列車運休が発生するなど、更に事態は深刻化したのですが…)

その一つとして、ソウル滞在中にはソウル北郊を走る京元線の通勤列車に乗車し、現在通勤列車の運行自体が大幅に削減されていますので、この列車への乗車機会自体が…という状況で、他はこれもソウル北郊を走る京義線程度となっています。
(通勤列車への愛称改称前の統一号時代も含めれば、MAKIKYUは慶尚道や全羅道方面などで幾度も乗車しているのですが…)

MAKIKYUは南北分断路線としても知られる京元線・京義線共に、以前にも南(大韓民国)側は乗車した事があるのですが、京元線は2012年11月に延伸しており、この延伸区間にはまだ未乗でしたので、この未乗区間踏破も兼ねて足を運んだものでした。

京元線の延伸区間は、正確に言えば休止していた区間の「部分復活」になるのですが、韓国最北端(北韓を除く)の鉄道駅として知られていた新炭里(Sintanri)駅から、5km強の1駅間だけながらも北へ延伸され、開業した白馬高地(Baengmagoji)駅は新たに「韓国最北端の駅」となっており、復活区間は現在韓国最北の鉄路になっています。

この白馬高地へ向かう列車は、現在東豆川(Dongducheon)発着となっており、ソウル中心部からここまで足を伸ばす1号線電車も毎時3本程度、殆どが各駅停車で片道1時間半程度を要しますので、京元線乗車となると、それだけでもソウルから日帰りで1日がかりとなりますので、距離的にはさほど遠くないものの、結構遠いと感じる方も居られるかと思います。
(ソウル駅を基準に考えた場合、移動距離・運賃はともかく、時間的には白馬高地へ行くよりも、KTXで釜山へ行く方が早い事もしばしばですので…)

東豆川を発着する通勤列車は、東豆川方面まで1号線電車が延伸運転される前は議政府(Uijeongbu)から出ており、今日に至るまで概ね毎時1本程度の運行となっており、現在も東豆川の一つ北に位置する逍遥山(Soyosan)駅以遠は非電化区間ですので、気動車による運行となっています。

 
この区間で運行される気動車は、「MAKIKYUのページ」でも以前取り上げた事があり、CDCとも呼ばれる9501型ディーゼル動車ですが、同型は通勤列車の運行縮小と共に、ムグンファ号用転用改造された車両(RDC)が大半を占め、中には観光列車に改造された車両も存在しますので、現在も通勤列車用として残存している車両は少数に留まっています。

このCDCは片運転台の先頭車を両端に配し、間に運転台無しの中間車を1~3両挟んだ編成で運行、京元線列車が議政府発着だった頃には、5両編成で運行しても、立席が出る程で、電鉄化前の京義線に至っては、ラッシュ時間帯に5両編成を2編成併結した10両編成まで運行している程でした。

しかしながら京元線も末端区間のみの運行となり、需要減もあってか、今日では3両編成での運行となっているのは、少々寂しい限りで、それでも沿線は大半の区間で市内バスも頻発している事(こちらは広域電鉄と乗継利用の場合、カード利用だと乗継通算運賃も適用されます)から、座席も空席が目立つ状況でした。

また概ね1時間間隔の運行ながらも、終点の白馬高地まで足を伸ばす列車だけでなく、従前の終点・新炭里駅発着となっている列車も残存しており、予め時刻を調べておかないと、乗車時間次第では復活区間目当てで足を運んでも…という事になってしまいますので要注意です。

この列車の乗車券は、全車自由席ながらも列車扱いだけあって窓口で購入する「列車指定」の乗車券(予め他駅で購入する場合、指定席自動券売機での購入も可能ですが…)となります。


最近のKORAILで窓口発券の乗車券を購入した場合、QRコードを印刷したレシートの様な乗車券が発券され、改札を撤廃した信用乗車制と共に、日本とは随分雰囲気が異なると感じます。

列車の車内設備は、大邸地下鉄放火事件以来、韓国では鉄道車両の車内化粧板難燃化が進行し、地下鉄に関してはあっという間に交換が完了しているものの、この通勤列車充当車両では難燃化以前の化粧板がそのまま残存し、通勤列車という列車自体と共に希少な存在となっています。
(CDC→RDC改造車などは、改造時に化粧板交換も行っています)


車両間ドアが引き戸ではなく開き戸となっている事や、先頭車の乗務員室窓から前方などを見渡せないのも、KORAILではよくある事で、前面展望が期待できないのは、余り喜べる事ではない気がします。


日本の一般型気動車と類似した運用方法の気動車で、座席配置はセミクロスシート配置となっていますが、クロスシート部分は転換式となっており、一般車両にしては比較的グレードの高い設備を誇り、悪評名高いKTX一般室座席よりずっと良いと感じる点は、大いに評価できると思います。
(以前はボックス席だった車両も存在していましたが、通勤列車の激安運賃を考慮すれば、それでも充分過ぎる設備です)


そしてこの列車に乗車して1時間弱で、終点の白馬高地駅に到着となりますが、復活延伸となった最後の1駅区間では、旧線跡に軌道を敷設した区間だけでなく、旧線と少々離れた所に新線を敷設した区間もあり、車中から旧線跡を見る事もできました。

終点の白馬高地駅に関しては、近日中に追って別記事で取り上げたいと思います。


遂に運行終了・セマウル号用PP動車~一時代を築いた花形も最後はあっけなく…

2013-01-15 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

MAKIKYUは何度も足を運んでいる韓国では、現在KTX(高速列車)がKORAIL(韓国鉄道)における花形列車として有名な存在で、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、ご存知の方も多いかと思いますし、中にはKTXに乗車した事がある方も居られるかと思います。

このKTXは2004年春に運行を開始し、その後も高速新線区間の延伸や運行区間延長、新タイプ車両(KTX-山川)登場などの発展を遂げて現在に至っています。

このKTXが開業する前の韓国鉄道は、最重要幹線の京釜線(ソウル~釜山)でも非電化区間が大半を占め、列車線の各列車はディーゼル機関車牽引による客車列車やディーゼル動車列車が大半、21世紀に入った2000年過ぎの釜山駅でも、電車や電気機関車の姿は皆無と言う状況でした。

MAKIKYUが初めて海外に足を伸ばしたのは2002年、その時も福岡から高速船(その頃はJR九州直営だった「BEETLE」)で釜山に入り、その後韓国内各地を周遊したものでしたが、その際に列車線で初めて乗車した列車が、当時の韓国鉄道庁(韓国国鉄→現KORAIL)の花形的存在だったセマウル号でした。


セマウル号は車両の老朽廃車などによって、運行本数は減少傾向にあるものの、現在でもKORAILの一部路線で運行しており、日本の特急グリーン車並みの非常に豪華な設備を誇りながらも、比較的割安な運賃で利用できる列車として支持されています。
(設備的には車両による差異は殆どないものの、座席モケット柄などに複数のバリエーションが存在しています)

このセマウル号の充当車両は専ら動力集中方式を採用(運行開始から間もない1980年代などは、現在は存在しないタイプのディーゼル動車も走っていた様です)し、KORAILの列車線ホームは高さが低い事から、乗降口もバスの如く何段かのステップが存在しているなど、動力分散方式の電車・気動車が主流を占め、高床ホーム採用でステップなしか、僅かなステップが存在する程度という某島国の列車とは様相が大きく異なります。

一般列車でも線路幅は標準軌(線路幅1435mm)で車両も一回り大柄、列車本数も比較的多く、現地入りしてからの乗車券購入も比較的容易であるなど、海外の鉄道としては最も手頃に乗車できる列車の一つでありながらも、異国の鉄道・大陸の鉄道ならではの雰囲気を存分に堪能できるのも有り難いものです。


また動力集中方式を採用しながらも、機関車牽引による客車列車だけでなく、前後に専用の動力車を配したディーゼル動車編成も存在し、こちらが最盛期における主流派を占めていたのも大きな特徴で、この車両はDHCやPP(プッシュプル)動車などと呼ばれています。

MAKIKYUが初めてセマウル号に乗車した際も、PP動車の方に当り、この車両は個人的には海外鉄デビューと言う意味でも記念すべき存在です。

その時には今はなき食堂車(現在はカフェ車に改装され、韓国の定期旅客列車での食堂車営業は廃止されています)でコムタンを注文したのも思い出話です。

その後もMAKIKYUは何度も韓国へ足を運び、KORAILを利用しているだけあって、このPP動車によるセマウル号には幾度も乗車しています。

エンジンの振動などでお世辞にも快適とは言い難い両端の流線型動力車端にある僅かな区画の客室(車端に座席5列=定員20名)にも2回程当たっていますが、余り芳しくないと感じたこの車両への乗車
(さすがにKTXの両端に連結されている動力車よりはマシですが…)も、今となっては懐かしの思い出話です。

しかしながら最近になってPP動車の運行は激減し、流線型の先頭車(動力車)ばかりが何両もソウルの龍山(Yeongsan)にある車両工場の側線片隅に留置されていたり、PP動車編成ながらも機関車に牽引され、動力車はエンジン非稼動状態で運行に充当されているといった異様な姿を目撃しており、そろそろPP動車の運行も…と感じていました。

そのためMAKIKYUが昨年夏に韓国へ足を運んだ際には、釜山~首都圏(ソウル市内)間を移動する際に、本数の多いKTXやムグンファ号ではなく、わざわざセマウル号を狙って乗車した程です。


そのお陰でこの時は、随分早い時間に釜山を出発(6時25分発)する羽目になり、写真は乗車したセマウル号車内の案内モニター表示です。

セマウル号PP動車はソウル五輪終了後~KTX開業前の1990年代~2000年代初頭における韓国鉄道の花形的存在で、この頃の京釜線では8両編成程度のPP動車によるセマウル号が昼間はほぼ毎時走っていました。

それも2編成併結による長編成運行も常態化しており、一部は途中駅で2方向に分割する列車も存在するなど、韓国鉄道の一時代を代表する存在と言っても過言ではありません。

これだけの車両ですので、某島国なら全面退役ともなれば大々的に告知され、お別れ記念イベントや多数のグッズ類発売などが催されるのは確実で、現に比較的近年引退した新幹線100系・300系などがその代表例です。

しかし特に告知もなく、今月セマウル号PP動車の運行はあっさりと運行終了を迎えてしまい、今ネット上では本国よりも外様と言える某島国の方が、この事で大きな話題になっているのでは…と感じる程です。

昨年わざわざセマウル号のPP動車充当列車を狙って乗車した価値は充分あったと感じていますが、あっけない幕切れとなる辺りは、僅か200km程度の玄界灘を隔てただけでも、鉄道を取り巻く状況が大きく異なる事を示していると言っても過言ではありません。

PP動車の運行が終了となっても、中間車は機関車に牽引される客車として運用する事も可能で、運用上それでも特段の問題が生じない事も、特別な告知なしであっさりと退役してしまった一因かもしれませんが、最後の餞に登場当時の装いを再現したリバイバル塗装車の運行などがあっても良かったのでは…と感じます。


MAKIKYUは登場当時の赤と青色の装いだった頃は知らない身ですが、現行塗装になる前の「中期色」とも言えるKTX開業前後の20世紀末期~21世紀初頭にかけての装いを纏ったセマウル号には何度も乗車しており、初めてのセマウル号PP動車乗車=海外鉄デビューもこの車両でした。

現行塗装への塗り替えが進む過渡期には、2色の車両が入り乱れた編成が多数見受けられ、また流線型のPP動車も製造メーカーの際などで、前面形状に複数の形態が存在していたのも大きな特徴でした。

中間の客車はまだ暫くの間活躍が見込まれるかと思いますが、PP動車の韓国鉄道における功績は大きく、今後鉄道博物館などへの殿堂入り(保存)などで、その功績を後世に伝えて行く機会が生まれる事を願いたいものです。

「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、セマウル号PP動車に乗車された事がある方も多数居られるかと思いますが、今月のあっけない引退劇だけに限らず、セマウル号PP動車充当列車に乗車された際の思い出話などありましたら、是非コメントもどうぞ。


KORAIL 栄州駅と留置車両~希少な寝台車の姿も…

2012-09-04 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

以前「MAKIKYUのページ」では、韓国・慶尚北道を走るKORAILの「慶北観光 循環テーマ列車」に関して取り上げた事がありますが、MAKIKYUが2月にこの列車に乗車した際の乗車駅・栄州(Yeongju)駅は、慶尚北道の北部・栄州市に位置しています。


栄州市は人口約12万人、日本の都市に例えると人口6~7万人程度の地方都市に近い雰囲気で、余り外国人観光客が訪れる様な都市ではないと思いますが、KORAIL中央(Jungan)線の途中駅であると共に、慶北線・嶺東(Yeongdong)線が分岐する鉄道の要衝になっています。


そのため都市の規模こそ大きくないものの、鉄道駅の規模は比較的大きく、日本のJRに例えるなら米原や新山口(旧・小郡)に近い雰囲気があります。
(写真は駅前の通りの様子です)

また高速鉄道(KTX)の運行区間から外れた亜幹線ばかりが集まる駅と言う事もあって、余り近代化されずに昔ながらの雰囲気がよく残っている気がします。


そんな栄州駅も、低床ホームにドイツ型ELや、アメリカ型DLに牽引された大柄な客車が入線する様を見ると、如何にも異国の鉄道と言った感がありますが、鉄道の要衝とも言える主要駅だけあって留置車両も数多く見受けられたものでした。

MAKIKYUが栄州駅から慶北観光 循環テーマ列車に乗車した際には、駅舎から階段を昇降せずに乗車できる1番乗り場からの発着でしたが、このホームの脇には、日本風に言うなら0番乗り場とも言える頭端式ホームがあり、そこには韓国では希少な寝台車が2両も停車していたものでした。


この寝台車は、今世紀に入ってから老朽化した旧型寝台車の代替で製造されたものの、運行開始から程なくして定期列車での寝台車連結が取り止めになり、さほど古くないにも関わらず活躍舞台を失って持て余し気味となっている車両です。
(MAKIKYUはこの寝台車には乗車した事がありませんが、既に廃車となった旧型寝台車には一度だけ乗車した事があり、今となっては少々割高な寝台料金を払ってでも乗車しておいて良かったと感じています)

2両は若者向け格安乗車券(ネイロ:日本の青春18きっぷなどと異なり、かなり厳しい年齢制限が設けられており、MAKIKYUは使いたくても残念ながら…という有様です)利用者向けの仮眠場所に用いられている様で、最後尾には栄州駅から市内バスでアクセスできる観光地へのバス時刻案内も掲げられています。

この寝台車は扉が開いている車両もあり、寝台客室こそ扉が閉まっていて入れなかったものの、近くにいた係員に断って客車内デッキからガラス越しに寝台客室を覗き、撮影も出来たものでした。


寝台客室の通路は客車中央にあり、その両側にレール方向で2段ベッドが並んでおり、日本の開放室B寝台や中国の寝台車で一般的なタイプではなく、寝台特急「あけぼの」号のソロ(B寝台1人用個室)に近い雰囲気となっています。

このタイプの寝台は各寝台のプライバシーが保てる反面、上下空間がかなり狭くなりますので、国土が狭く、夜行列車でも夜が明ける前に目的地に着いてしまう列車が多い韓国ならば、さほど問題にならないとはいえ、寝るだけなら良いものの、乗車時間が長くなると辛いのが難点です。
(KORAILでは途中駅での時間調整なしに、昼間の列車と同じ感覚で夜行列車を走らせますので、終着駅3時台到着で容赦なく下ろされる列車も多数存在し、夜が明けるまで車内でゆっくりと休息を取れない列車が多い事も、寝台車が振るわない大要因かもしれませんが…)


また2両の寝台車前方には、きちんとDLも連結されており、営業列車を意識した印象を作り出している様にも感じますが、新塗装ながらも車体に錆が出ている有様などを見ると、用途不要になった休車or廃車の機関車を飾りで連結している様な雰囲気にも見受けられます。


この寝台車2両+DL編成の近くには、最近は余り見なくなった旧塗装の車両を含むDL数両と、緑色に塗られた事業用客車の姿なども見受けられる状況でした。


事業用客車も、最近ではステンレス製のセマウル号用客車が転用改造される事例が相次ぎ、決して珍しくない状況になっていますので、旧型客車を改造した事業用客車があとどれだけ活躍するのかも気になる所です。


この手の車両は余りモノを場当りで改造しているのか、栄州駅に停車している車両だけを見ても形状の違いなどが見受けられるのは興味深いものです。


慶北観光 循環テーマ列車(2)~車内編

2012-07-01 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先日「MAKIKYUのページ」で取り上げた「慶北観光 循環テーマ列車」ですが、今日はその続編として車内の様子を取り上げたいと思います。

慶北観光 循環テーマ列車はRDC(CDC:都市近郊型ディーゼル動車のムグンファ号用改造車)の特別仕様車だけあって、CDCをベースに団体臨時列車の「パダ(海)列車」用に仕立てた車両程の大規模な改造は施しておらず、観光向け列車としてだけでなく、旅客列車本数の少ない慶北北部において、他列車の補完目的を兼ね備えています。

 
そのため車内に足を踏み入れても、MAKIKYUが乗車した列車の東大邸(Dong-Daegu)方(MAKIKYUの乗車区間は、栄州(Yeonju)~安東(Andong)・北永川(Buk-Yeoncheon)廻り東大邸まで)車両は、LCDモニターやLEDによる案内表示の設置と、荷棚脇付近やデッキ壁面の装飾などを除くと、他のRDCと大差ない回転式リクライニングシートが並び、特に観光列車と言う雰囲気ではありません。


荷物棚付近の広告枠には、慶北観光 循環テーマ列車の運行区間をはじめ、慶尚北道の様々な自治体の宣伝告知がびっしりと掲げられ、慶尚北道全体の観光振興を図る意味合いもあるのか、沿線地域外自治体の宣伝告知も幾つも見受けられたものでした。
(写真は韓国内では全国的に有名な観光地・慶州(Gyongju)市の宣伝告知で、慶北観光 循環テーマ列車は通常、慶州市内を運行する区間はありません)


しかしながら編成の栄州方は、客室内にステージなどが設置され、一般の旅客列車とは大きく異なる観光列車ならではの雰囲気があり、実際にステージにあるマイクを使い、大音響で歌を歌っている様子なども目撃しています。


団体旅行で盛り上がる場としては良いとはいえ、静かに列車の旅を楽しむには不向きな空間といった感があり、まして何を言っているのかも分からない外国語ともなれば尚更ですが、様々な乗客のニーズに対応するために多様な選択肢を用意しているとも言えます。


また通常4両編成程度でローカル列車に用いられるRDCでは、カフェ車の連結などはなく、飲料水の自動販売機などが設置された空間(KORAILではMini Mini Cafeなどと称しています)が設けられている程度ですが、慶北観光 循環テーマ列車は観光列車だけあって、中間車の1両に売店が設けられ、係員による物販を行っています。


その隣の車両にも飲食などに対応した空間が設けられているのも特徴で、ロビー的な役割も兼ねているなど、ムグンファ号扱いで短編成で運行する列車にしては、設備面で充実した印象があります。

慶北観光 循環テーマ列車は、江原道を走る「パダ列車」の様に、乗車自体を観光の目的とするには物足りない感があるものの、列車本数が少ない慶北北部において、少し変わった列車で旅を楽しみたいという向きにはおススメで、MAKIKYUがまだ立ち寄った事がない慶北線沿線や安東などへ足を運ぶ機会があれば、また乗車しても…と感じたものでした。


慶北観光 循環テーマ列車(1)~外観編

2012-06-29 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

2月にMAKIKYUが韓国を訪問した際には、釜山やソウルなどの大都市だけではなく、地方にも足を伸ばしているのですが、その際には以前から存在が気になっていたKORAILの「慶北観光 循環テーマ列車」にも乗車する機会がありました。
(慶北(Gyongbuk)は慶尚北道(Gyonsang-buk do)の略称です)


この列車は名前の通り慶尚北道内を循環運行する観光向け列車で、慶北地域の中心都市・大邸(Daegu)にある東大邸(Dong-Daegu)駅を起終点に、東大邸~[京釜線]~金泉(Gimcheon)~[慶北線]~栄州(Yeongju)~[中央線]~北永川(Buk-Yeongcheon)~[大邸線]~東大邸の時計回りと、折り返しで逆ルートの半時計回りで各1周ずつ運行しており、両列車共に途中の栄州で列車番号が変わります。
(写真は慶北観光 循環テーマ列車の側面サボです)

運行ルート的には、大幹線の京釜線と亜幹線の大邸線区間はそこそこの旅客列車が走る区間であるものの、それ以外の区間は旅客列車の運行本数自体が限られて非常に乗り難い区間で、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中でも、慶北線や北永川~大邸線間の短縮線に乗車した事がある方は少数かと思います。

そのためこの列車の設定によって、非常に乗り難い区間の運行本数が増えるだけでも大いに歓迎できる事ですが、車両面でも慶北観光 循環テーマ列車専用に用意された車両が用いられており、この列車の存在価値を更に高めるものとなっています。


使用車種は統一号(廃止)→通勤列車の大幅削減により、大量の余剰車が発生した都市近郊型ディーゼル動車(CDC)を改造、ムグンファ号用に仕立てたRDCと呼ばれる車両で、最近慶尚道や全羅(Jeolla)道方面の地方都市間を結ぶムグンファ号でよく充当される車両です。


しかしながらRDCで一般的な装いではなく、慶北観光 循環テーマ列車用の特別塗装となっているのが特徴で、4両編成で1両ずつ異なる装いは非常に目を引くものです。

 
CDC時代には様々なカラーバリエーションが楽しめたものの最近は…と感じる方には、江原(Gangweon)道の東海(Donghae)沿いを走る「パダ(海)列車」と共に、見るだけでも楽しめる車両かと思います。
(以前「MAKIKYUのページ」で取り上げた「パダ列車」に関する記事をご覧になりたい方は、こちらをクリックして下さい)

また慶北観光 循環テーマ列車は一応臨時列車扱いながらも、パダ列車の様な特別仕立ての観光列車(団体臨時列車扱いで一般列車とは別体系の特別運賃適用)ではなく、通常のムグンファ号と同等の運賃で乗車できるのも魅力です。

MAKIKYUが購入した乗車券の列車名も「ムグンファ」とハングルで記されていた程で、インターネットで検索すると列車時刻等が出てくると共に、主要駅の自動券売機(日本のJRにおいて俗に「MV」などと呼ばれ、「指定席自動券売機」「みどりの券売機」などと呼ばれる機械に類似したモノ)でも時刻検索や乗車券購入が可能ですが、韓国で発売されている市販の時刻表には運転時刻等の掲載がありませんので、乗車を検討している方は要注意です。

この列車の車内の様子は、近日中に別記事で取り上げたいと思います。


順天駅で見かけた軍用貨物~韓国では時折戦車の姿も…

2012-05-22 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先日「MAKIKYUのページ」では、全羅南道の順天(Suncheon)市と麗水(Yeosu)市を走る市内バスに関して取り上げましたが、2月にMAKIKYUがKORAIL慶全(Gyongjeon)線列車で順天入りした際には、順天は全羅道有数の鉄道の要衝だけあって、駅構内で何本かの貨物列車の姿も見かけたものでした。


貨物列車の中には、日本でもJRでありふれた存在と言えるコンテナ車なども当然存在しており、日本より大柄な貨車が大サイズのコンテナを搭載し、アメリカンスタイルの電気式DLが牽引する様などは、九州とは海を越えて200kmしか離れていない近場ながらも、異国を感じさせる光景の一つと言えます。


また韓国は今日でも準戦時国家という国柄もあって、日本ではまず見かけない軍用貨物を搭載した車両も時折見かけるのですが、日頃は列車乗車中に通り過ぎる駅でその姿を…という程度であるものの、順天駅ではホームからじっくりとその姿を視察する事が出来ました。

 
軍用貨物として貨車に載っているのは、迷彩色に塗られたトラックなどだけでなく、戦車の姿も見受けられたもので、日本では戦車を搭載した貨物列車が走る姿などはまず見られませんので、こんな所にも国情が現れていると言えます。
(軍隊関連は一応原則的には撮影NGの様ですので、余程の事がない限りは見つかっても咎められる程度かと思いますが、近場とは言っても基本的に日本語の通用しない異国です。撮影される場合は充分注意し、自己責任でお願いします)

他にも韓国を旅行していると、迷彩色の軍服を着た若者の姿(韓国では今でも男子は徴兵制が実施されており、概ね20歳前後で入隊します)を散見するほか、ソウル市内でも運行区間や車両編成などで通常の旅客列車とは異なり、ムグンファ号用客車を充当した奇妙な列車が走っていると異変を感じた際、よく見たら迷彩服の若者ばかりを乗せた団体臨時列車(軍による貸切列車)を見かけたなど、いつかはこの様な姿を見なくても済む様に…とも感じたものでした。


麗水EXPO駅とその周辺~麗水では今日から海洋万博開催

2012-05-12 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

今日から韓国全羅南道・麗水(Yeosu)市で「麗水世界博覧会」と称する海洋万博が開催され、これに伴いMAKIKYUが韓国へ足を運ぶ際にも愛用しているJR九州高速船のジェットフォイル「BEETLE」も、万博開催期間限定で福岡~麗水間の航路(運航日限定)が運航されます。

MAKIKYUはおよそ3ヶ月間の万博開催期間中に韓国へ足を運ぶ見込みはなく、万博を見物する可能性も限りなく低い状況ですが、2月に韓国へ足を運んだ際には、万博開催都市の麗水にも足を運んだものでした。

麗水はKORAIL全羅(Jeolla)線の終点駅にもなっており、KORAILの旅客駅で最も南に位置する駅としても知られています。

全羅線も以前は単線非電化でローカルムード溢れる路線だったものの、今では高速列車KTX-山川も乗り入れる複線電化の路線に変貌し、随所で線路付け替えが行われています。

随分前に乗車した時とは別路線かと見違える程でしたが、麗水周辺の海沿いを走る区間は、山を突き抜けるトンネルになってしまい、全羅線でオーシャンビューを堪能できる区間がなくなってしまったのは惜しい限りです。

 
終着の麗水駅とその周辺の線路などは、海洋万博開催に伴って用地を提供する事になり、麗水駅は以前よりやや北側(順天方向)に移設されると共に、駅名も麗水EXPO駅に改められ、以前の面影は全く…という状況です。


そして駅舎前には万博キャラクター(ヨニ・スニ)の姿が見受けられるのは、EXPO会場最寄駅ならではです。

またMAKIKYUが麗水EXPO駅を利用した際には、旧麗水駅周辺まで市内バスを利用した後、麗水EXPO駅を目指したものでしたが、麗水EXPO駅は発着市内バス路線が限られ、公共交通の便は余り芳しくない印象を受けたものでした。


そのため旧麗水駅周辺から10分程徒歩で移動したのですが、麗水EXPO駅近くが万博の入口になり、ここから旧麗水駅一帯が万博会場になる事もあって、ずっと工事現場脇を通る格好となり、建設途上の記録として麗水EXPO駅と共に写真を載せたいと思います。

あと麗水の市内バスに関しては、近日中に別記事で取り上げたいと思います。


KORAIL 368000系電車~ITX青春号用に登場した都市間優等列車用車両

2012-03-10 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先日「MAKIKYUのページ」では、先月29日に運行開始したばかりの富士急行6000系電車(元JR205系)に関して取り上げましたが、その一日前には韓国の首都圏(ソウル都市圏)で「ITX-青春」と呼ばれる新種の都市間優等列車が運行を開始しています。

日本の鉄道関連で「青春」いう言葉を聞くと、まず「青春18きっぷ」が思い浮かび、普通列車の印象が思い浮かぶ方も多いかと思いますが、韓国の「ITX-青春」はこの印象とは対極にあり、4扉ロングシートの一般列車よりも割高な運賃が適用される座席指定制列車となっています。

 
MAKIKYUが先月韓国へ足を運んだ際には、運行開始前日が韓国出国日でしたので、残念ながら乗車は叶わなかったのですが、上鳳(Sangbong)駅などで試運転列車の姿を目撃する事が出来ました。

ITX-青春はソウル市内の龍山(Yongsan)駅か清凉里駅から、近年複線電化されて一部区間が路線付け替えとなるなど、大変貌を遂げた京春線を通って春川(Chuncheon)までの間を運行しています。

ソウル近郊の広域電鉄線区間を、座席指定制で一般列車より割高な運賃と高級な客室設備、少ない停車駅で速達運行を行うなど、高付加価値を付けた動力分散方式の「電車」で運行し、日本では小田急の特急ロマンスカーや近鉄特急などに近い存在と言える列車は、KORAILではソウル駅~新昌(Sinchang)間の「ヌリロ」号に次いで2例目、韓国全体では他にKORAIL空港鉄道の直行列車も存在します。

ヌリロ号は200000系と呼ばれる4両編成の電車が用いられ、広域電鉄線用高床ホームと列車線用低床ホームの双方に対応できる可動式ステップを装備していますので、列車線での運行も可能となっており、ソウル駅~新昌間以外にも、ソウル~提川(Jecheon)間を忠北線経由で結ぶ1往復の定期列車設定があり、他に臨時列車で大田(Daejeon)や湖南線方面への充当実績があります。

2編成併結の8両編成で運行可能で、現に一部列車は8両編成で運行しているなど、汎用度の高い車両で、現に京春線でも団体臨時列車での入線実績が存在しますので、200000系をそのまま、或いは小変更で追加増備して充当しても良い気がしますが、「ITX-青春」号向けには、別途368000系と呼ばれる新型電車が導入されています。

この電車は丸っこい前面形状などは最近の韓流トレンドと言え、日本の鉄道車両とはやや異なる趣を感じる他、8両1編成で、韓国の鉄道車両では初となる2階建て車両を、中間に2両組み込んでいるのが大きな特色となっています。
(編成は4M4Tですので、その気になれば先頭車を含む両端2両ずつを電動車にして、2階建て車両を4両組み込んでも良い気がしますが、両先頭車は制御車で、中間の付随車となる4・5号車の2両が2階建てと言うのは、何処かの島国の首都圏で運行している、「某社レンズ付きフィルムによく似た名称で呼ばれる事が多い電車」などを用いた近郊型電車を連想してしまいます)

またドア位置を広域電鉄線用4ドア車に合わせ、客ドア自体も高床ホーム専用になっている他、装いもステンレス無塗装に青や黄緑色の帯が配されるなど、用途的には200000系に近いとはいえ、同系とは様々な差異が見受けられるのも、趣味的には興味深い所です。

この「ITX-青春」は、4扉ロングシートの通勤電車と同じ線路を走るにも関わらず、KTX(高速列車)を除く韓国の鉄道では最速となる最高180km/hを誇り、80km以上もの距離を乗車しても6000W台と、付加価値の高さなども考えると、お得感のある列車なのでは…と感じます。
(それでも彼の地ではやや割高と言う声が上がっている様で、物価の違いを考慮しても、一般列車の運賃は新線などでも羨ましくなる程割安で、首都圏の辺境・北総監獄(千葉ニュータウン)を走る「開発を止めた某鉄道」(元○○開発鉄道)とその沿線の様な惨状は、彼の地の人間が目にしたら相当驚くかと思います)

同じ線路幅で輸送力的にも大差ないにも関わらず、何処かの島国の首都圏で、特別料金を徴収する座席指定制列車を「最高160km/h」「私鉄最速」などと大々的に謳っている「○田スカイアクセス」は一体…と感じてしまい、後者はこれから運賃・料金で高級な列車である事をPRした方が…と言わざるを得ない気がするのですが、こんな事を感じてしまうのはMAKIKYUだけでしょうか?


JTBキャンブックス「韓国鉄道の旅」絶版・在庫回収に

2012-01-29 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

つい最近、ネット上でニュース記事を見ていた所、2005年1月に刊行されたJTBキャンブックス「韓国鉄道の旅」が絶版になる事を記した記事を目撃し、気になって発行元のJTBキャンブックスHPにアクセスした所、こちらにもこの本を絶版・在庫回収にする旨が公表されていました。

絶版になった理由としては、日本では「日本海」と称している海洋名を、韓国で称している「東海」と記し、(日本海)と記した事で、日本政府の見解に照らすと適切な表記でないというのが絶版の理由として挙げられています。


韓国鉄道(KORAIL)ファンの一人でもあるMAKIKYUも、この本が手元にあり、韓国旅行の際には参考にしていますが、良く見ると109ページの列車撮影地ガイド地図(江原道江陵市の正東津駅周辺を示している地図)で、「 東 海(日本海) 」と記している箇所が見当たりました。
(上画像では少々分かり難いですが赤枠部分が該当・赤枠はMAKIKYUが画像加工で追加したものです)

この様な表記となったのは、韓国鉄道(KORAIL)側から提供された資料等を基にして図の作成を行った事に起因している様で、特段の意図は無かった様ですが、日本国内で日本人旅行者や鉄道ファン向けに、韓国鉄道の魅力を紹介する希少な良書であっただけに、絶版・在庫回収になってしまうのは非常に惜しい限りです。

絶版・在庫回収は教科書や政府刊行物などであればともかく、民間レベルの出版物にしては、対応が過剰過ぎるのでは…とも感じてしまったものです。
(在庫残数などを考えると、シール等での修正対応の方がかえって厄介で、致し方ないのかもしれませんが…)

【以下に記すMAKIKYUの個人的見解に関しては、「MAKIKYUのページ」は国家・地域間の地名呼称を議論するサイトではありませんので、恐れ入りますがこの件に関して、「日本海/東海」「北朝鮮/北韓/朝鮮」「台湾省/台湾」など、地名の特定呼称の是非を主張するコメントはご遠慮下さい。】
(「韓国鉄道の旅」の内容などに関してのコメントはOKです)

ただ東海(East Sea)という呼称は、MAKIKYUの個人的見解としては、朝鮮半島(韓半島)から見て東の海という事で、韓国内でローカルな呼称として使うには良いかもしれませんが、MAKIKYUの手元にある中国の地図では、日本では「東シナ海」と称している海を「東海」として記している程ですので、韓国の一部で主張している韓半島東側の海を「東海」として世界的呼称に…という話が出てくると、無理があり過ぎると感じてなりません。

ちなみに「東シナ海」を「東海」として記している中国の地図では、朝鮮半島東側の海は「日本海」と記していますが、日本では「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)」、韓国では「北韓」(自国領土扱い)となっている土地を「朝鮮」と記し、福建省の東に浮かぶ島は「台湾省」と記しています。

国毎に色分けした世界地図でも、「台湾省」は大陸本土と同色で扱っている上に、「台湾島是我国第一大島…」などと説明していますが、これも色々議論になりそうな表現で、お国柄が表れていると言えばそれまでですが、「MAKIKYUのページ」の様な気まぐれな個人サイトはともかく、市場に流通する刊行物となると、地名等の表記にも…と感じてしまったものでした。


韓国東海岸を走る観光列車「パダ列車」(3)~車窓編

2011-04-20 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

MAKIKYUが2月に韓国を訪問した際に乗車した「パダ(海)列車」は、都市近郊輸送用のディーゼル動車(CDC)を改造した専用車両を充当てしており、この車両への乗車も一つの楽しみですが、「パダ列車」と言うだけあって車窓から眺めるオーシャンビューもウリとなっており、今日は「パダ列車」乗車中の車窓に関して取り上げたいと思います。

「パダ列車」の運行区間に当たる江陵(Gangnueng)~東海(Donghae)~三陟(Samcheok)間では、路線は比較的海に近い所を走るとはいえ、オーシャンビューを楽しめる海沿い区間と、海が見えないやや内陸の区間が何度も入れ替わる格好となっています。

車窓が楽しめるのは当然前者で、江陵を出発してから10分も経たない内に、最初の海沿い区間に差し掛かりますが、MAKIKYUが乗車した際には海水温と外気温に差がある事も影響してか、海が見えない区間では車窓が楽しめるものの、海沿いでは真っ白な霧が立ちこめ、辛うじて海沿いを走行している事が伺える程度と言う状況でした。


江陵市内に位置している最初の停車駅で、市内から市内バスでのアクセスも可能な、「世界一海が近い駅」と名乗っている正東津(Jeongdongjin)駅(どの様な定義で世界一を名乗っているのかは定かではなく、世界一と言うのは違和感がありますが、少なくとも韓国では最も海に近い駅と言って良いと思います)に到着した際にも、辺り一帯は霧で真っ白となっており、一般には「パダ列車」最大のウリとなっているオーシャンビューは、残念ながら楽しめずに終わってしまうのか…とも思ったものでした。

しかしながら東海市に入った辺りで、海沿いでも霧が消え、車窓からは見事な東海(日本海)の絶景が広がり、車内からも歓声が次々と聞こえる状況でしたが、この区間で減速運転を行う辺りは、如何にも観光列車ならではといった所です。


自然景観的には、JRの日本海側海沿いを走る区間と錯覚してしまう様な雰囲気もあるかと思いますが、「北韓(北朝鮮)」に近い土地柄もあってか、線路脇には鉄製の柵などが設けられており、この光景は日本とは随分異なるものです。

そして東海駅を過ぎると三陟線に入り、非電化路線という事もあって、ディーゼル動車の本領発揮といった所ですが、三陟線は定期旅客列車の設定がない貨物専用線となっています。

そのため乗客として乗るには、臨時列車扱いの観光列車「パダ列車」への乗車しか選択肢がなく、個人的にはこの三陟線に乗車できる事こそ、「パダ列車」乗車における一番の楽しみと感じています。

MAKIKYUが「パダ列車」に乗車した際には、東海駅手前から客室最前部に張り付いて前面展望を楽しんでいた所、東海駅停車中に乗務員室の扉が開き、乗務員士の好意で乗務員室の助士席に招き入れられるという、予想外の嬉しい出来事もあり、三陟駅到着までの三陟線内走行時には、最高のポジションで前面展望を楽しめたものでした。
(この様な事は今日の日本ではまず考えられず、国柄の違いも大きいかと思いますが、「パダ列車」に乗車しても乗務員室に乗車できる可能性は低いと思いますので、予めお断りしておきます)

三陟線内は非電化の単線で、通常は貨物専用線と言う事もあって、東海~三陟間では途中に交換設備もない程ですので、設備的には余り立派なモノは期待できませんが、それでも枕木がPC枕木化されている区間も多く、日本の地方私鉄はおろか、JRの地方交通線や第3セクター鉄道の平均レベルよりは、軌道レベルは遥かに良好と感じたものでした。

貨物列車では、大柄なアメリカ型の電気式ディーゼル機関車が牽引するだけあって、それに見合う設備を備えるとなれば、軌道はある程度のレベルが求められるのも当然かもしれませんが、三陟線内に2駅ある停車場(湫岩・三陟海岸)も、不定期で2往復が走る「パダ列車」しか停車しない割には、ホームなどもきちんと整備されています。


一昔前の統一(Tong-il)号客車列車が、ホームもなく駅名票だけしか見当たらない線路上で停車し、乗降扱いを行っていたのに比べると、臨時列車専用駅にしてはかなり上等な設備といえ、日本のJR北海道辺りで定期列車が数本停車する小駅よりも上等と感じたものでした。

 
そして三陟線の終点・三陟駅に到着すると、丁度入れ替わりに貨物列車が東海方面に発車していき、駅構内には貨車の姿も見られるなど、貨物線らしい光景が拡がっていますが、三陟駅も臨時列車専用駅ながら、駅舎がきちんと設けられており、「パダ列車」専用の乗車券発売窓口には係員も配置されているなど、臨時列車専用駅にしては上等過ぎる設備を誇っていると感じたものでした。

ただ三陟駅は市内中心部からは少々離れた街外れに位置しており、駅周辺を通る市内バスも非常に限られていますので、旅客駅としての立地は決して良いとは言えず、団体ツアーや江陵からの往復乗車は別として、「パダ列車」を純粋に三陟への交通手段として捉えるのであれば、非常に使い難いのが現状です。

MAKIKYUは三陟駅まで「パダ列車」に乗車した後、徒歩で市内中心部にあるバスターミナルへ向かい、ここから市内バスで東海駅へ向かったのですが、市内バスは地方都市間とはいえ1日90本以上と非常に充実しており、運賃も非常に安価ですので、三陟線を少々テコ入れした所で、旅客輸送面ではバス相手に太刀打ちできないのが現状です。
(おまけに三陟~東海市内間では市内バスだけでなく、市外バス(都市間バス)も頻発しており、こちらは市内バスよりやや割高なものの、それでも観光タイプ車両による運行で1600W程度です)

そのため三陟線は、観光列車運行や貨物線としての用途以外に、一般の旅客輸送を期待するのはかなり厳しいのが現状で、まして今日のKORAILにおける運賃制度を考えると尚更ですが、三陟駅と市内中心部の結節性の悪さだけは改善に期待したいと感じたものでした。

韓国でも江原道の東海岸は交通手段などが限られ、外国人の訪問も決して多いとは言い難い地域ですので、Seoulなどに比べると不便な面もありますが、興味のある方は是非江陵や三陟へも足を伸ばし、「パダ列車」に乗車してみては如何でしょうか?


韓国東海岸を走る観光列車「パダ列車」(2)~車内編

2011-04-16 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先日「MAKIKYUのページ」で取り上げたKORAILの観光列車・パダ列車(海列車)ですが、今日はその続編として車内の様子を取り上げたいと思います。

パダ列車は都市近郊用ディーゼル動車(CDC)の改造車だけあって、外観だけでなく、車内も随所にCDCの面影が感じられ、日本のJRで活躍するキハ40系列改造のジョイフルトレインを連想させられたものです。


客室は各座席が東海(日本海)側を向き、車窓からのオーシャンビューを存分に満喫できる様になっており、如何にも観光列車といった雰囲気ですが、山側の座席も一段高くなっていますので、どの座席からでもオーシャンビューを堪能できます。

天井や側面の化粧板を見渡すと、海をイメージした様々なイラストが施されているのも特徴で、観光列車ならではの雰囲気を盛り立てているのも、同時期にムグンファ号用に改造され、ビジネスライクな印象が否めない同形車との大きな違いと言えます。


これに加えて先頭車両の運転席と客室の間に設けられた窓も、KORAILでは大抵ステッカーなどで塞がれて前面展望が楽しめず、韓国では地下鉄などでも前面展望が楽しめる車両は少数派ですが、パダ列車では海沿いの景観を売りにする観光列車だけあって、前面展望が楽しめる様に配慮されています。

JRなどでよく見られる前面展望室付きのジョイフルトレインには叶わないものの、CDCの種車形態を維持しながらも前面展望や運転操作の様子を楽しめ、特にパダ列車では一部区間で一般旅客列車が走らない貨物線の三陟(Samcheok)線を走るお楽しみもありますので、この様な配慮は非常に有り難く、KORAILの他列車でも同種の配慮を望みたいものです。
(ただKORAILの列車線では、機関車牽引列車や動力集中方式を採用した車両が多数派で、これらの車両で構造上前面展望は期待できませんが…)

ちなみにパダ列車の客室は、三陟寄りの1両だけが一般室(普通車相当)、他の2両が特室(グリーン車相当)となっており、運賃も一般室で12000W、特室が15000Wとなっています。

MAKIKYUが乗車前日にパダ列車の予約をした際には、特に乗車車両の希望は出さずに空席状況の確認を行い、予約を取りましたので、どちらに当たるのか気になっていましたが、江陵(Gangnueng)駅で乗車前に乗車券を購入した際には一般室の乗車券が発券され、乗車したのは一般室の方でした。

MAKIKYUがパダ列車に乗車した際は、列車自体は全席指定制でそれなりの乗客が乗っているとはいえ、混雑しているという程ではない事もあって、特室の車内も覗いてみました。


こちらの方がやや座席は広い様に感じ、定員もやや少なめになっているとはいえ、設備差はさほど大きくない様に感じられ、乗車時間も江陵~三陟間を乗り通しても1時間半程度ですので、一般室が満席で特室しか空席がない状況でもなければ、一般室で充分なのでは…と感じたものでした。

MAKIKYUが乗車した一般室車の車端部には、小規模ながらもカフェが設けられ、食事類などは期待できないものの、コーヒーなどの飲料やおつまみなどを扱っており、僅か3両編成で乗車時間もさほど長くない列車にこの様な設備が設けられている事自体が、非常に贅沢な様にも感じられたものです。


カフェには専属の要員が配置されると共に、それ以外にも客室乗務員が乗務しており、車内ではレクの様な事を催す(全て韓国語ですので、MAKIKYUは殆ど理解できないのは惜しい所ですが…など、単に観光列車を走らせるだけの企画に留まらず、人的サービスを充実させており、現地の物価を考えると決して安いとは言い難い運賃設定に見合うサービスを提供しようとしている意気込みを感じたものでした。
(カフェにいた客室乗務員は日本語を解さないとはいえ、こちらが日本人と分かると片言で知っている幾つかの日本語の単語で挨拶し、日本語パンフを探し出すと共に、主に子供向けに配布している塗り絵帳もプレゼントとして差し出して頂くなど、非常に好印象でした)

またパダ列車には一般室・特室の2種類の座席以外に、特室車の車端に2人用の個室も設けられており、これも観光列車らしい大きな特徴と言えます。


この個室は「プロポーズ席」という非常に強烈な名称となっており、MAKIKYUがここに乗車する機会がまずなさそうな感じでしたが、この個室は2人利用で50000Wとなっており、写真などの乗車記念品なども用意されるなど、パダ列車の最高級席となっており、MAKIKYUが乗車した際は利用客の姿を見なかったものの、カップル乗車での大事な場面などにはおススメかもしれません。

パダ列車に関しては、特徴的な使用車両だけでなく、オーシャンビューや三陟線走行といった楽しみもあり、こちらに関しても近日中に続編記事として取り上げたいと思います。


韓国東海岸を走る観光列車「パダ列車」(1)

2011-04-14 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

MAKIKYUが2月に韓国へ足を運んだ際には、日本からの高速船「BEETLE」が発着する港町・釜山(BUSAN)や、Seoulとその周辺地域(首都圏)以外に、地方へも足を伸ばしています。

2月の旅行では全羅道方面へ足を伸ばす機会はなかったものの、江原道(Gangweon-do)方面へも足を運んでおり、その際には「パダ列車」と呼ばれる観光列車にも乗車する機会がありました。

「バダ(바다)」とは韓国語で「海」を意味する言葉で、日本語に直訳すると「海列車」と言う事になりますが、この列車は韓国東海岸の江陵(Gangnueng)~東海(Donghae)~三陟(Samcheok)間を運行しており、この区間は車窓から彼の地で「東海」と呼ばれる海を存分に望む事が出来ます。
(「東海」は日本では「日本海」と呼ばれ、呼称問題が様々な場面で議論されていますが、この件に関してのコメントはご遠慮下さい)

この「パダ列車」は観光列車だけあって全車指定席制となっており、それも日本の快速列車扱いの観光列車などとは異なり、運賃体系自体が一般列車とは全くの別立て、それも全区間均一で一般室(普通車相当)12000W、特室(グリーン車相当)15000Wとなっており、現地の物価を考えると、運賃設定は決して安いとは言い難いものです。

また乗車券購入方法もKORAILの一般列車とは異なり、全国各駅などの乗車券発売窓口や乗車券自動発売機では取り扱いできず、KORAILの関連会社・KORAIL観光開発やネットの専用HP(http://www.seatrain.co.kr)で事前に予約をした上で、当日乗車駅に設けられたパダ列車乗車券売り場で乗車券を購入する仕組みとなっており、外国人旅行者にとっては少々厄介なものとなっています。
(パダ列車の途中停車駅には無人駅も含まれ、起終点の江陵・三陟両駅をはじめ、東海駅などでも乗車券購入は可能ですが、無人駅では乗車券購入も不可能ですので要注意です)

MAKIKYUはSeoul駅構内にあるKORAIL観光開発の事務所で、電話による予約を確保した上で江陵へ向かい、乗車前に予約していた乗車券を購入しましたが、KORAIL TOUR SERVICEでは日本語対応も不可能で、片言と筆談によるやり取りとなりましたので、日本から訪れた旅行者ともなれば、手配だけでも少々苦労するかもしれません。

この様な列車ですので、乗車券様式もKORAILの一般列車とは大きく異なっており、海沿いを走るパダ列車の写真付きとなった乗車券は、乗車記念品にも最適なものです。


乗車券には乗客氏名も印字され、MAKIKYUの様な外国人だと英文標記となりますが、その場合にはご丁寧にも(外国人)とハングルで記されているのも特徴的です。
(韓国人乗客が所持している乗車券の氏名標記は、当然ながらハングルとなっており、写真の乗車券は氏名部分を一部加工しています)

少々前置きが長くなってしまいましたが、乗車券を手にして江陵駅で列車に乗り込む際には、列車は一般列車とは別体系の特別列車ながらも、駅改札前の案内表示では「パダ列車」の表示ではなく、一般列車の一種別である「セマウル」の三陟行きとして案内されており、列車本数の少ない東海岸を走る嶺東(Yengdong)線では混合する心配こそないものの、少々紛らわしい案内方法と言えます。


改札を通ってホームに向かうと、既に列車は停車しており、パダ列車はディーゼル動車(気動車)の3両編成となっていますが、この内三陟寄りの1両だけが一般室、残る2両が特室となっています。

このディーゼル動車は現在のKORAIL現役車両では唯一の動力分散型気動車となっており、9500番台の通称CDC(都市近郊型ディーゼル動車)と呼ばれる車両の改造車となっています。

 
CDCは「統一号」→「通勤列車」の大幅減便に伴い、大量の余剰車が発生し、近年ではムグンファ号用に改造された車両(RDC)が大半を占める様になっていますが、パダ列車に改造された車両も片側2箇所に設けられた扉の一つが埋められ、その部分に痕跡が見られるのは、ムグンファ号用改造車と同様の特徴と言えます。


しかしながらパダ列車は、装いが一般列車とは大きく異なるイラスト入りである事をはじめ、側面も東海に面する側だけ窓が大きく拡大されており、この点は如何にも観光列車らしい雰囲気ですが、前面形状などは種車そのもので、元が通勤用気動車である事を強く物語っている辺りは興味深いものです。

車内や乗車中の車窓に関しては、近日中に続編として別記事で取り上げたいと思います。