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伊勢鉄道 最前部から眺めた路線の様子(2)

2009-08-17 | 鉄道[東海]

今日は先日の続きで、伊勢鉄道線の列車最前部から眺めた路線の様子を、中瀬古以遠の単線区間に関して取り上げたいと思います。

中瀬古を出て次の駅は伊勢上野、三重県内には一文字違い(旧国名部分が異なります)で結構有名な、JRと私鉄の乗換駅にもなっている主要駅とも言える駅が存在していますので、非常に紛らわしい駅名とも言えます。


駅自体は単線でホーム片面だけの最も簡素な形態で、それもホームは2両編成分しかありませんので、伊勢鉄道各駅の中で最もローカルムードの強い駅と感じたものですが、伊勢鉄道線は単線区間も複線化可能な用地が確保されているのが特徴です。

伊勢上野の次は河芸(Kawage)、この駅は中瀬古~津間の単線区間では唯一の交換駅となっていますが、上下線のホームが少々離れて配置されているのは特徴的です。

比較的長い編成の列車同士に備えた構造になっているものの、ホームは伊勢鉄道の特急・快速列車通過駅の標準とも言える2両編成分しかなく、バイパスルートとして通過するだけの列車が多い路線の性質をよく表していると言えます。


またMAKIKYUが乗車した普通列車は河芸駅で6分程停車し、数日前にイセⅢ形気動車に関する記事を掲載した際の写真も、この停車時間に撮影したものです。

普通列車はこの駅で交換待ちのために数分停車する列車が、MAKIKYUが乗車した列車以外にも何本も設定されており、特急・快速は僅かな交換待ちも解消するために部分複線化&複線区間で行き違いのダイヤを構成してまで早く走らせようとしているのとは対照的です。

伊勢鉄道~JR線で名古屋~津間を移動しようとすると、昼間は名古屋からは快速「みえ」号より30分早い特別快速~伊勢鉄道普通列車(四日市乗換え)でも津到着時間が殆ど変わりなしです。

津からも快速「みえ」号より普通列車は20分程度早く出発するものの、四日市でのJR接続列車が快速「みえ」号になるなど、伊勢鉄道の普通列車は遅いだけでなく、使い勝手も決して良いとは言い難いダイヤになっている事は問題ありです。

ただでさえ運転本数は決して多いとは言い難い上に、有効本数が更に…という現状では、至近を走る大手私鉄の利便性とは格段の差があり、普通列車の利便性の低さ→利用僅少→1両編成でも充分と言うのは困ったものです。

現状の車両や設備をフル活用しても、至近を走る大手私鉄の圧倒的な利便性や設備には到底適わず、車両の運用効率向上など、費用対効果も考えると、今のダイヤも止む無しなのかもしれません。

とはいえ津発の普通列車時刻変更→名古屋方面へのJR接続列車を特別快速に変更というダイヤに変更出来れば、快速停車駅鈴鹿→四日市・名古屋方面への有効本数増大や、伊勢鉄道線各駅→関西本線亀山方面接続改善も可能になります。

素人目には普通列車のダイヤ変更で利便性の大幅向上が図れるのでは…と感じてしまったものですが、そうなると所要両数の増大(現有車両で対応可)や、交換待ち時間を減らすには単線区間の複線化or行き違い設備の増設も必要になります。

全線複線化する費用をかける需要があるのか?となれば、現状維持も止む無しかもしれませんが、単線区間での行き違い設備増設は、通常時のダイヤ改善だけでなく、ダイヤ乱れ時の列車交換箇所変更にも有用ですので、検討してもよいかもしれません。

単線区間唯一の交換駅・河芸の次は東一身田、この駅も伊勢上野駅と共にホーム1本のみの駅ですが、高架線上に設けられている上に、高架線は複線分の路盤が確保されているだけに、伊勢上野駅に比べると見栄えがするものです。


とはいえ駅周辺には住宅の立ち並ぶ姿も見られるものの、毎時1本程度の普通列車が停車するだけで利便性は難ありという事もあって、利用状況は余り芳しくなさそうに見受けられたものです。

東一身田の次は終点・津ですが、高架から地平に降り、JR線と合流して津駅に到着となります。

JR線合流部の手前では複線用に用地が確保されているのに加え、複線化した際に伊勢鉄道の上下線がJR線を挟む配線を構成できる様に、伊勢鉄道線単線分の使われていない用地も、盛り土の路盤が確保されています。


それどころかJR線を跨ぐ鉄橋まで準備されている程ですが、使われていない鉄橋は錆びも見られて廃線の如くといった印象を受け、随分勿体無い印象を受けたものです。

JR線と合流すると程なく終点の津、非電化で長閑な印象を受けるJR駅構内の様は、都会的な印象を受ける大手私鉄とは対象的な雰囲気を受けるものですが、伊勢鉄道線の普通列車はこの長閑な印象を受けるJR津駅でも、最も寂しい印象を受ける端の0番線を発着しています。


このホームは中間改札こそ設けられていないのですが、津駅は自動改札設置の有人駅(JRと大手私鉄がそれぞれ一箇所改集札を手がけ、駅構内は中間改札なしで両線の駅間を移動可能となっており、三重県内ではこの様な形態の駅が他にも幾つか存在します)でありながらも、伊勢鉄道線列車の運賃は車内精算となり、精算後に津駅出場用の精算券(自動改札機対応)が渡されるのも特徴です。

これでローカル輸送用車両&前面展望を計3回に渡って取り上げた、伊勢鉄道線に関する記事は一区切りにしたいと思いますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も興味がありましたら、JR線のバイパスルートとして通り過ぎるだけの印象が強い伊勢鉄道線を、展望性にも優れたイセⅢ形気動車の普通列車で走破してみては如何でしょうか?