ネット上のニュース記事を見ていた所、気になる記事がありましたので、取り上げたいと思います。
(以下青字部分が記事抜粋です)
「日本一終電が遅い地下鉄」で名古屋の経済はバラ色?
[ドデスカ!-名古屋テレビ]2014年7月4日放送で、終電の延長された名古屋市営地下鉄東山線について紹介していました。
日本一遅くまで走る地下鉄となりました名古屋市営地下鉄東山線は7月4日から終電時刻が土日を除く、金曜日および祝日の前日は45分遅くなりました。
東山線の終電時刻は栄駅で見ると、岩塚行き、星ヶ丘行きともに午前0時16分でしたが、延長となった金曜日と祝前日は午前1時1分となります。
終電の星ヶ丘駅到着は午前1時15分になるとのことで、現在日本で一番遅い地下鉄は都営地下鉄大江戸線が午前1時10分に最終駅の光が丘駅に到着します。
つまり延長になったことで名古屋の地下鉄が日本一遅くまで走る地下鉄となりました。
もっと遅くにはならないの?名古屋の街の声は?
なぜ終電を延長したのか名古屋市交通局電車運転課の水谷公晴さんにお聞きしました。
「終電時刻を延長することで栄・名駅エリアがもっと賑わい、最終的に地下鉄を利用してもらい、たくさんの乗客が見込めると期待しています」とのことです。
終電をもっと遅くすることはできないのですか?の問いに対しては「終電から始発までに、レールなどの保守点検を行っています。それには3時間40分程度が必ず必要となり、その時間を削って延長というのは翌日の安全な運行に関わることなので現時点では45分が最大です」とのことでした。
「夫が金曜日は飲んでくることが多いので、今まではタクシーに乗って帰ってきていましたが、今後は定期で帰って来れるので家計は助かります」と東山線沿線にお住まいの主婦の方や、栄で飲んでいらっしゃるサラリーマンの方は「飲みに行く人に曜日は関係ないと思うので、毎日延長して欲しい」など喜びの声が多い様子です。
ちなみに居酒屋「ニパチ」栄広小路店のみとなりますが、7月4日(金)から7月末まで午後11時以降来店のお客様には、生ビールを1杯サービスしていただけるとのこと。
一方利用者が減るかもしれないタクシー運転手のご意見を伺ったところ「終電が延長されてもタクシーの利用はされると思うので、影響はほとんどないと考えます」とおっしゃっていました。
終電延長で驚きの経済効果も!
終電延長の経費は約1900万円で乗車料金のみでは赤字となりますが、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの内田俊宏さんによれば、名古屋にもたらす経済効果は高いとのこと。
「終電が延長されることによって、外食産業を中心に消費が増えることで年間ベースで考えると10億以上の経済効果が見込まれる。飲食費として一人当たり平均3000円くらい増える計算になる」とのことでした。
さらに終電が遅くなったからといって、飲みすぎて結局タクシーを利用したり、ホテルに宿泊するなどの可能性も予想されます。
また今年度から大企業の交際接待費の半分が非課税になるという制度で、企業の接待需要も多くなる可能性もあるそうです。
名古屋は他の地方よりもボーナスの支給も多く、伸びが高いということで名古屋の夜はますます元気になる可能性が高いと思いますともおっしゃっていました。
名古屋は昔から堅実で経済には明るいと言われます。東山線の終電延長で名古屋の夜が元気になって、他の路線や曜日への拡大になっていくと良いですね。(ライター:神谷祐美)
(記事抜粋は以上)
(写真はMAKIKYUが5月に東山線を利用した撮影した「東山線のイメージ画像」で、最終電車とは関係ありません)
「地下鉄の終電延長」で名古屋市営地下鉄東山線が特定日限定ながらも、「日本一遅い地下鉄」になったとの事ですが、日本では「地下鉄」というと東京メトロと地下鉄を運行する各市及び東京都の交通局が運行する路線のみを指す事が多いのに対し、世界的には事業者が異なる相互直通運転区間などの郊外区間も含めて「地下鉄」と定義される事が多く、個人的には「日本一」という表現はやや違和感を感じる所です。
(韓国ソウルのソウルメトロ1号線と、相互直通を行っているKORAIL広域電鉄各線区などは、両事業者運行区間を合わせて1号線と案内される事も多く、運賃体系も事業者に関わらず一体となっていますので、事業者の境界駅を意識する事も余りない状況です)
また東京メトロ千代田線・北千住発→JR常磐線・松戸行最終列車(各駅停車)などは、MAKIKYUも実際に何度か乗車した事があるのですが、終着駅の松戸到着時刻は、1時15分よりも遅い時間になります。
地下鉄と相互直通運転を行っている路線・区間で、地下鉄との直通運転を行っていない列車も含めれば、夜行列車を除いても、川越市駅や相模大野駅などの最終電車到着時刻は、更に遅い時間になりますし、地下鉄との直通運転を行っていない路線・区間も含めた首都圏の都市鉄道全般を見渡せば、JRの最終電車で終着駅到着が1時30分を過ぎる駅も幾つか存在します。
ただ名古屋は首都圏などに比べると、電車の最終時刻が全般的に早い傾向にあり、東山線の最終電車時刻が他路線に比べて大幅に遅くなる事は、地域に与えるインパクトは相当なモノかと思いますし、終電時刻を「最遅級」として宣伝するのであれば、妥当な気もします。
また東山線は最終電車の出発後、地下鉄に並行する区間を走る深夜バスを運行しており、MAKIKYUも一度このバスに乗車した事がありますが、これも地下鉄と同じ名古屋市交通局が運営しています。
この路線は市内均一料金の倍額(深夜料金)で利用でき、栄から比較的遠い藤が丘などまで乗り通した場合、地下鉄との差額もさほど大きくない事もあってか、利用状況はかなり良いと感じたものでした。
この深夜バスの盛況ぶりも踏まえ、多くの需要が見込まれる金曜日などに限定した終電延長に踏み切ったのでは…と感じますが、東山線沿線は輸送手段形態の差異を別とすると、終電延長がなくても深夜時間帯における公共交通確保と言う点では、名古屋では突出して恵まれていると言っても過言ではない気がします。
近年首都圏では深夜急行バスなどの新路線開設や、既存路線改編によって、深夜時間帯の公共交通機関が充実する傾向にあり、MAKIKYUは目的地に朝3時過ぎに到着となる深夜急行バスを利用した事もあります。
首都圏や東山線沿線に限らず、大都市圏各地の他路線沿線でも需要が見込まれ、設備や要員などの確保に支障がない状況であれば、状況に応じた深夜時間帯の公共交通機関充実にも期待したいものです。
日本では最も公共交通機関が充実している首都圏(東京23区内や多摩地区、神奈川県・埼玉県・千葉県の一部地域)でも、朝1時過ぎになって地下鉄・広域電鉄の運行が終了しても、通常運賃のみで乗車できる市内バスが多数運行しており、このバスを多数の乗客が利用している大韓民国首都圏(ソウル市内とその近郊の京畿道一部地域)などに比べると、見劣りが否めない気がします。
深夜時間帯における交通手段確保のために、現場の負担が過大となり、安全かつ快適な公共輸送確保が困難になる様では本末転倒ですので、充分な体制が確保できる事が大前提で、民営の場合は採算性確保も考慮しなくてはいけませんので、可能な所から順次と言う事になるとは思いますが…
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