先月「MAKIKYUのページ」では今春新装開業した北海道新幹線と、同新幹線の終着駅・新函館北斗駅に関して取り上げましたが、新函館北斗駅は函館の市街地からはやや離れた所に位置しています。
新函館北斗駅開業に合わせ、函館市内との間を結ぶ新たなバス路線も複数開設されていますが、新幹線開業前から在来線が通っていた所ですので、「はこだてライナー」と称するシャトル列車を運行しており、函館市内~新函館北斗間のメインアクセスとなっています。
函館地区の在来線は青函トンネル開業に合わせて電化された江差線(現在は道南いさりび鉄道に移管)関連以外は非電化区間、ローカル輸送に関しては電化区間も含めて全て気動車による運行で、それも近年は国鉄時代に導入され、老朽化や陳腐化が問題となっているキハ40系列ばかりと言う状況です。
函館地区で活躍する同系は全車非冷房車という事もあり、さすがに新幹線接続列車で同系を多用するのは…という事もあってか、「はこだてライナー」用に車両新造を行っています。
「はこだてライナー」用の新造車両は札幌地区で多数活躍している733系電車とほぼ同様の車両ですが、若干の差異が存在する事もあり、1000番台を名乗っており、3両4編成(合計12両)が導入されています。
「はこだてライナー」運行区間は、五稜郭~新函館北斗(旧渡島大野)間が元々非電化区間だった事もあり、この区間は同系運行のためにわざわざ電化しており、3両4編成だけの電車運行のために電化する必要があるか否かと言うと、費用対効果の面では疑問に感じます。
(道央地区で持て余し気味の印象があり、電車並の性能を誇る通勤型気動車・キハ201系は3両4編成の在籍ですので、これを函館地区に転用しても良かったのでは…と感じた位です)
元が733系という事もあり、札幌圏でも既に何度か同系に乗車しているMAKIKYUとしては、見た目も帯色と「はこだてライナー」ロゴ以外は大差ない車両と感じましたが、外観だけでなく内装も若干異なっています。
車内もuシート以外の733系各車両と同様のオールロングシートですが、客ドアは内側が他形式も含め札幌圏のJR北海道で活躍する電車でお馴染みの黄色の蛍光色ではなく、レンガをイメージした赤系となっているのが大きな特徴です。
ドア周辺部分を木目調としており、札幌圏でお馴染みの733系ながらも、やや温かみを感じられる内装となっているのも特徴で、車内の色彩に関しては、個人的には1000番台の方が好みと感じましたが、この辺りは評価が分かれる所かと思います。
札幌圏の733系や一般形の他形式電車各形式と同様に自動放送装置も装備、JR北海道では札幌圏や特急でお馴染みの日英2か国語放送、日本語の男声は「北海道の列車に乗っている」という事を実感させる雰囲気でしたが、各駅到着時の放送で「出口は左(右)側」ではなく「ホームは左(右)側」と案内しているのは印象的でした。
また「はこだてライナー」は普通と快速の2種別が存在、どちらもフルカラーLEDを用いた行先表示では「はこだてライナー」の名称が表示されますが、札幌圏とは異なる様式となっているのも注目で、快速は桔梗・大中山・七飯の3駅が通過駅となっています。
七飯はともかく、残り2駅に通勤型電車が発着する姿は、以前の様子を知る身としてはかなり違和感があり、走行音も静かな新型電車でこれらの駅を通ると、キハ40系列の気動車で通った際とは随分印象が異なるとも感じたものでした。
ただ新幹線開業に合わせて「はこだてライナー」運行区間を電化し、新型車両を導入すると共に、函館駅などの物販店舗では「Kitaca」などの全国交通系ICカードを電子マネーとして利用できる旨を盛んに宣伝しているにも関わらず、この案内看板の右下には小さく「※函館地区ではKitaca・Suicaを乗車券としてはご利用頂けません」と出ているのは片手落ちの感があり、せめて函館駅と新函館北斗駅の自動券売機程度は全国交通系ICカード対応にしても良いのでは…と感じたものでした。
(他社のカード通用においては、関西私鉄のスルッとKANSAIカード各種で近鉄は青山町以西のみ対応エリアと謳っていながらも、一部の券売機に関しては名古屋などで使えると言った事例もありますので…)