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ベトナム国内を走るローカル列車~ハードシートとソフトシートでは雲泥の差

2018-02-10 | 鉄道[その他海外]

先日「MAKIKYUのページ」では、ベトナム統一鉄道に関して取り上げましたが、人口や国土の大きさの割にインフラ整備がまだまだのベトナムでは、幹線とも言える2大都市を結ぶ統一鉄道(Ha Noi~Sai Gon)でも単線非電化、日本の亜幹線並と言っても過言ではない状況です。

鉄道総延長も営業距離2600㎞程度ですので、統一鉄道だけで路線長の過半数を占める状況になっていますが、MAKIKYUが今夏ベトナムを訪問した際には、統一鉄道以外にHa Noi~Lao Cai、Ha Noi~Hai Phong、Ha Noi(Gia Lam)~Dong Dangの路線にも乗車しています。

その中でもHa Noi~Lao Caiの路線は約300㎞程度、Lao Caiは中国雲南省・河口と接する国境の街で、MAKIKYUがベトナムに初入国した際も昆明→河口→Lao Cai→Ha Noiと移動したものでした。

線路は中国・昆明までつながっているものの、メーターゲージ(軌道幅1000㎜)の路線は中国側の旅客営業が昆明近郊以外は休止状態となっており、現在昆明~河口北(河口の街外れにある新駅)間は標準軌(軌道幅1435㎜)の旅客列車が近年営業開始した新線を走る状況ですので、過去には昆明~Ha Noiの直通列車も存在したものの、現在は河口・Lao Caiでの乗継が必要になっています。

河口は河口北駅と国境が少々離れており、タクシーなどで15分程度の距離(市内路線バスも列車接続便が少数運行)ですが、Lau Caiは国境と駅の間も徒歩20分強、タクシーに乗りたいと思うなら探すまでもなく客引きが近づいてくる程ですので、国境~駅の移動は比較的容易です。


このLao CaiとHa Noiの間は統一鉄道などに比べると曲線が多く、線形が芳しくない事もあってか9時間以上を要し、昼間の列車は1往復のみ、他に寝台車も併結した夜行列車も運行しています。

 
MAKIKYUはLao Cai駅で当日Lao Cai発の昼行列車乗車券を発車2時間前に購入、この列車はソフトシート(中国の軟座などに相当)が1両、他は全てハードシート(中国の硬座などに相当)となっており、ソフトシートでも日本の物価から見れば割安ですが、1両しかなく満席との事でハードシートに乗車したものでした。


ハードシートは名前の通りで座席は硬い木のベンチ、日本の普通車と同じ感覚で乗れる車両とは言い難いどころか、悪評名高い中国の硬座車をも凌ぐ劣悪な設備を誇る車両です。

このハードシートも冷房車と非冷房車の2種類が存在、両者で料金も異なり、Lao Cai~Ha Noi間列車のハードシート車は全て非冷房車ですので、ハードシートの中でも特にハードな旅が約束されていると言っても過言ではない状況です。


非冷房車の旅だと、窓が開けられ車窓を眺めたり撮影できるのがせめてもの救い…と言いたい所ですが、ベトナム国鉄の非冷房車では日本の国鉄が北海道向け装備として採用していた二重窓を連想するアクリル製の内窓(穴開き)が設置されています。

走行中この内窓を開けて外の風に吹かれていると、時折車内を巡回する乗務員から内窓を閉める様に注意されますので、外の車窓を眺めて撮影するにも冷房車の方がマシと言っても過言ではなく、ハードシート非冷房車は安い事だけが取り柄の座席と言っても過言ではないとも感じたものでした。

Lao Cai~Ha Noiでは連結車両編成の関係で止む無くハードシート非冷房車に乗車したものの、昼行列車でも9時間強の乗車はかなり疲れると感じ、夜行なら絶対勘弁願いたい代物(それでもHa Noi~Ho Chi Minhを航空機で移動するよりはまだマシな気もしますが…)と感じたものでした。


またHa Noi~Hai Phongの路線と統一鉄道の一部区間(Ha Noi~Yen Trung)では、ソフトシート(冷房車)に乗車。


こちらはビニール張りのリクライニングシートが並び、座席回転ができず約半分の座席が進行方向と逆向きになる難点はあるものの、それ以外は日本の特急普通車辺りと大差ない居住性を誇る車両と感じたものでした。

 
車両によっては、内装に木を用いたレトロな雰囲気の車両もあるなど、幾つかのバリエーションが存在しているものの、設備的には中国の軟座に比べると車両格差は小さい様に見受けられ、居住性もハードシートとは雲泥の差と感じたものです。

そのためソフトシート連結列車で空席があるならば、隣駅までの乗車などの短距離移動以外では是非こちらを…と感じたものでした。


この他に旅客列車として運行している姿は見なかったものの、幾つかの駅で2階建て客車が留置されている姿も目撃しており、こちらの存在も気になったものでした。

また冒頭でも触れたHa Noi(Gia Lam)~Dong Dangの路線は中国国境に至る路線、中国(南寧)との間を結ぶ国際列車に乗車していますが、こちらに関しては近日中に別記事で追って公開したいと思います。