豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

アパートの鍵貸します

2014年12月30日 | 映画

 一昨日だったかの夜、BSで高倉健主演の“あなたへ”をやっていた。
 高倉健の追悼なのだろうが、残念ながら映画の出来はよくなかった。

 富山刑務所の刑務官が、亡くなった妻の遺骨を故郷の平戸に散骨に行くまでの物語。
 高倉健にひとり旅をさせればよいものを、ビートたけしが出てきたり、草薙剛が出てきたり、佐藤浩一が出てきたり、・・・と煩わしい限りである。
 いくら興行収益を考えなくてはならないとしても、このドラマの脇役なら他にいくらでもいただろう。途中はまるで“寅さん”シリーズを見ている錯覚すら覚えた。

 平戸の坂道の途中にある古びた写真館のショーウィンドウの中に、亡き妻の少女時代の写真が飾ってあって、高倉がガラスをこつんと叩いて別れを告げて、それでエンドマークかと思ったら、まだ続くのである。
 映画は終わるべきところでさっと終わらなければならない。小津安二郎の言う「砂を噛まされた思い」である。

 こんな映画が2014年に見た最後の映画では後味が悪いと思って、チャンネルを回したら、BS452チャンネルかどこかで、“アパートの鍵貸します”をやっていた。

            

 
 ビリー・ワイルダー監督の1960年の作品である。モノクロだった。

 実は、同監督の“お熱いのがお好き”を以前に見たが、好きになれなかった。題名からして、“アパートの鍵貸します”も同工異曲だろうと思って、きょうまで見ないでいたのだが、期待もしないで見たら、これが良かった。

 ストーリーは何ということはないニュー・ヨークを舞台にした、サラリーマン(ジャック・レモン)が主人公のラブコメディーである。相手役のエレベーター・ガール(!)がシャーリー・マクレーンというのもいい。もちろんマリリン・モンローに演じられる役どころではない。
 美人でもない彼女が、最後には可愛らしく見えてくる。

 場面はほとんどアパートの一室と高層ビルのオフィスだけ。たいしたドラマも起きることなく、気のきいたセリフと、彼、彼女らの演技だけでストーリーは進んでいく。
 ジャック・レモンの恋敵は、あの“パパ大好き”のお父さん、フレッド・マクマレイではないか。

 同年のアカデミー賞を4部門(監督賞、作品賞など)で獲得した作品だと後で知った。それだけのことはある。
 早速アマゾンでDVDを注文した。アマゾンは正月(3が日)でも届くのだろうか。

 人が何と言おうと、ぼくはこういう映画が好きである。1年の最後に、偶然いい映画を見た。

 2014/12/30 記

* 最初の写真はブルーレイ版の、後者はDVD版のジャケット。いずれもamazonのページから借用しました。


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