9月18日(金) 車検の待ち時間に、カローラ店でトヨタ・プリウスに試乗した。
プリウスに乗るのも、ハイブリッド車に乗るのも初体験。ただの時間つぶしのつもりだったのだが、ちょっとプリウスにはまってしまった。
意外の第一は、フット・ブレーキだったこと。
ぼくは基本的に目に見えないものは信じない。長い渋滞や踏切待ちでも、サイド・ブレーキなら目で見える。しかしフット・ブレーキでは踏んだのか解除したのか分からない。
そもそもこいつは、左足で踏むのか、右足で踏むのかさえ分からない。運転中は左足はどこにおいて置けばいいのだろう。
意外の第二は、ギアシフト・ノブが、「D」レンジや「R」レンジに入れると、すぐにもとの位置に戻ってしまうこと。
これも、「D」なら「D」にちゃんと入っていることが目で見えるランクスのほうがぼくには安心である。
意外の第三は、「P」ボタン。
わが家に到着して、駐車スペースに縦列駐車でとめた。後方視界は悪そうな印象だったが、意外と気にならなかった。他人様の、それも乗り慣れない3ナンバーのクルマなので緊張したが、さすがに入れなれているせいか、一発で収まった。
止まったところで、どのくらいの収まり具合か確かめるために、降りてみようとしたら、営業さんが慌てて「P」ボタンを押した。こいつを押さないとパーキングにはならないのだった。
意外の第四は、これが最も印象的だったが、発進、そして走行する時の独特の走行感覚。
モーターファン別冊『新型プリウスのすべて』では、「“電気感”が全体を覆うのが新型だが」、「実際の走行では、“電気感”が、これまで以上に凄い」、「普通に走っても常に濃厚な“電気感”を伴う」などと、“電気感”という表現が頻出するが、この“電気感”を体感した。
とにかく従来のガソリン・エンジンとはまったく別物であった。
当日は、カローラ店からわが家まで10分くらい走ったが、結構渋滞していたので、せぜい40km/h程度しか出せなかった。ひょっとすると、この間すべてがモーターによる走行だったのかもしれない。
ブレーキを踏んでアイドリングが停止したことも、再びアクセルを踏んで再発進した時も、まったく何も意識しない。
静かに、ゆったりと発進し、そして流れるように走っていく。まさに近未来的な感覚だった。
カローラ(ランクス)が20世紀最後のクルマなら、プリウスは21世紀最初のクルマかもしれない。
わが家のクルマの原点はスバル360だったので、ぼくのクルマ人生最後のクルマもスバルにしようと思っていたのだが、プリウスもいいな、という気持ちになってしまった。
ただし、図体は少し大きすぎる。前にも書いたように、『ベストカー』の9月26日号によると、来年1月に発売されるホンダのCR-Zに対抗して、トヨタはプリウスのクーペを出すという。同誌によれば、車高は1350mm、全長は4260mm程度になるらしい。
300万円超という値段と、2ドアは辛いけれど、プリウス・クーペのコンパクトさに期待しよう。
車検上がりのランクスには何の不満もないのだが、今でも時おり、あの“電気感”が蘇ってくる。
* 写真は、トヨタ・プリウス。試乗したのはダークブルーだったが。