篠山紀信さんや、立木義治さんらと同じ時代を駆け抜けたカメラマンの大先輩が会社にいます。当時は社会科と婦人科に大別されていたという。大先輩は婦人科専門。まるで産婦人科のような響きに違和感を感じてしまうつまり広告写真、ポートレイト専門という意味。従って社会科はジャーナリズムだ。パリの学校でジャーナリズム科を選択したわたしは人物撮影が苦手だ。でも撮ってみたい
日本人は凹凸の無い顔だから、真正面はNGなんだってかならずサイドを狙う。会ってはじめの5分間で、コミュニケーションをとりながらモデルさんが最も綺麗に写る角度を見極める。後はキーライトになるトップライトの他に、サイド、バックなどのライトを決めるだけ。私は花をモデルに見立てて撮っている。確かにはじめの5分間で最も惹かれる角度を探しあてている。一緒なんだね
大先輩は、写真は偽りだという。ファインダーの中の作られた世界。ジャーナリズムを出た私はそうは思わない。つくられた世界をみるのは嫌いじゃないけど、私はありのままを伝えたい。