「母ちゃん、今晩はいびきをかかないでください!」
休暇がとれて、佐渡に来た息子の言葉。
えーーーーーっ!うそでしょ、そんなことありえない、いびきなんてかかないよって反論したら、
「どこにそんな根拠があるの?」と敵も攻めてくる。
今までそんなことなかった、いびきをかけば自分でも分かると言いつのるが、敵は鼻で笑う。
寝息なんて可愛いものではなく、明らかにいびきだって。
息子が目が覚めている間中派手にグーグーやってたんだって。
ショックでもなんでも僕は聞いていたんだからね、とダメ押しする。
ほんとかさ、信じられない。
いびきって、たいてい、仰向けで寝ている人が鼻ぐわぐわ言わせてやっているでしょ。顔を横向きに押しやると、とたんに止まるじゃない。
私は仰向けでは寝られないもんね、絶対横向きで寝ている、それだけでいびきかいてないと信じる。
そりゃあさあ、涎は確かに流している時はあるわ。口の横が痕跡でごわごわしている証拠が残っているから納得する。
いびきはなあ・・・・そりゃあないわ。
それじゃあなにか?私と一緒に旅をしたあの方たちは、何日間も何日間も私のいびきを我慢していたというのか?ありえないなあ。
傷つくかもしれないから言わないでおこうね、なんて配慮をする方たちじゃあないから、そういう事実があったら、
「あなた、昨日高いびきかいてたわよ。うるさくて眠れなかったわ。ねえ。」
ってぶうぶう文句言ったと思うの。そんなこと言われなかったから、それだけでもいびきはかかない!って証拠。
でも・・・・
そういやあ、夫がいつだったか、ぐうぐういびきかいてたぞって言ってたことがあったわ。私が、昨日は何時まで起きてた、目が冴えてた、何時間しか眠れなかったわ、というようなことをしょっちゅう言うから、その慰めかと思って意にも解していなかったけれど、あれは事実を言ってたのかしら。
ああ来るべきその日を楽しみにしているけれど、いびきでご迷惑をかけるようなことを避けるために、私は一晩中起きてなくちゃあ。友情にひびが入るといけないもんね。
ほんとにそうなのかなあ、とまたもや疑っていたら、今朝息子は
「母ちゃん、昨日もいびきかいてたたぞ!」と報告した。
私はきっとどこか具合が悪いに違いない。