小川糸さんの本は『食堂かたつむり』『つるかめ助産院』についで3作目。
ラブレター、絶縁状、天国からの手紙…。
鎌倉で代書屋を営む鳩子の元には、今日も風変わりな依頼が舞い込む。
伝えられなかった大切な人への想い。あなたに代わって、お届けします。
平易な文章で代書にまつわるひとつひとつのエピソードが心温まり、あっという間に読み終わる。
悪筆で悩む素晴らしく美人な国際線の客室乗務員をしているカレンさんの義理の母の誕生日カード代書依頼。
15年の結婚生活にピリオドを打つ離婚を報告する手紙。などなどうるっときそう。
私、NHKのドラマの方を先に観ているので、鳩子を取り巻く登場人物全員、
個性の強いその俳優さんの顔が浮かんできてじゃまをするの。しまったと思ったわ。
先に本の方を読んでおけばよかったわ。
ドラマでは江波杏子さんが演じたお隣に住むバーバラ婦人がいい。
見開きには鎌倉案内図もあって。
ツバキ文具店は鎌倉宮の方か。
落語会が開かれた光明寺ね行ったわ。とか物語の舞台になった場所を想像するのも楽しい。
鳩子が依頼された代書も掲載されている。
依頼文にふさわしい筆記用具、紙、文字など細やかに神経を配って選びに選んだ末書いた手紙が。
「言いたかった ありがとう。言えなかった ごめんなさい。伝えられなかった大切な人への想い」
これは、さんざん反抗した亡くなった先代(鳩子の祖母)への長い長い手紙ではなかろうかと想像したりもした。
『春苦味、夏は酢の物、秋辛み、冬は油と心して食え』
台所に張り付けてある先代が書いた標語。(後に鳩子も書く)
引っくり返って読んでも怒られないであろう1冊、なかなかでした。