明月院のある北鎌倉まで電車を乗り継ぐ。
京浜東北線も横須賀線も8時台の電車だから、混み具合は可もなく不可もなく。
でもね車内の様子は違ったわ。
空席があってもお隣に人がいたら座らないの、立ったまま、の人多し。
乗客皆で暗黙のソーシャルディスタンスを取る。帰りの電車もその通り。
コロナ騒動以前なら空席めがけて突進していたのにね。変わったものだわ。
しみじみ。
こまわりくんは違う。
自粛要請が解かれたとたん、元通りの三蜜状態。満員電車並み。
私はじめ高齢者住民の足ですものね。皆さん頑張って自粛していたのね。
病院に買い物に出かけなきゃあいけない。仕方ないか。
いつぞやも。
私が乗る停留所はまだそれでも空いているほうだが、その日は空席がなかった。
後ろのほうへ行って立っていると、肩をトントンされた。ん?何?
見ると同じ年くらいの紳士が、わざわざ立ってきて席を譲ってくれ、
お座りくださいと、ね。
そうよ、ここで「いえいえ」なんてお断りしたら紳士の顔をつぶす。そりゃあ女が廃る。
有難く譲っていただいて入口そば一番前に座った。実はこの席はちょっと微妙なのよ。
案の定、次の次くらいの停留所で杖を突いた老女が
不自由そうに乗ってきたからには、一番前の私が席を譲るしかない。はい。
よせばいいのに立ってから後ろ振り向いてしまった。先の紳士と目が合った。
あちゃあ、ばつが悪くて慌てて顔を前に向けたわ。
なんだか気まずくて・・・自意識過剰。
その日の買い物は、ひまわり市場前の八百屋でリンゴを買ってお終い。
手にはお店巡りしていくつかの買い物袋。
ひとつの買い物袋にリンゴを入れようにもあれこれ邪魔でもたもたするばかり。
見かねた店のお兄さんが、
「どれ貸してみな、入れてやるよ」と。ありがたく袋を手渡して、
「一番下にトマト(別の店で買ったやつ)が入っているのよ。つぶれると困るからさ」
「だいじょうぶだよ」って、トマトを取り出してリンゴを下に入れてくれたわ。
その心遣いありがとう。
年をとるとなかなかいいこともあるわね。親切にしてもらえてうれしい。