気ままに

大船での気ままな生活日誌

野川の道はいつか来た道

2006-10-22 15:17:50 | Weblog
JR東日本主催の「駅からハイキング」に参加しました。今回は「野川ハケの道と深大寺そば祭り」というテーマで、国分寺駅から武蔵野公園、野川公園を経て深大寺までの約10キロを歩きます。とても、すばらしい散策コースでした。

駅から20分ほど歩きますと、貫井神社に着きます。水の神を祭っています。お堂の後ろは崖のようになっていて、その上は雑木林です。その崖の下の岩の隙間から、今でもこんこんと水が湧き出ています。この崖がずっと世田谷の方まで、20キロくらい続いていて、この崖線をハケと呼んでいます。武蔵野台地の雨水が染みこみ、それが、崖下で湧き水とし生まれ変わっているのです。今日歩く、野川は、そういう水によってつくられた川なのです。生まれたの水は、小さなさざ波をたてて恥ずかしそうに流れていました。指を入れてみました。かなり冷たいです。次に飲料水不適ですという立て札を、みてみない振りして、少し飲んでみました。新潟銘酒、上善如水のようにすっきりした味でした。

少し歩くと、貫井大橋に出ます。この下に野川が流れています。一級河川ですが、小さな川です。大船のいたち川程度です。鴨が泳いでいます。近くの前原小学校の生徒がつくった掲示板には、野川には、カワセミとかノゲラも生息していると、ありました。うまくすると、最近いたち川で見つからない幸せの青い鳥が、みれるかもしれないと、楽しみが増えました(残念ながら、最後までみられませんでした)。

小金井神社、大岡昇平の「武蔵野夫人」の舞台となった辺りを過ぎて、「ハケの道」の案内板がありましたので見てみました。よくみると、ハケがハゲになっていました。”を誰かが、黒マジックで加えているのです。ごていねいに、表題だけではなく、説明文の、その文字全部につけていました。ハゲの道になってしまったのです。おかしくって、ワイフに教えようと、右を向いたら、ちょうど、ハゲの親子(歩き方がそっくりなのでそう判断しました、ひとりは若禿でした)が、おそろいのリックサックをしょって、通り過ぎる所でした。本当に禿の道になっていました。

しばらくすると武蔵野公園に入ります。野川をはさんで、武蔵野の面影を残す雑木林の、とても落ち着く公園です。桜の木もたくさんありました。あちこちで、家族やいろいろなグループが、のんびりくつろいでいます。野川もここまでくると、河川敷にこれまで目立っていた、あつくるしいセイタカアワダチソウが少なくなり、うすいピンクの花をつけた、かわいらしい植物が目につくようになりました。あとで自然観察員の人に聞きましたら、アキノウナギツカミだと教えてくれました。ウナギツカミというので、茎でもつるつるしているのですか、と聞きましたら、これは、ざらざらで、別の近い種のなんとかいう植物がつるつるしているそうです。どういうことでしょうか。

連続して野川公園に入ります。入り口に車の焼き芋屋さんが大きなボリュームで三橋美智也さんの歌を流していました。題名は忘れましたが、・・・呼んでいる 呼んでいる 赤い夕陽の 故郷が うらぶれの 旅をゆく 渡り鳥を 呼んでいる 馬鹿な俺だが あの山川の 呼ぶ声だけは おーい聞こえるぜ・・・私の小学生時代に流行った懐かしい歌です。ついつい、これに唱和してしまいました。焼き芋屋さんは、私がこの時間に来ること知っていて、この音楽を流してくれたのかなと思ってしまいました。というのは、野川公園は、まさに私の「赤い夕陽の 故郷」なのです。

私は中学生の頃まで、三鷹に住んでいて、この辺り一体は、私の幼少年時代の、少し遠出の遊び場だったのです。野川公園のがけの上は、現在国際キリスト教大学の敷地になっていますが、10才くらいまでは、そこも自由に出入りできて、山ではカブトムシをとったり、小川では、ザリガニ、カニ、タニシ、ドジョウをとったりして遊びました。下の方まで降りていくと、湧き水が豊富にあふれている地帯があり、大抵、そこには、わさび田がありました。子供にとっては天国のような遊び場で、赤い夕陽が落ちるまで存分遊んだところなのです。

何十年ぶりに訪れて、野川のやさしい流れや、周辺の湿地帯の小川や、なつかしい植物、一部復元されていたわさび田などをみていて、じわりじわりと、遠いむかしの風景、幼友達の元気な顔、声が思い出されてきて、しみじみとした気持ちになりました。あの当時の友達の中には、もう早々とこの世を去っていった人もいます。ワイフは疲れたと言っていたので、休ませて、ひとりで30分ほど「赤い夕陽の故郷」の中に入りこみ、あちこち歩き回って帰ってきました。思い出ぼろぼろでした。ちょっと長すぎるわよと、ワイフがふくれっつらをしていました。

ゴール地点の深大寺は、蕎麦まつりでにぎわっていました。隣接している植物園のバラ園も人人人でいっぱいでした。ここも、だるま市に家族そろって歩いて来たり、自転車に乗れるようになった頃には、たびたび訪ねたりした、思い出いっぱいのお寺です。ゴールの証しの小さなバッジをもらったあと、ゆっくりみて回りました。

いつか来た道は、また何度でも来てみたい道になりました。





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