団塊世代おじさんの日常生活

夏 日本で二番目に気温が高く、陶器と虎渓山と修道院で知られる多治見市の出身です。

「きっと、鮑の恩返しがあるよ」と言われたが、今のところ何もない。

2024-04-15 01:24:32 | 日記
 中日新聞の「くらしの作文」に「鮑」というタイトルで、72歳の男性が投稿されていました。

 伊豆の宿は、海辺にあった。

 夕食の部屋に案内されると、海の幸の膳が並んでいる。

 膳の傍には、鮑(あわび)が添えられていた。

 どうやら残酷焼きとか地獄焼きとかいう料理のようだ。

 ご婦人方は「キャーかわいそう」とか言っている。

 係の人が、ライターを持ってやってきたが「もう少し後で」と着火を断った。

 目の前の鮑の運命は、私にあった。

 焼けばそれまでのことだが、膳の前に座った時から食べる選択肢はなく、何の迷いもない。

 海へ帰そう。

 鮑をお手拭きに包み、何食わぬ顔で部屋へ戻った。

 窓を開けると、雨の海は漆黒だが、窓下から波音が聞こえた。

 宿の明かりに照らされ、波立つ浅瀬が広がっている。

 浴衣の袖をまくし上げ、鮑を思いっきり遠くへ投げると、放物線を描いて海へ落ちた。

 席へ戻れば、隣のご婦人が「あちち」とか言いながら、鮑を小皿に移して食べ始めていた。

 夜も更けて、波打ち際の露天風呂に入った。

 海は荒れ、波しぶきが飛んでくる。

 野趣満点の入浴となったのはいいが、荒れた海へ放した鮑が心配になってきた。

 すっかり親心だ。

 「きっと、鮑の恩返しがあるよ」と言われたが、今のところ何もない。

 以上です。

 かみさんが「くらしの作文読んだ」と訊いてきました。

 「まだ読んでいない」と言ったら「このおじさん自己満足もいい加減にしなきゃ」と怒っていました。

 「鮑を海へ放って、どうするの。死んでしまうじゃないの。鮑は岩に張り付いて生きているのに」と言いました。

 「そうなんだ、鮑は岩に張り付いて生きているんだ。海に放ったら死んでしまうんだ、それも荒れた海に」。

 鮑を助けようと思ったら、岩に置かなければいけなかったんだと思いました。

 投稿者さんは「きっと、鮑の恩返しがあるよ」と言われたようですが、鮑の恩返しは期待できそうもないと思います。



本間千代子さんも可愛かったし、舟木さんの頭のカットも流行ったし。
君たちがいて僕がいた 本間千代子・舟木一夫 Honma Chiyoko・Funaki Kazuo
コメント (2)
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