中日新聞の「おじさん図鑑」に「高校一年生」というタイトルで、飛島圭介さんがエッセイを書かれていました。
もう半世紀も前、おじさんが高校生になったとき、お祝いに父親からセイコーの腕時計をもらった。
叔母からは万年筆だった。
他に革のカバンも買ってもらった。
一挙に大人になった気分の高校一年生は、晴れがましさと恥ずかしさで頬を赤らめて、4月、新しい学校に通い始めたのだった。
腕時計は、時間の全てを己のものとして管理できることを意味し、万年筆は、消しゴムでは消えない勉学督励の象徴として胸ポケットに差してあった。
終戦から20年ほどを経た、高度経済成長時代を迎える前の、まだまだ世の中全般が貧しい頃だった。
腕時計と万年筆はおじさんにとって宝物だった。
殊に腕時計は、父親が早世したこともあって大学生になっても大切に愛用していた。
が、うっかりしていて紛失してしまった。
亡父への申し訳なさで、いまだに悔やんでいる。
今、ピカピカの高校一年生たちは、何をお祝いにもらうのだろう。
腕時計などは小学生の頃から持っているだろうし、万年筆はあまり使われなくなった。
モノはあふれ、貴重品といえばスマホかゲーム機か。
時代は流れ、新高校一年生の大事なものも完全に様変わりした。
以上です。
私もおじさんと同じで、リコーの世界一薄い自動巻き時計が欲しくて、高校生になったお祝いに父親からこの腕時計を買ってもらいました。
大学に入ったばかりの時、体育の授業が終わり水飲み場で水を飲み顔を洗った時、腕時計を外しました。
腕時計を外した事を忘れ、教室に戻ろうとしました。
5分ぐらい歩いた時、時計を忘れた事に気付き、水飲み場に戻りました。が、すでに時計は無くなっていました。
誰かに盗まれました。
もう出て来ないだろうと思い、学校の事務局には連絡しませんでした。
時計がないと困るので質屋さんで安い中古の腕時計を買いました。
ネットで父親から買ってもらった世界で一番薄い腕時計を検索しました。

検索結果、下記のような事が書かれていました。
1960年当時、世界で最も薄い腕時計(3.5mm厚)として発売された「タカノシャトー」。
リコーエレメックスの前身である高野精密工業の「タカノ」の名を冠した腕時計はわずか5年程度の発売期間だったため、愛好家の間では幻の時計として知られています。
今や幻の時計と言われているそうです。
盗まれて、残念!
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