まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

女川港めぐり

2007年01月11日 | 旅行記B・東北

話を、オリックス前川投手が逮捕された7日に戻す。

P1070403勾当台公園にあるスーパーホテルを早朝にチェックアウトし、地下鉄から仙石線のあおば通駅に出る。ホームの端から階段を上がってすぐというのがよい。

7日も引き続き「爆弾低気圧」が北日本に大きな影響を及ぼすようで、予報では日本海側が大雪、太平洋側も強風のうえ、雪になる確立が結構あるようだ。・・・というものの、夜が白んで松島海岸を通る頃は、雲もほとんど出ていないし、何だ低気圧はもう北のほうに行ってしまったのかと思う。

P1070405P1070409 石巻着。「萬画の街」というのがキャッチフレーズのこの街は、故・石ノ森章太郎ゆかりの街である。ホームの階段や改札口では、氏の作品である仮面ライダーやサイボーグ007のキャラクターの像や絵が出迎えてくれる。以前、街中の「石ノ森萬画館」に行ったことがあるが、その道すがらもキャラクターの像が建っているのである。それにしても、今やいろんな仮面ライダーが子どもたちあるいは奥様方の人気のようだが、やはり「初代」というのは時代を超えてインパクトがあるし、仮面ライダーと聞いて真っ先に思い浮かべるのはこの姿だろう。(ウルトラマンにも似たようなことが言えますな)

石巻から、石巻線の未乗車区間に乗って、終着駅の女川を目指す。途中、カキやホタテなどを養殖するいかだが浮かぶ万石浦に沿う。外の風は強そうだがさすがは入り江、水面は静かである。なるほどこういう地形だからこそ、養殖には向いていそうだ。

P1070443 ホーム一面きりの終着駅に着く。ホームの付け根の横には、首都圏色に鮮やかに塗装されたキハ40が停まっている。これは何かの記念で保存しているのだろうか。

P1070415 駅からすぐのところに港があるというので早速歩く。風が強いがここも天然の入り江で、静かな海面が広がる。そしてここ女川は、そのような天然の地形が利用されているのか、原子力発電所のある街である。もっとも、大きな地震などで運転を停止していた時期もあったが・・・・。港からほど近くに宮城県原子力PRセンター「あとみ~る」なるものがあり、原子力発電に対する知識を深め、世間に原子力発電の素晴らしさをPRするということをやっている。私はこういうのが嫌いではなく、旅先でこの手の施設に出会うとそちらに向かうところがある。

P1070431中の展示は、「原子とは何ぞや?」から始まって、原子力発電の仕組みがあり、そしていかに原子力というのが他の鉱物資源に比べて有効な資源であるか、また安全に細心の注意を払っているかという検証と続く。まあこれはあちらこちらでPRされていることなので、ああそうかという感じで進む。そして原子力発電関連の書籍の閲覧コーナーに出たのだが、通常、この手の展示館であれば、原子力推進の立場で書かれた著作ばかり並んでいるのが、ここの書籍コーナーでは、下北半島を舞台に繰り広げられている反原発運動をテーマにしたものや、原子力発電所の本当の現場で働き、いつ被曝するかもしれないという危険と隣りあわせの、いわゆる「下請け会社」の労働者(中には外国人労働者もいる)たちの写真集なども置かれ、なかなかに幅の広いコーナーである。

P1070429 駅に戻ると、駅横にその名も「女川温泉 湯ぽっぽ」という日帰り入浴施設がある。風で体が冷えているので温まろう。なかなかに気持ちよい。岩盤浴もある。そして、休憩コーナーにはなんと「りくぜんおながわ」の駅名標に気動車のシートというユニークなスペースがある。思わずシートにこしかけて、しばし温泉旅の汽車の風情を楽しむ。そして、窓の外を見ると先ほどのキハ40に出会う。スリッパで、車内に入っていけるのだ。よく見ると、この「湯ぽっぽ」の休憩用の座敷車に改造されているのである。運転席後ろにはカラオケの大画面。地元の人の占拠するところでありさすがに中には入れなかったが、なかなかに面白い施設である。表には無料の足湯もあるので、こちらで楽しむのもよいだろう。

P1070436 昼時になったので、再び港に出て「マリンパル」という施設に向かう。女川出身の中村雅俊さんが名誉館長というが、1階が魚介類の市場、2階が食事処というつくり。ちょうど観光バスが乗りつけられており、市場は大賑わい。呼び込みの声も威勢がいい。カキやホタテの生簀があるかと思えば、マグロやクジラなども。

そうだ、牡鹿半島のあたりはクジラ漁が盛んだったんだ・・・と思い、2階の食堂へ。そして、「クジラヒゲ皿盛定食」なるものを注文する。原子力発電のあとはクジラ。なかなか政治的な一時である。捕鯨問題で日本は肩身の狭い思いをしていることもあり、その中でレストランなどでクジラ料理があれば極力注文している。捕鯨は日本の食文化だと言ってみたところで、その日本人がクジラを食べないと、その主張には全然説得力がなくなる。

P1070440_1こちらの料理は、本物のクジラのヒゲを皿にして、その上に赤身、さえずり、心臓の刺身を乗せたヒゲ皿盛。この他にも、皮を酢味噌であえたものも出てくる。いわゆる調査捕鯨の余りモノが出てくるわけだが、やはりうまいもんはうまい。

女川港、4時間ほど滞在して歩いた距離はせいぜい半径数百メートルの範囲であるが、なかなかに充実した観光港である。まずは盲腸線の石巻線を制覇し、この後は前谷地から未乗車の気仙沼線に向かうことにする・・・。(続く)

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