まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

上信電鉄と世界遺産候補・富岡製糸場へ・前編

2007年01月28日 | 旅行記C・関東甲信越

先日のニュースで、「富士山を世界遺産の暫定リストに追加」というのがあった。それまでに暫定リストにあった、平泉・鎌倉・彦根城・石見銀山に加えて、今回富士山・富岡製糸場・飛鳥と藤原京・長崎の教会群というのが暫定リストに追加されたという。もっとも、暫定リストに載ったからといって、即世界遺産に認定されるわけではなく、何でもユネスコへの正式な推薦は、年1回、自然遺産と文化遺産で各1ヶ所しか行えないとのこと。オリンピックに例えるならば、日本代表を選ぶための「全日本選手権」にシード選手として招待されたようなものか。

以前、自然遺産として世界遺産への登録を目指していた富士山であるが、「ゴミの名所」という事実があったため、エントリーを断念した経緯がある。今回は戦法を変えて、「信仰・芸術・文学の普遍的な価値」という、文化遺産としての登録を目指すとか。確かに文化的な価値はあるだろうが、いかにも苦しまぎれに見える。どうしても、登録したいんでしょう。

P1280699_8その、世界遺産の日本代表候補に名乗りを挙げた一つに、群馬の富岡製糸場がある。ニュースでは富士山のことが大きく取り上げられていたが、私は「富岡」というのを見て、思わずうなってしまった。2ちゃんねる風にいうと、「キターーーー」ってなところか。

というのが、その他の候補と違い、この富岡製糸場が「産業遺産」であるということから。どうしても「文化遺産」とくれば、(原爆ドームは別として一般的に)江戸時代より昔の時代から現代にまで残っているもので、そうなると神社仏閣ばかりが候補に挙がる面がある。また「自然遺産」にしても、太古より残っているもの。とにかく世界遺産とは、そういう昔のものをイメージするのである。

その中にあって、日本における「近代工業化」という歴史の転換期を象徴するスポットが候補に選ばれたのは、これまでの遺産とは一線を画す、あるいは古代偏重の歴史の見方から一歩進んで、ようやくこういうところに焦点があたったかということで、個人的に評価している。(人によっては「こんなのまで世界遺産になるとは、ありがたみが薄れる」ということになるのだろうが)

P1280669_7だからというわけでもないが、ただ実は私、富岡製糸場に行ったことがないのである。また、富岡への足となる上信電鉄にも乗ったことがない。せっかくだからということで、28日の日曜日、早起きして高崎に降り立つ。駅の外れ、「0番線」からの発車だ。

まず先に、終点の下仁田を目指す。高崎からは1080円。地方私鉄とはいえ、ちょっと高いかな。どうせなら2000円くらいでフリー乗車券でも出せばなと思う。

冬の上州の乾燥した空気の中、フルスピードで快走する。途中の駅も昔ながらの風情を残しており、なかなか面白い。

P1280671_1富岡製糸場最寄の上州富岡での下車も多いが、そのまま通り過ぎる。そして、自動音声の案内が「なんじゃい」と告げた「南蛇井」を過ぎる。「なんじゃい」とはなんじゃい。その昔、おそらくまだ車掌がいた頃の話とは思うが、「なんじゃい」と聞いて人の怒声と間違えたとかいうエピソードに事欠かない。やっぱり、肉声と自動音声では迫力に差があるかな。

終点の下仁田着。この上信電鉄、本当はその名のごとく信州を目指したかったようだが、現在は山に阻まれるように下仁田が終着駅となっている。下仁田といえばその名を冠したネギとコンニャクが有名である。上信電鉄の車両にも、「マンナンライフの蒟蒻畑」が描かれていたりする。

P1280684_1せっかくなので折り返し列車を一つ遅らせて、下仁田の駅周辺を散策する。コンニャク料理を出す旅館があったりするが、駅前を見る限りでは静かな地方の町という印象でしかない。少し歩いたところの諏訪神社の社殿にあしらわれた欄間彫刻の見事さにうなるくらいのものである。

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また、鉄道好きとしては、国鉄型とは違う独特の形をした電機機関車に目が行くだろう。今は休んでいるが、時折、臨時列車的に貨車を牽くこともあるようだ。この機関車も、上信電鉄の顔である。一度走行しているシーンを見たいものである。

さて、これで上信電鉄にも乗ったし、折り返そう。そして、上州富岡着。目指すは、富岡製糸場である・・・・。(続く)

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