「残業代ゼロ」と世間を騒がせた「ホワイトカラー・エグゼンプション」制度導入を盛り込んだ労働基準法改正案について、この通常国会での法案提出を見送るという。
「国民の理解が十分に得られていない」というのがその理由のようだが、ホンネのところでは、春の統一地方選挙、そして夏の参議院選挙を控えて、有権者の支持が得られない→自民党が負ける→安倍内閣が総辞職・・・というのを避けたいという判断というのが一般的な見方。
そもそも、この法案というのは誰が考えたのだろうか。
これからの日本の新たな雇用形態、労働形態というのを考え、「残業」というのではなく「成果」に見合った賃金を支払う方向に持ってくれば、より業務の効率化、生産性の向上につながると見たのではなかったのか。本気で導入したいのであれば、正々堂々と法案を提出して、それでこの通常国会でなくてもよいから、時間をつくして議論すればよいことではないのだろうか。世間にはきちんとした論陣を張った「推進派」の方もたくさんいらっしゃるわけで、お互いの意見をぶつければよいだろう。そのための国会ではないのか。
それをせず、今回法案を引っ込めたところで、「参議院選挙で自民党が勝てば衆参ともに自民党が勢力を握り、どんな法案でも通ってしまう。どうせその後でもっとひどい残業代ゼロ法案を出すんだろう」と勘ぐられるのが落ちだろう。
参議院選挙は、そこまでちゃんと考えたうえで投票しなくちゃね。
さて、「残業代ゼロ」ということを書いたのだが、そもそも「年俸制」で働いている人たちというのは「残業代」「時間外手当」という概念があるのだろうか。やっぱり年俸から時間単価を算出して、それの1.25倍の額を「時間外手当」とするとか???会社によっていろいろあるのかな。
ただそういっても、プロ野球選手のごときは時間外手当などないだろう。文字通り「ヒット1本いくら」の世界だ。もっともこれも独立リーグの四国アイランドリーグともなると、年俸いくらというよりは、プレシーズンからシーズンにあたる2~10月まで「最低賃金」として月額10万円が支払われるのみ。大相撲の幕下以下の力士の「場所手当」も同じ。
えらい前置きが長くなったが、オリックスを退団する中村紀洋選手に対して、四国アイランドリーグの石毛社長が「本当に野球をやりたいのなら、いつでもウチにおいでよ」という内容のラブコールを送っているという報道があった。
うーん、プロ入団2~3年目、20歳そこそこの選手なら一も二もなく応じるのだろうが、一時5億円もらっていた元一流選手が応じるかね・・・。いくらなんでも「石毛、嫌味いっとんちゃうぞボケ」くらいのことは言うだろうな。
これこそが本当の実力社会というものか。それを思うと、サラリーマンの残業代ゼロくらいで驚いていてはいけないのかな・・・・?