まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

大鉄道博覧会

2007年08月19日 | まち歩き

Chirashi07今日は、かねてから行こうと思っていたイベントに出かける。両国の江戸東京博物館の企画展示で行われている「大鉄道博覧会~昭和への旅は列車に乗って」である。「鉄道の黄金期といわれる昭和30年代に焦点をあて、(中略)あわせて集団就職や通勤ラッシュ、貨物輸送や技術開発などのエピソードを取り混ぜながら、鉄道と社会の関係にも触れます」(同展示の図録=1800円=より)というのがこの展示のテーマのようで、そうして見れば昭和30年代で展示が終わっている同博物館の通常展示の「続き」といえるかもしれない。

さてこういうものは人出が予想されるから早く行くに限ると、9時30分の開館15分くらい前に博物館に着く。すると建物の入り口はすでに開放されており、10人くらいがチケット売り場に行列をつくっていた。この後で、何かの体験ツアーなのか、夏休み中の子どもたちの団体がロビーに入ってきた。前売り券を持っている人も多く、話には聞いていたけど大勢の賑わいである。やはり鉄道ものは客の食いつきがよい。

「大鉄道博覧会」だけなら1300円の入場料のところ、通常の江戸・東京ゾーンの展示とあわせれば1520円になる。江戸博の通常展示もところどころ品物が代わっているし、テーマとして何度来てもいいなと思っているので、1520円の共通券を購入。

9時半の開場時間となり、いざ展示室へ。蒸気機関車三重連の映像や、100年前に製作された軽便鉄道用の「下工弁慶号」の本物が出迎えてくれる。「わーいSLがいるぞ」「ほら、これがポッポーって走るんだぞ」と、子どもの歓声やお父さんの自慢の声が館内のあちこちから起こる。その合間を縫って何やら一人でブツブツいう鉄道ファンの青年も・・・・。

展示のほうは日本の鉄道建設の歴史を一通りさらった後に、昭和30年代の紹介に移る。往年の展望車(と同じ大きさにこしらえたセット)で記念撮影ができたり、当時の列車案内板や、三段寝台の実物を見ることができる。当時の映像や写真も織り交ぜられており、それらを懐かしむご年配の方も多い。そう、この博覧会、子どもから大人まで楽しめる企画になっているのだ。

昭和30年代となると子どもたちには理解できないことが多いのでは?とも思うが、それは心配ないようだ。何せ往年の名車両の模型が展示室の一片にずらりと並べられているのだ。昭和30年代の集団就職の列車の映像の内容はわからなくても、模型のかっこよさなら子どもでもよくわかる。普段見ている電車とは違うが、新鮮なものを見るように見つめていた。

この後は、高度成長時代を支えた鉄道の側面の紹介。技術的な進歩、通勤圏の拡大にともなう輸送力増強、物流を支えた貨物列車など、資料や説明文でなかなかためになることであった。また、別室では鉄道模型のコーナーも。そこで私の目を引いたのは、今の電車が走るレイアウトではなく、昔懐かしい風景をリアルに再現したほうのジオラマ。私の腰の高さのあたりに展示していたのを、思わずしゃがみこんで、視線をジオラマの中の人と同じ高さで全体を見る。本当にその模型の中に入ったかのような心持だ。今こういう風景、ローカル線でもJRではなく私鉄のほうに行かないとなかなかないよな・・・。今、デアゴスティーニの「週間○○」シリーズで、「鉄道模型」なんてのもあるし(レイアウト完成させるのに50号まで買わせるというのが商魂たくましいと思うが)、私も「鉄コレ」の車両や建物、貨車をそういえば押入れに眠らせている。また走らせてみようかな。

会場の外では鉄道模型、写真、書籍、DVD、その他グッズなどの売り場が設けられ、こちらも雑踏。ここで先に挙げた図録を買い求める。あと、駅弁のコーナーもあり、お気に入りの福井駅の「越前かにめし」を売っていたのでそちらも購入。

その中に、今話題とかいう「鉄子の旅」っての?あれのアニメのデモも流れていた。なるほどここで出てたのか、「130円東京近郊区間大回り乗車」がなぜ最近話題になっているのかの疑問が解けた。最近「鉄子」という言葉をよく耳にするが、正直「鉄子」っていう表現に個人的にものすごく違和感を感じる。女性だからって、他の趣味でそんな言い方するか? まあ漫画やアニメも表現方法の一つだから別にいいんだけど・・・・。

・・・とまあ、話が脱線してしまいそうだが。

展示の内容としては面白かったが、ネーミングが「大」鉄道博覧会ってのも、少し大げさかな。それと入場料。まあ企画展示の決まりなのだろうが、単品1300円は高い。500~600円くらい、高くても1000円が上限だろう。もう一度行きたいかと聞かれれば、同じ値段では行きたくない。それならば、10月に大宮で新規開館する鉄道博物館を楽しみにする。まあ、あちらも開館後はひどく混雑するんだろうな・・・。

さて共通券を購入しているので、6階の通常展示ゾーンへ。こちらでは通常の江戸の町の展示コーナーをつぶして、「生誕150周年記念 後藤新平展」というのをやっていた。医者にして、衛生方面の行政官を経て、台湾総督府民政長官、満鉄の総裁、内務・外務大臣、そして東京市長、果ては関東大震災からの帝都復興計画の立案を行ったという履歴の人物。よく似た名前で、明治維新直後に新政府に反乱を起こした江藤新平のほうが学校の歴史の時間では取り上げられるが、この国の近代化に果たした貢献は断然後藤新平のほうが何重も大きい。

江戸東京博物館としては「都市計画」の点に着目し、当時示された復興案についての資料を数多く展示していた。ターゲットとなったのは、被害の大きかった皇居より東側。大胆な区画整理を含め、果たしてそれが実行されたところもある(結局、東京大空襲でその都市のほとんどはまた焼け出されるのだが・・・)。

よく上方の人間が、「東京の道は、徳川が江戸の町を守るために、わざとあないややこしくしとるからわかりにくいねん」と言うが、こと東側に限って言えば、徳川氏ではなく後藤新平の復興計画によったもの・・・かもしれないな。

また満鉄総裁であったことから鉄道とのつながりも深く、大陸での実績をもとに、日本の幹線の「標準軌化」を提唱したともいう。結局財政的にも現実的でないということでこのときは見送られたが、後の「新幹線」建設の折には標準軌化が実現したということで、こちらも先見の明があったというべきだろう。

江戸博は他の通常展示も見るものが多く、結局すべて見るのに3時間近くいたことになった。なるほど、これだけ見られれば共通券の1520円で釣りあったかな・・・・。

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