まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第2番「紀三井寺」(2回目)~西国三十三ヶ所巡り・22(和歌の浦)

2015年05月09日 | 西国三十三所
紀三井寺を参詣した後で、どこに行こうかと思う。足を伸ばしてさらに南の御坊を目指すか(紀州鉄道、道成寺)、和歌山マリーナシティで温泉とマグロ料理にするか。あるいは和歌山市街、和歌山城や博物館を巡るか。

ここで思ったのが、「海を見よう」ということ。紀三井寺の境内から遠くに水平線を見るが、もう少し近くで見たい。西国の札所で海に近いところはそうあるものではない(成相寺は天橋立を見下ろす位置にあるが)。ということで、万葉集にも詠われた和歌の浦を目指す。紀三井寺の境内を出たところの国道の交差点から一本道である。ちょうど歩きの距離を伸ばすのに都合がよい。

和歌川の河口には干潟が広がり、その向こうには片男波の松並木が見える。天橋立を横から見ているような感じだ。紀三井寺を遠くに見る。

石造りの橋がある。不老橋という江戸時代から続くもので、石造りのアーチ橋は九州以外では大変珍しいという。その前にあるのが玉津島神社。この辺りはゴツゴツした岩山が並ぶが、和歌の浦は元々は島だったという。満潮時には島となり、干潮時には陸続きになる。奈良時代、万葉の歌に詠まれたのはこうした景色である。今は完全に岩山となり、目の前には埋立地が広がる。

さらに進むと紀州東照宮である。境内を進むと石段に出る。煩悩と同じ108段の石段を上ると社殿に出る。祭神は徳川家康と、初代紀州藩主の徳川頼宜。東照宮といえば世界遺産でもある日光東照宮をイメージするが、そのミニチュア版といった感じ。ただ紀州藩の守護神として長く繁栄をもたらしたところである。境内には神輿が飾られている。東照宮の祭りである和歌祭というのが5月17日に行われるということで、神輿や行列が和歌の浦周辺を練り歩くという。

参拝を終え、石段を下ろうとすると前方には片男波公園の鮮やかな砂浜が見える。なかなかの眺めである。泳いでいる人の姿も見える。帰りはあそこに立ち寄るとしよう。

たどり着いたのは和歌の浦の漁港。釣り糸を垂れる人もいるし、「おっとっと広場」では屋台も出て人で賑わっている。何でも「丼祭り」というのをやっているようだ。紀三井寺からそれなりの距離を歩いて来たし、軽く昼食ということにする。建物内には丼やラーメンが売られており、一番人気は地元の「和歌しらす」を使った「やぶ新」のしらす丼。ここだけが別に行列ができていた。

限定メニューの生しらす丼は売り切れていたが、釜揚げのしらすや、天ぷらなどがある。私が注文したのはその両方が乗っている「やぶ新丼」。それぞれの味を楽しむことができる。

ついでと言っては失礼だが、海鮮ものの丼を扱っていた別の店では、これも和歌山ならではのまぐろ・・・ではなく太刀魚の刺身の乗った丼をいただく。こちらもあっさりとした味でなかなかだ。

和歌の浦を楽しむならさらにこの先の雑賀崎まで行くところなのだろうが、ここで引き返して片男波公園に向かう。水浴びやバーベキューを楽しむ家族連れが結構いる。夏ならば大いに賑わうことだろう。

これで和歌の浦見物は終えて、駅に戻ることにする。バスの本数があまりないので歩けるところまで歩き、やってきたバスに乗り込む。JR和歌山駅経由の南海和歌山市駅行きというものだったが、帰りはJRで帰ろうということで「和駅」で下車。

JRで帰ろうということにしたのには理由がある。駅前にあるこの店。「多田屋」というところで、駅近の大衆酒場である。何と営業は朝の9時から。メニューは、この手の店なら考えられるものはほぼ網羅しているし、(飲まなかったが)全国の地酒も豊富である。昼間は定食メニューもやっており、食事だけの客も多い。ただ調理場が狭く、動線が細いので店員の動きが鈍くなり、注文を取ったり料理を運ぶのに手間がかかるのだが・・・。地元の人、ウォーキング帰りの人たちで賑わう。和歌山に来た時にはまた立ち寄りたいところ。

さて西国巡りもこれからが後半戦である。納経軸の「番外」には番外3ヶ所のほかに、高野山奥の院と善光寺のご朱印をいただくのが主流という。今年は高野山開創1200年ということだし、北陸新幹線開業で長野への新しいルートができた。できれば年内に満願できればと思うのだが、まあ札所は逃げないし、そこはあまり焦らずにやっていきたいと思う・・・・。
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