まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第20番「善峯寺」~西国三十三ヶ所巡り・23(京都西山歩き)

2015年05月11日 | 西国三十三所
昨年の8月から始めてそろそろ後半に入った西国三十三所巡り。前の記事で「できれば番外も含めて年内で」と書いたのだが、別に絶対達成しなければならないというものでもない。ただ、これから暑い夏を迎えるとなると、暑い時に歩く距離が長くならないようにしたい。夏は控え目にして、気候の良い時にできる限りのところには行っておくか。

さて、前回(というか5日前)の粉河寺、紀三井寺を受けて、10日に出かけたのは20番の善峯寺、22番の総持寺である。今回は「阪急京都線シリーズ」となる。鉄道の最寄り駅がそれぞれ阪急京都線の東向日と総持寺なのだが、JRの駅スタンプラリーは向日町と摂津富田。どの駅も乗り降りは初めてで、東向日と向日町は近そうだが、摂津富田と総持寺は離れている。JRのガイドブックではあっさりと「摂津富田から徒歩30分」と書かれているが。何せ、JR摂津富田と茨木の間にもう一つ新駅が造られるくらいである。

コースとしては阪急でまず東向日まで上り、片道30分のバスで善峯寺を往復。バスは向日町まで行くのでこれでスタンプをもらい、再び東向日まで戻って阪急で総持寺。帰りは摂津富田まで歩くか、しんどければ阪急で一駅富田まで乗って、そこからだと摂津富田は近いので歩くか。

という形にしたのだが、10日は天気も良いし、暑くなく寒くない予報が出た。とすると、お参りにアクセントをつける意味でも、東向日から善峯寺まで往路は歩くことにしよう。どうせ歩数も稼がないといけないし。善峯寺のホームページでは歩いたら2時間とあったが、距離にすれば7キロちょい。さすがにそこまではかからないだろう。

というわけで、朝の8時前に東向日を出発。他に巡礼らしき人はいない。ちなみにバスは寺の開門時間帯に一時間に一本の頻度で出ている。行って帰ってちょうど昼かな。

向日市役所、競輪場の横を通る。こんなところに競輪場があるとは知らなかった。後で、向日町、東向日から送迎バスがあるのを見たが、果たしてどれほどの収益があるのだろうか。

これを過ぎると「京都市」の標識が出る。京都市西京区、大原野と呼ばれる一帯である。引き続き閑静な住宅街が続く。ただ京都市とは言っても、バスの便は全て東向日、向日町と結ばれている。行政に関する表示も「向日」とか「乙訓」というのが目立つ。確かに住んでいるのは京都市だが、あまりそんな実感はないのかもしれない。

そんな住宅地の一角に「善峯寺」の看板が見える。後5キロ、道は合っている。

これを境に周辺は田畑が増える。ずっと昔から農村だった感じで、里山を歩くようで悪くない。古い造りの家屋も見えた。バス停の標識がないからバス通りとは違うのだが、善峯寺への看板はちょこちょこ出てくる。

大原野は竹林が多い。風致地区にもなっている。ただこの時期、青々と・・・とはいかず、竹藪もくすんだ色をしている。筍も収穫されたし。竹藪の近くで何やら燃やしているのを見る。ふと、「たけやぶやけた」(竹藪焼けた)という回文が頭をよぎる。

平坦な道が続いていたが、「よしみねゴルフクラブ」という打ちっぱなし場を過ぎ、京都縦貫自動車道の橋脚をくぐると上り道になった。竹藪も本格的、竹細工の店もある。そんな中で、シャッターに「松本明慶」と書かれたのを見る。現代随一の仏師であり、先日紀三井寺で拝観した巨大な千手観音像を造ったことでも知られている。ここは工房で、あの像もここで制作されたのかな。

十輪寺に差し掛かる。在原業平や、西国三十三所中興の祖の花山法皇ゆかりの寺だが、拝観時間前ということで素通り。この辺りを小塩地区と呼び、善峯寺へのバスも冬はここまでしか来ない。

だんだんと勾配が急になる。ただ、結構広い敷地を持つ家も多く、この辺りはひょっとしたらセレブの隠れ家的エリアなのかなと思う。その中で「善峯寺領」の石碑もあり、だんだんと近づいてくるのを感じる。最後は周りが木々に覆われ、急勾配に足が遅れる。ちょうどあそこがバス停かと見た時に、後ろから阪急バスが追い越して行った。チラッと見た限りでは、立ち客もいたくらいの結構な乗車だった。

バス停まで来たのであと少し・・・たが、ここからの参道も結構急で、5回くらい折り返す。地元の生徒だろうか、石段の上り下りのタイムトライアルをやっていた。

これを上りきり、ようやく東門に来た。後半の上りが結構きつく、ハアハアゼイゼイ言う。駅からここまで1時間20分ほどかかったが、最後の坂道はジワジワと効いた(バスがあるためか、善峯寺自体は難所と思われていない)。クルマで来たとおぼしき人から、「下から来はったん?」と声をかけられる。「駅から7キロ歩いて来た」と答えると呆れたような顔をされた。

山門の前で息を整え、参詣である・・・。
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