まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第19番「鞍馬寺」~新西国三十三所めぐり・9(1日100人限定の庭園へ)

2016年05月09日 | 新西国三十三所
客番を入れて38の札所がある新西国三十三所。今年の1月から始めてここまでそのうち8つを回っている。前回の金剛寺・観心寺という河内長野の南北朝・楠木正成に続いては、源義経ゆかりの鞍馬寺である。いずれも日本人好みのヒーロー像。

行くなら5月の連休を使うことにしよう。まだ先日の名松線の旅行記も出来上がっていないが、連休中日の4日に出かけることにする。天気予報では前日夕方から雨だが、4日は回復に向かうとか。鞍馬寺は山のコースになるので、雨は避けたいところだ。行くとすれば、鞍馬寺の後は奥の院を経由して貴船神社へ抜けるというのが定番コースである。だいぶ昔にこのルートを通ったことがあるが、久しぶりのお出かけとなる。連休で混雑するだろうが仕方ないだろう。

ただせっかくなので、これまでの巡礼と同じように札所以外に何か「もう一品」をつけ加えたい。京都の市街地に行くか、下鴨神社や上賀茂神社という神社路線に行くか。ただ、今回鞍馬へは叡山電車で行くのだから、1日乗車券を購入して途中下車するのがいいだろう。

沿線の観光案内ということで叡山電車のホームページを見ていると、「沿線行事」のページで「白龍園 春の特別観覧」というのを見つけた。3月26日から5月31日まで限定で公開されているとのこと。初めて聞く名前なのと、「期間中は1日100人限定で公開される」というのが気になる。そこでネットで調べてみると「レアスポット」「誰も知らない京都の紅葉穴場」などという見出しが並ぶ。

この白龍園というのは、子供服を扱う青野株式会社が所有する庭園で、長年従業員の人たちが手入れをしていたもの。2012年の秋の紅葉時期に初めて限定で公開したところ評判となり、秋だけではもったいないという声に応える形で翌年の春にも限定公開した。以後、毎年春と秋に公開しているのだが、1日100人限定だという。どこぞの物置なら100人乗っても大丈夫だが、白龍園には100人しか入れない。ゆっくりと鑑賞してほしいということもあるが、人数を限っているのは園内の植物、中でも地面にある苔の保護のためだという。なお、この100枚の観覧券は現地で買うことはできない。叡山電車の出町柳駅でしか買えないし、それも事前予約はできない。当日朝の9時から13時までの限定販売である。観覧券のみは1300円、叡山電車の1日乗車券つきで2000円。現地に駐車場がなく、アクセスは叡山電車の二ノ瀬駅から徒歩のみということでこういう仕組みになっている。1300円を高いと見るか安いと見るかはそれぞれだと思うが、営利目的での公開ではなさそうとは言え、1年間の庭の保護にかかる費用を考えればこのくらいは取るのかな。

3月の末から公開というのは桜の時期を意識してのことで、5月は桜はないが新緑が期待できそうだ。ということで、「もう一品」は白龍園に行くことにする。

ただ気になるのはやはり「100人限定」である。100人を多いと見るか少ないと見るかだが、他の人のブログ記事、旅行記を見ると、紅葉シーズンの公開だと、早朝から行列ができ、発売開始の9時にはすぐに完売になるという。叡山電車も「購入は1人1枚(お連れの人の分は購入できない)」、「お連れの人が先に並んでいるところへの割り込み禁止」などの注意事項を出すとともに、行列が長ければ整理券を配ることもあるそうだ。まあ、紅葉でも桜でもない時期なのでそこまでの混雑はないだろうが、何せ連休中である。洛北にも多くの観光客が訪れることだろうから早めには行ったほうがいいだろう。

・・・ということで、朝から京阪電車にて出町柳に到着。時刻は7時45分。雨雲は早い時間に抜けており、雲一つない快晴である。出町柳にも多くの観光客の姿が見えるが、この時間は電車よりも大原方面、あるいは比叡山方面に向かう人が多そうだ。

駅構内の柱に、白龍園の観覧券の購入列の先頭を示す札があった。前にはカップル1組がいるだけで、これなら楽勝で購入することができる。まさか9時の時点で100人来て完売になるとは思わないので、1時間以上の待ち時間でどこか散歩でもすればいいのだが、初めてのことなので余計なことはしないほうがいいだろう。結局、そこに座り込んで読書の時間に充てる。8時を回り観光客の姿も増えてきたが、行列はほとんど伸びない。

結局9時の時点で並んでいたのは20人ほど。係員が行列をそのまま有人改札に誘導し、ここで観覧券単独か1日乗車券つきかを一人ずつ購入し、そのままホームに通される。私が手にしたのは1日乗車券つきで、二ノ瀬で下車、次は終点鞍馬まで行き、帰りは貴船口から乗ることでトントンというところである。ちょうど9時発の展望車両「きらら」号が出たばかりで、ホームでしばらく次の列車を待つ。

やってきたのは普通の2両編成の列車。立ち客も出る混雑だったので、先頭の運転台の後ろに陣取る。二軒茶屋までは複線区間で、そこから先は単線。洛北の山々が周りに迫ってくる。

市原を過ぎると、「これから青もみじのトンネルを抜けます」との案内放送があり、しばらく徐行運転となる。叡山電車の一番の見どころの車窓で、乗客も一斉に外を見やる。叡山電車といえばどうしても紅葉で注目されるが、こうした新緑の時期というのもよろしいものだ。

青もみじのトンネルを抜けると二ノ瀬に到着。鞍馬まであと2駅のところだが、白龍園の最寄駅ということでまずは下車する。

二ノ瀬は行き違い設備があり、ここで対向列車の待ち合わせ。15分前に出た展望車両「きらら」が鞍馬からの折り返しでやって来た。うーん、できればあれに乗りたかったのだが・・・。
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