まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

女子プロ野球を初観戦

2016年05月16日 | プロ野球(独立リーグほか)
オリックス・バファローズとのコラボデーとなった15日、バファローズの試合後に引き続いて女子プロ野球の試合を観戦する。多くはバファローズ、ホークスそれぞれのファンがその流れで残っている感じだが、新たに兵庫ディオーネや京都フローラのレプリカユニフォームの人たちの姿も見える。わざわざ、この女子の試合目当てで来ているから熱心なものである。

試合開始前、女子プロ野球のスーパーバイザーである太田幸司氏がグラウンドに出てPRを行う。おそらく多くの観客が、女子プロ野球の存在は知っていたり、何人かの選手の名前を聞いたことがあるとしても、(私を含めて)実際の試合を観たことはないというところだと思う。これを機にもっと注目してほしいとのPRである。

またフェンス際でカメラを構える人が多い。その先にあるのは、「神スイング」「神始球式」で最近注目のタレントの稲村亜美さん。あちこちの球場で始球式に登場しているのが記事になっているが、女子プロ野球の「神サポーター」というのも務めており、この日の登場となった。

さて試合前、ディオーネ、フローラの両選手が一人ずつアナウンスされる。この日アナウンスを担当したのは、バファローズのスタジアムDJの平野さん。まずは両チームがライン上に整列し、スタンドに一礼。

それでベンチに下がるのかなと思うと、今度はホームベースを中心に横一列に並ぶ。そして、「女子プロ野球の試合では、試合前の準備体操をスタンドの皆さんと一緒に行います。皆さんもどうぞご起立ください」と言う。何事かと思うと、女子プロ野球のリーグ歌の音楽に合わせて、リズミカルな体操が始まった。この展開には笑ってはいけないのだがつい笑ってしまった。それでも、スタンドとグラウンドが一体になろうという中での、華やかな女子ならではの演出として面白い(男が同じことをやったら引いてしまうだろうな)。

始球式では、稲村亜美さんが福知山成美高校の森若菜さんとともに登場。打者は、先ほどのバファローズ戦の始球式に登場した埼玉アストライアの川端、加藤の両選手。いずれも普通の始球式にはない速球を披露し、スタンドを大いに沸かす。

さて試合、ディオーネが今季4戦負けなしのエース・里、フローラが女子プロ野球発足時からの選手で「レジェンド」とも言われている小西美加。看板試合にふさわしい両エースの登板ということである。

先制はディオーネ。先頭の厚ヶ瀬が四球で出塁。盗塁とバントで一死三塁とする。続く大山は三振だが、4番の太田がきれいにセンター前に運び1点先制。太田は次の打席でも左中間を真っ二つに破る二塁打を放ち、長打力を見せつけた。「ブランコよりこの子を4番にしたほうがよう打つんとちゃうの?」という観客の話し声が聞こえる。

ディオーネは2回も中田がレフト線への見事な二塁打を放ち、2対0となる。

フローラも中盤から反撃に転じ、9番・金山がレフトに二塁打を放ち、続く1番の中村がフルスイングでライトの頭上を越す大きな当たり。三塁打となって1点を返す。この後一死一・三塁とするが里が粘って後続を断つ。試合としても2対1と面白くなってきた。

両チームにもちゃんと応援団がいて、口と笛、太鼓のシンプルなものだが熱い声援を送る。試合開始直後は8000人近くの観客がいたのだが、多くは最初少し見て「まあ、こんなものか」という感じで少しずつ席を立つ。いつしかナイターの照明が灯り、昼間は暑かったがここは神戸の山の中、少し肌寒くなってきたせいもあっただろう。まあ、せっかくここまで観たのだから引き続き最後まで観ることにしよう。

5回、フローラが一死二塁として、先ほど大きな三塁打を放った中村がまたもライトへのいい当たり。二塁打として2対2の同点。この後二死一・三塁から池山の強い当たりは三塁ライナー。何とか同点で止める。

フローラの小西美加もさすがはレジェンドで、立ち上がりに2点を失ったもののその後は得点を許さない。味方が同点においついた直後の5回裏はアウトをすべて三振で打ち取る。

そして7回。女子プロ野球のルールは7回制で、延長の場合は9回まで行うとなっている。やはり体力的なものがあるからだろうか。それでも里、小西の両エースは7回もマウンドに立ち、里はピンチを迎えるものの粘って抑え、小西は三者凡退に退ける。試合は延長戦に入る。昼の試合が何とも消化不良な試合だったせいで、後の女子の試合のほうが面白い内容になってきた。

8回表も里がマウンドに登る。先頭に四球を出し、京都は1点を取りに行くため二者連続で送りバントの作戦。二死三塁として続く岩見は三塁への強い当たり。だががっちりと抑えてアウト。

そして8回裏、こちらも続投の小西から先頭の三原がセンター前のヒット。続く大山は強攻でライトへの大きな当たり。無死二・三塁として「ブランコよりも4番はこの子」と言われていた太田を迎える。さすがにここはフローラも敬遠で満塁策を取り、次の寺部で勝負。

その寺部の当たりはライトへのフライ。これが犠牲フライとなって三原が生還。3対2、ディオーネがサヨナラ勝ちということになった。コラボ試合は大いに観客を沸かす接戦だったし、いい試合だった。

試合終了後は再び両チームの選手がホームベース前に整列し、最後まで残っていた観客への挨拶。選手代表として、完投勝利の里が前に出て挨拶する。「もっともっと女子プロ野球の試合に足を運んでほしい」「この中にも女の子がいると思うが、一人でも多く女子プロ野球を目指してほしい」ということだが、最後に「野球は、男子だけのスポーツではなく、女子だけのスポーツでもなく、『みんなの』スポーツです!」と言ったのが印象的だった。

そしてそれぞれのチームがベースライン上に分かれて、それぞれのスタンドに挨拶。・・・とここまではごく普通の光景だが、この後で「これから、勝利のダンスを披露します!」ということで、何と選手たちがチームの応援歌に合わせてノリのいいダンスを始める。これには再び笑ってしまった。BsGirlsとはまた違った手作り感のあるダンスで、これも女子プロ野球ならではだろう。選手たちも野球の練習以外にダンスの練習もしなければならないのだが、それも含めての「プロ」ということか。試合前の体操、試合後の勝利のダンスは、NPBや独立リーグでは絶対にありえない光景である。

試合全般の印象としては、そりゃ球速は最高で120キロそこそこと、男子のプロと比べればぐっと下がる。それでも100キロ台とのカーブとの緩急、駆け引きはちゃんとできている。また外野の守備は全体的に浅めなのだが、内野は定位置での守備。打者のスイングもしっかりしている。このところ競技人口が少しずつ増えているせいか、レベルも以前に比べれば上がってきているそうである。

試合後は選手たちも球場外に出て、グッズ購入者へのサイン会や前売りチケットの販売など熱心に行っていた。女子プロ野球は「地域活性化、地域貢献」をベースとする独立リーグとはまた違った位置づけであるが、これから応援していいと思う。女子の試合はそう毎週開催しているわけではないが、京都と兵庫(本拠地は淡路島だが)という、関西にたまたま二つのチームがあるのなら、日程が合えば今度は普段の公式戦も見てみたいと思う。何なら、「西国2巡目」「新西国」の札所めぐりと一緒に行くか・・・?
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