奈良の中心部にある西国四十九薬師の4つの札所を一気に回るお出かけ。第3番の般若寺に向かった後で、観光客で賑わう興福寺に着く。鹿も多く出ていて、鹿せんべいを買い求める客がいるとそこに群がってくる。奈良の賑わいも少しずつ戻っているようだ。かくいう私も興福寺の境内に入るのは久しぶりである。西国四十九薬師の「くじ引き&サイコロ」の縛りで控えていたこともある。
北参道から興福寺の境内に入る。興福寺は西国四十九薬師めぐりの札所だが、西国三十三所の第9番でもある。興福寺の中で東金堂が西国四十九薬師、南円堂が西国三十三所の札所である。今回、ブログを書くにあたってはこの2つのお堂で別のカテゴリの記事とする。
やって来た東金堂。五重塔とのツーショットは興福寺の定番だが、いい眺めだ。どこかのツアー客を含めた多くの観光客でも賑わっていて、その中に鹿もやって来る。
国宝館とのセット料金900円を納めて東金堂に入る。正面には小学生の習字が掲げられ、准に読むと経文のようである。薬師経なのかな。そう思いつつ、東金堂の外で一連のお勤めとする。
東金堂の本尊は、聖武天皇が叔母の元正天皇の病気全快を願って造られた薬師如来である。平重衡による南都焼き討ちに遭ったこともあって、現在の本尊は室町時代の作とされる。内部は撮影禁止なので画像は検索いただくとして、興福寺の中心としてどっしりとした構えである。その両脇に文殊菩薩、維摩居士が祀られ、その外側は日光・月光菩薩に十二神将という「チーム薬師」が勢揃い。さらには四天王も安置され、これだけ揃えば病気なんかすぐに吹っ飛んでしまいそうな陣立てである。ここに来てコロナ禍もまた流行しつつあるので、世の中の病気平癒を願う。
続いて国宝館に向かう。かつて食堂(じきどう)があった場所に置かれている。ここのシンボルは何と言っても阿修羅像だろう。東金堂の境内と違って「密」になりやすい場所のため、入館にあたっては検温があり、館内でも他の人との距離を空けるように、また会話は控えるようにという注意喚起のマークがいたるところに掲示されている。
国宝館というだけあって、中は貴重な文化財の数々。木像の金剛力士立像(阿形・吽形)、天燈鬼・龍燈鬼立像、木造板彫十二神将像など。照明が抑えられている中、少しでもじっくり見ようとオペラグラスを構える人もいる。
その中で堂々と立っているのが千手観音菩薩像。鎌倉時代に再建された当時に造られた観音像で、現在に至る。西国三十三所の本尊にしてもいいくらいのものである。国宝館の中心にあり、賽銭箱もあってここで手を合わせる人も多い。
ただ国宝館の目玉といえば、十大弟子立像、それに続く八部衆立像・・・その真ん中の阿修羅像である。ちょうど、千手観音像と対峙するように安置されている。近いところで久しぶりに目にすることができてよかった。
東金堂向かいのプレハブの建物に納経所と売店がある。西国三十三所の納経はここでは扱っておらず、同じ寺の中でも棲み分けをしているようだ。私としては複数の納経帳を開ける必要がないのでそのほうがよい。