ここまで三江線の廃線跡に沿って軽自動車を走らせ、半日がかりで江津までやって来た。この日(22日)の宿泊は出雲市で、午後はこのまま国道9号線を走る。当初は石見銀山に行こうかとも思っていたが、三江線の廃線跡めぐりでその時間はなくなった。また別の機会にしよう。
先ほどまで江の川と三江線の線路に挟まれた、クルマがすれ違うのがやっと、あるいはすれ違い不可の道が多かったので、国道9号線となると「幹線」である。並走するのも山陰「本線」である。
東の浅利あたりから、海岸沿いに風力発電の巨大風車が立ち並ぶ。江津市は再生可能エネルギーの利用に力を入れているそうで、海岸の砂浜に接して並ぶのは江津東ウインドファームである。
この風車も見える位置にあるのが、道の駅サンビコごうつ。「サンビコ」とは、江津の海・山・川の幸「三彦」から来ている。土地の産直品の販売の他に「大黒食堂」というのがあり、少し遅めだがここで昼食とする。
注文したのは「オロチ丼」。石見では、地元産の肉を使った丼を「オロチ丼」、魚介類を使った丼を「えびす丼」として、総じて「石見の神楽めし」として定番メニュー化しているという。そしてやって来た「オロチ丼」、「ヤマタノオロチ」に因んで8枚のカツが乗っかっている。江津のブランド豚肉「まる姫ポーク」を使っていて、ウスターソース、タルタルソース、トンカツソースなどさまざまな味付けで楽しむ。
この後再び国道を走らせる。まだ時間は早いが外は暗くなるし、雨も少しずつ強くなる。早々と双方向のクルマのライトが照らされる。温泉地である温泉津もそのまま通過する。
五十猛を過ぎたところで海に接する区間に出たので、いったん路肩に停車する。せっかく日本海まで出たのだから海の写真がほしかったのだが、この荒れた感じはそろそろ冬の訪れを感じさせるものだった。
大田市の中心部を抜け、海岸に面した道の駅キララ多伎で休憩。ここは夕日のスポットとして「日本夕陽百選」の一つにも選ばれているそうだ。
天気がよければ、また時間帯がよければこうした景色が眺められるのだが、この日はあいにくの雨である。これもまたの機会の楽しみとしよう。
この後はカーナビに従って出雲市駅に向かうだけだが、時刻は16時前。ちょっと道を外れて、あるところに向かう。
やって来たのは、中国観音霊場第23番の神門寺(かんどじ)。前回9月の第15回霊場めぐりで訪ねている。その時は「WEST EXPRESS銀河」に乗るツアーに繰り上げ当選する観音様のご利益があり、出雲大社と合わせてお参りをした。それがなければ11月のこのタイミングで来ていたところで、せっかくなので手だけ合わせる。
この日の宿泊は、出雲市駅の南口すぐのグリーンホテルモーリス。ちょうど駅に面した側の部屋で、高架駅に発着する列車を見ることもできる(もっとも、本数はそれほど多くないのだが・・)。
室内に大浴場があり、一風呂浴びた後で大相撲の千秋楽を見る。結びの一番はここまで1敗の大関貴景勝と、2敗の小結照ノ富士。激しい相撲の後、照ノ富士が貴景勝を浴びせ倒して優勝決定戦に持ち込む。これで照ノ富士が有利ではないかというところ、決定戦では貴景勝が一気の押しを見せて圧勝。大関として初めての優勝となった。11月場所は2横綱2大関が不在の中、出場力士最上位の責任を果たした形となり、来場所は綱取りとなる。一方照ノ富士も三役での二けた勝利で、来場所以降の大関復帰への再挑戦が始まる。
それを見届けた後で、出雲市駅前で夜飲みとしよう。そう思って駅前に出たが、元々それほど店が多くないうえに、連休中ということもあってか居酒屋はどこも満席、あるいは予約客のみ受付・・という店が並ぶ。
雨も降っており遠くまで店を広げるというのも億劫なので、この日は土産物店、あるいはコンビニで飲食物を買い求める。幸い、GoToトラベルでいただいた1000円の地域クーポン券があるので、土産物店での支払いの一部に充てる。
あご野焼きのチクワ、赤天などが並ぶ。これらを肴にホテルの部屋でビールを飲みながら楽しむのは日本シリーズの第2戦。今年は京セラドームで行われるジャイアンツ対ホークスだが、序盤からホークス打線が爆発して次々に点を取って行く。バファローズファンとしては、京セラドームで別チームの日本シリーズが行われるのは複雑な気分だが、ホークスがパ・リーグの王者としてジャイアンツを打ち崩すのを見るのは痛快だった。終わってみれば13対2でホークスが2連勝。居酒屋に入れなかったのは残念としても、面白い夜になった。
ちなみに日本シリーズは第3戦から福岡に場所を移したが、ホークスが2連勝して4勝0敗で日本一になった。2年連続で4勝0敗で日本シリーズを制するのは史上初のことで、逆にジャイアンツから見れば2連連続でのストレート負けという赤っ恥になった。パ・リーグファンとしてはこれでもまだ足りないのだが、喜ばしいことである。
日本シリーズの結果はさて置くとして、翌23日が今回の中国観音霊場めぐりのメインである。目指すのは第24番の禅定寺、第25番の鰐淵寺だが、これもまた回る順番を変えることに・・・。