まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

地獄先生の鬼畜指導

2015-06-28 | 北米映画 08~14
 「セッション」
 ドラマーとして成功を目指すアンドリューは、名門音楽学院に入学する。伝説の鬼教師フレッチャー教授にスカウトされるアンドリューだったが、彼の精神のバランスはフレッチャーの常軌を逸した指導によって崩されていくのだった…
 上半期のMYベスト映画はこれに決まり!評判通り、すごく面白かった、いや、怖かったです鬼コーチに才能を見出され、ありえない猛特訓を耐え抜き、努力が実って成功、成長する主人公…スポ根ものの王道的ストーリー、あるいはガラスの仮面の音楽バージョンかな?と思いきや…あわわわ戸塚ヨットスクールも真っ青な、とんでもない青少年虐待物語でした~こんな問題教師、許されんだろ~。とにかくフレッチャー先生が怖い!非道い!鬼の形相だけでも怖いのに、こっちまでビクっと身を引いてしまうほどの怒号、椅子投げシンバル投げ、リズムとりビンタ、そして生徒の人格を全否定する、人権蹂躙な侮辱に満ちた罵詈雑言!まさに心を挫く、心を壊す凶器のような破壊力。生徒を伸ばすことよりも、生徒を狂気や死に追いやることが目的のような、悪魔の罵りに戦慄しっぱなしです。フレッチャー先生、よくあれで誰かに刺されなかったよな~。

 非道すぎるけど、これは教育熱心なあまりの行き過ぎた指導なんだ!と、純真な私は最後まで信じてました。ラスト、やっぱそうじゃん!いろいろあったけど、終わりよければすべてよし!と安心しかけた私、じぇじぇじぇ!?(死語?)と、最後になって見事に無残に裏切られましたそ、そんな~フレッチャー先生の正体、真意は衝撃的すぎます。
 フレッチャー先生、単にブチギレるだけでなく、悪魔のように狡猾、陰険なんですよ。他の生徒を利用してアンドリューを上げたり下げたりする方法が、彼を弄んでるとしか思えないんです。どうしてそんなことするの?!なんでそこまで鬼畜なの?!ヤメテー!!と、こっちまで頭がおかしくなりそうに。

 アンドリューが、可哀想なんだけど、あんまし同情できない性格なんですよね~。だからこそ、単なる弱いものいじめな話にならなかったのでしょうか。翻弄され虐げられ踏みにじられて屈辱にまみれながらも、血の汗・血の涙を流しながらしぶとく食い下がるアンドリュー。他のバンドメンバーが先生によって貶められたり格下げになったりすると、静かに嬉しそうな様子とか歪んでて怖い。ど根性で奮闘ではなくて、狂気に蝕まれて暴走するアンドリューのイっちゃってる言動も、ヤバすぎて唖然とさせられます。ラストのアンドリューVS先生オンステージは、狂気が炸裂して圧巻です。

 アンドリューもだけど、生徒が先生に対して異様なまでに絶対服従なんですよ。軍隊みたいだった。あそこまでされて、何でプッツンしないんだろう。それだけ音楽命、キャリア大事ってことなのかしらん?音楽にしろスポーツにしろ、極めようと思えば壮絶な茨の道だけど、自分に才能があると信じることで頑張れるのに、あの先生の指導じゃ…ドMな人なら魅惑のレッスンだと思いますがとにかく、最初から最後まで緊張感が漲ってて、退屈しません。同じ音楽ものでも、のだめとかユルかったヌルかったよな~。アンドリュー含め生徒がみんな、性格が悪く(ならざるをえない)てギスギスしてる不協和音も怖かった。美しい音楽を合奏するためには、必ずしも心を合わせなくていいんですね…

 ↑恐怖の壁ドン!
 凶人フレッチャー先生を激演し、アカデミー助演男優賞を受賞したJ・K・シモンズが、とにかく強烈で圧倒されます!怖い~あんな先生、絶対イヤだ~!夢に出てきそうなほどの迫力、存在感。観終わった後は、しばらく彼の怒鳴り声が耳に残り、鬼顔が目に焼きついて離れなくなるでしょう。非道い役なんですけど、何かカッコいいんですよ!ダンディで颯爽としていて、美声な罵声。悪とか狂とかとは違う独特の個性が。怖いけど、素敵おぢさまでした。ツルピカ頭が何かセクシー。
 アンドリュー役のマイルズ・テラーも、迫真の熱演でした。地味だしイケメンではないけど、フツーっぽいところが、コワレ演技にリアルさを。この映画に抜擢されるまでは、ドラムに触ったこともなかったと聞いてビツクリ!この映画さながらの猛特訓したんだろうな~。見事な演奏でした。
 意地とかプライドとか情熱とか、そんな美しいモチベーションなどアンドリューにもフレッチャー先生にもないのがユニークな映画なのですが。二人みたいなのは極端で異常だけど、何かに命がけになって取り組んでる人を見ると、すごく羨ましくなる私です。部活とかすればよかったな~と後悔…
 主役二人の演技もさることながら、この映画は音楽がカッコいいんですよ!ジャズ、いいですね~。オリジナルタイトルにもなった“Whiplash”が特に好き。サントラ買おうかな~。たたみかけるような展開と場面も素晴らしく、オスカーでは編集賞も納得の受賞。撮影当時、29歳!だったという新進気鋭のデイミアン・チャゼル監督、まさに彗星のごとく現れた感じ。次回作が待ち遠しい!
 それはそうと…邦題が、どうもしっくりこないんですよね~…もうちょっと内容に合ったタイトルにしてほしかったかも…

 ↑シモンズおぢさん、オスカーおめでと授賞式の彼も、クールな熟年って感じでカッコよかった。今後は名バイプレイヤーとしてだけではなく、主役も張ってほしいものです
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ケダモノどもに制裁を

2015-06-07 | 北米映画 08~14
 今日のカープはかーちかーちかっち勝ち♪
 楽天との第3戦、なんとかかんとかで勝利応援してるほうもドっと疲れてしまうゲームばかりです。
 勝利投手となった福井優也の成長が、著しくて頼もしいですね!

 ふっくん、勝ちは黒田と並ぶチームトップ!マエケンや大瀬良くんより上ですよ。心なしか、顔つきもキリっと男らしくなってきてるようなヒーローインタビューでは、『優勝(苦笑)目指して頑張ります』優勝のところで苦笑いしてたところが、ふっくんらしかった。優勝なんて、もう誰も期待してませんAクラスでさえ危うい。屈辱すぎるドベだけは何とか回避してほしいです。

 ↑フテ顔が多いけど、笑うと可愛いふっくん。頑張れ

「誘拐の掟」
 元警官の探偵マット・スカダーは、麻薬売人のケニーから彼の妻を誘拐し惨殺した犯人を見つけるよう依頼を受ける。事件を丹念に調べるうちに、スタガーは連続猟奇殺人鬼へとたどりつくが…
 「96時間」シリーズなどで、かつての地味な演技派俳優から今や映画界最強おやぢスターとなったリーアム・ニーソンの新作。この作品でも、老いてますます盛んな大暴れをしてるのかなと思いきや。意外なほどに地味に地道に探偵してました。ちょっと肩透かしを食らいましたが、特殊能力とか身分、ネットや携帯など現代的なツールや、ありえない武器や兵器などに頼らない、おのれの腕っ節と才覚のみで戦うリアルな勇姿がカッコよかったです。大勢の仲間や協力者もいない一匹狼だけど、ヘンに孤高を気取らず、静かに人情深いところも素敵でした。若い男にはない、苦い重い人生を歩んできた熟年男にしかないペーソスも味わい深かったです。

 枯れて疲れた風情だけど、実はウルトラ強い、というのがリーアムおじさんの魅力です。うちの父ちゃんもこんなんだったらな~と思わせる、理想の親父。あまりにも強く頼もしいので、どんな敵も弱く見えてしまう。こんな奴らがリーアムおじさんに勝てるわけがない、と始めから思えてしまうので、彼にどんなピンチが襲い掛かっても、ハラハラ感が薄いんですよ。その代わり、卑劣で残虐な犯人どもに早く制裁を!倍返しだ!(死語?)という期待感は濃くなりますが。

 スタガーが犯人に近づいていく過程は、オーソドックスなハードボイルド探偵ものですが、犯人の犯行とキャラはサイコホラー。誘拐した女性の虐殺とか、ラスト近くのスタガーと殺人鬼との死闘は、心臓の弱い人には見せられない血みどろ地獄絵図です。それにしても…あんな非道い事件が次々と起こっても、大して騒がないアメリカって…やっぱ恐ろしい国!女性があんなに簡単に、白昼堂々とさらわれるなんて

 依頼人であるケニー役は、「ダウントン・アビー」で大人気、今やハリウッドでも活躍中の英国イケメン、ダン・スティーヴンス

 妻を殺されて復讐に燃えるヤク売人、という役柄上、ずっと眉間にシワ寄せて険しい顔してるので、ダウントンアビー的な優しくて知的な彼ではありませんが、やっぱイケメンです♪痩せてるというよりやつれた顔が、病的に思いつめた男の心情をよく表していました。

 ケニーのジャンキー兄ちゃん役の俳優も、なかなかイケメンでした。いちばん美味しいキャラだったのは、スタガーの相棒になる黒人少年TJかな。いい味出してるんですよ。スタガーとTJのやりとりが、殺伐とした中でほのぼのとさせるリリーフ的な役割に。TJの勇敢すぎる行動には度肝を抜かれます。将来すごい有能な刑事か探偵になれそう。

 ↑ハリウッド版「美女と野獣」の野獣役に抜擢されたダン、一気にスターダムに昇る予感と期待♪
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バカ鬼ウェスタン!

2015-04-27 | 北米映画 08~14
 先週土曜日のカープ阪神戦は、なかなかエキサイティングでしたね~
 元メジャーリーガーの黒田博樹40歳と、将来を嘱望されている藤浪晋太郎21歳、注目の年の差19歳対決は意外な展開となり、大波乱を起こしてしまいました。
 バッターボックスに立った黒田に向けて、藤浪は危険球を連発。これには黒田もブチギレ、どう見ても『おどれナメとんのか、クソガキが!』と恫喝してるとしか思えぬ鬼の形相で、マウンドの藤浪にズンズン迫っていったのでした。両軍の首脳陣とナインが飛び出してきて一触即発、あわや乱闘の物々しさに、ズムスタの観客もTV視聴者も騒然。幸い乱闘には至りませんでしたが…この藤浪の危険球連発と黒田の怒りに、野球関係者や両チームファンは喧々囂々。藤浪、凶悪!黒田、大人げない!などなど。私は二人とも好きなので、とにかく当たらなくてよかった!という安堵しか感じませんでしたが…もしナミーの殺人ボールが黒田さんに怪我でもさせてたら、最悪の再起不能な重症でも負わせてたら…

 ↑普段は寡黙で感情を表に出さない黒田さんですが、ブチギレるとこ、怖い上宮高校野球部、新人時代のカープでの地獄のしごき、そしてメジャーリーグ。修羅場をくぐってきただけあって、仁義なきオーラびんびん。つい最近まで高校生だったナミーなどが太刀打ちできる相手ではありません。こんな怖いおっさんが怒髪天で近づいてきたら(しかもバットもって!)私ならチビっちゃいますよ。ナミーもさぞかしビビったことでしょうか。いやいや、現代っ子のナミーのことだから、表面的には萎縮しつつ、『カッカしてんじゃねーよ。熱血は母ちゃんとの夜だけにしとけよオッサンww』なんて、心の中ではペロっと舌でも出してたことでしょうか
 今や広島県人のほとんどが入信している“男気教”の現人神である黒田さんを潰すようなことをしてたら…ナミーは生きてズムスタから出られなかったでしょう。なので、ヒヤっとさせたしモヤモヤ後味の悪さも残しましたが、恐ろしい事態にはならなくて本当によかった。それにしても野球って、ほんと命がけの危険なスポーツなんだな~と、あらためて痛感しました。大人げないと批判されもしたけど、黒田さんの熱さはイマイチ覇気がない若鯉への鼓舞、発破かけになり、この日は阪神に大勝したのでした。さすが黒田さん、何やってもドラマの主役になりますね。カッコいい!でも、翌日のゲームは元のダメ鯉に逆戻りしちゃいましたああああぁ~
 それと。乱闘未遂は、ちょっと残念だったかも。最近、とんと見なくなりましたよね乱闘。最近の野球選手っておとなしいから、何かつまんない。かつては乱闘も楽しみのひとつでしたよね~。なので黒田さんの熱さが、返って新鮮に思えました。プロ野球、もっと~もっと~熱くなれ~♪by 大黒摩季 でも、怪我しないよう気をつけてね!

 「荒野はつらいよ アリゾナより愛をこめて」
 西部開拓時代のアリゾナ。無法地帯な街にウンザリしていた羊飼いの青年アルバートは、恋人に捨てられた直後に謎の美女アナと出会うが…
 大ヒットした「テッド」のセス・マクファーレン監督が主演も兼ねた西部劇コメディ。
 テッドほど評判も興行成績も良くなかったみたいですが、私はめっちゃ楽しめました。私、こーいう過激で大胆不敵でオゲレツなコメディ、大好きなんですよ~。日本の某人気脚本家のドラマや映画みたいな、猪口才で安全な小ネタ系は苦手だけど、おそれ知らずタブー知らず、おきて破りでデンジャラスな笑いは大好物。テッドもかなりのものでしたが、この西部劇も相当なものでした。何度も飲んでたコーヒー吹いちゃいました。

 とにかく、鬼のような下ネタ。青少年や淑女乙女は正視に耐えない、不快になるだけだと思うので、観ないほうがいいかも。私はDVD購入さえ考慮してますが(笑)。何かもう、思い出し笑いおバカすぎるオゲレツシーンてんこもりでしたが、特にツボだったのは、最初の決闘シーンでの影絵。そして、お祭りでの惨劇の記念撮影シーン。下ネタだけでなく、ホラーみたいなエグいヴァイオレンスや、ヤバい人種差別ネタなど、こんなんで大笑いして喜んでる私って、やっぱ病んでるのかしらん?と、ちょっと不安に陥ってしまいました 
 まことちゃんかよ!なビチ○ソ登場も、かなりエグいスパイスに。こんなん日本じゃ絶対作れないよな~な、ゲスのきわみ映画です。でも、どこか幼稚というか、大人向けではないオゲレツさでもあります。昔、兄や同級生の男子が貸してくれたエッチなギャグ漫画みたいな感じ。エロじゃなくて、エッチのレベル。ある意味、微笑ましくもあるオゲレツさなのです。

 演出と主演を兼任した才人セス・マクファーレンは、テッドでの手腕もさることながら、一昨年前にオスカー授賞式での司会でも私を魅了しました。話術だけでなく、歌ったり踊ったり芸達者な上に、顔が優しそうで可愛い!ハリウッドの人気コメディアンって、個性も我もアクも強すぎる人が多いけど、セスはフツーっぽくて好感。つぶらな瞳と美声も好きです。スタイルもよくて、オスカーでのタキシード同様、ウェスタンファッションも似合っててカッコカワイかったです。
 手足が吹っ飛んだり焼け死んだりウンコもらしたり、セスの周囲は大変なことになってましたが、セス自身はあまり暴走してなくて、次々と起こる惨劇や危機に、ヒエーとかオエーとパニクったり、あわわとビクビクオドオドしてるのが主で、そこが可愛いくもあり惜しくもありました。
 共演者も、大物なのによく引き受けたな~と感心するやら呆れるやら。

 謎の美女アナ役のシャーリーズ・セロンは、相変わらず美しい。セスとの仲良しシーンは、恋人役というより何だか姉弟みたいな感じが(シャー子さんのほうが年下ですが)。シャー子さんも気風がいいというかノリがいいというか。『チ○ポ出てる』とか、お下品な台詞をシレっと言ったり。天下の美女、オスカー女優に言わせるセスもスゴいけど。
 悪役は、最近「96時間」シリーズでオヤヂブレイクし、老いてますます盛んなリーアム・ニーソン。丸だしのケツにお花を挿されるとか、彼もよくやるわ~な姿さらして、セスの期待に応えていました。テッドの続編のヒロインに抜擢されたアマンダ・セイフライドも、そこそこ人気女優なのに性悪ビッチ役で、かなりアホなこともやらされてました。いちばんアホで可哀想だったのは、奇しくも今年のオスカー司会者で、「ゴーン・ガール」でも哀れな役だったニール・パトリック・ハリスです。あんなの、日本のお笑い芸人だって事務所が許可しないよ~。そして、テッドでキモい変質者を珍演したジョヴァンニ・リビシが、キモさも出番も倍増で再登場!ハリウッドスターって、おバカもハンパしないところがさすがですよね。あと、ジャンゴとかバックトゥザフューチャーのドクとか、別映画のキャラがチラっと、そっくりさんではなくご本人がカメオ出演。意味不明ながら、映画ファンには嬉しい演出でした。
 ああ~テッド続編の日本公開が待ち遠しい!

 いつかセスの映画がオスカー受賞、なんて珍事が起きないかな♪
 
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音楽になる前の音符みたいに

2015-03-31 | 北米映画 08~14
  「あなたとのキスまでの距離」
 ニューヨーク郊外で妻子と暮らす音楽教師のキースは、ホームステイすることになった18歳のイギリス人留学生ソフィが、ピアノの才能を秘めていることに気づく。チェリストとしてニューヨーク交響楽団に入団することを夢見ているキースは、ソフィに惹かれていくが…
 スウィート&ロマンチックなラブストーリー、みたいな邦題ですが。昼ドラも真っ青なドロドロ設定にビツクリしました~。女子高生が妻子ある下宿先の主人と愛し合ってしまう…という道ならぬ恋の物語です。 
 音楽を通してキースとソフィが共感し合い、静かに恋に落ちていくプロセスが静かに繊細に描かれていて、胸キュンなシーンもあったりするのですが…お互いの気持ちに気づいて衝動が抑えられなくなりそうになった頃から一転、奥さんと娘にバレて地獄の修羅場に。何もかも捨てて愛に生きようと盛り上がる二人が、だんだんハタ迷惑なバカップルに見えてくるんですよ。とにかく、キースの奥さんと娘が可哀想!確かに、夫の夢やロマンを解せず、家庭や生活を守ることを優先させる世知辛い所帯じみた奥さんは、男からしたら味気ないしウンザリすることでしょう。でも、だからといって裏切ったり傷つけたり捨てたりしていいわけない。あの奥さんに非はないけど、あるとすれば、あまりにも男の気持ちを軽視しすぎたことかな。あれじゃあ愛も冷めますよ。くだらない、それどころじゃないと思っても、程よく夫に合わせることは肝要かと。結婚生活においては、あまりにも良妻賢母すぎるのもマイナスなんだな~と思ってしまいました。

 いちばん可哀想なのは、娘です。自分と同じ年頃の居候娘がボーイフレンドを寝取った(と思い込む)だけでなく、父親とまで!ショックすぎる。娘のボーイフレンドが、これまたクソ野郎なんですよ。ヤリチンなだけでなく、ソフィとヤってもないのにヤったと自慢げに言いふらしたり。まさに女の敵。でもあーいうクソ野郎が、なぜかモテたりするんですよね。男を見る目がない女って、ほんと多いから。クソ野郎に復縁を迫る姿が、みじめすぎて胸が痛くなった。いい子なのに、あんな非道い辛い目に遭うなんて。
 諸悪の根源、英国娘のソフィ。イギリスからアメリカにやって来る彼女ですいが…いったい何しに来たの?!なトンデモ留学生ぶり。あーいう悪気がまったくないのに災いを招く女って、ほんと恐ろしいわ。はるばるイギリスからアメリカに来て、すぐに不倫、家庭崩壊させるソフィー、まさに疫病神、魔性の女です。ソフィみたいな芸術家気質の女って、魅力的だけど関わりたくないタイプです。自分の気持ちに正直に、恋を貫く、そのために自分も他人も傷ついて不幸になってもいい、みたいな気性って憧れますが
 ヒロインのソフィを演じたのは、「博士と彼女のセオリー」で今年のアカデミー賞にノミネートされた、イギリスの新星フェリシティ・ジョーンズ。

 すごい美人!とか可愛い!といった女優ではないけど、何か深い強いものを秘めてる感じが、若さや見た目だけの女優とは違う雰囲気を放っていますね。ハリウッド女優にはない聡明さとか、ちょっと読めない謎めいた感じとか、さすが英国女優(しかもオックスフォード卒だとか)というか。アメリカンギャルの中に混じってると、その地味さシンプルさが返って目立つ品性にもなってて。
 キース役は、大好きなガイ・ピアース

 ガイピーも、すっかり熟年男になりました。顔がシワクチャなんだけど、雰囲気が若いせいで、おっさん臭くないんですよね~。今でも全然イケてます。小娘に惹かれて戸惑ったり幸せを感じたりしてる時の表情とか仕草とか、抑えた感じなのが切なくて可愛かった。ギターやチェロを弾くシーンも素敵でした。あんなカッコいいおじさんが居候先にいたら、しかも奥さんとうまくいってなくて、趣味も同じだったりしたら、恋に落ちるなというほうが無理ですね。着替えシーンで、ちょっとだけ上半身裸になるガイピーですが、音楽家にしては筋肉質なナイスバディ♪
 修羅場ドロドロ設定ですが、淡い透明感ある映像が、不倫の生々しさとか湿り気とかを薄めています。

 今でもカッコいいガイピー素敵おぢさまの一人です
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精子濫用の恐怖

2015-03-23 | 北米映画 08~14
 「人生、サイコー!」
 父親の精肉店で配達をしているデイヴィッドは、若い頃に精子を提供した精子バンクの管理ミスで、自分に500人以上の子どもがいることを知るが…
 ヒットしたカナダ映画「人生、ブラボー!」のハリウッド版リメイク。ハートフルなコメディ映画、のはずなのですが…よく考えたら、とてつもなく恐ろしい話なのです。実際に自分に500人以上の子どもがいて、彼らが団結して自分を探そうとしてるなんてことになったら、戦慄以外のナニモノでもありませんよ。一般人から提供された精子の杜撰な管理や濫用、個人情報の漏洩など、こんなこと許されたら世界はメチャクチャですよ。笑えない。原発事故と同じぐらいの恐怖、危機感を覚えてしまいました。借金とか親にプレゼントする旅費のために、精子を売りまくってたデイヴィッドですが。容易な精子の売り買いも、大問題だと思いました。
 そんな危険性への警鐘的な内容ならともかく、映画じたいはハリウッドのコメディらしく、ノーテンキでハッピーなノリ。都合がよすぎて、だんだん不快にさえなりました。主人公のデイヴィッドが、あまりにも非道い男で呆れた。いいかげんだけど、いい奴なキャラな彼ですが、やってることは家族や恋人、友人に困惑迷惑、混乱ひんしゅくをもたらすだけの、自分勝手な最低男なんです。金ほしさに精子提供しまくり、子どもが500人以上いると知ると、彼らに会いに行って小さな親切程度の手助けしたり、借金返済のために大金が要るとなると、精子提供者の人生を脅かした!と賠償金目当てに訴訟。でもやっぱり金よりも情!と気づき、父親と名乗り出て裁判を反故にし、友人の弁護士の尽力を無駄にしまくる。自己中心的すぎ、自己満足すぎ!子どもたちに関わる姿も、軽い友だちのノリ。父親として責任をとる覚悟なんて、全然なさそう。特に障害のある息子に対しては、ハンパな気持ちで関わってほしくないと思った。自分の気が向いた時だけ彼に会いにいくなんて、罪深い行為ですよ。

 子どもたちがみんないい子、というのも都合が良すぎると思った。中には性悪や犯罪者、狂人がいてもおかしくないし。そんな子どもがいても、デイヴィッドは真摯に向き合えるのか。それと、デイヴィッドの子どもたちは、みんな若い男女。集合して和気藹々と父親探ししているうちに、兄弟姉妹同士で恋愛関係になっても不思議はない。モラルや倫理もない事態に陥る怖さも。あと、デイヴィッドの家族が可哀想!金ほしさに精子を売りまくった男の父、マスかき大王の兄弟、と世間に蔑まれ誹られるだろうし。私だったら、縁切りです。

 こんな男、近くにいてほしくない!と心底思わせるデイヴィッドですが。あーいうどーしようもない男が、不思議と愛されるんですよね。ちょっと私の兄とカブるんですよ。兄もろくでなしなんですが、ダメな子ほど愛しいのか、昔から両親は私や妹よりも兄を可愛がってるし、私なんかこんなに真面目に常識的に誰にも迷惑かけないように生きてるのに、兄みたいに友だち多くないし。何やっても憎まれないデイヴィッドや兄みたいな人、イヤだけど羨ましくはあります。
 デイヴィッド役は、大好きなヴィンス・ヴォーン。かつてはハリウッド悪役商会の若頭的な極悪野郎だったヴィンスも、今ではすっかりオチャメなおばか俳優として大成。コワモテて巨体だけど、憎めないおっさん役がオハコになってるヴィンスですが、また若い頃のように凶悪な役もやってほしいものです。
 デイヴィッドの友人役は、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」でmy イケメンレーダーをビビビとさせたクリス・プラット

 ポッチャリしてて、イケてるおデブって感じで可愛い!弁護士としては頼りない、やもめなイクメンぶりも微笑ましかった。オチャメで優しくイケメンなクリスみたいなパパ、いいですね~。風貌といいキャラといい、「イエスマン」のブラッドリー・クーパーとカブるクリス。大作話題作に次々起用されてるみたいだし、ブラパの次は彼がスターダムに昇りそうですね。
 500人の子どもの中では、俳優志願のウェイターの男の子がイケメンでした。ヴィンスの子というより、クリスの子みたいだった。

 ↑「ジュラシック・ワールド」日本公開が待ち遠しい!それはそうと。新インディ・ジョーンズは結局、クリスに決まったのかしらん?
 
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ド変態イケメンとSM愛人契約!

2015-03-19 | 北米映画 08~14
 「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」
 女子大生のアナは、校内新聞のインタビューで知り合った若き大富豪、クリスチャン・グレイに心惹かれる。特異な性癖を秘めたグレイは、アナにある提案をもちかけるが…
 結論から申し上げますと、しょーもない映画でした~あまりのつまらなさ、くだらなさに、途中で寝るな!寝たら死ぬ!な雪山遭難状態に陥ってしまいました。
 アナとグレイがHするまでは、陳腐なハーレクイン調、もしくはビバリーヒルズ青春白書調で、ずっとこんな調子が続くのか~耐えられんわ~と、恐怖さえ覚えてしまいました。H後、グレイがド変態性癖をあわらにしてゆくのですが、それも何かアホみたいで失笑ものなんですよ。アナとグレイが交わすSM愛人契約書とか、これって笑うところ?笑っていいんですよね?なくだらなさ。SM用語とかプレイ名とか、そんなことホントにやっちゃうんだね~と呆れつつ笑えた。とにかく、最初っから最後まで主人公二人の、もっと他にやること、考えることあるのでは…なヒマ人ぶり、脳内と下半身のお花畑ぶりを延々と見せつけられる、それだけな映画です。

 官能映画、という触れ込みなのに…ぜんぜんエロくないし!JAROに報告ものです。SMプレイも、ソフトすぎるというか。あれくらいなら、誰でもやってますよ(私はやったことないが)。禁断の匂いが希薄で、何かスポーツ感覚なんですよ。団鬼六先生ちっくに、もうちょっと過激さ、淫靡さが欲しいところでした。
 主人公二人のキャラにも、魅力と深みがなかったのが残念。好きな男の心の闇や痛みを共有したい、理解したいという悲壮感、苦悩がアナからは感じられなかった。グレイも、何でド変態になったのか、、もうちょっと衝撃の原因とか納得できる理由でもって描いてほしかった。そもそも、何であんなまどろっこしいSM愛人契約なんかするのかしらん。腐るほど金もってるんだから、高級SMクラブに行けば容易に安全に、いくらでも嗜好は満たされるでしょうに。素人の、ノーマルの女じゃないとダメだとか?

 アナ役は、メラニー・グリフィスとドン・ジョンソンの娘、ダコタ・ジョンソン。ブスじゃないけど、地味~。華がないな~。ママにちょっと似てはいるけど、若い頃のママのほうが可愛い(今はバケモノですが)。性と恋の悦びを知ってキレイになる、という設定みたいでしたが、色っぽくも洗練もされてなかったような。脱ぎっぷりはアッパレでした。でも、ヌードもそんなにキレイじゃなかったような…脱ぎすぎると、裸もありがたみがなくなります。
 グレイ役は、イギリス出身の元モデル、ジェイミー・ドーナン。イケメンですが、彼も地味ですね~。ユアン・マクレガー+コリン・ファース、みたいな顔?彼も頑張って脱ぎまくってましたが、いいカラダはしてるのですが、何かが決定的に足りないというか…何だろう、エロさと演技力かな?さすが元モデルだけあって、スーツもカジュアルな服もセンス良かったです。

 ↑ジェイミー・ドーナン、モデルの彼はなかなかセクシーですが、役者の彼は何か足りない…まあ、まだキャリアが浅いし若いので、今後に期待♪ 
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スペースあらいぐま!

2015-02-26 | 北米映画 08~14
 ハリウッドではアカデミー賞が発表されましたが、パリではセザール賞の授賞式が行われました。
 「トワイライト」シリーズのクリステン・スチュワートが、アメリカ人として初の助演女優賞を獲得したことが話題になりましたが、それよりも何よりも、主演男優賞ですよ!受賞者は何と!「イヴ・サンローラン」で渾身の熱演を見せたピエール・ニネ!

 ニネくん、おめでと~ひょっとしたら、主演男優賞としては史上最年少?主演男優賞には、別映画でイヴ・サンローランを演じたギャスパー・ウリエルもノミネートされていて、ボーギャルソン二人のサンローラン対決も注目されていました。そして、軍配はニネくんに。共演者やライバルを讃える彼の受賞スピーチは、なかなか感動的だったみたいですね。ギョーム・ガリエンヌ、聞きながら泣いてましたし。ギャス男の、まいったね完敗だぜ、みたいな表情も印象的でした。

 フランス映画界の輝ける星となったニネくん、早く彼の新作、いや、旧作でもいいので観たいです。ギャスパー・ウリエル版のイヴ・サンローランも、日本公開が決定したみたいなので、こっちも楽しみ!魅惑のボーギャルソンたち、いま人気の英国イケメン軍団に負けるな


 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」
 母を亡くした少年ピーターは、突然現れた宇宙船に拉致されてしまう。宇宙海賊のもとで成長したピーターは、盗みだした石オーヴが無限の力を秘めていることを知る。オーヴをめぐって、宇宙は争奪戦へと発展するが…
 ご存知の通り私、SF映画とファンタジー映画が苦手なのです。スターウォーズもハリポタもLOTRも、シリーズ全部観てません。何で苦手なのでしょうか。非現実的なことを、大真面目にやってるノリについていけないから?童心を微塵も残してない汚いシラケた大人だから?でも、アヴェンジャーズかスパイダーマンとか、アメコミは好きなんですよ。お笑い色が強いところが私の好みに合うのだと思います。

 この映画も、おふざけ満載のお笑い系で、すごく面白かったです。アメリカ人の体を張ったノーテンキなノリが好き。私、同じコメディでも小ネタ系とかダメなんですよ。ストレートに解かりやすい、ダイナミックなまでのハチャメチャ系じゃないと笑えない。アメリカ人のおバカっぷりって、ほんと見ていて元気が出ます。
 ハリウッドならではの最先端なCGは、相変わらす驚異的。いろんな宇宙アイテム、奇抜な宇宙ファッションも目に楽しい。主人公は宇宙海賊、お宝をめぐる宇宙人たちの争奪戦、ケンカしながらも共に戦っているうちに、かけがえのない仲間になっていく主人公たち、という設定は、日本が誇る某国民的漫画みたいです。おばかコメディなのに、ホロっとさせるシーンや展開もあったり。でも、幼い少年が拉致されてしまうという設定は、日本人からしたら笑えるものではありません。 
 主人公ピーター役のクリス・プラットが、メチャイケなんですけど!

 ブラピの「マネーボール」でもカッコカワイイと思ったけど、さらにイケメンになっててビツクリ!かなり鍛えて体型を絞ってて、すんばらしい肉体美も披露。私、彼みたいなオールアメリカンタフガイ、大好きなんですよ~。ちょっとアホっぽくて明るくて爽やかで優しそうで屈強で男らしい、そしてナイスバディな金髪碧眼のイケメン、大好物なんですわ。

 まさに理想のアメリカンタフガイ現る!ちょっとダニエル・ブリュール似?ダニブリュをオールアメリカンにした感じ。アクションもバッチリで、おバカ演技も得意。ラブコメとかでも魅力を活かせそうなクリスを、今後も要チェキです。

 クリス・プラットと同じくらいチャーミングだったのが、スペースバウンティハンターのアライグマ、ロケット。

 テディベアのテッドもスゴかったけど、アライグマのロケットもスゴいです。どうやって撮影したんだろ?CGって感じがほとんどしないんですよ。すごい自然。ほんとにアライグマが立って喋って戦ってるみたい。見た目は可愛いけど、中身はガラが悪いおっさん、というのはテッドと同じ。口が悪くて短気だけど、いざという時は頼りになるロケット、カッコいい!ロケットの声を担当してるのは、今をときめくブラッドリー・クーパー小動物やペット扱いされてプッツンするロケットの怒声は、「世界にひとつのプレイブック」や「アメリカン・ハッスル」のブラパとカブって笑えます。
 ロケットの子分、グリートの声は何と!ヴィン・ディーゼル。グリートがなかなか泣かせるキャラなんですよ。ラストのグリートが超可愛い!
 その他、ベニチオ・デル・トロ、グレン・クローズ、ジョン・C・ライリーなどシブいメンツも、楽しそうにアメコミ演技。
 ピーターの父親の正体とか、グリートの復活とか、続編への引っ張り方も調子に乗ってる感じで好きです。

 ↑インディ・ジョーンズがリメイクされるそうですが、何と!ブラッドリー・クーパーも候補にあがってたインディ役には、クリス・プラットが抜擢されたとか!ぴったりじゃん!楽しみですね♪
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男たちが組んずほぐれつ…

2015-02-17 | 北米映画 08~14
 「フォックスキャッチャー」
 オリンピック金メダリストのレスリング選手マークは、コーチである兄デイヴの助手をしながらくすぶった生活を送っていた。そんな中、デュポン財閥の御曹司ジョンから、彼がスポンサーであるレスリングチーム“フォックスキャッチャー”にスカウトされたマークは…
 「カポーティ」「マネーボール」など、実話映画化に長けたベネット・ミラー監督の新作。ミラー監督は、この映画でカンヌ映画祭の監督賞を受賞、今年のオスカー候補にもなっています。
 男たちの愛と憎しみ、嫉妬や欲望が渦巻くドロドロドラマ!と、ワクワク期待に胸ふくらませて観に行ったのですが。思ってたほどドロドロではなく、ちょっと肩すかしでした。全体的に暗く冷たい乾いた空気に支配されていて、ドロドロというよりドヨヨ~ン系?あまりにも鬱々しく重苦しいムードなので、いま心がしんどい人は観ないほうがいい映画かもしれません
 鬱映画ですが、男たちの心の闇は興味深く描かれていました。理解しがたい狂気ではなく、何か身近にもありそうな、見覚えのある黒い暗い深層心理。そもそも、デュポンとマークが抱えている葛藤や苦悩が、すごく子どもっぽいんですよ。おまえら中学生か!みたいな。小・中学生の男子にありがちな言動、心の揺れや爆発が、何だか笑えてしまった。男って基本、いくつになっても子どもだよな~。やっぱ女のほうが強くてズルい生き物です。
 デュポンなんて、見た目だけ年老いたガキそのものだし。欲しがり屋さんで、手に入らなかったり気に入らなかったりすると、ダダこねるわスネるわプッツンするわな、甘やかされた困ったちゃん坊ちゃま。見栄っぱりなところも、子どもっぽすぎるんですよ。自画自賛なドキュメンタリー映画とか、ママの前で有能ぶるところとか、出来レースやらせ試合とか、イタすぎて滑稽。まわりのみんなが調子合わせてあげてるところなど、はたから見たら裸の王様すぎて哀れにもなります。才能も人徳もない人に、虚栄心と金だけは腐るほどあったというところが、悲劇の根幹だったのかもしれません。あの無駄づかいされまくった金が、もし本当に有能で高徳な人にあれば…と、心の底から思いました。

 マークも、図体がデカイだけのアホで心の弱いガキそのもので、そのレスリング以外無能な脳筋キャラにイラっとさせられます。デュポンと兄ちゃんの言いなり、受け身すぎ。甘えんなー!しっかりしろ!と叱りたくなりました。頭が悪い、心が弱いせいで、容易につけこまれ操られるマークって、ヤバい新興宗教や思想にハマってテロリストに仕立て上げられちゃうタイプですよ。オ○ムやイス○ム国に入らなかったのは、不幸中の幸いだったかもあんなに屈強な肉体と、レスリングの才能、厳しい練習に取り組む根性があったんだから、もうちょっと自信をもって生きてほしかったです。そうできなかったのも、悲劇の要因と言えましょう。健全な肉体には健全な魂が、とか言うけど…必ずしもそうとは言えないのね、とマークのコワレっぷりを見ていて思いました。そして、おいしい話、都合のいい話には何かある、軽々しく乗ってはいけないと痛感。あと、せっかくの名声も、うまく世の中で立ち回らないと宝の持ち腐れになるんだな~と、あの人は今な金メダリストを思い出して切なくなりました。
 いちばんの被害者は、マークの兄デイヴです。可哀想すぎる!至極まともで、フツーにいい人だった彼が、いちばん理不尽で悲惨な目に遭ってしまうなんて。悲運としか言いようがありませんが…彼の常識人キャラ、裏を返せば俗っぽい人柄には、いろいろ考えさせられました。ナンダカンダで金で動く、生活のためには不本意なことも我慢するところなど、誰だって私だって同じことするだろうと思いつつ、デュポンの金にあかせたオファーなど一蹴してほしかった、デュポンを崇敬しているかのようなコメントを強いられても拒否してほしかった。金や安定がすべてじゃない、信念やプライドを貫くという美しい男気って、やっぱ非現実的な理想なんだな~。それを知っているからこそ、黒田博樹のカープ復帰には多くの人が感動したのでしょう。

 男たちのダークサイドを描いた映画ですが。デュポン、マーク、デイヴのやりとりは、ほんと中学生の教室、クラブ活動で見られるような子どもっぽさで、イヤな意味で微笑ましくもあったり。実は嫌われてるけど、気前がいいのでみんなからチヤホヤされてる金持ちのぼんぼんが、頭からっぽで根暗だけどスポーツマンの少年も取り巻きに加える。二人はやがて友だちがいないもの同士、互いにないものを補い合って親密に。でもぼんぼんは、クラスの人気者である学級委員長と本当は仲良しになりたくて、金や親の権力を使って何とか委員長に近づくことに成功。そうなると、スポーツくんが不要、ウザくなってきて、邪険にしだす。戸惑い傷つくスポーツくん。表向きは愛想よくしてるけど、ぼんぼんとはさりげなくもキッパリ距離を置く委員長。自分と友だちになってくれない、自分と違って本当に誰からも愛されている委員長に対して憎悪を抱き始めるぼんぼんは、ひとりぼっち同士スポーツくんとヨリを戻そうとするけど、心底傷ついたスポーツくんは、すっかり心を閉ざし完全無視…みたいな関係は、中学生日記?!と見紛うほど。過激になった中学生日記、みたいな。
 デュポン役でアカデミー主演男優賞にノミネートされたスティーヴ・カレルは、元々は人気コメディアン。笑いを封印し、特殊メイクを施してヤバい人を怪演してます。あまりにもイタい人っぷりでブラックな笑いさえ誘うところは、さすがコメディアン。

 マーク役は、チャニング・テイタム。実質の主役はカレルよりも彼のほうです。ハリウッドきっての肉体派なタム蔵ですが、いつもに増して肉肉しいです。ゴツくてガチムチ、レスラー体型を見事に作り上げてます。オツムがちょっとアレなのかなと心配になる暗い無表情が、怖いヤバい。ほぼ出ずっぱり、オールヌード、リアルなレスリングシーンや、鏡を頭突き割りシーンなど、文字通り肉体を擲って大熱演してます。彼だけオスカーにノミネートされなかったのが可哀想。「マジック・マイク」とかもそうだけど、肉体美だけでなく身体能力もスゴいタム蔵。この映画でも、あのゴツいカラダでひょいっとバック転とかするし。
 デイヴ役で、アカデミー助演男優賞にノミネートされてるマーク・ラファロ。スーパーマリオみたいな風貌が可愛い。彼って男くさいけどすごく暖かい、優しい、懐が深い感じがするので好きです。ソフトな声も素敵。
 屋敷や馬など、デュポン家の優雅で上品な雰囲気が、名家って感じでした。由緒ある名家と成金セレブって、やっぱ違うんですね~。
 この映画、作り方によっては超おいしいBL映画になり得たのにな~。ほぼ男だけ、男だらけの男祭りな映画だし。そのままキス、セックスしちゃうのでは?!なガッツリベタベタシーンも多かったし。デュポンがキモいおっさんじゃなくて男前紳士だったら、さぞかし腐的にはウホウホだったでしょう。こういう映画、日本でも作ってほしいな~。理想妄想キャストは、デュポン=岡村隆史、マーク=池松壮亮、デイヴ=妻夫木聡、で!レスリングはボクシングに変更。イケると思うわ~。

 ↑鬼気迫る劇中とは違い、オフスクリーンでは和気藹々な3人
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頭文字Dのイケメン!

2015-02-13 | 北米映画 08~14
 「ニード・フォー・スピード」
 天才的なドライヴィングテクニックを持つ自動車修理工のトビーは、ライバルのディーノによって犯罪の濡れ衣を着せられ投獄されてしまう。出所したトビーは、ディーノへの復讐のため危険なレースに出場するが…
 私、ワイルドスピードシリーズが大好きなんですよ~。ポール・ウォーカーの急死は、衝撃的すぎて今もショックと悲しみが癒えないけど…最新作が楽しみすぎる!
 で、この明らかにワイスピの二番煎じな作品。ぶっちゃけ、思ってた以上のワイスピ劣化版でした~ワイスピ同様にハチャメチャなんですけど、何だろう、ワイスピみたいなバカ丸出しな突き抜け感、ノリノリな破天荒さに欠けてたような気がします。制作費がワイスピに比べると、明らかに低コスト。あらためてワイスピって、金かけて作ってたんだな~と感嘆。
 爆走シーンはともかく、内容が小さいんですよ。犯罪の濡れ衣を着せられムショにブチ込まれた主人公が、出所して悪者とレースで勝負するというのが大雑把なストーリー。世界レベルの巨悪と戦うワイスピの、無駄にデカいスケールに比べると個人的すぎて、何か物足りない。

 まあワイスピもですが。一般人からしたら、傍若無人な暴走って許せないですよ。映画だからって、笑えない時もあります。映画ではスルーされてるけど、暴走のせいでメチャクチャにされてしまう関係ない人の車。あれで怪我人や死人がいないはずないし。車壊されたり怪我した人は、どこに訴えればいいの?!と、この映画でも思ってしまった。
 この映画最大の敗因は、主人公に魅力があまりなかったことでしょうか。普段はフツーの人だけど、実は天才的なドライバーというありきたりなキャラはまだいいとして。演じてる俳優が、あんましカッコよくないんですよ。いや、決してブサイクじゃないんです。でも、すごい地味というか、カリスマとかオーラがないんです。ヒーロー向きじゃないというか。やっぱこういう映画の主人公は、誰が見ても男前、イケメンじゃないと。その点、ワイスピのポール・ウォーカーは最初から最後までキラキラしてたよな~。かえすがえす惜しい…主人公トビーを演じたアーロン・ポール、こないだ観た「エクソダス 神と王」のモーゼの家来役と同一人物と知りビツクリ。ぜんぜん気づかなかった!別人のように化けてるのではなく、この映画の彼の印象が薄すぎたので顔をすっかり忘れてた
 イケメン担当は、ディーノ役のドミニク・クーパー

 何か私、最近ドミ公祭りですね~。偶然なんですけど、ドミ公と頻繁に会えて嬉しいですドミ公、やっぱイケメンですよ!アーロン・ポールが田舎者っぽい薄口な地味男だったせいで、余計ドミ公の濃ゆい華が際立ってました。雰囲気が何か洗練されてるというか都会的というか、スマートなんです。モデルみたいなスタイルのよさ、ファッションの小粋さは、さすが英国男子です。

 悪役なのに可愛い!と胸キュンになるシーンも何度かあり。特に、新車の展示会でディーラーにハッタリかますも、すぐにウソをバラされた時の表情とか目つきが、キュートでイケてました。この作品でもカッコカワイいドミ公ですが…役がセコすぎる!悪人とも言えないほどのセコさ。ハリウッド映画では、こんな役ばっかですよねドミ公。どうせ悪役なら、スゴい極悪役やってほしいわ。

 ↑近ごろ人気な英国男子のひとりドミ公。でも、バッチやエディ・レッドメイン、ファスベンやマカぼんとかに比べると、いまいち出遅れてる感が。カッコいいし演技力あるしエロいし、大ブレイクの要素はたっぷりあるのに。頑張れドミ公!
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海が割れるのよ

2015-02-11 | 北米映画 08~14
 「エクソダス 神と王」
 紀元前のエジプト。王子ラムセスと兄弟同様に育ったモーゼは、奴隷として虐げられているヘブライ人であるという自分の出生の秘密を知る。一方、王位に就いたラムセスは、モーゼを辺境の地へと追放するが…
  今年最初の劇場鑑賞映画♪
 「ベン・ハー」とか「十戒」とか、ハリウッドのスペクタクル史劇が大好きな私。なので、この映画も楽しみにしていました。期待通り、すごく面白かったです。こういう映画は、やっぱ大きなスクリーンで観るべきですね。迫力ある騎馬シーンや戦闘シーン、どっからこんなに集めてきたんだよなエキストラの数に圧倒され、古代エジプトの衣装や王宮のセットも興味深く楽しむことができました。そしてやはり何と言っても、驚異的なCG技術には目を驚かされました。CGだらけのアニメみたいな映画は苦手ですが、この映画はCGがすごく上手に駆使されているんですよ。CGじゃないとありえないシーン満載なのに、CGまみれって感じが希薄。ハイクオリティすぎます。やっぱ金をかけたハリウッド大作はスゴいな~。

 神が罪深いラムセスとエジプト人に次々とくだす罰が、おぞましくも壮大!まさに悪夢の天災攻撃。画面を埋め尽くすワニやカエル、ハエやイナゴの大群にゲロゲロウゲゲゲ~!ワタシ的に最も戦慄だったのは、無残な皮膚病。あれはイヤだー!!そして、エジプト人の子供が死ぬという罰が、残酷で最悪でした。あまりにも非道い仕打ち。エジプト人だって、善良で無辜な人もたくさんいたはず。それなのに…何の罪もない子どもが死ぬなんて。どんな罰より、衝撃的で悲しいですよね。さすがのラムセスもこれには耐えられず、心が折れちゃいましたし。神様、いくら何でもあんまりじゃないですかい?あんな神様、信じられないし信じたくないわ~。自分たちと相容れない者は、一気にポア(死語?)してもいい!みたいな考え方は、日本でテロを起こした某邪教とカブります…
 怒涛の天変地異シーン、きわめつけは、ラストの紅海シーン。海が割れる有名なシーンです。人々を飲み込む津波は、日本人にとっては正視が難しい辛さが。あの津波で死ななかったモーゼと王の生命力に、目がテンになってしまいました。

 ちょっと気になったのは、モーゼとラムセスの家族や仲間への愛情・親愛表現とかが、何だかかなり西洋っぽかったこと。ラムセスが妻や子どもに優しくする様子とか、当時のエジプト人でもあんな風にしてたのかな~と、ふと疑問に思ってしまいました。まあ、ハリウッド映画なのだから、アメリカ人に理解・共感してもらう表現は当然ですね。
 「グラディエーター」に続いてのリドリー・スコット監督のダイナミックな演出と映像美は素晴らしかったけど、人間ドラマとしては薄口だったような。モーゼと王の愛憎を、もうちょっと細やかに濃く描いてほしかったかも。でも、モーゼのキャラは、かなり危険濃度が高かったです。神と出会ってからのモーゼ、神と対話しているという触れ込みで憑かれたように人々を説き、決起(要するに国家転覆のテロ)させ、やれー!!やるんだー!!と人々に無茶ぶりしまくる。狂人チックなヤバい人モーゼに、畏れおののいて従う人々。これもまた、某邪教の教祖と信者と重なって…
 モーゼ役は、クリスチャン・ベール。

 力強さと神経症っぽさが混在してるキャラと演技は、クリベーが得意とするところでしょうか。文字通りカラダを張った肉弾演技が圧巻、魅力的でした。クリベー、ほんとに強そうですよね~。日本のイケメン俳優がいくら頑張ったところで、迫力が違います。前半のタフガイっぷりはひたすらカッコよく、後半の神憑きっぷりは狂気的でヤバい。オスカーを受賞するなど、すっかり大人の演技派俳優になったクリベー。いたいけな子役時代や、イケメン青年時代を知ってる映画ファンからすると、何だか感無量、隔世ですね…
 ラムセス王役のジョエル・エドガートンも好演してました。ガチムチマッチョな肉体は、女性よりゲイにアピールしそう。ちょっとラッセル・クロウ、そしてU字工事の坊主のほうに似てる?!U字工事をめちゃくちゃゴツくした感じ。ラッシーと同じくオーストラリア出身で、「華麗なるギャツビー」や「アニマル・キングダム」など話題作に出てたらしいけど、ぜんぜん思い出せないトム・ハーディと共演した日本未公開作“Warrior”でも、猛々しいマッチョぶりを披露してますね。
 王の母役がシガーニー・ウィーヴァーだったので、あれ?この映画ってジェームズ・キャメロン監督だったっけ?と一瞬思ってしまった。そーいえば「エイリアン」はリドリー・スコット監督だったんですよね。キャメロン監督は「エイリアン2」だった。モーゼの妻になる村娘役の女優が、エキゾチックで可愛かったです。
 ベン・ハーと十戒、また観たくなってきた。ついでに漫画「王家の紋章」の続きも気になってきた。王家の紋章、まだ完結してないみたいですね~。わしが生まれる前からやってるんですよね~50年後もまだ終わってなさそう。

 ↑シブい大人の男になったクリベー。命がけな肉体改造とか、リスキーな役への挑戦とか、その役者魂はアッパレの一言。もうずいぶんなベテランっぽい彼ですが、1974年生まれの41歳。キムタクや中居より年下なんですよね~…

 ↑若かりし頃は、こんなに可愛かったのです
 さあ。この映画を皮切りに、2~3月はいっぱい映画観に行くゾっと!ジョニー・デップの「チャーリー・モルデガイ」のタダ券もらったし、ブラパの「アメリカン・スナイパー」、マカぼんの「ラブストーリーズ」、他にも「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」「フォックスキャッチャー」「博士と彼女のセオリー」はマスト!
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