まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

折伏できない☆男だらけの魔羅教団

2009-10-21 | イタリア映画
 電車の座席に座ってると、老婦人が私の前に立ちました。席を譲ろうと思ったのですが、おばあさん私より元気そうだし、電車の中なのに平気で携帯電話してるし、やっぱり立ったままでいてもらうことにしました...
 お客さんのお土産のケーキが、一個余りました。ダミアンにとっておこうと思いましたが、ダミアン最近太ってきてるし、こないだ夜中に友達連れてきて騒々しくてムカついたし、やっぱり私が食べることにしました...
 ご近所さんが、犬を飼い始めました。名前はダンケちゃん。可愛いチワワです。でも、キャンキャンワンワンとすんごくうるさいので、私はダンケではなくひそかに駄犬と呼んでます...
 相変わらず、無害にイヂワルな私です♪

 「フランチェスコ」
 ドン底の転落から、「レスラー」で奇跡の復活を遂げたミッキー・ロークが、人気絶頂の時に出演したイタリア映画。「愛の嵐」で有名なリリアーナ・カヴァーニ監督作品。
 12世紀のイタリア・アッシジ。裕福な商人の息子フランチェスコは、貧困や病苦にあえぐ人々を目の当たりにし、すべてを捨てて信仰の道へと身を投じるが...
 うう~ん。愛と清貧の聖人物語なはずなのに...何でしょう、この濃密で濃厚で卑猥なムードは。別にセックスシーンとかはないのに、絶対に子供には観せられないR指定な映画です。

 セックスが服を着て歩いてるようなセクシーさで売ってた全盛期のミッキー・ロークが、禁欲的で敬虔な修道士の役ってのが、ある意味あっぱれなミスキャスト。押尾学が最澄法師や親鸞上人を演じるのと同じぐらいの無謀さ(いや、意表を突いてて案外面白いかも?)。
 それにしてもミッキーさんのフランチェスコ、聖人なのに何てイヤラシイ表情!目つき!体!エロエロなミッキー導師を慕って、俗世を捨てゾロゾロ集まってくるのが、うら若い男ばっかってのが、何だかイエスの箱舟男版みたいで笑えた。そして、ミッキー導師に心酔しきってる彼らを見てると、何だか某邪教のグル&信者たちとカブって怖くなりました。某グルと違って、ミッキー導師はひたすら清貧を強要するのですが、その健康的で文化的な生活や欲を完全否定した信仰生活は、犯罪的お布施集めや勧誘より非人間的で、俗世界でしか生きられない私には、ほとんど蛮行に映りました。
 思うに、監督のカヴァーニ女史は、フランチェスコの人間像に迫るよりも、ミッキー・ロークに修道士のコスプレさせてアンなことコンなことさせたかっただけ、だったのでは...

 当時、日本とヨーロッパで大ブレイクしてたミッキー・ロークが、「ナインハーフ」よりイヤラシイの!エロすぎ!やたらと全裸になるし(清貧の修道士にしては、ムッチムチしたエロいガタイ)。極めつけは、雪山で突然すっぽんぽんになり、ボカシ付きで雪の上をゴロゴロ転がり回り、何やってんのかと思ったら、あわわわ。かき集めた雪の中にアソコを突っ込んで...ふああぁ~はああぁあ~というヨガリ声といい、イクイクっな悶絶昇天顔といい、乙女淑女には正視不可能!エロに関してはかなりツワモノと自負する私でさえ、うわ~これヤベ~よ!とドン引きしちゃいました。

 ミッキー・ロークが人気を博していた当時。映画好きになったばかりのガキで、ハリソン・フォードやジェフ・ブリッジスに憧れ、ケヴィン・コスナーとかトム・ハンクスが大好きだった私にとって、ミッキーはアダルティすぎて遠い遠い男でしたが、エロが理解できる年齢になった今、当時あまたの大人女性を蕩けさせた彼の魅力が理解できるように。ほんと、エロいです。かなりイケメンだしね。「レスラー」観るのが楽しみなような、怖いような気分です。
 フランチェスコを慕う少女役、ヘレナ・ボナム・カーターが可愛かったです。可愛いけど、毅然としてて眼光が鋭いところが彼女の魅力。
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シネマみたいな恋がしたい

2009-08-06 | イタリア映画
 夏!お松の気分だけ世界旅行映画祭②
 二番目の旅先は、イタリアのトリノです。美味しいスパゲティと伊達男を食べるぞ~♪
 ツアーガイドは、イタリア映画界きっての美男子キム・ロッシ・スチュワート

「トリノ、24時からの恋人たち」
 イタリア・トリノにある映画博物館で夜警をしているマルティーノは、寡黙で夢想家な青年。彼が密かに想いを寄せていたハンバーガーショップの店員アマンダが店長とトラブルを起こし、博物館に逃げ込んでくる。アマンダの恋人で車泥棒のアンジェロも加わった奇妙な三角関係の行方は...
 ちょっと風変わりだけど、小粋で可愛い映画でした。キャラ設定とかナレーション多用とかが、ちょっとウォン・ガーワイ監督作品っぽいなと思った。ガーワイ監督映画みたいにムードや映像に凝るあまり、スタイリッシュ気取りすぎ!と鼻につかないのも良かったです。
 バスター・キートンの無声映画や、ゴダールやトリュフォーなどヌーベルバーグ映画へのオマージュ的なシーンで、登場人物の性格やラブストーリーを愉快に綴ってゆく手法も洒落てます。映画に造詣が深い方は、すごく楽しめる作品なのでは。私は勉強不足すぎ。キートン映画とゴダール映画は一本も観たことないし、トリュフォー映画も初期のものはほとんど未観
 真夜中の映画博物館は、まるで迷宮ワンダーランド。博物館のテラス?から一望できる、夜と早朝の街の趣深さも目を楽しませてくれます(高所恐怖症でなければ...)。マルティーノ、ただの夜警のくせに、自分の城みたいに博物館に住みついてるのが笑えた。勝手に快適に改造改築してるし?!許可なんかもらってないだろ~?!彼の孤独だけど自由な仕事ぶりが、何だか羨ましかったです。博物館をフル利用したマルティーノの、アマンダへのロマンチックな演出が素敵でした。
 主役3人のキャラも、なかなか珍妙かつ魅力的。
 
 ↑マルティーノアンジェロのタイマンシーン、何か微笑ましいです
 超寡黙でピュアな映画オタク、ちょっとヘタレでトボけてるマルティーノが、すごく可愛いです。動き方がヘンで笑える(キートン風なのかな?)。アマンダに会うため食べたくもないファーストフードを毎日買いに来たり、こっそり彼女を撮影してたり(昔の映画とドッキング編集した短編フィルムが、素人とは思えないほどの出来の良さ)軽くストーカーしてるマルティーノですが、ぜんぜんキモくないです。それにしても。マルティーノみたいなイケメンだから可愛い男♪で済むけど、あれがもしブサキモ男だったらドン引きものなんだろうな
 フランス映画のヒロインよろしく、どっちか無理して選ぶより二人とも愛せばいいじゃん、なアマンダ。前向きなのか身勝手なのか。いい男二人(変人と泥棒ですが)に愛されて、羨ましいシチュエーション!
 アンジェロもカッコカワイかったなあ。チンケな犯罪者、しかも女たらしだけど(彼とエッチしちゃうアマンダの親友も、いい味だしてました)、アマンダのことを心配してる姿とか優しくて可愛かった。恋敵であるマルティーノにさえもいい奴だったし。
 マルティーノ役のジョルジョ・パゾッティ、イタリア映画では久々に新発見のイケメン!♂っぽく素朴にして爬虫類っぽさとチャラさを抜いた水嶋ヒロ、みたいな顔?チラっとだけ脱ぐシーンあり。ヘタレ男にしては筋肉質すぎ。
 アマンダ役のフランチェスカ・イナウディは、サバサバ系モデル風美人で小気味良い。脱ぎっぷりも良い!
 アンジェロ役のファビオ・トロイアーノは、ワイルド+スウィートな魅力が。無精ヒゲ、ラフなジャケットや皮ジャン、オートバイといったチョイワルなアイテムが世界一似合うのって、やっぱイタリア男かもと思った。
 
 ↑ジョルジョ・パゾッティ(1973年生まれの現在36歳)は、北京の体育大学卒、香港のカンフー映画にも出たことがあるという異色の経歴の持ち主。オフィシャルサイトあり(こちら)カッコカワイイ彼をチェキラー☆
 
 
 
 
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極道美男ローマ戦記

2009-07-26 | イタリア映画
 ゲリラ豪雨の恐怖!金曜の夜は、久々に顔面蒼白な事態に陥ってしまいました。
 残業を終えて、外に出ると...な、何じゃこりゃー!!??街路が洪水状態!夜の街はパニック状態!一緒だった後輩ともども、茫然自失。はっ!わしのバイクは!?数年前にも同じような水害に襲われ、バイクをダメにしてしまったあの悪夢が、再び!ひ~昼間は晴れてたのに~!まさか、こんなことになるなんて。それより、ここを脱出せんと!後輩と私は決死の覚悟で、異様な色に汚濁した下水の川に泣く泣く膝まで浸かって行進。命からがら家に帰り着いたのでした...
 翌日、無残な状態の街に駐めてあった原チャリは、ドロドロに汚れてたけど奇跡的に無事でした。不幸中の幸い!
 被害に遭われた方々に、心からお見舞い申し上げます...

 「野良犬たちの掟」
 イタリアン・イケメン、キム・ロッシ・スチュワート主演の極道映画。
 70年代のローマ。徒党を組んでいた悪ガキたちは成長してギャングとなり、次々と凶悪な犯罪を重ねて成り上がってゆく。だが、いつしか固かったはずの友情の結束にも綻びが...
 かなり大作っぽくて長い映画なのですが、ダレることなく観ることができました。ストーリーは本宮ひろ志の漫画っぽくて面白かったし、キャラが個性的&魅力的だった。ギャング団の成長&没落に絡めた、実際にイタリアで起きた事件の数々(当時のニュース映像を効果的に使用)も興味深かった。それにしても。誘拐にテロに暗殺。あの頃のイタリアって、まさにアナーキーな無法地帯だったんですねえ。ギャングが大手を振って暴れまくれる絶好の時代って感じでした。警察も相当腐ってるし、捜査なんてぜんぜん意味ないじゃん!無駄!みたいな。
 ギャング団の無情で荒っぽい抗争や復讐、ほんとムチャクチャでございまする~!って感じで唖然。殺すのが問答無用すぎ!群れ固まってるのが、血の気が多い野卑な武闘派ばかり怖い。駆け引きとか話し合いとかすればいいものを、もう殺すことが唯一の解決法みたいになってて、命がいくつあっても足りん!冷静な頭脳派がいたら、立派な組織になれただろうに。ローマ征服者を気取っても、みんな風采は小汚いチンピラのまま。文字通り犬死な屍の重ね方といい、野良犬は所詮野良犬のまま生きて死ぬ、みたいでした。極道たちを影で操っているのは...な、陰謀説的部分も面白かったです。

 出てくる男たちが、なかなかチャーミング。でも一律に濃ゆい面相だし人数が多いので、把握するのに時間がかかるまあ、軸となる主役3人(フレッド、レバノン、ダンディ)は判りやすいけど。
 リーダー的存在のレバノンは、情に厚すぎてヤバい男。ぜんぜん女っけがなくて、フレッドとダンディが女に夢中なのが気に入らない&寂しそう。ホモ?!男祭りな極道ものは、やっぱこーいう精神的男色っぽさも漂ってないとね。
 ダンディは、なかなか仕事のできる奴だけど、女に弱いのが玉に瑕。敵や裏切り者には野蛮なのに、アバズレな恋人には超優しい。嫉妬深くて独占欲が強く、でもセックス調教?されてハアハア彼女の言いなりなところが、いかにもイタリア男っぽくて可愛かったです。
 最も男前なフレッド。仕事中は冷徹冷酷、アバズレ女には超冷たいけど、清純な恋人にはso sweet!芯にある優しさとか意思の強さとか、もっと違う方面で活かしてほしかったなあ。捕まって牢屋にブチ込まれた彼が、恋人に逢うためプリズンブレイクする手段に、ひ~!マジかよ~!?と吃驚。でもまあ、一生刑務所に閉じ込められてるより、束の間でも愛に生きたいというのは理解できる...

 フレッド役が、キム・ロッシ・スチュワートいや~ほんとイケメンです!美しい40%可愛い60%?顔、ちっちぇえ~!あんなヤクザいねーよ!彼だけは、どこにいても誰かと判別不能ってことにはならないです。彼もイタリア男なので濃ゆいんだけど(毛深いし)、何か他の同国人と違うんですよね。半分イギリス人だからかな?頑張って凶暴演技してるけど、やっぱヤーさん役は似合わないキム・ロッシでした。優しくロマンチックな役のほうが断然いい!
 フレッドたちを追う分署長役、ステファノ・アコルシも結構イケてた。ちょっとヒース・レジャーっぽく見えた。ダンディ役のクラウディオ・サンタマリも男前。蒼くもなく枯れてもない年頃、精力フルスロットルな30代の男優をメインに据えてたのが良かったです。
 若手では、今イタリアで人気No.1と言われているリッカルド・スカマルチョが顔を見せてます。この映画で初めて見た彼、ロバート・ダウニー・ジュニア+山田孝之、みたな顔?私のタイプではないけど、イケメンだとは思います。あと、雑魚のヤク売人ネズミ役の男の子が、ちょっとガエル似で可愛かった。
 いちばん目立つ美味しいキャラは、娼婦でダンディの情婦でもあるパトリツアかも。極道と警察を手玉にとる、したたかでエロくて剛毅なビッチ。カッコいいです。演じてるのは、シャネルのモデルとしても知られているアンナ・ムグラリス。妖艶でゴージャスな美女!(たまにリヴ・タイラーに見えてガクっとなったが)。エッチな方法でダンディと分署長を操るところが素敵でした。フレッドの恋人役のジャスミン・トリンカも美人。ちょっとぽっちゃりしてるところが、イタリア女の母性を感じさせて魅力的。
 
 ↑キム・ロッシ・スチュワート。美男レベルが高すぎて、日本のジャニーズとかがイケメンの基準になってる人には宇宙人にしか見えないかも...
 
 
 
 
 
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噴火口に立つ女!

2009-05-19 | イタリア映画
 広島少年院で発覚した、法務教官による少年への体罰事件(こちら)。
 殴る蹴るのみならず、風呂に顔を漬けるわ、オムツを強要するわ、あげくには少年の下半身にいかがわしい行為、なんて性的虐待まで!ひどい!これが映画や漫画なら、イケメン少年の主人公を襲う残酷な試練!なんて萌えるシチュエーションですが、リアルワールドではドン引き以外のナニモノでもありません。少年たちがどんな罪を犯して堀の中に入ったのかは分かりませんが、虐待を受けるに値する罪だとは到底思えません。自分の子どもが陰惨な虐待をされること同様、自分の夫が卑劣な虐待をすることも、想像しただけで身の毛がよだちます。
 
 「ストロンボリ 神の土地」
 映画界に衝撃を投げたロベルト・ロッセリーニ監督の「無防備都市」。それに強い感銘を受けたイングリッド・バーグマンは、私を使って!と自ら監督に熱烈なアプローチ。華やかな大スターの地位も栄光も、夫も子供も捨ててロッセリーニ監督の元へ奔ったバーグマンは、不埒な不倫女!とバッシングの集中砲火を浴び、ほとんどアメリカ追放となった顛末は、ハリウッド史上最も有名なスキャンダルのひとつです。そんなお騒がせカップルの、記念すべきコンビ第1作目を観ました。
 終戦直後のイタリア。戦争難民の北欧女性カーリンは、イタリア兵士と結婚し、彼の故郷であるストロンボリ島へ。そこは活火山のある荒れた貧しい孤島で、よそ者のカーリンに島民は冷ややか。カーリンは不満と孤独に苛まれ、精神的に追い詰められてゆく...
 ロッセリーニ監督作品は、これが初体験。なるほど、これがイタリア・ネオリアリズムってやつなのか。いかにも映画的に作ったストーリーやシーンではなく、実際に起きてることをそのまま映しとってるみたいな感じ。なので、話は二の次的であんまし面白くないんだけど、人間の生命力あふれる生活の営みぶりに引き込まれてしまいます。マグロ大漁のシーンとか、噴火で島民が逃げ惑うシーンとか、最近のCGだらけな映画と違って、どーやって撮ったんだ?と驚異的にリアルで大迫力。モノクロ映像なのが、返って生々しく冷厳に過酷な現実を炙り出していました。
 こんなはずじゃなかったー!やってらんなーい!と、不平不満でノイローゼ状態なカーリン。まあ、私だって頭がおかしくなるかも。あんな島、三日といられません。島流しに近いよ。でも、カーリンちっとも可哀想に見えないんですよねえ。島民や夫を見下してばかりで、ぜんぜん生活に順応する努力をせず、異様にプライドが高く自意識過剰。島を脱出するために、神父や燈台守の男を誘惑したり。女って、ほんとイヤらしくて逞しい生き物です。無知で野卑だけど優しい旦那さんのほうが哀れ!
 
 カーリンを熱演してるイングリッド・バーグマン。ハリウッドで彼女が演じていた大輪の百合のようなヒロインとは、かなりかけ離れた役で驚かされます。かなり神経症パラノイヤ、じわじわコワレてゆく姿が怖い。そして、絶望に身もだえする姿が艶かしい。火山でのラストシーンは、狂気的でもあって圧巻です。
 でもバーグマンって、ほんと美しい。怜悧で玲瓏、でも女性的な柔らかさ優しさがあって。体はガッチリとイカついので、後姿だと男に見えたりするけど。美しすぎて、ストロンボリ島ではほとんど宇宙人みたいで浮きまくり。美貌が仇になる設定も面白かった。美しいといってもバーグマンって今の美人女優、例えばニコキとかジョリ子とかとは、異種の美女なんですよね。強いていうなら、人工的な造花と本物の花の違い?バーグマンって、真っ白なカラーを思わせます。美しいけど、嫋々としてる手弱女ではなく、外見も内面も凛然と強そうなところも、簡単には枯れないカラーと似てます。
 その美貌と知性ゆえ、現実と折り合えずもがき苦しむカーリンは、当時のバーグマンそのものだったのでは?大女優として君臨しながらも、ハリウッドの現状に満たされず、外国の新しい才能にすべてを賭けたバーグマン。すごい情熱、すごいエゴ。まさに骨の髄まで女優だったんでしょうね。セレブな名声とか金のためではなく、ただもう演技に貪欲だったんだろうなあ。CMで楽に稼げることが一番大事、イメージ死守に躍起になってる“自称女優”とは、本気の度合いやスケールが違います。
 
 
 
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パオロ

2007-10-07 | イタリア映画
 旅愁の季節...
 ダミアンは、修学旅行で北海道に今いるし、my motherも友達と高野山へ行くらしい。M子までも、インド!へ旅立つ計画を楽しそうに立てています。
 腹くだししやすいM子は、いざという時のために、成人用おしめ!を持参するとか。よほどの緊急事態じゃないと使わんわ!と言うM子ですが...おしめが必要な外国なんか、私はイヤだ~!将来のために、今から使い方慣れておかんといけんじゃろ!ひょっとしたら、普段でも重宝するかもしれんのお。便所に行くのがメンドい時とか♪と、うそぶくM子なのだった。怖い...

 「家の鍵」
 恋人を出産で亡くしたジャンニは、ショックから生まれたばかりの赤ん坊を手放してしまう。15年後、ジャンニは障害を負う息子パオロと再会、彼をドイツにある医療施設へ送り届けることになるが...
 久々に、涙腺が緩みました。冷血人間の私としたことが!
 障害者を主役にした映画やドラマは枚挙にいとまがなく、だいたいが感動を押し売るお涙ちょうだいもので、うんざりさせられることが多い。キレイごとで包装した、障害を見世物にしているイヤらしさに、腹が立つことも。でも、このイタリア映画は、そんなことが全然なく、シンプルで淡々としていて、感動を煽るドラマティックさもないのに、心にグっとくる痛烈な悲しみ苦しみと、そして静かで温かな優しさに溢れていて、愛の美しさを教えられます。

 パオロ少年が、とても魅力的なのも感動の要因。すごく明るくて面白いので、一緒にいたら楽しいかも?と思わせるキャラ。たまに不機嫌になったり、予期せぬ行動に出たりするので目が離せず、大変だとは思うけど、そばにいると返ってこっちが励まされ、元気づけられそうな、そんな少年なのが映画をヘンに重苦しく湿っぽくしていなかったように思われます。
 むしろ、同情や憐憫を覚えるのは、ジャンニのほう。戸惑いや罪悪感に苛まれている姿は、パオロよりも悲痛です。でも、悲観的な暗闇を脱け出し、自信のなさは拭えないけど、だんだんパオロと一緒にいることに喜びを感じ始める彼に、こっちまで幸せな気持ちになります。

 ドイツの病院で知り合う、重度の障害者である娘をもつ女性ニコールも、とても印象的な人物です。『汚れ仕事は母親だけが』『子供にとって問題なのは、病気ではなくて親』『あなたはパオロを恥じているのね』『パオロと一緒にいたければ、苦しみを覚悟しなくては』『(娘が)死ねばいいと...』穏やかで優しい彼女がジャンニに言う台詞が、峻厳で哀しい。
 優しいふれあいと辛い衝突を繰り返しながら、ジャンニとパオロがたどる旅路は、まだまだ始まったばかり、でも...静かだけど強い愛の絆で結ばれた二人のラストシーンも、深い余韻を残します。悲しくても苦しくてもいい、それを分け合いながら一緒にいたい、という気持ち。これが愛なのですね。
 ジャンニ役のキム・ロッシ・スチュワートは、この役にはちょっとイケメンすぎるかも?と思えるほどの美男子です。何となくブラピを、すごく繊細に優しく華奢に、そして少し濃くした感じの風貌(に、私にはちょっと見えた)?

 ニコール役は、大女優シャーロット・ランプリング。彼女みたいな、知的で女性的かつシブい女優って、日本にはいないですよねえ。それにしても、ランプリングおばさまって、母国語の英語の他、フランス語もイタリア語もペラペラで、いったい何ヶ国語を喋れるの?!バイリンガルどころじゃない語学の天才ですよねえ。
 大金かけて洗脳的に大宣伝してる、チャラチャラした空疎な邦画じゃなくて、地味だけど心にしみる、この映画のような佳作も、たくさんの人に観てほしいなあ。
 
 
 
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