まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

危険運転の男たち 兄弟車

2021-08-24 | 北米映画 15~21
 「ワイルド・スピード ジェットブレイク」
 恋人のレティ、幼い息子ブライアンと平穏な暮らしを送っていたドミニクは、世界的陰謀に行方不明だった弟のジェイコブが関与していることを知り、ファミリーと共に再び戦いに身を投じるが…
 待望のシリーズ最新作、公開延期を経てようやく日本でもお目見え!楽しみな反面、がっかり&不安な点も観る前に多々ありました。まず、ほぼ主役になってたホブス&デッカードが退場し、ドミニクが単独主役になったこと。ホブスとデッカードの見せ場が増えたことで、いつしかバリバリの主役感は薄まってしまったドミニク。演じるヴィン・ディーゼルは好きだけど、彼だけってのは正直ちょっと残念。元々ポール・ウォーカー目当てで観てたシリーズ。そのポールはいなくなり途中参戦し大暴れ、シリーズをいっそうド派手に面白くしてくれたドウェイン・ジョンソンとジェイソン・ステイサムも不出演。大物二人のみならず、スコット・イーストウッドやクリス・エヴァンズなどイケメン要員も姿を消し、キャスト的にはかなりパワーダウン感が否めませんでした。でも、映画じたいは相変わらずありえないハチャメチャてんこ盛りで、コテコテにワイスピ。やっぱワイスピはこうでなきゃ!なお約束、ワンパターンさです。あの手この手で飽きさせない手腕がいつもお見事。ありえないハチャメチャさは回を追うごとにエスカレート、いつか宇宙に行くんじゃね?と笑ってたら、ほんとに行っちゃった!いくら何でもやりすぎ、バカバカしすぎ、とは思っても、その何でもアリなノリこそワイスピの魅力です。

 ド派手にスカっと面白かったのですが、でも正直もう次はそんなに楽しみではなくなってきてます。ほとんど惰性で観てる感じ。ここまで観たら最後まで付き合いたいとは思うのですが、いったいいつまで続くのでしょうか。個人的にはやはりキャストの地味化がイタいです。ドウェインとステイサムの不在は思った以上の損失。死んだはずのハンと、家庭優先してたミアが電撃復帰してるのですが、失礼ながらいまだに演じてる人の名前も知らない小物たち。ガル・ガドットが過去の回想シーンでチョコっと登場しますが、彼女は大物になったので再登場はないだろうな~。
 それはそうと。ハンの復活とか強引すぎ。ミアよりもブライアンに戻ってきてほしかった!と、ほとんどのワイスピファンは思ったはずブライアンのキャラからして、奥さんだけ参戦させて自分は子守、とかありえんし。ラストのファミリーの会食シーンでひとつ空けてる席、そしてブライアンといえばのあの青いスカイラインが到着、が切ない演出でした。ブライアンは元気に生きてる、という設定が泣かせます。あらためて、ポール・ウォーカー哀悼…

 ラストに豪快すぎる怒涛のアクション&バトルもシリーズのお約束なのですが、あれって無関係な一般人も絶対死んでますよね~。車や店を破壊されるだけでも迷惑で恐怖なのに。あれだけの破壊行為をしておいて、ドムたちが世界を救ったヒーロー然するのには違和感、を最近感じ始めてますでも、世界のいろんな都市でのロケは、海外旅行好きには楽しい。今作ではまたロンドンで大暴走。スコットランドのエディンバラが舞台になってたのも嬉しかったです。エディンバラにもまた行きたいな~。
 ドムをはじめ、ファミリーの面々がすっかり年老いてしまっていて、派手なアクションが似合わなくなってた。ヴィンちゃんは、邪魔な二人がいなくなってせいせいしたのか、主役として息を吹き返したかのように張り切ってましたが。ドムの弟が登場し、兄弟の過去と愛憎が描かれてるのですが、ドムに弟がいたとか初耳!これも強引な急ごしらえ感がハンパない。ジェイコブ役のジョン・シナは、アメリカでは有名なプロレスラーだとか。あわよくば第二のドウェイン狙いなんだろうけど、日本ではあまり受けなさそう。シャーリーズ・セロンとヘレン・ミレンも続投してるのですが、大物女優二人はゲスト出演程度の出番でした。最後の最後に、あの人が出てきたのには驚喜!彼は次回作には本格的に出てくれるのかしらん?ドウェインの復帰は絶望的みたいですが。

 ↑ ブライアンForever…
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エイリアンVSクリプラ

2021-08-09 | 北米映画 15~21
 イケメンオリンピック 銅メダル🥉 アメリカ
 「トゥモロー・ウォー」
 不思議な光に包まれ突如現れた武装兵士の一隊。彼らはエイリアンによって人類が滅亡寸前である30年後から、救援を求めてやって来たのだった。元軍人の生物教師ダンも、エイリアンと戦うため徴兵され未来へ転送されることになるが…
 いま最も好きなハリウッド俳優は誰?と訊かれたら、間違いなくマット・デーモンかクリス・プラットのどっちか。二人ともオールアメリカンな明るいゴリマッチョですが、マットはインテリ系でクリプラはおバカ系?マットはイケメンじゃないけど、クリプラはイケメン。陽気で気さくで面白くて、強く逞しく頼りがいがあるクリプラは、まさにアメリカ男の理想形。友だちになってくれそうな、恋人になってくれそうな親しみやすさをファンに抱かせてくれるのがクリプラの魅力ですが、もちろん彼みたいな男は一般人にはいません。この作品でも、ハリウッド屈指の人気スターとしての輝きを放っています。

 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとジュラシックワールド、2つの大ヒットシリーズですっかりSFヒーローなイメージが定着してしまっているクリプラ、今回もエイリアンと戦うヒーロー役。家族思いな元軍人の科学者、理系で腕っぷしも強く愛情深い、愛する者と人類のために命を賭けて戦う男、という完璧すぎるヒーロー役。これがただ見た目がいいだけのカッコつけ俳優なんかがやると鼻につくだけですが、明るくおちゃめでナルシズム無縁なクリプラだと、こんな男いるわけない!な完全無欠ヒーローに見えないのです。ほんとそのへんにいそうなあんちゃん、みたいな。もちろんクリプラみたいないい男、そのへんにはいませんが。

 体を張った豪快かつ華麗なるアクションが、とにかくカッコいい!のですが、どんなシーンでも常に何となくコミカルなところが、クリプラの魅力。彼ってやっぱ、骨の髄までコメディ俳優なんですよ。でも、カッコいい俺がこんなアホみたいなことしておもろいだろ?可愛いだろ?な、日本のイケメン俳優や某事務所タレントにありがちなあざとさ、わざとらしさはクリプラには皆無。大人の余裕からくる気取らないユーモア、高いコメディセンスこそクリプラ最大の武器です。プロデューサーも兼ねてるためかファンサービスにも余念がなく、あまり必要がないとも言える上半身裸シーンもあり。バキバキのシックスパック筋肉ではなく、プロレスラー系のムッチムチなゴリマッチョは私好み。あの厚い胸、ぶっとい腕に抱かれてみたいものです。

 エイリアンとの死闘、タイムトラベル、親子愛など、アメリカ人が大好きな要素てんこ盛りな内容。スケール感やセット、映像技術など金がかかってそうな映画なので、配信公開はもったいない。劇場で観たかった。とにかく面白いんだけど、いろんな映画のいいところをパッチワークしたような印象も否めませんでした。わらわら、うじゃうじゃと襲ってくる怪物、逃げる戦うプリクラって、ジュラシックワールドとかなりカブります。恐竜がエイリアンになっただけで。エイリアンよりも、人類滅亡寸前に陥った未来から現代にタイムスリップしてきた未来人が、一緒に戦って!と現代人を徴兵して地獄化してる未来に連行し、何の訓練もなくいきなりモンスターと戦わせる、という設定のほうが怖かったです。私なんか連れていかれても5分ももたず死ぬわ。未来へ送られた現代人が、転送エラーで未来での着地に失敗、空からコンクリートの上に叩き落されたり鉄柵に串刺しになったりするシーンにも戦慄。世界滅亡というスケールの大きな危機が、一般人の知恵や行動で救われる展開に苦笑。ノーベル賞を獲るようなエラい人の誰一人、高校生が思いつくようなことも思いつかなかったのでしょうか。

 共演者はJ・K・シモンズ以外は知らない人ばかり。シモンズおじさんはクリプラのパパ役なのですが、いくら何でも似てなさすぎ。どーやったらシモンズからクリプラが生まれるんだよ。シモンズおやじが、これまた武器や飛行機を持ってたり戦闘力が高かったりなソルジャーキャラなのも、ちょっと都合よすぎ。未来の軍人の中に、ひときわイケメンな黒人俳優が。びっくりするような美形の若い黒人俳優って、昔はそんなに見かけなかったけど、最近は多いですよね~。

 ↑ 人気シリーズの最新作公開も待ち遠しいですが、たまには恋愛ものとかシリアスドラマにも出てほしいものです
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怪獣王に俺はなる!

2021-07-11 | 北米映画 15~21
 「ゴジラvsコング」
 研究機関モナークにより、キングコングは髑髏島に収容されていた。そんな中ゴジラが突如現れ、巨大テクノロジー会社エイペックスの本社を襲撃するが…
 コロナで公開が延び延びになってた待望作、ようやくお目見え!ハリウッドのゴジラシリーズ、すごく好きなんですよ~。本家の日本ゴジラは、ぜんぜん観てないのに往年のゴジラファンの方々には、ハリウッドゴジラなんてバッタもんは認めん!な人もいることでしょうか。私がハリウッドのゴジラシリーズを好きな理由、それは中身が潔いまでにないところ!ただもう怪獣が大暴れしてる!ザッツオール!なところです。いろいろ考えさせてくれる映画も悪くないけど、もう身も心もクタクタに疲弊してるのでそういうのは正直しんどいんです。その点、ワイスピシリーズもですが、ゴジラシリーズは何にも考えなくていい、考えさせられないですむ、そんな気楽さが心地よいのです。

 なので、前作がどんな話だったか全然覚えてない!キングギドラが凶悪だったことぐらいしか記憶にない。観終わった瞬間に忘れてしまう映画。今回はキンングコングと戦う話なのですが、前日譚の「キングコング 髑髏島の巨神」は観てない!けど、それも全然問題なし。問題なのは、こうやって感想を書いてるけどどんな内容だったか、ほとんど思い出せないこととにかくド派手だったことは覚えてます。今回もツッコミだらけな粗すぎる設定や展開だったけど、そんなこと気にするのは野暮というものでしょう。ゴジラやコングをめぐる科学的、生物的な根拠とか、え?は?なメチャクチャ強引だったので何度もプっと吹いた、のは記憶にあります。テクノロジーの高度さもほとんどお笑いの域。費用どんだけ~。

 今回、主役はどちらかといえばコングのほうで、ゴジラはヒールっぽいライバルだったのが面白かったです。両雄並び立たずとばかりに火花を散らして激突するコングとゴジラですが、お互いの実力を認め合ってたりトドメは刺さなかったりなど、まるでヤンキー漫画の世界。終盤に登場するメカゴジラを倒すため、熱いタッグを組むコング&ゴジラ。戦った後は仲間!なんて、ほとんどワンピースです。少年漫画な男気あふれる胸アツ関係でした。

 余計な人間の話はほとんどないのもこのシリーズのよいところですが、気になったのはコングと手話でコミュニケーションができる少女。コングに愛されてるのをいいことに、コングをいいように操って働かせてましたね~。結構な小悪魔でした。何の見返りもない、死ぬかもしれないのに少女のために粉骨砕身なコングがけなげでした。それはそうと。ゴジラ&コングの行くところはことごとく破壊されるのすが、ものすごい死傷者だろうな~。今回は香港がめちゃくちゃにされましたが、どうせなら北京でも大暴れして習近平を踏み潰してほしかったかも
 小栗旬が出演しているのも話題に。私もオグリン好きなので、かなり楽しみにしていました。初登場シーンのオグリン、カッコいい!クールでミステリアスな東洋美男子。背が高いので西洋人俳優にもそんなに見劣りしてません。前作まで渡辺謙が演じてた芹沢博士の息子役で、ケンさんみたいに地球の平和のため尽力するのかなと思いきや、まさかの悪役だった!

 しかもかなりショボい悪役で、やってることといったらヘンなヘッドギアつけてメカゴジラを操作してるだけ。白目むいたトランス顔が笑えた。芹沢博士の息子が何であんなになったのかも謎で、意味不明な存在。せめてヒーヒャッヒャとヨダレたらしながら目を血走らせてゴジラを大暴れさせる狂気キャラに変貌してほしかったです。あんな役、あんな扱いでハリウッド進出とか、失笑するばかりです。今後は日本で頑張ってオグリン!
 科学者役のアレクサンダー・スカルスガルドがイケメン!いかにも北欧男子な清爽なルックス。顔はちょっとブラピ、ポール・ウォーカーをめちゃくちゃ薄めたような感じ?背が高い!2mぐらいある?モデルみたいに何着ても似合っててカッコいいです。またターザンに変身してほしかったです。
 
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さすらいの熟女

2021-06-08 | 北米映画 15~21
 「ノマドランド」
 60代の未亡人ファーンは、リーマンショックで家を失ってしまう。キャンピングカーで各地を旅する生活の中、ファーンはノマドと呼ばれる人々と出会い交流を重ねるが…
 本年度アカデミー賞作品賞、監督賞、主演女優賞受賞作!佳作、秀作には違いなさそうだけど、おばさんが放浪する話とか内容的にはあまり食指が動かない…イケメンが出てこなさそうな点も観に行くことを躊躇させましたが、映画ファンとしてはやはりスルーすべきではない、と意識を高くもって劇場に足を運んだのでした。結論としては、観に行ってよかったです!評判通り、佳い映画でした。自分の生活や人生についていろいろ考えさせられました。しがらみを捨てて自由な放浪生活、あこがれる!けれど、私には絶対できないわ~とファーンのノマドライフを見ていて痛感しました。車のタイヤ交換さえできない私が、ノマドになれるわけがありません。まずはタイヤ交換できるようになりたいと思いました

 自由だけど、気ままな感じは微塵もなく、まるで修行僧の苦行のようなファーンのノマド生活。孤独には耐えられるかもしれないけど、暑さ寒さ風雨など厳しい自然のみならず、洗濯や入浴、排泄もままならない不便さ不衛生さには耐えられません。とにかくノマドになるには、とてつもない気力体力が必要。今の快適で便利な生活を捨てることは、やはりできそうにありません。自由って楽じゃない。私は不自由な楽を選びます。
 ファーンやノマドの人たちって、お金も家も失って仕方なくというより、すごい強固な意志と覚悟で社会のレールから外れた生き方を選んでるみたいでした。公共機関や家族にも、よほどのことがないがぎり頼らない姿は、偏狭なまでに誇り高すぎ。まるで悟りを求めて厳しい修行の旅を続けてるようなノマドには、ちょっと宗教じみたものを感じてしまいました。

 ノマド生活をするにあたって最も怖いのが、病気やケガです。ノマドのほとんどが高齢者で、まさに死と隣り合わせの車上生活でした。映画では描かれていなかったけど、力尽きて野垂れ死にとか、暴力で命を落とすノマドもきっといるんだろうな~。ノマドも一般人たちもみんないい人ばかりでしたが、実際にはそんなわけないし。アメリカって凶人狂人ばかりの超危険な国だもんね。ファーンが特に危険な目に遭うことなく旅を続けてたのが、ありえないほど奇跡的でした。
 ファーン役のフランシス・マクドーマンドは、この作品で3度目!のアカデミー賞主演女優賞受賞!それも納得の名演、ていうか、演じてるって感じのないドキュメンタリーっぽいリアルさ、かつ動きや表情、雰囲気には素人では出せない絶妙なユーモアとペーソスがあふれていて、まさに誰ともカブらない唯一無二な、天上天下唯我独尊的な女優であることを今回も証明していました。

 キレイに見えたい、見せたいなんて微塵も思ってない、もはや女でも男でもない性を超越したような風貌は、社会が押し付けてくるあらゆるものを捨て去った勇気を軽やかに清々しくまとっているようでした。一匹狼なハードボイルドさも、チャラチャラした軽薄な女優にはない魅力。排便シーンや全裸水浴びシーンなど、大物女優がこんなのよくもまあ、いや、本物の大物女優だからこそできたかもしれない生々しい人間味ある姿でした。
 ファーンを厳しく優しく迎える自然の美しさが感動的です。この景色を撮りたかったから映画を作ったのかな、と思わせるようなフォトジェニックさで、アメリカの自然の雄大さにあらためて圧倒されました。アカデミー賞監督賞を受賞したクロエ・ジャオ監督の豊かな感性にも感嘆。次回作であるマーベル映画「エターナル」も楽しみ!
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おんな殺し屋の謀反!

2021-06-06 | 北米映画 15~21
 久々の更新(^^♪皆さま、ご機嫌いかがですか?コロナに加えて梅雨で、どうしても気持ちは暗く湿ってしまいがちですが、なんとか生きてる私です。
 実は私、ついに久々の独り暮らしをスタートさせました!引っ越しでバタバタ、ネットもやっと使える環境に整えて、ようやく落ち着いてきたところです。いやでもほんと、独り暮らしっていいですね!静かで気楽!掃除や自炊さえ楽しいです。かなり高台にある一軒家は、一人で暮らすには無駄に広く不便な場所にあるのですが、市街を一望できる眺めが朝も夜も素晴らしく、孤独な幸せに日々ひたってます。実家からもそんなに遠くないので、都合がいい時に戻って冷蔵庫の中のものをくすねたりしてます(^^♪今まで生きてた中でいちばん幸せで穏やかな今なのですが、ひとつだけ不安が。もし家で重症もしくは急死なんてことになったら、ということです。亡骸はなるべく早く発見してほしい!猛暑の夏が怖いです

 「AVA エヴァ」
 美しき暗殺者エヴァは、自分を危険視する組織の謀略で窮地に陥る。疎遠になっていた家族にも危険が迫っていることを知り、組織に反旗を翻すエヴァだったが…
 女殺し屋を主人公にした映画はあまたありますが、この作品のヒロインは仕事や恋愛よりも家族のことで思い悩んだり奮闘するところが特異でした。あんな厳しい掟や罰がある裏組織で殺し屋家業するなら、大事な家族なんてすごい足かせになって仕事なんかできたもんじゃない。殺し屋はやはり天涯孤独じゃないとね。映画ではほんとはいい人、な設定の多い殺し屋ですが、人殺しは人殺し。エヴァもだけど、悪人しか殺さないとか言い訳、自己欺瞞です。私からしたら、エヴァみたいな殺し屋も宮崎勤や大久保清と同じです。

 いろいろあって殺し屋になったエヴァですが、あんなに家族思いなのになぜ彼らが危険にさられてしまうかもしれない仕事を始めてしまったのでしょう。亡父のことは憎悪してたけど、母と妹とはギクシャクしつつもお互い大事にしてたエヴァ。父ちゃんへの憎しみの原因もだけど、もっと深刻で暗い秘密とかあれば、冷酷で悲しい殺し屋になったのも理解できたかもしれません。

 エヴァの必殺仕事人ぶりはなかなか鮮やか&華麗、かつ荒々しくてカッコよかったです。エヴァの標的や敵の男たちがみんな弱すぎ、な気もしたが。そろいもそろってザコすぎて、エヴァの引き立て役になってました。エヴァが属する裏組織も、ずいぶんとスケールが大きく金も潤沢みたいだったけど、いったい誰が何のために?な謎組織でした。組織のボスは愛する家族との団らんのかたわら、メンバーたちと抹殺指令とか物騒な会合をしたり、時には殺し合いをしたり、まるでマフィアみたいでした。

 エヴァ役のジェシカ・チャステイン、相変わらずニューハーフ顔ですが、今まで見た中でいちばんキレイでした。彼女、声が少女みたいで可愛い。ゴージャスセクシーなファッションの時と、一般人な風貌の時とは別人のようなギャップあり。男どもをボッコボコにするだけでなく、ボッコボコにされる姿も壮絶。あの満身創痍っぷり、顔面崩壊っぷりはお見事。華麗なる七変化やカッコつけたアクションはやりたがるけど、汚く醜く見えることは拒むキレイカワイイだけ女優とは、やっぱ役者魂が違いますね。
 組織のボス役は、大好きなコリン・ファレル

 コリンもすっかりおじさんになりましたが、いい感じにカッコカワいいイケオジになってきてます。風貌だけでなく、役も華やかな主役よりも味のある脇役が多くなってきてる最近のコリン。今回は悪役でしたが、瞳が美しくて悲しげなので悪人には見えません。上も下もタイトでピッチリした衣装なせいか、すごくガッチリムッチリして見えるのもセクシイでした。ガチムチボディだけど、長身でお尻は小さく引き締まってて足が長くて細いので、スタイルはいい!ところも素敵なコリンです。彼の助手の若い女、てっきり愛人かと思ったら、娘だったのでビツクリ。あんな大きな娘がいる役、コリンも演じるようになったんですね~。ソレハソウト。ジェシカとコリンといえば、「Miss Julie」でも共演してましたね。

 エヴァの元カレで妹の今カレの男が、キャラといいい見た目といい、何でこんなにモテモテなの?(賭場の女将にも色目使われたり)と理解不可能な魅力のなさでした。エヴァにエラソーに常識人ぶって説教するのですが、自分は妹ともデキてるわギャンブル狂で借金あるわ、おまえには言われたくない!なダメ男。すごいイケメンとか色男なら、世間によくある話で共感できたかもしれませんが。

 エヴァの上司役のジョン・マルコヴィッチ、久々に見ましたがすっかり爺さんになりましたね~。老体にムチ打ってコリンと死闘シーンを頑張ってました。エヴァのママ役が庶民的なデヴィ夫人っぽくなってるジーナ・デイヴィス、賭場の女将役が「ラスト・エンペラー」のジョアン・チェンなど、懐かしの顔ぶれ。ボスが家族と過ごしてた森の中の別荘が素敵でした。

 ↑ 新バットマンのペンギン役が楽しみなコリンです🐧
 
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ロックダウン!危ない橋を渡る男

2021-04-18 | 北米映画 15~21
 「21ブリッジ」
 マンハッタン島で強盗事件が発生し、犯人の二人組は多数の警官を射殺して逃走する。捜査を指揮する刑事のアンドレは、マンハッタンを封鎖して犯人たちを追跡するが…
 チャドウィック・ボーズマン、最後の劇場公開映画いつになったらこの喪失感は薄れるのでしょうか。彼の新作をもう観られないなんて、いまだに信じられない信じたくない。この映画でもう見納めかと思うと、哀惜と寂しさがいや増します。最後の勇姿、目に焼き付けてきました…

 強く優しく誇り高く、そしてどこか悲しげ。この作品でも、いつものチャドウィックでした。素晴らしい演技力の持ち主だけど、悪役は絶対できない役者でした。演技が上手い俳優は枚挙にいとまなしですが、ヒーロー役や善人役を演じてもどこか性悪さや薄汚さが透けて見える俳優も多い。チャドウィックからはそんなものは微塵も感じられませんでした。あの高潔さ、気高さは演技だけで表せるものではありません。誰にでもいつでも明るく愛想がいい的な善良さではなく、常に悲しみと苦しみをたたえているところ、自分に酔ってるナルシーさが微塵もないところも彼の魅力です。そんな役者は稀有なので、かえすがえす急逝が惜しまれます

 この映画の撮影時にはもう闘病中だったはずのチャドウィックですが、そんな気配は感じられず、激しいアクションに挑んでたのが驚異でした。無理したんだろうな~。その役者魂に畏怖するばかり。「ブラックパンサー」や、それ以前の作品のような若々しい壮健さはありませんが、暗い過去と傷を背負いハードな職務に心身を削る刑事役は、エネルギーあふれた健康的でピッチピチな俳優だと不自然なので、やつれて疲れた雰囲気を漂わすチャドウィックに合ってました。シブくて悲しそうだけど可愛い顔、しゃがれてセクシーな声が好きです。

 チャドウィック最後の熱演には心揺さぶられましたが、お話やアクションなどはかなり凡庸です。どこかで見たことがあるようなシーンと展開で、特に目新しさのない作品でした。決してつまんないわけではなく、派手で迫力あるアクションはやはりハリウッド映画ならでは。1時間30分ぐらいで終わるコンパクトさも私には好ましかったです。コンパクトすぎたせいで、アンドレの暗い人間性とかちゃんと描けてなかったけど、クダクダしい余計な人間関係に時間を割いてなかったのは、返ってすっきりしてよかったのかも。

 それにしても。麻薬強奪が大量殺戮に発展し、ついには市街戦化する無法地帯ニューヨーク。問答無用に撃ち殺し撃ち殺される人々。アメリカ、ほんま怖すぎて絶対住めんわ。命がいくらあっても足りん。犯人逮捕のためにマンハッタンが封鎖されるのですが、あっさりしすぎで異常事態の緊迫感が希薄だったのが残念。もっとカオスでパニックな描写があってもよかったのでは。

 犯人コンビ役、テイラー・キッチュとステファン・ジェームズもいい男たちでした。もう主役は無理そうなテイラーですが、今でも男前です。悪そうな顔、鋭い目つきが悪役に合ってます。今回は悪役というより、精神的に破綻して破滅的になった男の役でした。「ビール・ストリートの恋人たち」では優しい芸術家肌の男の子役だったステファン、今回は犯社会的な青年役。でも根は悪人ではなく、想定外のトンデモ事態にパニくる姿が哀れで可愛かったです。顔も可愛い。後半、ほとんど主役になってました。犯人なのに頑張れー!死ぬなー!と声援を送ってしまいました。俊敏な動きが若者らしい魅力。テイラーもステファンも、着替えシーンで肉体美をチラっと披露してます。どっちもいいカラダ!

 警察署長役でJ・K・シモンズも出演してます。オスカーを受賞しても、よほどのことがない限りオファーは断らないという、お高くとまらない選り好みしない仕事のスタンスに好感。アンドレの相棒になる敏腕女性麻薬捜査官役のシエナ・ミラーが、かなり残念。ここでかなり製作費をケチってますよ。もっと大物女優にしてほしかった。あるいは、どうせならイケメン白人男優にして、チャドウィックとオセロなブロマンス対決をさせてほしかったです。 
 大都会の夜景が大好きです。この映画のニューヨークの夜も美しく、物騒だけどやっぱ行ってみたいな~と思いました。

 ↑ 「マ・レイニーのブラックボトム」でオスカー候補となった陛下。受賞したら嬉しい、けど最初で最後のオスカーかと思うと悲しい…😢
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農業オットケー!

2021-04-11 | 北米映画 15~21
 「ミナリ」
 韓国系移民のジェイコブは、農業で一旗あげるため妻子を連れてアーカンソー州で農園を始める。経営が軌道に乗らない中、韓国から妻の母が孫の世話のためやって来るが…
 昨年の「パラサイト 半地下の家族」に続き、今年も韓国ものがアカデミー賞を席巻。この作品はアメリカ映画でアメリカが舞台となってますが、登場人物はほぼ韓国人で台詞も韓国語なので、韓国映画界の快挙再びと言ってもいいのではないでしょうか。日本人としては何だか悔しい、もどかしいです。ヒットしてるらしい最近の某スウィーツ邦画や、某マンガ原作映画とか、日本ではもうこういう映画しか作られないのか~と落胆、失望せずにはいられません。国家としては日本以上にどうかしてる韓国ですが、映画だけは完全にわが国を凌駕してます。羨ましい。日本人の人気俳優やアイドルがハリウッド進出!ってのも、こんな映画こんな役でと失笑するものがほとんど。この作品のように、母国のアイデンティティを背負い、母国語で演技してアメリカで評価される、というのが真の、かつ理想的なハリウッドでの成功と言えるのではないでしょうか。

 韓国人一家がアメリカでの生活で苦労、奮闘する姿を描いてるのですが、韓流映画だときっと必要以上にドラマティックにしたり、お涙ちょうだいな感動エピソードや悲劇をぶっこんでくるところですが、この映画にはそんなあざとさや湿っぽさは全然なく、辛く厳しい現実の中にあっても優しさとユーモア、希望を失わない温かく爽やかな家族ドラマでした。必死に生きてるんだけど、追い詰められてギスギスすることなく、どこかのんびりほのぼのしてる楽天的なところが微笑ましかったです。お金や天候には苦労する一家ですが、アメリカといえばの差別偏見の被害にはほとんど遭ってなかったのが、ちょっと都合よすぎて不自然な感じもしました。アメリカ人、あんな善い人ばかりじゃないだろ。人種差別こそ、もはやアメリカ人の真の姿とさえ思える今日この頃。最近の非道すぎるヘイトクライムとか、アメリカ人の民度ってどんどん低くなっていってる気がします。あんなケダモノみたいな白人や黒人が、よくもまあ自分たちのほうがアジア人より上とか思えるよなあ。まさに狂気の沙汰です。

 家族ひとりひとりのキャラも、ありえないほど個性的には描かず、ごくフツーの市井の移民一家、でも魅力的な家族だったのが自然でよかったです。中でも幼い長男デヴィッドと祖母がいい味だしてました。二人のやりとりが笑いを誘い、かつしみじみと切なくもありました。デヴィッドにウザがられても、のほほんと大らかに孫を包み込むハルモニの包容力が素敵でした。私もあんなハルモニ、ほしかったわ。ハルモニの人柄や言動がほんと楽しくて、ちょっと品がないところやシレっとしたしたたかさに親近感。中盤とラストに、とんでもない辛苦と不運を一家にもたらしてしまうハルモニが、悲しくも愛おしかったです。

 一家を演じた俳優たちが、みんな素晴らしい演技!パパ役のスティーヴン・ユァンは、人気ドラマ「ウォーキング・デッド」で名を上げ、村上春樹原作の映画「バーニング」で高く評価され、この映画でアカデミー賞にもノミネートされるなど今アゲアゲな韓国系アメリカ人俳優。韓国語も流暢なんですね。優しいけど意固地で頑固、アメリカ人を信用してない偏狭さも自然に伝わってくる演技でした。ママ役のハン・イェリも、デヴィッド役のアラン・キムくんも、オスカー候補になってもおかしくない好演でした。特にブサカワなアランくん、末恐ろしい子役ですよ。英語と韓国語のバイリンガル演技も驚異でした。

 ハルモニ役は、韓流映画やドラマでおなじみの売れっ子ばばあ女優ユン・ヨジョン。韓国人俳優初のオスカー候補!受賞もありえるので、ほんと快挙です。プっと笑えて、しんみりと切なくさせる忘れ難い演技。韓国ならではの老女だけど、同時に若者への無償の愛と高齢者の悲しい末路は、誰の心の琴線にも触れる万国共通なものではないでしょうか。オスカー獲ってほしい!
 農業って尊い!そして大変!と、あらためて思いました。お金と体力があれば、私も農業したい!毎年狭い庭のプランターで、ロマネスコやミニトマトを栽培してるのですが、せめて小さな畑で野菜を育ててみたいものです。それにしても。この映画を観て、夢をかなえるためにはきれいごとばかりでは無理だと思い知りました。誰かが傷ついても犠牲になっても構わない、という冷酷さも必要なんですね。独りの力で実現できる夢なんてありません。
 タイトルのミナリとは、韓国語でセリのことだとか。ハルモニが水辺でセリを育てるのですが、ほとんどほったらかしでも生い茂る逞しさは、異国での苦労に挫けない一家そのもので、映画の題にぴったりです。
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惜別のブルース

2021-01-15 | 北米映画 15~21
 「マ・レイニーのブラックボトム」
 1927年のシカゴ。ブルースの母と称えられる人気歌手、マ・レイニーのレコード収録に参加したバンドメンバーの一人、トランペッターのレヴィーは、自分のバンドを結成して成功するという野心を抱いていた。マ・レイニーは白人のプロデューサーたちと衝突を繰り返し、レコーディングは暗礁に乗り上げて…
 チャドウィック・ボーズマンの遺作最後の演技はキャリアベスト、来たるオスカーの主演男優賞候補、いや受賞もありえると絶賛されているのが嬉しい、と同時に悲しい。彼が生きてたらどんなにかウキウキだったことでしょう。彼のラストパフォーマンス、惜別と哀悼の気持ちで胸がいっぱいになりながら観ました。チャドウィック、評判通り素晴らしかったです!

 「ブラックパンサー」を筆頭に、真面目で篤実で冷静沈着で寡黙な役がほとんどだったチャドウィックが、この遺作ではチャラくて口が悪くて女好きで傲慢な役だったのが新鮮、かつチャーミングでした。とにかくよく喋る!こんなに饒舌なチャドウィックは初めて。機関銃のように長い台詞をまくしたてる彼に圧倒されます。自信満々で俺様な言動で周囲をイラっとさせつつ、憎めない愛嬌もたっぷりなチャドウィックが可愛い!不変なのは、何を着ても似合ってるところ。ブラックパンサースーツもワカンダ国の王さま衣装も、野球選手のユニフォームも農夫姿だって、チャドウィックが着ると洗練されてるんですよね~。今回の20年代スーツも、すっごく小粋でした。黄色い靴がおしゃれ!

 トランペットを吹くチャドウィック、軽やかなステップで踊るチャドウィック、美声で歌うチャドウィック。きっとミュージカルもイケてたはず!と惚れ惚れしました。ひたすらカッコいいチャドウィックですが、それだけではもちろんありません。ちょっと生意気な才人の役なのかなと思いきや、そんなありきたりな役ではありませんでした。チャラ男だったチャドウィックが見せる真実の顔が衝撃的。壮絶すぎる過去と心身の癒えない傷、そして激情と狂気。チャドウィック渾身の、オスカー候補、いや、受賞もありえるとの評判にたがわぬ圧巻の熱演です。コワレてしまった心がヒリヒリと伝わってくるチャドウィクの、悲痛な表情と瞳から目が離せませんでした。ラスト、レヴィーが起こす事態に、え!?と唖然、呆然になってしまいました。

 チャラ演技だけでなく、マ・レイニーの愛人に色目を使って誘惑してエッチするチャドウィック。アメリカ映画でよくあるシーン、着衣のまま慌ただしくヤるのは、他の俳優だと珍しくもないけど、あの生真面目で清廉なチャドウィックが!そういえば彼が女優とエッチするシーンって見たことなかったような。この映画が最初で最後?肌露出はまったくありませんでしたが。
 ブラックパンサーに比べると、かなり痩せてるチャドウィック。撮影当時はもうガンと闘病中だったらしく、そう思って見ると痛々しく切なくなります。まさに命を削るような演技。病さえ演技に活かさずにはいられない、役者の業の深さを感じました。あらためて、チャドウィックがいかに素晴らしい俳優であったかを思い知りました。かえすがえすも惜しい。この悲しみと喪失感は、いつまでも消えることはないでしょう…

 マ・レイニー役は,、今や黒人女優のボス的存在となっているヴィオラ・デイヴィス。出オチ的な風貌!妖怪的な貫禄と恰幅、生半可な女優には出せない迫力のオーラです。言葉づかいといい大股開きな座り方といい、愛人は若い女だったり、ほとんどおっさんなワイルドキャラが怖いけど笑えます。白人を信用しないマ・レイニー、白人を憎むレヴィー、そうせざるを得ない当時の黒人差別が非道すぎて戦慄。特にレヴィーが悲憤の涙で語る彼の両親が受けた迫害は、怪談の百物語なんかよりはるかに身の毛もよだつ恐怖体験記でした。トランプさんみたいな差別主義者が堂々と国のトップになれるアメリカ、悪しきものは不変、不滅なんだな~と暗澹となります。

 ↑ 本当にいい役者、いい男だったな~春に日本公開の「21ブリッジ」でとうとうお別れか~…悲しい寂しい
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女神からのメッセージ!

2020-12-27 | 北米映画 15~21
 「ワンダーウーマン1984」
 神の島から人類を救うために人間界にやってきたダイアナは、第一次世界大戦を終結に導いた後は人間として社会に溶け込み、1984年のワシントンDCでは考古学者として美術館で勤務しながら人類を見守っていた。そんな中、どんな願いもひとつだけかなえる邪悪な石を手に入れたマックスは、世界を大混乱に陥れる。石の力で現代に蘇ったスティーヴとともに、ダイアナはマックスを阻止しようとするが…
 「ワンダーウーマン」から3年、待望のシリーズ第2作目。コロナのせいでハリウッド大作が軒並み公開延期になる中、この新作は無事に陽の目を見ることができ祝着至極。前作がかなりの快作だったので、おのずとパート2への期待も高まりましたが、パート1のほうがよかった!なんて落胆は全然なく、前作同様とっても面白かったです。とにかくワンダーウーマン/ダイアナが魅力的。すごい美女、そしてカッコいいヒロイン!

 パート1では、初めての人間界でカルチャーショック、乙女なリアクションが可愛かったダイアナも、あれから70年近く人間界に溶け込んで生きてきたからか、すっかり世慣れた大人の女、熟女の貫禄さえ備えていていました。それにしても、不老不死で生きるって大変そう、そして寂しそう。時期が来たら生活環境を変えて一から始めなきゃいけないし、親しくなった人間はみんな老いて死んじゃうし。84年では美貌のキャリアウーマンとして、男女から憧れと賞賛の目で見られてるけど独りぼっちなダイアナが切なかったです。でも、孤独な姿も美女だと絵になるんですよね~。カフェでポツンとぼっち飯な姿のカッコよさときたら!

 今回も超人パワーを駆使して戦うダイアナの、華麗でダイナミックな勇姿に惚れ惚れ。美女が大暴れする姿って、ほんと愉快痛快ですね。でも前作と比べると、ワンダーウーマンに変身しないままのシーンが多かったような。平和な80年代では、暴走車から歩行者を救うとか、強盗一味を捕まえるとか、わりとショボい仕事ばかりで笑えた。普段着からいつの間にかワンダーウーマンのコスチュームになってることが多いのだけど、どんな風に着替えてるのか気になった。ラスト近く、黄金の鎧と翼姿で降臨するのだけど、すごい戦いにくそうだったのも気になった。
 男性優位な社会で、理不尽で不公平な扱いを受けながらも強く戦い優しく生きる女性、というフェミニズムもワンダーウーマンが支持されるテーマ。ダイアナは超絶強いだけでなく、すごく優しいんですよね~。人類への献身、無償の愛もだけど、冴えないダメ女バーバラへの優しさも素敵だった。美人のブスへの上から目線な哀れみ、とは全然違う慈愛が美しくて。

 願えば叶う自分勝手な欲望の嵐によって大パニックに陥る世界が、混乱と不安に右往左往し冷静さと思いやりを失いがちなコロナ禍の現在の私たちとカブりました。狂乱の世界に向けたダイアナの涙のメッセージはきっと、他人や社会を責めたり自分さえよければいいと考えてる人々の胸を衝くことでしょう。あっさりすぎるご都合主義な解決の仕方に、ちょっと肩透かしでしたが。ラストクレジットが流れてきても、席を立たたず最後まで観ることをおすすめします。伝説のアマゾネス役でサラっと登場する女優、その起用が何とも小粋です。
 ワンダーウーマン役のガル・ガドットは、ほんまもんの美女。きれい可愛いレベルな女優ばかりな中、そのエキゾティックな美貌は特異な感じさえします。感情のないロボット美人ではなく、熱さと優しさがあるところが素敵です。かなり熟女っぽくなってましたが。不老不死でも100年に10歳は年をとる、みたいな設定なのかしらん?80年代の衣装も、彼女が着ると古い感じはせずむしろファッショナブルに見える。いま着てもきっとイケるはず(ガルが着れば、ですが)。
 まさかの黄泉がえりを遂げたスティーヴ役のクリス・パインは、すっかり顔も体もおっさんになったな~。80年代のダサいファッションショーが笑えた。バーバラ役の人気コメディエンヌ、クリステン・ウィグもダメ女演技は絶妙でしたが、パワーを得て美しくセクシーに変貌…してない!のがトホホでした。チーター?みたいな化け物に変身しちゃったのが笑えた。欲望かなえますパニックを起こすマックス役を、ペドロ・パスカルがハイテンションに熱演。たまに細川俊之に似て見えた。このシリーズ、悪役と脇役のキャスティングがちょっと弱いんですよね~。同じアメコミのマーベル映画は、超大物で固めてるのに。次回作は悪役、脇役に大物起用を期待したいです。
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無音のニューノーマル

2020-12-16 | 北米映画 15~21
 「サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ」
 突然耳が聞こえなくなってしまったドラマーのルーベンは、恋人のルーと別れて聴覚障害者施設に入所する。聾唖の人々とのふれあいの中で、戸惑いながらも聞こえない生活に順応してゆくルーベンだったが…
 リズ・アーメッドの演技がオスカー級だと高く評価されてる作品を、ようやく観ることはできました!リズ、評判通り素晴らしかったです!オスカーノミネーション、ありえますよ!ノミネートされてほしい!ほぼ出ずっぱり、どこを切ってもリズ金太郎飴な映画でした。冒頭から激しくドラムを叩くリズの堂の入ったドラマーぶりに驚かされます。風貌がまずインパクトあり。この映画のために肉体改造したというリズの肉体美に瞠目。ちょっとヤバい人スレスレな見た目ですが、やっぱスゴい美男!ルーベンのキャラは静かで繊細で、見た目とはちょっとギャップがあります。恋人への優しさ、想いの深さがso sweetで胸キュン。

 突然の聴覚障害という悲劇に、もっと落ち込んだり自暴自棄になって荒れ狂ってもいい、荒れ狂いそうな風体なのに、静かに現実と向き合おうとする姿が返って痛ましかったです。苦悩や葛藤をオーバーに熱演するのではなく、静けさの中に様々な感情が揺らめいて見えるリズのデリケートな演技。やはり彼は卓越した俳優。リズの最大の武器は、やはりあの大きな美しい瞳ですね。深い湖の水面のように穏やかだったり乱れたりする瞳。印象的なシーンはいくつかありますが、私がも最も好きなのは施設に入るため、実家に戻る彼女と別れるシーン。本当に彼女のことを愛してるんだな~と、無垢な少年のような純真さに胸を打たれました。施設で子どもたちと遊んでるシーンは、微笑ましく心温まります。それにしてもルーベン、手話覚えるの早っ!

 それにしても。突然耳が聞こえなくなるなんて、もし自分がと想像しただけで戦慄。障害とどう向き合うか、折り合うか、について考えさせられました。ニューノーマルが求められているコロナ禍の今、いっそう深刻で重大な課題。失ってしまったもの、二度と取り戻せないものに固執するよりも、つらい現実にも上手にしなやかに適応できたら…と思うけれど、それはあくまで理想。元の自分、元の生活に戻ろうとして、誤った行動をしてしまうルーベンですが、彼のことを責めたり嗤ったりすることはできません。私ならもっと現実を直視せず、取り乱して周囲も自分も傷つけることでしょうし。

 もしも愛する人が障害を負ってしまったら…支える人々の愛情や苦労にはただもう敬意あるのみです。自分のことでイッパイイッパイな私には無理。ろうあ施設のケアや支援の様子も、興味深く描かれていました。キリスト教の施設ながら、そんなに宗教色は濃くなく、ルーベンにも信仰を強いたりしないけど、携帯もPCも外出も禁止とか、規則正しい生活など、生半可な気持ちでは暮らせないストイックさが現実的。でも施設内は明るく温かい雰囲気で、楽しそうに前向きに暮らしている人たちに、障害のせいで不幸、苦悩な暗さは全然なかったのがよかったです。施設長がすごくいい人!

 ルー役のオリヴィア・クックも好演。驚いたのが、ルーがフランス人だったこと、そして彼女のパパ役でマチュー・アマルリックが後半になって登場したこと。パパもいい人だった。でも、ラストのルーベンとルーの選んだ道が切なくてホロ苦くて。ルーベン、どこまで優しい、そして悲しい男なの。彼にニューノーマルな幸せを、と願わずにいられませんでした。

 ↑ こんなインドのマハラジャの第3夫人になりたい!いや、こんな店長のいるインド料理店に行きたい!って、リズはインドではなくパキスタン系ですね
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