「シカゴ7裁判」
1968年のシカゴ。ベトナム戦争反対のデモと警察が激突する。デモを扇動した罪でトム・ヘイドンら7人の運動家たちが起訴され、全米注目の裁判が始まるが…
評価が高い。出演者もいい役者がそろってる。観ない理由はない作品です。オスカー候補も間違いなしと絶賛されているようですが、うう~ん?そこまでの傑作なのかな?面白かったし、名うての役者たちの個性と演技のぶつかり合いは見ごたえありなんだけど、何だろう、いい意味でも悪い意味でも軽妙というか…まるで見せ場ばかりを切り取ってつなぎ合わせた予告編みたいな構成は、ユニークで斬新だなと感心しました。ドキュメンタリータッチなシーンの挿入や、予想外・想定外の応酬の法廷劇も楽しいのですが、楽しくしすぎた感がなきにしもあらず。泥沼のベトナム戦争や暗殺やら暴動やら、背景には深刻な闇や傷、悲しみがあるはずなのに、それらが全然伝わってこなかったのが映画を軽薄にしていたように思われます。何か強いもの、深いものが胸に余韻を残すことなく、ドドーっと勢いよく進んで終わってしまった、というのが正直な感想です。
登場人物の中に共感とか魅力を感じる人がいなかったのも、かなり残念な点です。ほぼ全員が実在の人物、アメリカでは有名な人たちなんですよね?左の人たちには、いまだに疑問や反感を覚えてしまう私。大昔に右な男から受けた強い洗脳が今も解けてないみたいです劇中の反戦運動家たちの言動が、私に違和感とか反発をどうしてももたらしてしまうのです。この人たち、本当に平和とか友愛を願ってるのかな?と。まあ、右すぎる人たちも同じですが、自分たちの価値観こそが正しく、違う価値観の者は敵、理想の実現のためには暴力も辞さない、そういう独善的で危険な考えや行動が怖くて迷惑。日本でもかつて、赤軍とか安保とか物騒な時代がありましたが、リアルタイムじゃない者からすると信じられないことばかり起きてた時代。内容や状況は変わっても、政治による不穏で過激な動乱や分断は不変なアメリカ。対立に血道をあげるエネルギーを、軽蔑すべきか羨望すべきか。大多数の日本人の政治不信や不満ってやはりたかが知れてるのかな、とアメリカや香港やタイなど世界中で起こってるデモをニュースで見るたびに、そんなことにはならない日本に生まれてよかったと安堵しています。
出演者は豪華というよりシブい通好みのメンツでした。運動のリーダー格であるトム・ヘイデン役はエディ・レッドメイン。彼は間違いなく個性的かつ優秀な俳優なのですが、見た目があまりタイプじゃないというミもフタもない理由で、ちょっと苦手万年青年みたいな風貌ですが、明らかに若者ではないのでちょっと気持ち悪く見えることも。別にエディじゃなくてもいいような役で、彼にしては可もなく不可もなくでした。「リリーのすべて」の彼も気持ち悪かったけど、壮絶強烈な役者魂には心から敬服、感服したものです。
弁護士役のマーク・ライランスは、金八先生みたいな髪型、服装で笑えた。いちばん目立ってたのはサシャ・バロン・コーエンでしょうか。服装も言動もやっぱふざけてて人を食ってるのですが、冗談も皮肉も知的でやはりどこかイギリス的。それはそうと。エディもライランス氏もサシャもイギリス人。アメリカの、アメリカ人の話なのに、なぜかイギリスの有名俳優たちがメインロールを演じてたのが謎。ハリウッドにもいい俳優いっぱいいるだろうに。
アメリカからはジョセフ・ゴードン・レヴィッドが検事役。あまり敏腕には見えなかったけど、ライランス氏と堂々とわたりあう法廷シーンでの迫真の演技は素晴らしかったです。偏りすぎて不公平な裁判長役のフランク・ランジェラ、証人役のマイケル・キートンといったベテランの俳優たちも好演してました。
この映画の中でもっとも私の目を惹いたのは、ブラックパンサー党のメンバー、フレッド・ハンプトン役のケルヴィン・ハリソン・ジュニアです。
イケメン!明らかに他の黒人さんとは違う顔面偏差値の高い美男子で、傍聴席シーンではまさに掃き溜めにツルな輝き!調べてみると、いま注目の若手黒人俳優みたいなので、他の出演作も観たいと思います。チャドウィック・ボーズマンの穴を埋めてくれるニューブラックイケメンとして期待したいです。
1968年のシカゴ。ベトナム戦争反対のデモと警察が激突する。デモを扇動した罪でトム・ヘイドンら7人の運動家たちが起訴され、全米注目の裁判が始まるが…
評価が高い。出演者もいい役者がそろってる。観ない理由はない作品です。オスカー候補も間違いなしと絶賛されているようですが、うう~ん?そこまでの傑作なのかな?面白かったし、名うての役者たちの個性と演技のぶつかり合いは見ごたえありなんだけど、何だろう、いい意味でも悪い意味でも軽妙というか…まるで見せ場ばかりを切り取ってつなぎ合わせた予告編みたいな構成は、ユニークで斬新だなと感心しました。ドキュメンタリータッチなシーンの挿入や、予想外・想定外の応酬の法廷劇も楽しいのですが、楽しくしすぎた感がなきにしもあらず。泥沼のベトナム戦争や暗殺やら暴動やら、背景には深刻な闇や傷、悲しみがあるはずなのに、それらが全然伝わってこなかったのが映画を軽薄にしていたように思われます。何か強いもの、深いものが胸に余韻を残すことなく、ドドーっと勢いよく進んで終わってしまった、というのが正直な感想です。
登場人物の中に共感とか魅力を感じる人がいなかったのも、かなり残念な点です。ほぼ全員が実在の人物、アメリカでは有名な人たちなんですよね?左の人たちには、いまだに疑問や反感を覚えてしまう私。大昔に右な男から受けた強い洗脳が今も解けてないみたいです劇中の反戦運動家たちの言動が、私に違和感とか反発をどうしてももたらしてしまうのです。この人たち、本当に平和とか友愛を願ってるのかな?と。まあ、右すぎる人たちも同じですが、自分たちの価値観こそが正しく、違う価値観の者は敵、理想の実現のためには暴力も辞さない、そういう独善的で危険な考えや行動が怖くて迷惑。日本でもかつて、赤軍とか安保とか物騒な時代がありましたが、リアルタイムじゃない者からすると信じられないことばかり起きてた時代。内容や状況は変わっても、政治による不穏で過激な動乱や分断は不変なアメリカ。対立に血道をあげるエネルギーを、軽蔑すべきか羨望すべきか。大多数の日本人の政治不信や不満ってやはりたかが知れてるのかな、とアメリカや香港やタイなど世界中で起こってるデモをニュースで見るたびに、そんなことにはならない日本に生まれてよかったと安堵しています。
出演者は豪華というよりシブい通好みのメンツでした。運動のリーダー格であるトム・ヘイデン役はエディ・レッドメイン。彼は間違いなく個性的かつ優秀な俳優なのですが、見た目があまりタイプじゃないというミもフタもない理由で、ちょっと苦手万年青年みたいな風貌ですが、明らかに若者ではないのでちょっと気持ち悪く見えることも。別にエディじゃなくてもいいような役で、彼にしては可もなく不可もなくでした。「リリーのすべて」の彼も気持ち悪かったけど、壮絶強烈な役者魂には心から敬服、感服したものです。
弁護士役のマーク・ライランスは、金八先生みたいな髪型、服装で笑えた。いちばん目立ってたのはサシャ・バロン・コーエンでしょうか。服装も言動もやっぱふざけてて人を食ってるのですが、冗談も皮肉も知的でやはりどこかイギリス的。それはそうと。エディもライランス氏もサシャもイギリス人。アメリカの、アメリカ人の話なのに、なぜかイギリスの有名俳優たちがメインロールを演じてたのが謎。ハリウッドにもいい俳優いっぱいいるだろうに。
アメリカからはジョセフ・ゴードン・レヴィッドが検事役。あまり敏腕には見えなかったけど、ライランス氏と堂々とわたりあう法廷シーンでの迫真の演技は素晴らしかったです。偏りすぎて不公平な裁判長役のフランク・ランジェラ、証人役のマイケル・キートンといったベテランの俳優たちも好演してました。
この映画の中でもっとも私の目を惹いたのは、ブラックパンサー党のメンバー、フレッド・ハンプトン役のケルヴィン・ハリソン・ジュニアです。
イケメン!明らかに他の黒人さんとは違う顔面偏差値の高い美男子で、傍聴席シーンではまさに掃き溜めにツルな輝き!調べてみると、いま注目の若手黒人俳優みたいなので、他の出演作も観たいと思います。チャドウィック・ボーズマンの穴を埋めてくれるニューブラックイケメンとして期待したいです。