プラハから帰国して、まだ2日しか経ってないのに、もう遠い日の出来事のような、おぼろげな旅の記憶です。歩きすぎて痛めた膝小僧だけが、今も疲労困憊の名残をとどめています。
お土産に買った、チェコの酒ベヘロフカの小瓶が、一本だけ無事であとは割れてたし!こぼれた酒で、自分に買った可愛いイラストのミニカレンダーと、ムハ(ミュシャ)の絵葉書&しおりが、ベチャベチャになってたし!涙。
つたない旅行記、ぼちぼち綴っていこうと思います...
それまで、往復の飛行機内で観た映画のmy愚見に、お目汚し下さいませ...
航空機内映画鑑賞記①
「クィーン」
去年のヴェネチア映画祭を皮切りに、映画賞レースの主演女優賞を独走総ナメ状態の、ヘレン・ミレン。ここまで独り勝ちなのは、かつてない快挙なのでは。先日のゴールデングローブ賞でも、当然のように受賞。もはやアカデミー賞にも、王手をかけたも同然。これでもし、彼女が受賞できなかったら、オスカー史上最大の番狂わせでしょう。そんなことには、よもやならないと信じ、願ってますが...
だいたい、彼女ほどの大女優が、まだオスカーを貰ってないことじたい、おかしい。ハリウッドのJRやGP程度の女優が獲得できるのなら、ミレンおばさまにはオスカー100個分ぐらい価値がある!
そんなミレンおばさまが、何と!今も元気に御健在のエリザベス女王を演じたのが、この映画。
同じ女王でも、エリザベス1世やヴィクトリア女王ならともかく、現役の、しかも自分の国の女王の役だなんて、大胆というか、果敢というか。日本では、どんな大女優でも、皇后美智子さまを演じるなんて、絶対不可能だし。演じるミレンおばさまもスゴいけど、それが許されるイギリスという国も、いろんな意味でスゴいと思う。
世界中に衝撃が走った、ダイアナ元妃の事故死。多くの英国民が、沈黙を守るエリザベス女王に、不信と反感を募らせる。新任の若き首相トニー・ブレアは、それを憂慮して、女王と国民の間にできた溝を埋めようと尽力する...
いやあ、やっぱ評判通り、ミレンおばさまが素晴らしい!威厳があるけど決して重々しくなく、毅然としてるけどユーモアもあって。女王という、特殊すぎる立場の女性の、深い憂愁と冷厳なまでに強靭な精神を、これみよがしな大熱演などではなく、あくまでクールにドライに演じてるところが、さすがミレンおばさま。
最近は、実在した人物を凝った特殊メイクで再現する、驚異のモノマネ的演技が、高く評価されることが多いけど、ミレンおばさまのエリザベス女王は、実物には全然似てない。本物とは全く違う、この映画のための女王を、ミレンおばさまがリアルにチャーミングに創りあげたって感じなのです。
ニコールやシャーリーズ、ハル・ベリーなど、若くて美しい女優が、反則技のような捨て身の美貌崩し&大胆演技でオスカー受賞、も最近の流行ですが...ふふふ、若い娘たちは、シャカリキよねぇ、という余裕の微笑みが見えてきそうなほど、ミレンおばさまの力みがない、それでいてスキのない熟練演技が、時に熱すぎて見苦しく、返って稚拙にも思える上記の女優たちのオスカー演技に比べて、心憎いまでにさりげなく、なおかつ爽快で芳醇なのです。いろんな果物をゴチャ混ぜにしてできたミックスジュースと、薫り高いアールグレイの紅茶は、やはり味わいが違います(私は、どっちも好きです)。
女王のキャラも、なかなか興味深い。家族を愛する初老女性の優しさと、不平等な階級社会の象徴である女王の倣岸さ。決して、自分も国民と同じ、とか思ってないし。そして、ダイアナの死を、心から嘆き悲しむ、なんてフリもしない。
何て冷たくて威張りくさったババアなんだろう!燕雀の徒、大鵬の心わきまえず、な庶民の目には、そう映る。でも、それが女王という存在。安易な偽善で円く物事を収拾したり、本音を軽々しく漏らしたり、感情を露わにすることで楽になるなんて、下賎の生き方はできない...そんな、重苦しい高貴さを守ろうとする女王の孤独や厳しさが、哀れを誘う。常に威儀を正しながらも、その背中や横顔が、時々とても疲れた、弱々しい老女に見えて、同情を禁じえなくなります。といっても、女王だってフツーの女なのよぉ~!な、ありきたりな描き方をしてないところが、面白いのです。
この映画の、もう一人の主役といえるのが、ブレア首相。庶民の若き革新的なヒーローとして登場した彼が、古い体質を頑なに守ろうとする女王に、攻撃的な闘いを挑むのではなく、愛情と尊敬をもって彼女の心を動かそうと奔走する姿が、なかなか感動的です。
ブレア首相役マイケル・シーンは、毛糸別金販売、じゃない、ケイト・ベッキンセールの元夫だとか。私のタイプではないけど、濃い目の童顔で、わりと可愛いかも?モノホンのブレア首相のほうが、男前だけど。
女王の母君、クィーン・マザーが、いい味を出してます。おっとりしてるけど、時々お茶目で的を射た皮肉をナニゲにカマして、笑わせてくれます。
この映画に対しても、沈黙を守っているエリザベス女王。ダイアナへの思いよりも、この映画の御感想のほうが、気になります。
あと、イギリス国民の王室に対する、あけっぴろげで歯に衣着せぬ辛辣さは、ほんと驚かされます。ハリウッドのスターに対するミーハーor悪口雑言と、何ら変わらないし。そーいうところも、シニカルに描かれていて、面白い。
でもホント、イギリス王室には、日本の皇室のような、やんごとなさが感じられません。ダイアナとかカミラとか、卑俗なスキャンダルまみれだし。日本の皇室の方々には、あんな風になってほしくないなあ。
あらためて思い知らされましたが。ダイアナさんってホント、愛されてた人気者だったんですね。結構、やりたいことやって、好きなように生きた人生にも思えるけど...
イギリスと違って、日本人の皇室への敬愛は、とても慎ましく憚りがあるけど...もし、かりに、絶対ありえないけど、雅子さまが、皇太子殿下と離婚したら、どーなるか...ダイアナのように、愛され続ける人気者では、絶対にいられないでしょう。日本人は、そういうことには厳しく不寛容だから...
お土産に買った、チェコの酒ベヘロフカの小瓶が、一本だけ無事であとは割れてたし!こぼれた酒で、自分に買った可愛いイラストのミニカレンダーと、ムハ(ミュシャ)の絵葉書&しおりが、ベチャベチャになってたし!涙。
つたない旅行記、ぼちぼち綴っていこうと思います...
それまで、往復の飛行機内で観た映画のmy愚見に、お目汚し下さいませ...
航空機内映画鑑賞記①
「クィーン」
去年のヴェネチア映画祭を皮切りに、映画賞レースの主演女優賞を独走総ナメ状態の、ヘレン・ミレン。ここまで独り勝ちなのは、かつてない快挙なのでは。先日のゴールデングローブ賞でも、当然のように受賞。もはやアカデミー賞にも、王手をかけたも同然。これでもし、彼女が受賞できなかったら、オスカー史上最大の番狂わせでしょう。そんなことには、よもやならないと信じ、願ってますが...
だいたい、彼女ほどの大女優が、まだオスカーを貰ってないことじたい、おかしい。ハリウッドのJRやGP程度の女優が獲得できるのなら、ミレンおばさまにはオスカー100個分ぐらい価値がある!
そんなミレンおばさまが、何と!今も元気に御健在のエリザベス女王を演じたのが、この映画。
同じ女王でも、エリザベス1世やヴィクトリア女王ならともかく、現役の、しかも自分の国の女王の役だなんて、大胆というか、果敢というか。日本では、どんな大女優でも、皇后美智子さまを演じるなんて、絶対不可能だし。演じるミレンおばさまもスゴいけど、それが許されるイギリスという国も、いろんな意味でスゴいと思う。
世界中に衝撃が走った、ダイアナ元妃の事故死。多くの英国民が、沈黙を守るエリザベス女王に、不信と反感を募らせる。新任の若き首相トニー・ブレアは、それを憂慮して、女王と国民の間にできた溝を埋めようと尽力する...
いやあ、やっぱ評判通り、ミレンおばさまが素晴らしい!威厳があるけど決して重々しくなく、毅然としてるけどユーモアもあって。女王という、特殊すぎる立場の女性の、深い憂愁と冷厳なまでに強靭な精神を、これみよがしな大熱演などではなく、あくまでクールにドライに演じてるところが、さすがミレンおばさま。
最近は、実在した人物を凝った特殊メイクで再現する、驚異のモノマネ的演技が、高く評価されることが多いけど、ミレンおばさまのエリザベス女王は、実物には全然似てない。本物とは全く違う、この映画のための女王を、ミレンおばさまがリアルにチャーミングに創りあげたって感じなのです。
ニコールやシャーリーズ、ハル・ベリーなど、若くて美しい女優が、反則技のような捨て身の美貌崩し&大胆演技でオスカー受賞、も最近の流行ですが...ふふふ、若い娘たちは、シャカリキよねぇ、という余裕の微笑みが見えてきそうなほど、ミレンおばさまの力みがない、それでいてスキのない熟練演技が、時に熱すぎて見苦しく、返って稚拙にも思える上記の女優たちのオスカー演技に比べて、心憎いまでにさりげなく、なおかつ爽快で芳醇なのです。いろんな果物をゴチャ混ぜにしてできたミックスジュースと、薫り高いアールグレイの紅茶は、やはり味わいが違います(私は、どっちも好きです)。
女王のキャラも、なかなか興味深い。家族を愛する初老女性の優しさと、不平等な階級社会の象徴である女王の倣岸さ。決して、自分も国民と同じ、とか思ってないし。そして、ダイアナの死を、心から嘆き悲しむ、なんてフリもしない。
何て冷たくて威張りくさったババアなんだろう!燕雀の徒、大鵬の心わきまえず、な庶民の目には、そう映る。でも、それが女王という存在。安易な偽善で円く物事を収拾したり、本音を軽々しく漏らしたり、感情を露わにすることで楽になるなんて、下賎の生き方はできない...そんな、重苦しい高貴さを守ろうとする女王の孤独や厳しさが、哀れを誘う。常に威儀を正しながらも、その背中や横顔が、時々とても疲れた、弱々しい老女に見えて、同情を禁じえなくなります。といっても、女王だってフツーの女なのよぉ~!な、ありきたりな描き方をしてないところが、面白いのです。
この映画の、もう一人の主役といえるのが、ブレア首相。庶民の若き革新的なヒーローとして登場した彼が、古い体質を頑なに守ろうとする女王に、攻撃的な闘いを挑むのではなく、愛情と尊敬をもって彼女の心を動かそうと奔走する姿が、なかなか感動的です。
ブレア首相役マイケル・シーンは、毛糸別金販売、じゃない、ケイト・ベッキンセールの元夫だとか。私のタイプではないけど、濃い目の童顔で、わりと可愛いかも?モノホンのブレア首相のほうが、男前だけど。
女王の母君、クィーン・マザーが、いい味を出してます。おっとりしてるけど、時々お茶目で的を射た皮肉をナニゲにカマして、笑わせてくれます。
この映画に対しても、沈黙を守っているエリザベス女王。ダイアナへの思いよりも、この映画の御感想のほうが、気になります。
あと、イギリス国民の王室に対する、あけっぴろげで歯に衣着せぬ辛辣さは、ほんと驚かされます。ハリウッドのスターに対するミーハーor悪口雑言と、何ら変わらないし。そーいうところも、シニカルに描かれていて、面白い。
でもホント、イギリス王室には、日本の皇室のような、やんごとなさが感じられません。ダイアナとかカミラとか、卑俗なスキャンダルまみれだし。日本の皇室の方々には、あんな風になってほしくないなあ。
あらためて思い知らされましたが。ダイアナさんってホント、愛されてた人気者だったんですね。結構、やりたいことやって、好きなように生きた人生にも思えるけど...
イギリスと違って、日本人の皇室への敬愛は、とても慎ましく憚りがあるけど...もし、かりに、絶対ありえないけど、雅子さまが、皇太子殿下と離婚したら、どーなるか...ダイアナのように、愛され続ける人気者では、絶対にいられないでしょう。日本人は、そういうことには厳しく不寛容だから...