まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ディスコミュニケーション・コミュニティ

2011-01-13 | 北米映画 08~14
 「ソーシャル・ネットワーク」
 今年最初の映画館鑑賞作品(試写会にて)♪
 ハーバード大生でパソコンオタクのマークは、友人のエドゥワルドとソーシャルネットワーク・サービス“フェイスブック”を立ち上げる。フェイスブックはアメリカのみならず世界中に広がりはじめ、マークたちは巨万の富を得るが、共有サイト“ナップスター”創始者であるショーン・パーカーの出現により、マークとエドゥワルドの間に溝が生じしてしまい、やがて決定的な決裂へと...
 現在賞レースを席巻中、来たるオスカーでも本命中の本命!どんな傑作なのかと、期待を抱かずにはいられない作品、でも、あの「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」のデヴィッド・フィンチャー監督だからな~「セブン」とかは好きだけど、ベンジャミンはアレだったしなあ、と一抹の不安も。いざ観てみると...評判通り、すごく面白かったです!少なくとも、ベンジャミン・バトンの100倍は楽しめました。
 話じたいは、大学生がクラブ活動で人間関係をこじらせて、すったもんだ...みたいな感じ。友情や恋愛の要素なら、TVドラマのビバヒルとかのほうが濃くて刺激的です。この映画で描かれているのは、教室で盗まれた弁当をめぐって盗った盗ってないの言い争い、そして、仲良しだったA君が転校生のB君とツルみ始めてムカつくC君、みたいな、ぶっちゃけ小学生レベルの人間関係のもつれ。だけど、しょーもな~!とならないのは、ガキはガキでも社会を動かし巨万の富を生み出すSNSを創設したガキの物語、だから。そして、デヴィッド・フィンチャー監督ならではのユニークな演出と映像、のおかげ。

 目まぐるしくも巧みに交錯する、裁判沙汰となったマークVSエドゥワルドの現在と、フェイスブックを創始し、それをどんどん巨大にしてゆくマーク&エドゥワルドの過去。フツーなら、これは今?昔?とこんがらがってワケが分からなくなるはずなのに、不思議なことにそんなことには全然ならなかった。畳みかけるような展開の速さに圧倒されつつも、ぐいぐい引っ張られてゆき、一瞬たりともダレることがない。トランス的な高揚感。こういう映画って、最近では珍しい。最後まで新鮮な感動をもって観ることができました。編集が神業だったのかな?あの退屈なベンジャミン・バトンと同一人物の監督作品とは、信じ難い。
 演出的、映像的には感嘆せざるを得ませんが、先述した通り、お話的にはガキのケンカでくだらないのですが、そのくだらなさがだんだんと笑えてきます。プッと笑えるコメディタッチなシーンも多かった。ガキのケンカと、巨大なSNSや冨とのギャップが大きすぎるところが、可笑しくも恐ろしいです。血を見たり愛憎にまみれるようなドロドロした生々しさとは無縁で、何だかネット上で闘ってるような非現実、非人情的な感覚が、いかにも今の若者と社会の風潮を表しているようでした。

 マークのキャラが、かなりトンデモです。めちゃくちゃイヤな奴で、頭が良すぎる人間はどっか歪んでるんだなあと、はじめは呆れる&不快なんですが、だんだん珍妙としか思えなくなってきて笑えます。マークって、確かにかなりイビツな子なのですが、悪人では決してない(性格は悪いが)。ものすごい無神経&KYな言動を平然として、元ガールフレンドやエドゥワルドを傷つけるのですが、マークには彼らを傷つけたいという悪意はないっぽい。単に思ったことを正直に言ってるだけ(あるいは、軽いジョークのつもり)、良いと思ったことを素直に実行してるだけ。女にも金にもオシャレにもほとんど興味がなく、ひたすら自分の才能を活かして楽しむことだけを追求してる。その姿は異様で、かつすご~く悪い意味で純粋にも見えた。まさに、自分世界に生きる、自分世界以外の価値観は認めないオタクの権化。いや、あのコミュニケーションの下手さを見てると、マークってひょっとしたらアスペルガー症候群なのかも?とさえ思った。

 マーク役のジェシー・アイゼンバーグ、激演というか珍演というか怪演というか、とにかく強烈です。あの膨大な台詞まわしだけでも圧巻。神経質そうな無表情、鋭い目つきも印象的。傲慢だけど全てにおいてズレまくりすぎて、何かトボけて見えるところとか、金持ちになっても不変なダサい安物ファッションとか、可愛かった。よく見れば顔も結構キュート。いちばん可愛いと思ったのは、ショーン・パーカーと初めて会ったシーン。パーカーの大言壮語にのせられて、夢見る夢太郎顔でうんうんと熱心に頷いてる様子が、珍妙で可愛かった。

 エドゥワルド役のアンドリュー・ガーフィールドの好演も、賞賛に値します。「BOY A」も忘れ難いアンドリューくん、ますます濃ゆ~いご面相になってたけど、やっぱイケメンですね。友情や必死の奔走がカラまわりしまくって、可哀相でありながらも滑稽なエドゥワルドを、爽やかに繊細に演じていたアンドリューくんでした。ショーン・パーカーにイラっ&ムカっな様子が、微笑ましくて可愛かった。
 天啓の使者?それとも疫病神?なショーン・パーカー役のジャスティン・ティバーレイクも、ハイテンションでデカいことばっか言ってる軽薄な、いかにも山師って感じの胡散臭さをよく出してて、意外な好演でした。アイドル時代に比べると、さすがに老けたけど、今でも可愛い顔してますね。
 あと、アイデアをパクったとマークを訴える双子が、かなり男前なツインズでした。
 
 ↑ジェシーくん&アンドリューくん、そろってオスカーにノミネートされるといいね!
 
 
 
 
コメント (2)
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