「ゴッズ・オウン・カントリー」
イギリスのヨークシャーにある辺鄙な土地で、脳梗塞で身体に障害が残った父の代わりに牧羊をしている青年ジョニーは、孤独で荒んだ日々を送っていた。そんな中、手伝いに雇ったルーマニア人の季節労働者ギョルゲと、ジョニーは衝動的に肉体関係を結ぶ。戸惑いながらも、しだいに心優しいギョルゲに心を開くようになるジョニーだったが…
農場が舞台のBLといえば、「ブロークバック・マウンテン」」や「トム・アット・ザ・ファーム」を思い出しますが、この作品は狂気とか悲劇モードはなく、どちらかといえばビタースウィートでロマンティックでもある、王道に近いBL映画でした。でも、荒涼とした自然や厳しい生活環境が、甘さよりも苦みを強くしています。あんな環境では、フツーの男女でもまともな恋愛は難しいでしょう。そしてこの映画、BLそのものよりも、ヨークシャーの厳しくも美しい自然と、過酷な牧羊のリアルな描写が見どころかもしれません。
子羊の出産シーンや、死んだ子羊の皮を剥ぐシーンなどは、実録だったんだろうな~。石塀のフェンスを作る作業も、大変そうだった。酪農って、相当な体力気力がないとできない仕事だな~と、あらためて思いました。あと、現代の話とは信じがたいほど、原始的な暮らしぶりも興味深かったです。ネットも携帯もない、まるで世界から孤絶しているような寂寥や不毛の空気は、人や物で溢れた大都会よりも返って息苦しく、ジョニーの閉塞感がよく理解できました。田舎暮らしには憧れるけど、ジョニーみたいな生活は1日たりとも耐えられないでしょう。
過酷な牧羊だけでなく、親父が厳格なだけでなく寝たきりになってしまい、その介護まで背負わされるとか、どんだけ~(死語)な気の毒すぎる、不運すぎるジョニーの青春無縁さですが、決して地獄な日々には見えなかったのが不思議。それはおそらく、目を洗うような自然の美しさのおかげかも。華やかさ派手さなどかけらもない、寂しく陰鬱な風景はとてつもなく清らかで静謐で、私たちの生活や人生には余計なもの、不必要なものが多すぎるんだよな~と、ジョニー一家のシンプルな清貧生活を見ながら思い知りました。
羊の世話、羊の出産や死など命の貴さも、感動しろしろな動物映画やドラマと違い、ドキュメンタリータッチのリアルな描写で伝わってきました。ギョルゲが生まれたばかりの子羊を、人間の赤ちゃんのように大切に扱う姿に、ほっこり心温まりました。子羊が超可愛い!大きくならないなら、犬じゃなくて羊を飼いたいです。
英国BL映画といえば、「モーリス」や「アナザー・カントリー」など耽美で優雅な美青年や上流社会がお約束ですが、この映画のカップルはごくフツーな見た目で、特別な才能があるわけでも数奇な運命の中にいるわけでもなく、貴族やブルジョアとは真逆な身分なのですが、切なくも微笑ましく、生々しくも優しいBLを奏でていました。
ジョニーは、青春を犠牲にして家業の牧羊、そして父の介護と、本当に可哀想でいじましいのですが、不器用というかかなりのダメ男でもあって、見ていてイラっとします。ブサイクじゃないけど、これといって特徴や魅力のないフツーのルックス。ギョルゲが放っておけない、優しくせずにはいられない見た目とキャラにしてほしかったかも。逆に、ギョルゲは見た目もキャラも、なかなかの男前。濃ゆく男くさく寡黙でワイルドな風貌の彼が、ダメ男のジョニーを静かに優しく支えるのを見ながら、こんな恋人、夫がいたらいいな~と心底思いました。何でそこまで?と首を傾げたくなるほどの、ギョルゲのジョニーへの献身と忍耐に感銘。ジョニーを乙女扱いするのが萌え~でした。ジョニー役のジョシュ・オコナー、ギョルゲ役のアレック・セカレアヌの大胆かつ繊細なBL演技も、日本の自称俳優のCMタレントには不可能な素晴らしさでした。
男同士だとやはり、愛とか恋とかよりも先に性欲、なんでしょうか。ジョニーとギョルゲも、え?もうヤるの?なスピード合体、しかも明るい朝の屋外で。あんな寒そうな中、全裸で激しく絡み合う男ふたり。アソコが縮まないほどの強く衝動的な欲望(笑)。ヤった後、ぎこちなくもゆっくり心も近づいていく過程が、微笑ましくハートウォーミングでした。それにしても。行きずりの男相手に性欲処理したり、外国人と恋に落ちたり、あんな田舎でゲイ同士が出会う確率が高いのが不思議だった。私が気づかないだけで、周囲には結構BLが繰り広げられてるのかしらん?
↑ルーマニア出身のアレック・セカレアヌ、男前でした!他の出演作の彼にも会いたいものです
イギリスのヨークシャーにある辺鄙な土地で、脳梗塞で身体に障害が残った父の代わりに牧羊をしている青年ジョニーは、孤独で荒んだ日々を送っていた。そんな中、手伝いに雇ったルーマニア人の季節労働者ギョルゲと、ジョニーは衝動的に肉体関係を結ぶ。戸惑いながらも、しだいに心優しいギョルゲに心を開くようになるジョニーだったが…
農場が舞台のBLといえば、「ブロークバック・マウンテン」」や「トム・アット・ザ・ファーム」を思い出しますが、この作品は狂気とか悲劇モードはなく、どちらかといえばビタースウィートでロマンティックでもある、王道に近いBL映画でした。でも、荒涼とした自然や厳しい生活環境が、甘さよりも苦みを強くしています。あんな環境では、フツーの男女でもまともな恋愛は難しいでしょう。そしてこの映画、BLそのものよりも、ヨークシャーの厳しくも美しい自然と、過酷な牧羊のリアルな描写が見どころかもしれません。
子羊の出産シーンや、死んだ子羊の皮を剥ぐシーンなどは、実録だったんだろうな~。石塀のフェンスを作る作業も、大変そうだった。酪農って、相当な体力気力がないとできない仕事だな~と、あらためて思いました。あと、現代の話とは信じがたいほど、原始的な暮らしぶりも興味深かったです。ネットも携帯もない、まるで世界から孤絶しているような寂寥や不毛の空気は、人や物で溢れた大都会よりも返って息苦しく、ジョニーの閉塞感がよく理解できました。田舎暮らしには憧れるけど、ジョニーみたいな生活は1日たりとも耐えられないでしょう。
過酷な牧羊だけでなく、親父が厳格なだけでなく寝たきりになってしまい、その介護まで背負わされるとか、どんだけ~(死語)な気の毒すぎる、不運すぎるジョニーの青春無縁さですが、決して地獄な日々には見えなかったのが不思議。それはおそらく、目を洗うような自然の美しさのおかげかも。華やかさ派手さなどかけらもない、寂しく陰鬱な風景はとてつもなく清らかで静謐で、私たちの生活や人生には余計なもの、不必要なものが多すぎるんだよな~と、ジョニー一家のシンプルな清貧生活を見ながら思い知りました。
羊の世話、羊の出産や死など命の貴さも、感動しろしろな動物映画やドラマと違い、ドキュメンタリータッチのリアルな描写で伝わってきました。ギョルゲが生まれたばかりの子羊を、人間の赤ちゃんのように大切に扱う姿に、ほっこり心温まりました。子羊が超可愛い!大きくならないなら、犬じゃなくて羊を飼いたいです。
英国BL映画といえば、「モーリス」や「アナザー・カントリー」など耽美で優雅な美青年や上流社会がお約束ですが、この映画のカップルはごくフツーな見た目で、特別な才能があるわけでも数奇な運命の中にいるわけでもなく、貴族やブルジョアとは真逆な身分なのですが、切なくも微笑ましく、生々しくも優しいBLを奏でていました。
ジョニーは、青春を犠牲にして家業の牧羊、そして父の介護と、本当に可哀想でいじましいのですが、不器用というかかなりのダメ男でもあって、見ていてイラっとします。ブサイクじゃないけど、これといって特徴や魅力のないフツーのルックス。ギョルゲが放っておけない、優しくせずにはいられない見た目とキャラにしてほしかったかも。逆に、ギョルゲは見た目もキャラも、なかなかの男前。濃ゆく男くさく寡黙でワイルドな風貌の彼が、ダメ男のジョニーを静かに優しく支えるのを見ながら、こんな恋人、夫がいたらいいな~と心底思いました。何でそこまで?と首を傾げたくなるほどの、ギョルゲのジョニーへの献身と忍耐に感銘。ジョニーを乙女扱いするのが萌え~でした。ジョニー役のジョシュ・オコナー、ギョルゲ役のアレック・セカレアヌの大胆かつ繊細なBL演技も、日本の自称俳優のCMタレントには不可能な素晴らしさでした。
男同士だとやはり、愛とか恋とかよりも先に性欲、なんでしょうか。ジョニーとギョルゲも、え?もうヤるの?なスピード合体、しかも明るい朝の屋外で。あんな寒そうな中、全裸で激しく絡み合う男ふたり。アソコが縮まないほどの強く衝動的な欲望(笑)。ヤった後、ぎこちなくもゆっくり心も近づいていく過程が、微笑ましくハートウォーミングでした。それにしても。行きずりの男相手に性欲処理したり、外国人と恋に落ちたり、あんな田舎でゲイ同士が出会う確率が高いのが不思議だった。私が気づかないだけで、周囲には結構BLが繰り広げられてるのかしらん?
↑ルーマニア出身のアレック・セカレアヌ、男前でした!他の出演作の彼にも会いたいものです