「ビガイルド 欲望のめざめ」
南北戦争末期のバージニア州。負傷した脱走兵のジョンは、女性教員と少女たちしかいない女学校で匿われ、手厚い看護を受ける。突然現れた若い男に並々ならぬ関心を抱く女たち。ジョンはそんな状況を楽しんでいたが、彼をめぐって渦巻き始めた女たちの嫉妬や欲望は、やがて恐ろしい破局を招くことに…
去年のカンヌ映画祭で、ソフィア・コッポラ監督が監督賞に輝いた作品。クリント・イーストウッド主演の「白い肌の異常な夜」のリメイク、というか、同じ原作の再映画化?狂ったサイコ映画だった「白い~」と違って、新版はちょっと怖い少女漫画みたいな映画になってました。上映時間が1時間半ぐらいだったが、長い映画が苦手な私にはありがたかったです。でも…
せっかくの異常な設定やキャラなのに、ソフトな内容と描写によって怖さやヤバさが薄まってしまってました。怖い映画が苦手な人でも全然大丈夫です。反面、ヤバいき◯がい映画が好きな私には、かなり物足りませんでした。上品で清らかな、でも抑圧された女たちの閉鎖的な集団生活が、魅力的な若い男の闖入によって、無残に残酷に崩壊していく様子を、もっと生々しく狂気炸裂で描いてほしかったです。
女特有の嫉妬や独占欲、対抗心、自惚れ、自尊心って、イタくて醜悪だから面白いんですよね~。いちおうジョンをめぐって小競り合いはするけど、それも少女漫画レベルで軽い薄い。男を好きというより、私のほうが好かれている、私のほうがあんたより上!な優越感とか、小娘でもやっぱ女だなと思うシーンとかも、もっとイヤらしさを出してほしかったです。
後半になると、男への愛憎でおかしくなってしまった女たち、ではなく、災難に勇気をもって立ち向かう女たち、みたいな展開になってしまってたのが、つまんなくて残念でした。ラストの惨劇も、悪い男をやっつけるため、ではなく、自分たちをコケにした男への制裁、みたいな感じにしたほうが、怖くて痛快だったのに。ジョン、ぜんぜん悪い男じゃなかったので、ただもう思慮の足りない浅はかなバカ女にしか見えなかったです。狂った女は面白いけど、バカ女はイラっとするだけ。
結局、狂気や欲情にまみれた女の業や性をリアルに、もしくは面白おかしく描きたくなかったのでしょう。ソフトフォーカスの映像みたいに、女たちも汚れなく美しいまま。ソフィア・コッポラ監督といえば、ガーリー映画のカリスマですもんね。サイコ話も乙女色に染められてました。
ジョン役は、大好きなコリン・ファレル「ロブスター」では、でっぷり太ったおっさんになってたコリンが、また痩せてカッコカワいいイケメンに戻ってた!
ガーリー趣味なコッポラ監督なら、女みたいなキレイ系男優を選びそうなところを、男くさいコリンが起用されたのは意外なキャスティング。でも、上品ぶった女を惑わせる狂わせるフェロモンを放つのは、コリンみたいな濃ゆい♂野郎なのです。痩せると若く見えるコリン、小顔でスタイルもいいんですよね~。ヒゲありヒゲなし、どっちもイケてました。相変わらず瞳が美しい!
大型犬みたいなコリン、今回はまさに犬みたいな役でした。女たちから珍しがられチヤホヤされ守られて、天国じゃんここ♪とご満悦、嬉しそうなコリンが可愛い。女たちに非道い目に遭い、ぎゃーぎゃー錯乱して大暴れ、めそめそ泣いてる可哀想なコリンも可愛かった。粗野で乱暴そうに見えるけど、コリンって悪役が似合わないほど善人っぽい。今回のジョンも、あんな仕打ちは理不尽なほどいい子だった。ちょっと調子に乗ったかもしれないけど、それは女どもが彼を煽ったから。ジョンは悪くない。愛されてるうちは、愛想がよくてチャーミングな御方。愛が憎しみに転じると、誰にでもいい顔をする女たらし。女の極端な感情に翻弄されるジョンが気の毒で仕方なかった。礼儀正しくて謙虚で優しい男だったのに。実は猫かぶって本性を隠してた、な感じでもなかった。言う通りにならなくなったら殺処分!な末路が、まさに哀れな犬みたいなコリンでした。
学園長役のニコール・キッドマンは、もう顔だけで怖い!せっかくヤバい匂いプンプンさせてるニコキさんを起用したのに、彼女の冷たい妖気を活かせてなかったのが惜しい。中途半端に男に欲情する女ではなく、いっそガチガチの男嫌い、宗教き◯がい女にしたほうが、ラストの惨劇も理解できただろうし、ニコキさんも実力発揮できたのでは。
ジョンに誘惑される女教師役は、コッポラ監督お気にの女優であるキルスティン・ダンスト。相変わらずジャガイモみたいな顔でした。でもジョンは、彼女を絶世の美女扱いするんですよ。本気でそう思ってるのか、ブスを騙す女たらしの常套手段なのか、定かでなかったのが気になります。
ガーリー映画らしく、清らかな白を基調とした衣装や、ちょっとファンシーなインテリアなども、乙女な空気感を醸していました。
↑ やっぱ羽生くんよりコリンみたいな男がいいわ~ニコキ姐さんと再共演の「聖なる鹿殺し」も近日日本公開されるコリンには、今年のオスカーでデンゼル・ワシントンが主演男優賞にノミネートされてる“Roman J. Israel, Esq.”や、ティム・バートン監督の“Dumbo”など、楽しみな新作が待機中です
南北戦争末期のバージニア州。負傷した脱走兵のジョンは、女性教員と少女たちしかいない女学校で匿われ、手厚い看護を受ける。突然現れた若い男に並々ならぬ関心を抱く女たち。ジョンはそんな状況を楽しんでいたが、彼をめぐって渦巻き始めた女たちの嫉妬や欲望は、やがて恐ろしい破局を招くことに…
去年のカンヌ映画祭で、ソフィア・コッポラ監督が監督賞に輝いた作品。クリント・イーストウッド主演の「白い肌の異常な夜」のリメイク、というか、同じ原作の再映画化?狂ったサイコ映画だった「白い~」と違って、新版はちょっと怖い少女漫画みたいな映画になってました。上映時間が1時間半ぐらいだったが、長い映画が苦手な私にはありがたかったです。でも…
せっかくの異常な設定やキャラなのに、ソフトな内容と描写によって怖さやヤバさが薄まってしまってました。怖い映画が苦手な人でも全然大丈夫です。反面、ヤバいき◯がい映画が好きな私には、かなり物足りませんでした。上品で清らかな、でも抑圧された女たちの閉鎖的な集団生活が、魅力的な若い男の闖入によって、無残に残酷に崩壊していく様子を、もっと生々しく狂気炸裂で描いてほしかったです。
女特有の嫉妬や独占欲、対抗心、自惚れ、自尊心って、イタくて醜悪だから面白いんですよね~。いちおうジョンをめぐって小競り合いはするけど、それも少女漫画レベルで軽い薄い。男を好きというより、私のほうが好かれている、私のほうがあんたより上!な優越感とか、小娘でもやっぱ女だなと思うシーンとかも、もっとイヤらしさを出してほしかったです。
後半になると、男への愛憎でおかしくなってしまった女たち、ではなく、災難に勇気をもって立ち向かう女たち、みたいな展開になってしまってたのが、つまんなくて残念でした。ラストの惨劇も、悪い男をやっつけるため、ではなく、自分たちをコケにした男への制裁、みたいな感じにしたほうが、怖くて痛快だったのに。ジョン、ぜんぜん悪い男じゃなかったので、ただもう思慮の足りない浅はかなバカ女にしか見えなかったです。狂った女は面白いけど、バカ女はイラっとするだけ。
結局、狂気や欲情にまみれた女の業や性をリアルに、もしくは面白おかしく描きたくなかったのでしょう。ソフトフォーカスの映像みたいに、女たちも汚れなく美しいまま。ソフィア・コッポラ監督といえば、ガーリー映画のカリスマですもんね。サイコ話も乙女色に染められてました。
ジョン役は、大好きなコリン・ファレル「ロブスター」では、でっぷり太ったおっさんになってたコリンが、また痩せてカッコカワいいイケメンに戻ってた!
ガーリー趣味なコッポラ監督なら、女みたいなキレイ系男優を選びそうなところを、男くさいコリンが起用されたのは意外なキャスティング。でも、上品ぶった女を惑わせる狂わせるフェロモンを放つのは、コリンみたいな濃ゆい♂野郎なのです。痩せると若く見えるコリン、小顔でスタイルもいいんですよね~。ヒゲありヒゲなし、どっちもイケてました。相変わらず瞳が美しい!
大型犬みたいなコリン、今回はまさに犬みたいな役でした。女たちから珍しがられチヤホヤされ守られて、天国じゃんここ♪とご満悦、嬉しそうなコリンが可愛い。女たちに非道い目に遭い、ぎゃーぎゃー錯乱して大暴れ、めそめそ泣いてる可哀想なコリンも可愛かった。粗野で乱暴そうに見えるけど、コリンって悪役が似合わないほど善人っぽい。今回のジョンも、あんな仕打ちは理不尽なほどいい子だった。ちょっと調子に乗ったかもしれないけど、それは女どもが彼を煽ったから。ジョンは悪くない。愛されてるうちは、愛想がよくてチャーミングな御方。愛が憎しみに転じると、誰にでもいい顔をする女たらし。女の極端な感情に翻弄されるジョンが気の毒で仕方なかった。礼儀正しくて謙虚で優しい男だったのに。実は猫かぶって本性を隠してた、な感じでもなかった。言う通りにならなくなったら殺処分!な末路が、まさに哀れな犬みたいなコリンでした。
学園長役のニコール・キッドマンは、もう顔だけで怖い!せっかくヤバい匂いプンプンさせてるニコキさんを起用したのに、彼女の冷たい妖気を活かせてなかったのが惜しい。中途半端に男に欲情する女ではなく、いっそガチガチの男嫌い、宗教き◯がい女にしたほうが、ラストの惨劇も理解できただろうし、ニコキさんも実力発揮できたのでは。
ジョンに誘惑される女教師役は、コッポラ監督お気にの女優であるキルスティン・ダンスト。相変わらずジャガイモみたいな顔でした。でもジョンは、彼女を絶世の美女扱いするんですよ。本気でそう思ってるのか、ブスを騙す女たらしの常套手段なのか、定かでなかったのが気になります。
ガーリー映画らしく、清らかな白を基調とした衣装や、ちょっとファンシーなインテリアなども、乙女な空気感を醸していました。
↑ やっぱ羽生くんよりコリンみたいな男がいいわ~ニコキ姐さんと再共演の「聖なる鹿殺し」も近日日本公開されるコリンには、今年のオスカーでデンゼル・ワシントンが主演男優賞にノミネートされてる“Roman J. Israel, Esq.”や、ティム・バートン監督の“Dumbo”など、楽しみな新作が待機中です