まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

彼と僕、はじめてのチュウ

2020-10-14 | 北米映画 15~21
 「マティアス&マキシム」
 幼なじみのマティアスとマキシムは、友人の妹に頼まれて出演した短編映画でキスシーンを演じる。以来二人は、これまでになかった感情の芽生えに戸惑うが…
 グザヴィエ・ドラン監督の新作。「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」と間を置かずに作品が日本公開で、コンスタントな仕事ぶりがファンには嬉しい。この新作、これまでのドラ美の作品の中では最も明るい、楽しい映画に仕上がっていました。過去作品も決して暗くも退屈でもないのですが、ドラ美らしい若々しくポップなケレン味が良い意味で薄れて落ち着いた感じになった印象。全体的にとっつきやすくなったというか。ドラ美も大人になったんですね。

 才気を全面に押し出した癖の強さはなくなったけど、ドラ美らしさは失われていませんでした。演出や音楽における独特のスタイリッシュさは不変。周囲は早送りされる中で、マティアスとマキシムは時間が止まったかのように揺れる想い~♪な様子とか、外は嵐な張り窓のキスシーンとか、切なくも斬新な演出で好きです。お話じたいは、ノンケが突然男への友情以上の気持ちに気づかされて悩む、といったライトで初歩的なBLです。厳しい現実に暗澹とさせられるシーンも生々しい性愛シーンもないし、BLが苦手な人でも大丈夫なBL映画です。

 それにしても。仲が良すぎる男同士って、セックスしない恋愛関係みたいですよね。ひょっとしたら俺、こいつとセックスできる、いや、したいのでは?という、ほとんどの仲良し男同士が踏むことのない境界線でモヤモヤ、という設定が腐には胸キュンです。YOU!悩んでないで一線超えちゃえ!ヤっちゃいな!と腐は無責任に思ってしまいますが
 キスをきっかけにマキシムと今まで通りに接することができなくなり、動揺・狼狽しまくるマティアスが何だか切ないというより滑稽で可愛かったです。旅立つ前のマキシムに冷たく当たってしまったり、狂おしくキスした後に理性が勝ってしまうリアクションとか、BLならではの甘い痛みで腐のツボをつきまくります。

 思わぬBLのめざめにすっかりトチ狂ってしまうマティアスと違い、マキシムはいたってクール。マキシムはゲイの設定だったのでしょうか。ノンケの男に対して期待とか夢とかは抱かない、むしろ傷つくことを恐れて距離を置こうとする、ゲイならではの諦観とか臆病さもまたスウィートペインな切なさ。まあマキシムは、ママのことで恋どころじゃなかったですし。マキシムのママのクソババアっぷり、ひどすぎて笑えた。あんまりな仕打ちに傷つくマキシムが哀れでした。ママと息子の確執、壮絶なケンカもドラ美の映画ではおなじみ、ドラ美にとっては重要なテーマのようです。

 ドラ美、自作での監督兼主演は「トム・アット・ファーム」以来でしょうか。やっぱ美男子ですね~。薄口イケメンが多いので、ドラ美のほどよい濃さが美味です。小柄なので少年っぽいところも可愛い。Tシャツに半ズボンがこれほど似合うアラサー男もいません。ふてくされた斜に構えた役が多いドラ美ですが、今回は笑顔も多い明るい役でした。笑うとクチャっと崩れる顔も可愛い。もともと子役として活躍していたドラ美は、演技へのこだわりや情熱もひとかたならなぬようで、最近のインタビューでは監督業よりも今後は俳優業に重点を置きたいと言ってましたが。どっちもバランスよく両立させてほしい、というのがファンの願いです。

 マティアス役のガブリエル・ダルメイダ・フレイタスが、優しそうで色気があるイケメン!ブラッドリー・クーパーをほっそりスマートにしてインド人っぽくした感じ?スタイルがよくて、スーツもカジュアルなファッションもオシャレに着こなしてました。マティアスが接待するチャラい弁護士役は、「キングスマン」シリーズの新作の主人公に抜擢されたハリス・ディキンソン。彼もスタイル抜群。タイトなスーツ姿でのピチっとしたお尻がセクシイでした。マティアス&マキシムの友人たち、そのママたちもみんな個性的でいい味だしてました。特にリヴェット兄妹が好き。バカ言い合ってワイワイ騒いだりケンカしたり、男子って楽しそうでいいな~と羨ましくなりました。

 ↑ 美貌と才能、どっちかだけでもどっちもないわしにくれや!勝ち組人生に恵まれているようで、凡人には無縁な苦労や悩みもいっぱいあるんだろうな~。それもまた映画に昇華できるドラ美はやっぱ神に選ばれし者ですね
コメント
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