まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

悪夢の玉の輿!

2020-10-28 | 北米映画 15~21
 「レベッカ」
 金持ちの老婦人の付添人としてモンテカルロに滞在中だった“私”は、イギリスの大富豪マキシムと恋に落ち、彼が所有する壮麗な館マンダレーで新婚生活をスタートさせる。マンダレーにはマキシムの亡妻レベッカの影が色濃く残っており、レベッカに忠実だった家政婦のダンヴァーズ夫人は“私”を冷ややかに扱う。しだいに“私”は精神的に追い詰められ…
 恥ずかしながら、名作の誉れ高いアルフレッド・ヒッチコック監督のオリジナル版は未見。先にリメイク版を観てしまいました。ざっくり言えば、オカルト風サイコサスペンスでしょうか。亡妻の死霊に憑りつかれてるかのような館、邪悪な家政婦、恐ろしい秘密に苦しむ夫、精神的に追い詰められてい新妻…レベッカの死の真相など、ミステリーの要素もあり、盛沢山だなと思いつつ、飽きずに最後まれ観られる内容、という重要な課題はクリアしてる作品です。でも、何ていうか…せっかくイギリスの上流社会の話なのに、イギリスといえばの優雅さとかスノッブさが希薄でした。演出も映像も出演者も、華やかというか派手で違和感。こういったダークでミステリアスな物語には、やはり神秘的で憂いのあるモノクロのほうが合ってるのかなと思いました。

 モンテカルロのリゾートやイギリスの海など、美しい風景を背景に物語が進行するのですが、たまにこれ合成?ロケしてない?と勘ぐってしまうシーンがあったり。美しく壮麗なマンダレーも、いかにもセットな感じが強かったり(どう見てもハリボテな壁があったり)予算をかなりケチってる印象が否めませんでした。脚本もどことなく2時間ドラマっぽくて、ラストの断崖でのヒロインVS犯人なんて、もろ火サスで失笑。キャストも悪くはないのだけど、高級感とか重厚感は全然ないメンツでした。

 “私”役のリリー・ジェームズは、「高慢と偏見とゾンビ」でも思ったけど、美人!なんだけどクラシカルな役、映画には適してない美しさ。顔も雰囲気も現代的で派手なんですよ。男をキュンとさせるウブでドヂっ娘な言動が似合わない。気が強そうなので、守ってやりたいという男の父性本能をくするぐる女に、何をやっても見えないんですよね~。ギラギラしてて、玉の輿を狙う女豹のようだった。不安や恐怖に怯えたり精神的に追い詰められる繊細さが全然なくて。あんた、それぐらいでビビる女じゃないでしょ!と思わずにはいられませんでした。見た目はか弱げ、はかなげだけど芯は強そうな女優がやるべきヒロインです。それにしても。今の女性はこの映画のヒロインのように、理不尽な状況や夫の嘘、精神的DVに黙って耐え忍んだりしないので、この映画は現代版ではリメイクできませんね。時代とは言え、強い女性ばかりというのも何だか味気ないですね。

 マキシム役のアーミー・ハマーは、いいとこの坊ちゃん風ではあるのですが、イギリスの貴族には見えません。アメリカの良家とイギリスの貴族って、全然違いますね。もともとデカい彼ですが、この映画ではさらに恰幅がよくなっていて、ヌオ~っとした威圧感が。怒ったらゴゴゴゴ…と音がして大魔神に変身しそうなところは、「コードネームUNCLE」の時と同じで笑えた。
 邪悪な家政婦ダンヴァーズ夫人役のクリスティン・スコット・トーマスは、陰険さ冷酷さもどこかエレガントかつ知的で、気持ち悪いとか怖いとかいった感じはあまりなかった。レベッカの間男役の男優が、どっかで見たことある、いや、聞いたことある声だなと思ったら、サム・ライリーだった!

 「高慢と偏見とゾンビ」でのダーシーとは全然違って見えて、すぐに彼だと気づかなかった!独特すぎるしゃがれ声は不変でしたが。今回はイケメンじゃなかったけど、何に出ても何演じても同じな俳優と違う面白い役者だなと、あらためて好きになりました。それはそうと、高慢と偏見とゾンビでは、リリー・ジェームズとサム・ライリーは恋人役でしたね。今回は敵対する役だったのが面白かったです。アメリカンなアーミー・ハマーより、ダーシー役の時みたいなイケメンバージョンのサム・ライリーのほうが、マキシム役にピッタリかも。ヒッチコック監督版も近いうちに観たいと存じます。
 
コメント (2)
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