まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

キムタク天下布武!

2023-02-01 | 日本映画
 「レジェンド&バタフライ」 
 うつけ者と悪評高い尾張の織田信長は、美濃の斎藤道三の娘濃姫との政略結婚を強いられる。はじめは反発し合っていた信長と濃姫だったが…
 うう~ん…期待はしないようにしつつ、ひょっとしょたら?という淡い期待も抱いていたのですが、やっぱり思ってた通りな映画だった。本格的で重厚な戦国絵巻時代劇を期待するほうが悪い、と嗤ってくださいまあ、主演が日本一の大スター、木村拓哉さんですから。ある意味期待を裏切らない映画とも言えます。裏切ってほしかったけど。これまでの主演作同様、キムタクのカッコよさや個性を活かすことが絶対的至上命題。この新作時代劇もその例外ではありませんでした。例外になってほしかったし、それをちょぴり期待したのだけど…
 キムタク、ナンダカンダ言いつつ私、すごく好きなんですよ。あっと驚くような役や大胆な演技に挑む大人の役者キムタクが見たいと、ずっと願い続けていました。まるで叶わぬ恋心のように。キムタクにはそうさせる実力と魅力があると信じてるから。その気になれば絶対に、緒形拳や渡瀬恒彦みたいなスゴい役者になれるはず。でも、ご本人にはそんな気はサラサラなさそうで、50歳になっても精神年齢が低い作品や役ばかり。でも、惜しいという気持ちはだんだん、その徹底した不変のスタンスが高倉健や渥美清といった大物映画スターとカブってきて、いつも同じ俺様を貫くのもまた立派な役者道、そんなキムタクが好きな人のためだけのキムタクであり続けるキムタクへの畏怖になってきてもいます。

 20代の若い頃、テレビドラマで演じた織田信長を、50歳になって映画で再演したキムタク。見た目は老けても、芸風は全然ブレれないところがスゴい!若い信長なキムタクにはさすがに違和感あったけど、やっぱいい男です。小柄で痩せてるので貧相に見えることもあるけど、戦国時代の男性が長身でスタイル抜群とかのほうがおかしいですよね。実際に馬に乗って疾走するキムタクもカッコよかった。後半、魔王となった信長のキムタクは、髭も似合う熟年の色気が。ダークサイドに堕ちてしまった狂気も凄味と迫力があって、チャラいカッコつけおじさんという、いつものキムタクではありませんでした。信長の暗黒で血なまぐさい運命と悲劇に焦点が当てられ、シェイクスピアのマクベスみたいなキムタクが見られたら最高だったのに。ああ、何ということでしょう。この映画、前半はラブコメ、後半はお涙ちょうだい夫婦愛、という韓流ドラマもどきになってしまっていて、心の底からトホホでした。

 信長と濃姫のツンデレやりとり、二人の身近な人物たちの言動、ほとんど時代劇コントだった。巨額の製作費、壮大なスケールで時代劇コントとかくだらないお笑いは要らない、もうちょっと真面目にやってと、前半の軽すぎるノリは正直キツかった。途中で観るのやめて帰ろうかとさえ思ったほどに。後半、信長が魔王になってやっと面白くなってきたのに、不治の病に倒れた濃姫を信長が献身的に支えるというベタな純愛ものになって、この映画の監督や脚本家って韓流ドラマの観すぎなのでは失笑。いくら何でもあんな織田信長、ありえんわ~。

 終盤のハイライト、本能寺の変ではまさかのトンデモ展開が。南蛮船で洋装姿のキムタクもカッコよかったけど、最後の最後までコントかよ~私はこんな長い時間(3時間近くある)、いったい何を見せられたんだろうと虚しくなってしまいました。日本史に精通してない人でも変すぎてツッコミたくなる設定やキャラだらけなのも、この映画をコントにしています。豊臣秀吉と徳川家康が出てくるのですが、二人ともおっさん。確か信長のほうが年上だったはず。家康役は某イケメン俳優が特殊メイクをして演じてるのですが、そんな必然性どこにあったの。誰得?おふざけが多いところも、コント色を強めてました。謀反を起こす明智光秀は、逆に信長よりかなり年下の青年だったのも時代考証無視。

 歴史にあまりうるさくなく、キムタクがいつもの調子で韓流ラブコメ&純愛悲恋する姿を見たい人なら、すごく楽しめる映画と存じます。あまりCGを多用せず、お金をかけたロケ撮影とセットは見ごたえありました。いい俳優もお金も技術もあるのだから、往年のファンをも唸らせるような本格的時代劇は作れるはず!ライトなスイーツ時代劇ではなくて!
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする